「ドル円109円台前半から反落」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は上昇が一服。東京時間に109円23銭前後までドル高が進んだものの、NYでは長期金利の低下もあり108円42銭までドルが反落。
- ユーロドルでもユーロが買い戻され、1.19台を回復。
- 株式市場はナスダックを中心に大きく反発。米長期金利が下がったことでリスク選好が強まり、テスラなどハイテク株が買われた。ダウは30ドル高。ナスダックは一時4%を超える上昇。
- 債券相場は堅調に推移。長期金利は1.52%台へと低下。
- 金は5日ぶりに反発し、原油は続落。
| ドル/円 | 108.42 〜 108.97 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1882 〜 1.1909 |
| ユーロ/円 | 128.93 〜 129.54 |
| NYダウ | +30.30 → 31,832.74ドル |
| GOLD | +38.90 → 1,716.90ドル |
| WTI | −1.04 → 64.01ドル |
| 米10年国債 | −0.064 → 1.526% |
本日の注目イベント
- 中 中国2月消費者物価指数
- 中 中国2月生産者物価指数
- 米 2月消費者物価指数
- 米 2月財政収支
- 加 カナダ中銀政策金利発表
本日のコメント
ドル円は珍しく昨日の東京時間に直近高値を更新する動きを見せました。朝方9時過ぎには109円台に乗せ、その後も堅調な動きを見せ、109円23銭前後までドルが買われ、昨年6月8日以来のドル高水準を記録しました。昨日もこの欄で指摘しましたが、これは東京時間帯におけるドル需給に変化が起きている証左ではないかと思います。
109円近辺までドル高が進んだことから自動車などの輸出企業には「余裕」が生まれ、慌てて予約を取る必要性が後退しています。為替担当者の多くが、先物予約やオプションを使わずに、「SPOT」(現在の価格)で為替の売買をする方向にシフトしたと見られます。多くの輸出企業の想定レートは(社内レート)105円〜106円程度と見られ、足元の水準であれば十分に「為替益」を享受できる環境に変わってきました。一方、石油などの輸入企業では、予想外にドル高が進んできたため、早めにドルの手当てを行う行動に迫られています。さらに原油価格の上昇も重なり、ドル買い需要が増していると見られます。NY市場でドル高が進んでも、朝方の東京時間ではドルが売られる傾向にありましたが、昨日の動きはまさにこのような状況の変化があったものと推測できます。ただ、ドル円は昨日の海外市場では売られ、108円台半ばまで押し戻されています。NYでは前日再び1.6%台まで上昇した米長期金利が低下したことで、リスク選好が強まり、調整気味のナスダック指数が大きく反発しました。売り込まれていたテスラなどのハイテク株が買い戻され、同指数は取引時間内では4%を大きく超える上昇を見せています。またドルが反落したことで金(きん)も5日ぶりに大幅な反発を見せました。
OECDが2021年の経済見通しを発表しています。世界経済は2021年半ばには、生産が新型コロナウイルスのパンデミック前の水準を上回ると予想しています。米経済は、バイデン政権の追加経済対策をてこに急回復し、世界経済を想定された以上の成長に導くとして21年の成長率が中国の7.8%に近づくとしています。一方ユーロ圏は3.9%にとどまり、日本は2.7%の見通しになっています。やはり大規模な景気対策を講じる米国の成長率は突出し、小出しで後手後手の対策を行っている日本との差は歴然です。この見通しは、ドル円の足元の水準との整合性も説明できそうです。これらを踏まえて、OECDは21年の世界成長率を従来の「4.2%」から「5.6%」へと大きく上方修正しましたが、この見通しはやや楽観的との印象は拭いきれません。新型コロナウイルスへの対応はワクチン接種が進み、感染者の大幅な減少は時間の問題でしょう。ただ「変異種」が勢力を増してきており、この先の不確実性要因として考える必要があろうと思います。この点OECDも、ウイルスの変異がパンデミック終息を妨げ失業や倒産が増える可能性に言及し、「相当のリスクがある」と明記しています。
