「トルコリラ急落」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は109円台から緩やかにドル売りが優勢となり108円78銭まで下落。米金利上昇には反応せず、株価の下落でドルが売られた格好に。
- ユーロドルは1.19を挟みもみ合い。イタリアやフランスなどで変異種による感染が拡大していることを手掛かりに、ややユーロ売りが優勢な展開。
- 株式市場はまちまち。長期金利が1.74%台まで上昇したことでダウは234ドル下落。一方ナスダック指数は99ポイント上昇。
- 債券は続落。FRBが補完的レバレッジ比率(SLR)の緩和措置を予定通り3月末で終了するとしたことで債券が売られる。長期金利は1.74%台まで上昇する場面も。
- 金は続伸し、原油も反発
| ドル/円 | 108.78 〜 109.05 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1874 〜 1.1912 |
| ユーロ/円 | 129.31 〜 129.69 |
| NYダウ | −234.33 → 32,627.97ドル |
| GOLD | +9.20 → 1,741.70ドル |
| WTI | +1.42 → 61.42ドル |
| 米10年国債 | +0.013 → 1.721% |
本日の注目イベント
- 日 2月景気先行指数(CI)(改定値)
- 欧 ユーロ圏1月経常収支
- 米 2月中古住宅販売件数
- 欧 BISイノベーションサミット(25日まで)にパウエルFRB議長、ラガルドECB総裁が参加
- 米 バーキン・リッチモンド連銀総裁、オンライン討論に参加
- 米 デイリー・サンフランシスコ連銀総裁、オンライン討論の参加
本日のコメント
注目されていた米中外交トップによる会談は異例の展開で幕を閉じました。米国のブリンケン国務長官は冒頭で、「新疆ウイグル、香港、台湾。米国へのサイバー攻撃と同盟国への経済的制裁を含む、中国の行動に対する私たちの深い懸念を提議したい」と切り出し、最初から強い姿勢で会談に臨みました。これに対して、中国側の楊共産党政治局員は、米国における黒人への人種差別が長い間続いていることを例に出し、「米国に中国を批判する資格はない」と切り返しました。また「中国には中国の民主主義がある」などと述べ、会談は終始非難の応酬となり、初の外交トップ会談はほとんど実りのない結果に終わっています。中国側は今回の会談がうまくいったら、4月にもバイデン大統領と習近平国家主席との首脳会談の可能性を模索していたようですが、今回の会談ではその糸口さえ掴めなかったことになります。米国がトランプ政権からバイデン政権に替わったこの機会に、中国としては対米関係を修復し、通商問題など、これまで通りの米中関係を取り戻したいとの目論見があったようですが、米国の中国に対する強硬姿勢は政権が替わっても大きな変化はないようです。むしろ米国は「2プラス2」など、中国包囲網の構築を目指しており、中国に対する姿勢を強めている印象もあります。焦点は、いつ米中首脳会談が開かれるのかという点です。
トルコのエルドアン大統領は同国中央銀行のアーバル総裁を突然解任しました。トルコ中銀総裁の解任はここ2年足らずで3回目となります。アーバル総裁は昨年11月に就任したばかりで、同総裁は自国のインフレや通貨安に歯止めをかけるため利上げ姿勢を強め、18日にも2%の利上げを決めたばかりで、通貨リラは上昇していました。直近のインフレ率は15%を超え、アーバル総裁は在任中に合計で8.75%の利上げを行い、ようやく自国通貨安に歯止めがかかった状況の中での解任です。利下げを望むエルドアン大統領は今回も強権を発動し、総裁解任に踏み切ったと見られます。新総裁にはエコノミストのカブジュオール氏が就任し、同氏はエルドアン大統領の意向を汲み、これまでの金融政策の転換を図る可能性があります。発表を受け、トルコリラは週明けのオセアニ市場で大きく下落しています。先週末は15円05銭近辺で取引を終えたリラ円は、早朝には12円70銭台(約15%)まで売られ、昨年11月の水準までリラ安が進んでいます。
109円台までは順調に上昇してきたドル円は、109円を中心にやや膠着状態になっています。これは110円という一つの節目が目前ということに加え、これまでのスピードが速かった分、スピード調整といった面もあります。引き続き米長期金利の動きがドル円の最も重要な変動要因であることに違いはありません。このままもみ合ったあと、やはり110円には届かないという雰囲気が高まるようだと、一旦は下値を試す展開となり、107円程度までのドル安局面もあるかもしれません。そうなると110円台が重いといった印象が強まり、105−110円レンジ内でしばらくは推移するのではないかと考えます。
