今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ドル円7カ月ぶりに107円台に」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は堅調に推移し、米長期金利の上昇が支えとなり107円台を回復。一時は昨年7月23日以来となる107円15銭まで上昇。
  • ユーロドルではドル高がそれほど進まず、1.2043近辺で下げ止まる。
  • 株式市場はハイテク株を中心に大幅続落。長期金利が再び急騰したことでナスダックは361ポイント下落し、1万3000ポイントを割り込む。
  • 債券は大きく売られる。長期金利は再び急騰し、1.5%に迫る。
  • 金は反落し1715ドル台に。原油は反発。
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2月ADP雇用者数 → 11.7万人
2月マークイットサービス業PMI(改定値) → 59.8
2月マークイットコンポジットPMI(改定値) → 59.5
2月ISM非製造業景況指数 → 55.3
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ドル/円 106.81 〜 107.15
ユーロ/ドル 1.2043 〜 1.2080
ユーロ/円 128.74 〜 129.25
NYダウ −121.43 → 31,270.09ドル
GOLD −17.00 → 1,715.80ドル
WTI +1.53 → 61.28ドル
米10年国債 +0.089 → 1.481%

本日の注目イベント

  • 豪 豪1月貿易収支
  • 欧 ユーロ圏1月小売売上高
  • 欧 ユーロ圏1月失業率
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 1月製造業受注
  • 米 パウエル・FRB議長、WSJ主催のバーチャルイベントで講演

本日のコメント

上昇が一服していた米長期金利が再び急上昇し、株価は大きく下げ、金利高を背景にドルが買われ、ドル円は昨年7月23日以来となる107円15銭まで上昇しています。米10年債はこのところ落ち着いた動きを見せ、前日には1.4%を割り込んでいましたが、昨日は再び上昇に転じ一時は、1.494%台まで急伸し、市場に波乱を投げかけています。英国がリセッションからの回復に向け、予想以上の国債発行を明らかにしたことが影響したと伝えられています。米国での今後5年の年間インフレ期待値を示す指標は2008年以降で初めて2.5%を上回りました。世界の主要国は例外なくコロナによる経済的打撃からの脱却を目指し、大規模な財政出動を行っており、金利の上昇圧力が常態化しています。オーストラリアでは今週1日、オーストラリア準備銀行(RBA)が金利の上昇を抑えるために、通常の倍の規模となる40億豪ドル(約3300億円)の5−7年債を購入することを発表する動きなども観測され、世界的に金利上昇が続いています。

12地区連銀が集めた情報を基に作成される「ベージュブック」が公開されました。それによると、「新型コロナウイルス感染症ワクチンが一段と普及する中、大半の企業は向こう6−12カ月について楽観的な見方を維持している」と記されています。また雇用に関しても、「大半の地区は、今回の調査機関中に雇用水準がゆっくりとではあるが上昇した」と ベージュブックは指摘しており、「回答企業は総じて、雇用の水準が短期的に緩慢なペースで改善するとみている」としています。(ブルームバーグ)

下院を通過し、上院での審議を待つバイデン大統領の掲げる1.9兆ドル(約203兆円)規模の経済対策案ですが、上院は早ければ3日夜にも審議を開始する見込みです。バイデン大統領は同案に盛り込まれた個人向け直接給付について、対象を絞るよう求めている民主党穏健派の要求を受け入れています。ブルームバーグが関係者の話として伝えるところによると、草案では10万ドルが上限だった年間所得を8万ドルとし、これまで20万ドルだったカップルの所得上限も、16万ドルに引き下げる方針のようです。これにより、年間所得8万ドル超の個人と、16万ドル超のカップルは直接給付の対象外になると見られます。修正された同案が上院で可決されれば、再び下院に送付され、再審議のうえ採決されると思われますが、今月中旬には追加の経済対策案が決まるのではないかと思われます。

