今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ドル円さらに上昇し、109円に迫る」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は続伸し109円に迫る。米長期金利の上昇を支えに108円94銭までドルが買われる。
  • ドル高の流れがユーロドルを押し下げ、1.1844近辺までユーロが売られる。
  • 株式市場は値幅を伴いまちまちの展開。経済対策案が上院で通過したことを受け、ダウは306ドル高だったものの、長期金利の上昇からナスダックは大幅安に。
  • 債券は売られ、長期金利は再び1.61%台に上昇。その後は買戻され、1.59%台で取引を終える。
  • 金はドル高を受け続落し、1678ドル台に。
  • 原油はサウジの石油拠点が攻撃を受けたとの報に、一時68ドル台に迫る場面もあったが、結局前日比マイナスで引ける。
ドル/円 108.57 〜 108.94
ユーロ/ドル 1.1844 〜 1.1887
ユーロ/円 128.78 〜 129.29
NYダウ +306.14 → 31,802.44ドル
GOLD −20.50 → 1,678.00ドル
WTI −1.04 → 65.05ドル
米10年国債 +0.025 → 1.591%

本日の注目イベント

  • 豪 豪2月NAB企業景況感指数
  • 日 10−12月GDP(改定値)
  • 独 独1月貿易収支
  • 独 独1経常収支
  • 欧 ユーロ圏10−12月期GDP(確定値)
  • 欧 OECD経済見通し

本日のコメント

米上院で1.9兆ドル(約206兆円)の経済対策案が通過したことを受け、債券には売り圧力がかかり、長期金利は再び1.61%台に乗せる場面もありました。金利高を背景にドル円は堅調に推移し、109円手前までドルが買われ、ユーロドルでも1.18台半ばを割り込む水準までドル高が進んでいます。株式市場では金融株などの景気敏感株が大きく買われ、ダウは取引時間内には最高値を更新する場面もありました。一方ナスダックはハイテク株の売りが止まらず、ナスダック指数は310ポイントの大幅安となり、先月12日に記録した史上最高値からはすでに10.5%下げています。通常、高値から10%以上下げると「調整局面入りした」と見られることが多く、テスラやアマゾン、アップルなど、天井知らずの上昇を見せた銘柄が大きく売られています。

イエレン財務長官は8日、CNBCとのインタビューで、バイデン大統領が推進する1.9兆ドルの経済対策は「規模があまりに大きくインフレを招く」といった懸念を一蹴しました。イエレン長官は、経済の回復ペースが既に勢いを強めつつあるにもかかわらず、大規模な経済対策を実施することで消費者物価の上昇圧力が急速に高まる懸念があるとの質問に対して、「そうした状況が起きるとは思わない」と述べ、新型コロナウイルスのパンデミック前のインフレは「高すぎるどころか、むしろ低すぎだ」と指摘しています。またイエレン氏は、追加の経済対策によって「米国は来年完全雇用に復帰するはずだ」とも述べています。(ブルームバーグ)大規模な経済対策や7日に発表された中国の輸出急増を示すデータ、さらにはコロナワクチン接種の進捗から、景気が徐々に回復に向かうことは論を待ちません。消費の伸びがインフレ率の上昇につながるとの観測から長期債には売り圧力がかかり、債券市場では連日大きな変動が起きています。景気回復は企業業績を押し上げることになり、株価の上昇が見込めますが、一方で金利の上昇は株式市場にとってはマイナス要因になります。また、金利のつかない金(きん)が売られ、金利上昇から利ザヤの拡大が見込める銀行株などには買いが集まっています。ブルームバーグはこの足元の状況を「もろ刃の剣」と評しています。

米疾病対策センター(CDC)はワクチン接種を完了した人が安全に出来る行動についてガイダンスを示しました。CDCの勧告によれば、ワクチン接種を完了した人同士で私的な環境で会うことはできるが、旅行は勧められないほか、公の場ではマスク着用を推奨するなど、複数の制約を残しています。また、変異株などのリスクは残ると指摘しています。英国では人口の3分の1以上が、コロナワクチンの一回目の接種を完了し、感染症による死者数は減少を続けています。ジョンソン首相は8日の記者会見で、イングランドでは同日から学校が再開され、ロックダウンの制限緩和で「最初の大きな一歩を踏み出した」と述べています。

