今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ユーロ円2年4カ月ぶりに130円台に」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は108円台半ばを中心に小動き。金利高からドルが買われたが上値は108円71銭と限定的。ただ円は主要通貨に対して一段と売られ、クロス円は軒並直近高値を示現。
  • ユーロドルは大幅に反発。1.1990までユーロの買戻しが進む。
  • バイデン大統領が追加経対策法案に署名したことが好感され株式市場は大幅高。ダウとS&P500は最高値を更新し、ナスダックも大幅高。
  • 債券は反落。長期金利は1.53%台に上昇。
  • 金は小幅ながら3日続伸。原油は反発し再び66ドル台に。
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新規失業保険申請件数 → 71.2万件
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ドル/円 108.36 〜 108.71
ユーロ/ドル 1.1928 〜 1.1990
ユーロ/円 129.56 〜 130.03
NYダウ +188.57 → 32,485.59ドル
GOLD +0.80 → 1,722.60ドル
WTI +1.58 → 66.02ドル
米10年国債 +0.019 → 1.537%

本日の注目イベント

  • 独 独2月消費者物価指数(改定値)
  • 英 英1月鉱工業生産
  • 英 英1月貿易収支
  • 欧 ユーロ圏1月鉱工業生産
  • 米 2月生産者物価指数
  • 米 3月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
  • 加 カナダ2月就業者数
  • 加 カナダ2月失業率

本日のコメント

ECBは11日の理事会で、債券利回りの上昇を抑制するために「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)」を通じた債券購入を加速させる方針を表明しました。ただ政策委員の大半は現行1兆8500億ユーロ(約240兆円)のPEPPの規模を拡大させる意図はないとし、ECBは現在の規模の据え置きを決めました。ラガルド総裁は、「このような市場金利の上昇を放置すれば経済のあらゆるセクターにとっての調達環境を尚早にタイト化させかねない」と述べ、「これは望ましくない」と語りました。また今後の景気見通しについては、「新型コロナウイルス流行に関する何らかの悪い展開がない限り、現在進行中のワクチン接種と段階的な制限緩和が、2021年中に経済活動がしっかりと回復するとの予想を支えるだろう」と述べました。(ブルームバーグ)ユーロドルはこの決定を受け、1.19台半ばから1.19台前半まで売られましたが、その後反発しています。

NY市場ではドルは円を除く主要通貨に対して下落しました。その結果、ユーロ円は2018年11月以来となる130円に乗せる場面があり、豪ドル円も85円に迫る水準まで円が弱含んでいます。バイデン大統領が12日に署名すると見られていた追加経済対策法案に署名を行ったことが好感され、株式市場では主要3指数が揃って上昇しています。特に、このところ売られていたハイテク株も久しぶりに大きく上昇しています。バイデン政権発足後初となる大規模経済対策の成立により、多くの個人や企業.州や地方政府に援助資金が行き渡ることになり、今年のGDPを1%ほど押し上げる効果があると見られています。法案署名を早めたことで個人への直接給付は、早ければ今週末にも始まる見通しで、バイデン大統領は本日夜に行うテレビ演説で、追加経済対策の恩恵を国民に訴えるものと思われます。

ECBの金融会合が終わり、来週はFOMC(16−17日)と、日銀会合(18−19日)が今後の焦点になります。米長期金利の急騰が引き金となり主要国の金利も上昇傾向を強めており、それがリスク資産の下落につながっています。また今後の中銀による金融政策の見直し議論にも一石を投じています。このような中、自民党の山本幸三金融調査会長は10日ブルームバーグとのインタビューで、「日銀はもっと国債を買えばいい」と述べています。日銀が財政拡大の際に「国債購入を増やすことで、円安、株高が進み、経済の改善につながる」と持論を述べました。山本氏は大蔵省(現財務省)出身で、安倍内閣でも積極的なリフレ派として円安を強力に主張した経緯があります。経済通の論客としても知られ、「アベノミクス」の原案作成にも携わったと言われています。同じような論陣を張ったアベノミクスのブレーンの一人である本田悦朗氏とともに注目を集めた人物です。来週日銀が公表する政策点検に関しては、長期金利の変動許容幅(上下0.2%)の拡大議論も「大した話ではない」としています。

ドル円は先週から上げ足を速め、火曜日の東京時間では109円23銭近辺までドル高が進みましたが、その後は上値が抑えられ、動きも小幅になっています。ただ、下値の方も限られ「一進一退」といった状況です。上述のように、来週には日米で重要な政策会合を控えていることから、動きにくいといった側面もあります。米長期金利がさらに上昇する可能性が残っていることを考えと、現時点でのドル円の上昇傾向は変わっていないと見ています。もっとも 米長期金利が乱高下すれば、それに伴ってドル円が売られることもないとは言えません。日米金融政策会合を終えても108円台を維持しているようなら、再び上昇に向かうのではないかと予想しています。本日のドル円は108円20銭〜108円90銭程度と見ています。