市場の関心はやはり米長期金利の動向です。米長期金利の動きが台風の目となって為替や株、さらには金(きん)や原油の動きにも影響を与える展開です。金利高に支えられ堅調に推移しているドル円ですが、今回のドルの反発は、必ずしも金利高だけによるものではありません。筆者は早くから「テクニカルではドル高を示唆している」と指摘してきました。まだ長期金利が1.2%に届かなかった頃です。その後の長期金利の急上昇で、思いのほかドルの動きは堅調となり107円台まで押し目もなく上昇したことは、想定外ではありました。

フィボナッチ・リトレースメントをもう一度確認しておくと、前回2月に触れた時は、ドルの高値112円23銭(2020年2月17日)から、ドルの安値102円60銭(今年1月6日)の下落幅である9円63銭を基準とし計算しました。38.2%戻しが106円28銭となり、50%戻しは107円41銭となります。ただこの場合、ドルの高値をどこに置くかによって当然値は異なってきます。上記昨年2月17日の後に記録した3月24日の111円72銭を基準に計算してみると、50%戻しは107円16銭と導き出され、昨日のNY市場でのドル高値とほぼ合致しています。もっとも、これは偶然という面もありますが、107円台前半から半ばがフィボナッチ数列でみた「レジスタンス・ゾーン」であることは確かなようです。さらにこの辺りには、「120週移動平均線」なども位置していますので、非常に需要な戻りのポイントと考えます。

本日のドル円は106円70銭〜107円40銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
3/3 ベージュブック 「新型コロナウイルス感染症ワクチンが一段と普及する中、大半の企業は向こう6−12カ月について楽観的な見方を維持している」、「大半の地区は、今回の調査機関中に雇用水準がゆっくりとではあるが上昇した」 --------
3/2 ブレイナード・FRB理事 「ワクチン接種の増加に加え、実行済みおよび予想される財政投入、緩和的な金融政策は2021年見通しが力強いことを示している」、「いかなる予想も依然かなりの不確実性が伴う」 --------
3/1 バーキン・リッチモンド連銀総裁 (債券利回りの上昇について)「景気見通しが強まっていることを考えれば、驚きはない」、「景気には地平線上の夜明けが見える」 --------
2/24 パウエル・FRB議長 「われわれの政策は緩和的だ。失業率が高く、労働市場は最大限の雇用達成から程遠い状況にあるためだ」、「一部指標で価格上昇が示されている資産があるのは確かだ」「この状況は必ずしもインフレにつながらない。インフレというのは、(一時的な物価高騰ではなく)、毎年のように繰り返され継続的に物価が上昇するプロセスだからだ」 NYダウは424ドル高と急騰。ドル円は106円台まで上昇。
2/17 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「失業率の高止まりが続く限り、今後2年間は持続的なインフレ率2%の達成を見込んでいない」 --------
2/17 FOMC議事録(1月26、27日分) 「経済がそれらの目標からまだほど遠い状況にあることを踏まえ、一段と顕著な進展が得られるまでにはしばらく時間がかかる可能性が高いと、参加者は判断した」、「経済は委員会が掲げる中長期の目標からなお程遠く、今後の道のりはなお極めて不透明で、パンデミックが引き続き見通しに多大なリスクをもたらしているとの見解で参加者は一致した」 --------
2/16 オーストラリア準備銀行議事要旨 「債券購入プログラムは実施しなかった場合と比べ、金利と豪ドル相場の押し下げにつながった。これを考慮すれば、金融刺激策の巻き戻しを検討するのは時期尚早だろう」 --------
2/10 パウエル・FRB議長 「恩恵が広く共有されるような力強い労働市場からは、なお非常に遠い状態にある」、「最大限の雇用を達成し、それを維持するには、金融政策による支援以上のものが必要となる」 --------
2/7 バイデン大統領 習主席に「電話しない理由はない」、(中国に対するアプローチはトランプ前大統領とは異なるものになるとし)「対立する必要はないが、激しい競争になるだろう」、「彼の中には民主主義という概念はみじんもない」 --------
2/7 イエレン財務長官 「労働市場は深い穴に沈んでおり、抜け出すのはまだずっと先だ」、「十分な支援がなければ労働市場は2025年まで回復しない可能性がある」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和