本日のドル円は108円40銭〜109円10銭程度とみています。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 3/17 | パウエル・FRB議長 | 「金融環境を巡るさまざまな指標を見れば、金融情勢が全般に極めて緩和的である様子を示していることが分かるだろう。そして、それは適切なことだ」、「予測を基に予防的に行動することはしない」、「われわれの目標達成を脅かすような、市場の無秩序な状況や金融環境の持続的なタイト化が見られれば懸念するだろう」 | ドル円は109円台から下落。株価は上昇し、長期金利も1.64%台まで上昇。 |
| 3/17 | FOMC声明文 | 「経済活動と雇用情勢が示す指標はここ最近は上向いたが、パンデミックによる悪影響が最も深刻だったセクターはなお脆弱だ」、「インフレ率は引き続き2%を下回っている」 | -------- |
| 3/14 | イエレン・財務長官 | 「インフレのリスクはあるだろうか。小さなリスクはあるが、制御可能だと私は考えている」(一部の物価は上昇するだろうが)、「それは一時的な動きだ」 | -------- |
| 3/11 | ラガルド・ECB総裁 | 「新型コロナウイルス流行に関する何らかの悪い展開がない限り、現在進行中のワクチン接種と段階的な制限緩和が、2021年中に経済活動がしっかりと回復するとの予想を支えるだろう」 | -------- |
| 3/4 | クノット・オランダ中銀総裁 | (ワクチン接種により)「活動制限が解除されるであろう下期については楽観的になる理由があり、市場はそうした楽観を織り込みつつあるということだ」 | -------- |
| 3/4 | パウエル・FRB議長 | われわれは広範囲にわたる金融環境を注視している。目標からまだ遠いところにいると考えている」、「われわれも目標達成を脅かすような、市場の無秩序な状況や金融環境の持続的なタイト化が見られれば懸念するだろう」、2%を大きく超えるインフレ期待を生むほどの水準にとどまることは確実にない」 | 株と債券は大きく売られ、長期金利は1.56%台に急騰。ドル円は107円台前半から107円98銭までドル高に。 |
| 3/3 | ベージュブック | 「新型コロナウイルス感染症ワクチンが一段と普及する中、大半の企業は向こう6−12カ月について楽観的な見方を維持している」、「大半の地区は、今回の調査機関中に雇用水準がゆっくりとではあるが上昇した」 | -------- |
| 3/2 | ブレイナード・FRB理事 | 「ワクチン接種の増加に加え、実行済みおよび予想される財政投入、緩和的な金融政策は2021年見通しが力強いことを示している」、「いかなる予想も依然かなりの不確実性が伴う」 | -------- |
| 3/1 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | (債券利回りの上昇について)「景気見通しが強まっていることを考えれば、驚きはない」、「景気には地平線上の夜明けが見える」 | -------- |
| 2/24 | パウエル・FRB議長 | 「われわれの政策は緩和的だ。失業率が高く、労働市場は最大限の雇用達成から程遠い状況にあるためだ」、「一部指標で価格上昇が示されている資産があるのは確かだ」「この状況は必ずしもインフレにつながらない。インフレというのは、(一時的な物価高騰ではなく)、毎年のように繰り返され継続的に物価が上昇するプロセスだからだ」 | NYダウは424ドル高と急騰。ドル円は106円台まで上昇。 |
| 2/17 | ローゼングレン・ボストン連銀総裁 | 「失業率の高止まりが続く限り、今後2年間は持続的なインフレ率2%の達成を見込んでいない」 | -------- |
| 2/17 | FOMC議事録(1月26、27日分) | 「経済がそれらの目標からまだほど遠い状況にあることを踏まえ、一段と顕著な進展が得られるまでにはしばらく時間がかかる可能性が高いと、参加者は判断した」、「経済は委員会が掲げる中長期の目標からなお程遠く、今後の道のりはなお極めて不透明で、パンデミックが引き続き見通しに多大なリスクをもたらしているとの見解で参加者は一致した」 | -------- |
| 2/16 | オーストラリア準備銀行議事要旨 | 「債券購入プログラムは実施しなかった場合と比べ、金利と豪ドル相場の押し下げにつながった。これを考慮すれば、金融刺激策の巻き戻しを検討するのは時期尚早だろう」 | -------- |
| 2/10 | パウエル・FRB議長 | 「恩恵が広く共有されるような力強い労働市場からは、なお非常に遠い状態にある」、「最大限の雇用を達成し、それを維持するには、金融政策による支援以上のものが必要となる」 | -------- |
| 2/7 | バイデン大統領 | 習主席に「電話しない理由はない」、(中国に対するアプローチはトランプ前大統領とは異なるものになるとし)「対立する必要はないが、激しい競争になるだろう」、「彼の中には民主主義という概念はみじんもない」 | -------- |
| 2/7 | イエレン財務長官 | 「労働市場は深い穴に沈んでおり、抜け出すのはまだずっと先だ」、「十分な支援がなければ労働市場は2025年まで回復しない可能性がある」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