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コロナワクチンの接種が進み、世界のコロナ感染者数は減少傾向が顕著になってきました。世界で最もコロナによる被害が大きい米国では、今年1月には1日の感染者数が30万人に迫る日もありましたが、今や5万人(3月8日時点)を切っています。感染者数は確実に減少してはいますが、「変異種」の感染者増はまた「新たな不確実性」につながる恐れもあります。「文芸春秋オピニオン・2021年の論点」に掲載されている近藤一博(東京慈恵会医科大学ウイルス学講座教授))の投稿を読むと、ウイルスの手ごわさが理解できます。そこには、「人間はいずれ死を迎えますが、ウイルスもそれを知っています。彼らは座して死を待つことはしません。宿主が死ぬ前に別な人間に感染して、そこで自分の遺伝子を残そうとするのです」とあります。他にも多くの知見が披露されていましたが、最後の言葉が印象に残りました。いわく、「最も頭の悪いウイルスでさえ、最も頭のいいウイルス学者より賢い」そうですか・・・ウイルスは侮れません。

良い週末を・・・・・。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
3/11 ラガルド・ECB総裁 「新型コロナウイルス流行に関する何らかの悪い展開がない限り、現在進行中のワクチン接種と段階的な制限緩和が、2021年中に経済活動がしっかりと回復するとの予想を支えるだろう」 --------
3/4 クノット・オランダ中銀総裁 (ワクチン接種により)「活動制限が解除されるであろう下期については楽観的になる理由があり、市場はそうした楽観を織り込みつつあるということだ」 --------
3/4 パウエル・FRB議長 われわれは広範囲にわたる金融環境を注視している。目標からまだ遠いところにいると考えている」、「われわれも目標達成を脅かすような、市場の無秩序な状況や金融環境の持続的なタイト化が見られれば懸念するだろう」、2%を大きく超えるインフレ期待を生むほどの水準にとどまることは確実にない」 株と債券は大きく売られ、長期金利は1.56%台に急騰。ドル円は107円台前半から107円98銭までドル高に。
3/3 ベージュブック 「新型コロナウイルス感染症ワクチンが一段と普及する中、大半の企業は向こう6−12カ月について楽観的な見方を維持している」、「大半の地区は、今回の調査機関中に雇用水準がゆっくりとではあるが上昇した」 --------
3/2 ブレイナード・FRB理事 「ワクチン接種の増加に加え、実行済みおよび予想される財政投入、緩和的な金融政策は2021年見通しが力強いことを示している」、「いかなる予想も依然かなりの不確実性が伴う」 --------
3/1 バーキン・リッチモンド連銀総裁 (債券利回りの上昇について)「景気見通しが強まっていることを考えれば、驚きはない」、「景気には地平線上の夜明けが見える」 --------
2/24 パウエル・FRB議長 「われわれの政策は緩和的だ。失業率が高く、労働市場は最大限の雇用達成から程遠い状況にあるためだ」、「一部指標で価格上昇が示されている資産があるのは確かだ」「この状況は必ずしもインフレにつながらない。インフレというのは、(一時的な物価高騰ではなく)、毎年のように繰り返され継続的に物価が上昇するプロセスだからだ」 NYダウは424ドル高と急騰。ドル円は106円台まで上昇。
2/17 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「失業率の高止まりが続く限り、今後2年間は持続的なインフレ率2%の達成を見込んでいない」 --------
2/17 FOMC議事録(1月26、27日分) 「経済がそれらの目標からまだほど遠い状況にあることを踏まえ、一段と顕著な進展が得られるまでにはしばらく時間がかかる可能性が高いと、参加者は判断した」、「経済は委員会が掲げる中長期の目標からなお程遠く、今後の道のりはなお極めて不透明で、パンデミックが引き続き見通しに多大なリスクをもたらしているとの見解で参加者は一致した」 --------
2/16 オーストラリア準備銀行議事要旨 「債券購入プログラムは実施しなかった場合と比べ、金利と豪ドル相場の押し下げにつながった。これを考慮すれば、金融刺激策の巻き戻しを検討するのは時期尚早だろう」 --------
2/10 パウエル・FRB議長 「恩恵が広く共有されるような力強い労働市場からは、なお非常に遠い状態にある」、「最大限の雇用を達成し、それを維持するには、金融政策による支援以上のものが必要となる」 --------
2/7 バイデン大統領 習主席に「電話しない理由はない」、(中国に対するアプローチはトランプ前大統領とは異なるものになるとし)「対立する必要はないが、激しい競争になるだろう」、「彼の中には民主主義という概念はみじんもない」 --------
2/7 イエレン財務長官 「労働市場は深い穴に沈んでおり、抜け出すのはまだずっと先だ」、「十分な支援がなければ労働市場は2025年まで回復しない可能性がある」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和