ドル円は緩やかに上昇し、NYでは109円手前までドルが買われています。ドル円は過熱感もなく、連日水準を切り上げています。110円にもあと1円ほどに迫っており、長期金利の動き次第では110円テストもあるかもしれません。ただ繰り返しになりますが、慎重さが求められる水準に入っていると言えると思います。何がきっかけで長期金利の上昇が止まるのか、模索中です。

本日のドル円は108円50銭〜109円30銭程度を予想しています。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
3/4 クノット・オランダ中銀総裁 (ワクチン接種により)「活動制限が解除されるであろう下期については楽観的になる理由があり、市場はそうした楽観を織り込みつつあるということだ」 --------
3/4 パウエル・FRB議長 われわれは広範囲にわたる金融環境を注視している。目標からまだ遠いところにいると考えている」、「われわれも目標達成を脅かすような、市場の無秩序な状況や金融環境の持続的なタイト化が見られれば懸念するだろう」、2%を大きく超えるインフレ期待を生むほどの水準にとどまることは確実にない」 株と債券は大きく売られ、長期金利は1.56%台に急騰。ドル円は107円台前半から107円98銭までドル高に。
3/3 ベージュブック 「新型コロナウイルス感染症ワクチンが一段と普及する中、大半の企業は向こう6−12カ月について楽観的な見方を維持している」、「大半の地区は、今回の調査機関中に雇用水準がゆっくりとではあるが上昇した」 --------
3/2 ブレイナード・FRB理事 「ワクチン接種の増加に加え、実行済みおよび予想される財政投入、緩和的な金融政策は2021年見通しが力強いことを示している」、「いかなる予想も依然かなりの不確実性が伴う」 --------
3/1 バーキン・リッチモンド連銀総裁 (債券利回りの上昇について)「景気見通しが強まっていることを考えれば、驚きはない」、「景気には地平線上の夜明けが見える」 --------
2/24 パウエル・FRB議長 「われわれの政策は緩和的だ。失業率が高く、労働市場は最大限の雇用達成から程遠い状況にあるためだ」、「一部指標で価格上昇が示されている資産があるのは確かだ」「この状況は必ずしもインフレにつながらない。インフレというのは、(一時的な物価高騰ではなく)、毎年のように繰り返され継続的に物価が上昇するプロセスだからだ」 NYダウは424ドル高と急騰。ドル円は106円台まで上昇。
2/17 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「失業率の高止まりが続く限り、今後2年間は持続的なインフレ率2%の達成を見込んでいない」 --------
2/17 FOMC議事録(1月26、27日分) 「経済がそれらの目標からまだほど遠い状況にあることを踏まえ、一段と顕著な進展が得られるまでにはしばらく時間がかかる可能性が高いと、参加者は判断した」、「経済は委員会が掲げる中長期の目標からなお程遠く、今後の道のりはなお極めて不透明で、パンデミックが引き続き見通しに多大なリスクをもたらしているとの見解で参加者は一致した」 --------
2/16 オーストラリア準備銀行議事要旨 「債券購入プログラムは実施しなかった場合と比べ、金利と豪ドル相場の押し下げにつながった。これを考慮すれば、金融刺激策の巻き戻しを検討するのは時期尚早だろう」 --------
2/10 パウエル・FRB議長 「恩恵が広く共有されるような力強い労働市場からは、なお非常に遠い状態にある」、「最大限の雇用を達成し、それを維持するには、金融政策による支援以上のものが必要となる」 --------
2/7 バイデン大統領 習主席に「電話しない理由はない」、(中国に対するアプローチはトランプ前大統領とは異なるものになるとし)「対立する必要はないが、激しい競争になるだろう」、「彼の中には民主主義という概念はみじんもない」 --------
2/7 イエレン財務長官 「労働市場は深い穴に沈んでおり、抜け出すのはまだずっと先だ」、「十分な支援がなければ労働市場は2025年まで回復しない可能性がある」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和