「米長期金利一時1.43%台へと上昇」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は反発し、1週間ぶりに106円台を回復。株式市場で株価が急上昇したことや、米金利の上昇が円売りにつながる。
- ユーロドルは小幅に上昇し、1.2174までユーロが買われる。ユーロは対円でも128円86銭近辺まで買われ、2018年12月以来となるユーロ高に。
- 株式市場は急反発。パウエル議長が下院の議会証言で物価上昇や景気過熱への懸念を一蹴したことでダウは424ドル高と、初の3万2000ドルに迫る。
- 債券は続落。長期金利は一段と上昇し、一時は1.43%台まで続伸。約1年ぶりの高水準に。
- 金は続落。原油は買われ63ドル台に。
1月新築住宅販売件数 → 92.3万戸
*******************
| ドル/円 | 105.84 〜 106.10 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.2109 〜 1.2174 |
| ユーロ/円 | 128.38 〜 128.86 |
| NYダウ | +424.51 → 31,961.86ドル |
| GOLD | −8.00 → 1,797.90ドル |
| WTI | +1.55 → 63.22ドル |
| 米10年国債 | +0.034 → 1.376% |
本日の注目イベント
- 日 12月景気先行指数(CI)改定値)
- 独 独3月GFK消費者信頼感
- 欧 ユーロ圏2月消費者信頼感(確定値)
- 欧 ユーロ圏2月景況感指数
- 欧 ユーロ圏1月マネーサプライ
- 米 新規失業保険申請件数
- 米 10−12月GDP(改定値)
- 米 1月耐久財受注
- 米 1月中古住宅販売成約件数
- 米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演
- 米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、バーチャル討論に参加
本日のコメント
米長期金利が約1年ぶりに1.4%台まで上昇し、一時は1.43%を付けています。このところの急ピッチな金利上昇から、絶好調だった米株式市場では、ナスダック指数が調整色を強め、やや不透明感が漂っていました。この影響は日本株にも及び、日経平均株価は昨日500円に迫る下げを記録し、3万円の大台を大きく割り込む展開でした。基本的に金利高が株式市場にとってはネガティブな材料となり、ここ数日は、株も債券も売られています。リスクオンの後退からドル円も今週火曜日には104円台後半までドル安が進みました。
この流れに「ビシッ」とくさびを打ったのが昨日のパウエル発言です。議長は下院金融委員会で証言を行い、経済の回復には長い時間がかかるとの認識を改めて示し、また、物価上昇の兆候が見られても、必ずしも高インフレの定着につながらないと述べました。「われわれの政策は緩和的だ。失業率が高く、労働市場は最大限の雇用達成から程遠い状況にあるためだ」と説明しています。また、「一部指標で価格上昇が示されている資産があるのは確かだ」と述べ、その一例として自動車価格の上昇を挙げ、「テクノロジー業界での半導体不足とサプライチェーン面での制約が影響している」と説明しました。その上で、「この状況は必ずしもインフレにつながらない。インフレというのは、(一時的な物価高騰ではなく)、毎年のように繰り返され継続的に物価が上昇するプロセスだからだ」と述べています。また政府による追加の経済対策や金融政策による継続的な支援により、経済が過熱するリスクについての質問に対して議長は、「新型コロナウイルスのパンデミック前の力強さを経済が取り戻すまでには、まだ長い時間がかかる」との認識を示しました。さらにインフレ目標を達成するには「3年余りかかる可能性がある」とも述べています。(ブルームバーグ)
パウエル議長の議会証言は投資家に安心感を与え、再びリスクオンの流れに傾き、株価の上昇と円売りを誘いましたが、もう一つ、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が開発した新型コロナワクチンも投資家心理を改善させたと思われます。米食品医薬品局(FDA)のスタッフの報告によれば、同社のワクチンは、これまで使用を認められたワクチンと異なり、2度目の接種を必要としないと報告されています。また、これまで低温管理が必要だったワクチンと異なり、常温でも管理が可能との報道もあり、もしそうだとしたら、管理・運搬が急激に改善され、ワクチン不足を一気に解決できる可能性もありそうです。26日に開かれるFDA諮問員会で、同ワクチンの緊急使用許可が協議される模様です。
ドル円は105円割れから急速に値を戻し、1週間ぶりに106円台まで反発する場面もありました。106円台では当然ですが、再びドル売りが活発になると予想されますが、それらのドル売り注文をこなして上昇できるかどうかが注目されます。「日足」チャートでは強い抵抗線であった「200日移動平均線」を抜けており、106円20銭より上方には「週足」の「雲」や「120週移動平均線」など、数々の抵抗帯や抵抗線が存在します。テクニカルではドル円の上昇傾向を示していますが、この水準から1円円安方向に持って行くにはまだ時間がかかりそうです。一方米長期金利の上昇はドルの支援材料になると考えられます。金利上昇がさらに続くと、FRBが金融政策の変更を行うのではといった懸念もありますが、パウエル議長は昨日の議会証言で、その可能性を一蹴しています。
本日のドル円は105円50銭〜106円30銭程度を予想します。
佐藤正和の書籍紹介
これだけ! FXチャート分析 三種の神器 |
チャートがしっかり読めるようになるFX入門 |
