今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「米長期金利1.61%台に急上昇。株価は急落」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • 米金利上昇を背景にドル円は続伸。一時は106円40銭まで上昇し、約5カ月ぶりのドル高を示現。
  • ユーロドルでは「ドル安・ユーロ高」に。1.2243までユーロが買い戻され、ユーロ円は130円に迫る。
  • 株式市場では、長期金利の上昇が続いていることを嫌気した売りが先行し、株価はほぼ全面安の展開。ダウは559ドル下げ、ナスダックも478ポイント安と、大きく下落。
  • 債券は続落し、長期金利の上昇が止まらない。長期金利は一時1.61%まで急騰。
  • 金は続落し、原油は続伸。
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新規失業保険申請件数 → 73万件
10−12月GDP(改定値) → 4.1%
1月耐久財受注 → 3.4%
1月中古住宅販売成約件数 → −2.8%
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ドル/円 106.01 〜 106.40
ユーロ/ドル 1.2160 〜 1.2243
ユーロ/円 128.97 〜 129.97
NYダウ −559.85 → 31,402.01ドル
GOLD −22.50 → 1,775.40ドル
WTI +0.30 → 63.53ドル
米10年国債 +0.144 → 1.520%

本日の注目イベント

  • 日 2月東京都区部消費者物価指数
  • 日 1月鉱工業生産
  • 米 1月個人所得
  • 米 1月個人支出
  • 米 1月PCEコアデフレータ
  • 米 2月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
  • 米 2月シカゴ購買部協会景気指数
  • 英 G20財務相・中央銀行総裁会議(ビデオ形式・27日まで)

本日のコメント

NY債券市場では債券売りが止まらず、10年債利回りは一時1.61%近辺まで上昇し、昨年2月以来ほぼ1年ぶりの高水準を記録しています。前日、パウエル議長が議会証言で、「われわれの政策は緩和的だ。失業率が高く、労働市場は最大限の雇用達成から程遠い状況にあるためだ」と説明し、「一部指標で価格上昇が示されている資産があるのは確かだ」としながらも緩和政策の継続を表明し、「金利上昇に歯止めがかかる」との期待もありましたが、金利上昇は止まりません。債券に終始強気だった機関投資家やファンドマネージャーなども、ここに来て運用方針の変更を余儀なくされているとの報道も聞こえてきました。

金利上昇は決して悪いことではなく、景気拡大に伴う、いわゆる「良い金利上昇」であれば企業業績の拡大も見込め、株価にはニュートラルです。ただ足元の株価の上昇は、一部の「すごもり特需」の影響で業績が上振れしている例を除けば、根底にある「カネ余りと」、「ゼロ金利政策」が大きく影響していることは論を待ちません。昨日のNY株式市場では、主要3指数が揃って大きく売られ、ダウは559ドル安、ナスダックも3.5%の大幅安と「全面安」の展開でした。金利の急激な上昇に金も売られ、こちらは約1年ぶりの安値を付けています。為替市場では金利高にドル円は106円40銭まで円安が進み、昨年9月以来となる円安水準を付けています。主要通貨を見ると、ドル円では「ドル高・円安」が進んだ一方、ユーロドルは「ドル安・ユーロ高」、豪ドル米ドルでも同じように「米ドル安・豪ドル高」が進むなど、奇妙な動きでした。その結果、円は対ドル以外の通貨に対してはさらに売られ、ユーロ円は130円に迫る水準まで上昇し、豪ドル円も85円に接近して、前者は2018年11月、後者は2018年2月以来となる高水準を記録しています。いずれにしても「円全面安」の展開と言えます。

金利の急上昇に最も影響を受けているのが、「テスラ」など、これまで青天井に買われてきた銘柄のようです。金利上昇のピッチは速すぎると思われます。今後恐らくFRBのメンバーが「火消し」に奔走するものと予想していますが、大規模な経済対策に伴う財政出動を控え、金利上昇は今後大量の国債発行を計画している米国にとっては、金利負担の増加に直結します。仮に2兆ドルの新規発行を例にとれば0.1%の金利上昇は20億ドル(約2100億円)の金利負担増になります。昨年末の米長期金利の水準は0.91%でした。今年に入ってすでに0.7%(70bp)も金利が上昇していることになります。今後も金利上昇が続けば、米財政規律を大きく悪化させることになり、米国債の格下げにもつながりかねません。もっとも、これは日本にも言えることで今後景気が回復した際には、多くの国にとって「財政の正常化」が大きなテーマになる可能性があります。

106円40銭まで上昇したドル円は「週足」の「雲の入り口」にぶつかって上昇を抑えられた形になっています。昨日のコメントでも述べましたが、106円30銭〜106円70銭、さらに言えば、107円手前までに「週足」の抵抗線があり、この一帯は重要な「抵抗帯」と言えます。この水準を抜け切れれば、もう一段の上昇が見込めると考えますが、上記米長期金利の速すぎる上昇には、個人的には疑問です。また、さらに同金利が上昇し、株価が一段と軟調になれば、「リスクオフ」から円が買われる可能性も否定できません。

株式・債券市場に不透明感が強まってきました。ここからは慎重な対応が求められます。今後さらに混乱する可能性があることは、「VIX指数」が示唆しています。一時「20」を切った同指数は再び「30」を超えて来ました。