ドル円は109円台前半を頭に折り返してきました。上昇スピードが速く、特にここ2〜3日間のドル高への移行は当然「調整」を必要とする速さでした。また110円が視野に入ってきたことで、一層その可能性は高まっていたと予想されます。今後ドルが再び上昇するには必要な調整だったとも言えるでしょう。下値のメドとしては、短期的な動きを示す「1時間足」の雲の下限である108円30〜40銭近辺と、「週足」「200週移動平均線」がある108円前後が重要かと思います。
本日のドル円は108円30銭〜109円程度を予想します。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 3/4 | クノット・オランダ中銀総裁 | (ワクチン接種により)「活動制限が解除されるであろう下期については楽観的になる理由があり、市場はそうした楽観を織り込みつつあるということだ」 | -------- |
| 3/4 | パウエル・FRB議長 | われわれは広範囲にわたる金融環境を注視している。目標からまだ遠いところにいると考えている」、「われわれも目標達成を脅かすような、市場の無秩序な状況や金融環境の持続的なタイト化が見られれば懸念するだろう」、2%を大きく超えるインフレ期待を生むほどの水準にとどまることは確実にない」 | 株と債券は大きく売られ、長期金利は1.56%台に急騰。ドル円は107円台前半から107円98銭までドル高に。 |
| 3/3 | ベージュブック | 「新型コロナウイルス感染症ワクチンが一段と普及する中、大半の企業は向こう6−12カ月について楽観的な見方を維持している」、「大半の地区は、今回の調査機関中に雇用水準がゆっくりとではあるが上昇した」 | -------- |
| 3/2 | ブレイナード・FRB理事 | 「ワクチン接種の増加に加え、実行済みおよび予想される財政投入、緩和的な金融政策は2021年見通しが力強いことを示している」、「いかなる予想も依然かなりの不確実性が伴う」 | -------- |
| 3/1 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | (債券利回りの上昇について)「景気見通しが強まっていることを考えれば、驚きはない」、「景気には地平線上の夜明けが見える」 | -------- |
| 2/24 | パウエル・FRB議長 | 「われわれの政策は緩和的だ。失業率が高く、労働市場は最大限の雇用達成から程遠い状況にあるためだ」、「一部指標で価格上昇が示されている資産があるのは確かだ」「この状況は必ずしもインフレにつながらない。インフレというのは、(一時的な物価高騰ではなく)、毎年のように繰り返され継続的に物価が上昇するプロセスだからだ」 | NYダウは424ドル高と急騰。ドル円は106円台まで上昇。 |
| 2/17 | ローゼングレン・ボストン連銀総裁 | 「失業率の高止まりが続く限り、今後2年間は持続的なインフレ率2%の達成を見込んでいない」 | -------- |
| 2/17 | FOMC議事録(1月26、27日分) | 「経済がそれらの目標からまだほど遠い状況にあることを踏まえ、一段と顕著な進展が得られるまでにはしばらく時間がかかる可能性が高いと、参加者は判断した」、「経済は委員会が掲げる中長期の目標からなお程遠く、今後の道のりはなお極めて不透明で、パンデミックが引き続き見通しに多大なリスクをもたらしているとの見解で参加者は一致した」 | -------- |
| 2/16 | オーストラリア準備銀行議事要旨 | 「債券購入プログラムは実施しなかった場合と比べ、金利と豪ドル相場の押し下げにつながった。これを考慮すれば、金融刺激策の巻き戻しを検討するのは時期尚早だろう」 | -------- |
| 2/10 | パウエル・FRB議長 | 「恩恵が広く共有されるような力強い労働市場からは、なお非常に遠い状態にある」、「最大限の雇用を達成し、それを維持するには、金融政策による支援以上のものが必要となる」 | -------- |
| 2/7 | バイデン大統領 | 習主席に「電話しない理由はない」、(中国に対するアプローチはトランプ前大統領とは異なるものになるとし)「対立する必要はないが、激しい競争になるだろう」、「彼の中には民主主義という概念はみじんもない」 | -------- |
| 2/7 | イエレン財務長官 | 「労働市場は深い穴に沈んでおり、抜け出すのはまだずっと先だ」、「十分な支援がなければ労働市場は2025年まで回復しない可能性がある」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