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 2/24 | パウエル・FRB議長 | 「われわれの政策は緩和的だ。失業率が高く、労働市場は最大限の雇用達成から程遠い状況にあるためだ」、「一部指標で価格上昇が示されている資産があるのは確かだ」「この状況は必ずしもインフレにつながらない。インフレというのは、(一時的な物価高騰ではなく)、毎年のように繰り返され継続的に物価が上昇するプロセスだからだ」 | NYダウは424ドル高と急騰。ドル円は106円台まで上昇。 |
| 2/17 | ローゼングレン・ボストン連銀総裁 | 「失業率の高止まりが続く限り、今後2年間は持続的なインフレ率2%の達成を見込んでいない」 | -------- |
| 2/17 | FOMC議事録(1月26、27日分) | 「経済がそれらの目標からまだほど遠い状況にあることを踏まえ、一段と顕著な進展が得られるまでにはしばらく時間がかかる可能性が高いと、参加者は判断した」、「経済は委員会が掲げる中長期の目標からなお程遠く、今後の道のりはなお極めて不透明で、パンデミックが引き続き見通しに多大なリスクをもたらしているとの見解で参加者は一致した」 | -------- |
| 2/16 | オーストラリア準備銀行議事要旨 | 「債券購入プログラムは実施しなかった場合と比べ、金利と豪ドル相場の押し下げにつながった。これを考慮すれば、金融刺激策の巻き戻しを検討するのは時期尚早だろう」 | -------- |
| 2/10 | パウエル・FRB議長 | 「恩恵が広く共有されるような力強い労働市場からは、なお非常に遠い状態にある」、「最大限の雇用を達成し、それを維持するには、金融政策による支援以上のものが必要となる」 | -------- |
| 2/7 | バイデン大統領 | 習主席に「電話しない理由はない」、(中国に対するアプローチはトランプ前大統領とは異なるものになるとし)「対立する必要はないが、激しい競争になるだろう」、「彼の中には民主主義という概念はみじんもない」 | -------- |
| 2/7 | イエレン財務長官 | 「労働市場は深い穴に沈んでおり、抜け出すのはまだずっと先だ」、「十分な支援がなければ労働市場は2025年まで回復しない可能性がある」 | -------- |
| 1/28 | クノット・オランダ中銀総裁 | 「ユーロ高に対抗する必要が生じた場合、ECBは預金金利を現在の−0.5%からさらに引き下げる余地ある。もちろんそれは、資産購入、TLTRO、フォワードガイダンスなどの多様な手段によって決定される全体的な金融スタンスと合わせて見なければならない」 | ユーロドル1.21台から1.20台半ばへと下落。 |
| 1/27 | パウエル・FRB議長 | 「大規模な経済支援を縮小する状況からは程遠い」、「しかるべき時に資産購入のテーパリングを開始する時に、誰も不意を突かれたと受け止めることがないよう。金融当局として明瞭なコミュニケーションを心がける」、「出口に焦点を合わせるのは時期尚早だ」 | -------- |
| 1/25 | 習近平・中国国家主席 | 「対立はわれわれを袋小路に陥れる」、「覇権にコミットし続けるのではなく、国際法と国際的なルールにコミットし続けるよう」 | -------- |
| 1/20 | イエレン・次期財務長官 | 中国の悪質な慣行にはあらゆる手段を積極的に使う」、「対中関税は同盟国と協議するまで変更するつもりはない」、「通商上の不公正な優位を得るための人為的な為替操作に対しては、バイデン大統領は反対の意思を明確にしている。この意向を支持しており、承認を受ければ、いかなる為替操作に対しても政権内で協力して反対していく」 | -------- |
| 1/19 | イエレン・次期財務長官 | (承認公聴会で)競争上の優位を得るため弱い通貨を米国が目指すことなく、他国によるそうした試みを求めるべきでない」、「貿易における優位性を得るため人為的に通貨価値を操作する外国によるいかなる、またあらゆる試みに反対すべく、取り組んでいく」 | ドル円は小幅に上昇し、104円台をつける。 |
| 1/14 | パウエル・FRB議長 | 「必要となれば利上げはするが、その時は直ぐ来ない」(2%の物価目標について)、「新たな枠組みの信認のためには2%を一定期間上回る必要がある」、「一時的な物価上昇は、基調としての物価上昇を意味しない」 | -------- |
| 1/11 | クラリダ・副議長 | (長期金利が1%を超えたことについて)「ワクチンや経済成長期待などのプラスの期待を織り込んで金利が上昇しているのであれば、それは懸念すべきでない」 | -------- |
| 1/7 | ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 | 「米金融当局による債券購入プログラムが早ければ年末にも縮小を始める可能性がある」、「余りに早期に開始しようとすれば、市場に混乱を引き起こしかねない。そのため、私はこれに関してかなり慎重だ。景気の修復が実際に見られるようになるまで、変わらない姿勢でいるべきだ」 | -------- |
| 1/4 | シカゴ連銀のエバンス総裁 | 「インフレ率が2.5%を大幅に超えて上昇することは懸念していない。3%でさえ恐れていない」、「インフレ率が3%に向っているのを見れば、われわれは間違いなく政策対応をどう調整するかについて話しているだろうが、同時に、最大限の雇用を達成しインフレ率を適正化させることにも間違いなく焦点をあてているだろ」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