本日のドル円は106円〜106円70銭程度を予想します。

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菅内閣の広報官である山田氏が受けた接待が余りに高額であったことが話題になっています。「74,203円」という金額でしたが、これが一人当たりの金額とは驚きです。われわれがよく利用する店では、10人の合計でもこの金額では多いくらいですが、余程美味しいものだったのでしょう。官房長官は「和牛ステーキに海鮮料理だった」と説明していましたが、高級レストランが紹介されるTV番組「ゴチになります」でもお目にかかったことはありません。「せめて生きているうちに一度でも・・・」と思うのは、下衆の考えなんでしょうね。

良い週末を・・・・・。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
2/24 パウエル・FRB議長 「われわれの政策は緩和的だ。失業率が高く、労働市場は最大限の雇用達成から程遠い状況にあるためだ」、「一部指標で価格上昇が示されている資産があるのは確かだ」「この状況は必ずしもインフレにつながらない。インフレというのは、(一時的な物価高騰ではなく)、毎年のように繰り返され継続的に物価が上昇するプロセスだからだ」 NYダウは424ドル高と急騰。ドル円は106円台まで上昇。
2/17 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「失業率の高止まりが続く限り、今後2年間は持続的なインフレ率2%の達成を見込んでいない」 --------
2/17 FOMC議事録(1月26、27日分) 「経済がそれらの目標からまだほど遠い状況にあることを踏まえ、一段と顕著な進展が得られるまでにはしばらく時間がかかる可能性が高いと、参加者は判断した」、「経済は委員会が掲げる中長期の目標からなお程遠く、今後の道のりはなお極めて不透明で、パンデミックが引き続き見通しに多大なリスクをもたらしているとの見解で参加者は一致した」 --------
2/16 オーストラリア準備銀行議事要旨 「債券購入プログラムは実施しなかった場合と比べ、金利と豪ドル相場の押し下げにつながった。これを考慮すれば、金融刺激策の巻き戻しを検討するのは時期尚早だろう」 --------
2/10 パウエル・FRB議長 「恩恵が広く共有されるような力強い労働市場からは、なお非常に遠い状態にある」、「最大限の雇用を達成し、それを維持するには、金融政策による支援以上のものが必要となる」 --------
2/7 バイデン大統領 習主席に「電話しない理由はない」、(中国に対するアプローチはトランプ前大統領とは異なるものになるとし)「対立する必要はないが、激しい競争になるだろう」、「彼の中には民主主義という概念はみじんもない」 --------
2/7 イエレン財務長官 「労働市場は深い穴に沈んでおり、抜け出すのはまだずっと先だ」、「十分な支援がなければ労働市場は2025年まで回復しない可能性がある」 --------
1/28 クノット・オランダ中銀総裁 「ユーロ高に対抗する必要が生じた場合、ECBは預金金利を現在の−0.5%からさらに引き下げる余地ある。もちろんそれは、資産購入、TLTRO、フォワードガイダンスなどの多様な手段によって決定される全体的な金融スタンスと合わせて見なければならない」 ユーロドル1.21台から1.20台半ばへと下落。
1/27 パウエル・FRB議長 「大規模な経済支援を縮小する状況からは程遠い」、「しかるべき時に資産購入のテーパリングを開始する時に、誰も不意を突かれたと受け止めることがないよう。金融当局として明瞭なコミュニケーションを心がける」、「出口に焦点を合わせるのは時期尚早だ」 --------
1/25 習近平・中国国家主席 「対立はわれわれを袋小路に陥れる」、「覇権にコミットし続けるのではなく、国際法と国際的なルールにコミットし続けるよう」 --------
1/20 イエレン・次期財務長官 中国の悪質な慣行にはあらゆる手段を積極的に使う」、「対中関税は同盟国と協議するまで変更するつもりはない」、「通商上の不公正な優位を得るための人為的な為替操作に対しては、バイデン大統領は反対の意思を明確にしている。この意向を支持しており、承認を受ければ、いかなる為替操作に対しても政権内で協力して反対していく」 --------
1/19 イエレン・次期財務長官 (承認公聴会で)競争上の優位を得るため弱い通貨を米国が目指すことなく、他国によるそうした試みを求めるべきでない」、「貿易における優位性を得るため人為的に通貨価値を操作する外国によるいかなる、またあらゆる試みに反対すべく、取り組んでいく」 ドル円は小幅に上昇し、104円台をつける。
1/14 パウエル・FRB議長 「必要となれば利上げはするが、その時は直ぐ来ない」(2%の物価目標について)、「新たな枠組みの信認のためには2%を一定期間上回る必要がある」、「一時的な物価上昇は、基調としての物価上昇を意味しない」 --------
1/11 クラリダ・副議長 (長期金利が1%を超えたことについて)「ワクチンや経済成長期待などのプラスの期待を織り込んで金利が上昇しているのであれば、それは懸念すべきでない」 --------
1/7 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 「米金融当局による債券購入プログラムが早ければ年末にも縮小を始める可能性がある」、「余りに早期に開始しようとすれば、市場に混乱を引き起こしかねない。そのため、私はこれに関してかなり慎重だ。景気の修復が実際に見られるようになるまで、変わらない姿勢でいるべきだ」 --------
1/4 シカゴ連銀のエバンス総裁 「インフレ率が2.5%を大幅に超えて上昇することは懸念していない。3%でさえ恐れていない」、「インフレ率が3%に向っているのを見れば、われわれは間違いなく政策対応をどう調整するかについて話しているだろうが、同時に、最大限の雇用を達成しインフレ率を適正化させることにも間違いなく焦点をあてているだろ」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和