今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「米10年債利回り1.7%を割り込む」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は小動き。米金利が低下したことでドル売りが優勢となったが、108円66銭近辺で下げ止まる。一方上値も限定的。
  • ユーロドルも1.19台前半から半ばで推移し、小動き。
  • 株式市場は3指数が揃って上昇。特にナスダックは長期金利が低下したことを受け162ポイントの上昇。
  • 債券は反発。長期金利は1.7%を割り込む水準まで低下。
  • 金は小幅に反落。原油は続伸。
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2月中古住宅販売件数 → 622万戸
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ドル/円 108.66 〜 108.85
ユーロ/ドル 1.1911 〜 1.1947
ユーロ/円 129.57 〜 129.94
NYダウ +103.23 → 32,731.20ドル
GOLD −3.60 → 1,738.10ドル
WTI +0.13 → 61.55ドル
米10年国債 −0.026 → 1.695%

本日の注目イベント

  • 英 英2月失業率
  • 英 ベイリー・BOE総裁講演
  • 米 経常収支(10−12月)
  • 米 2月新築住宅販売件数
  • 米 3月リッチモンド連銀製造景況業指数
  • 米 パウエル・FRB議長とイエレン財務長官、下院銀行委員会で証言(オンライン)
  • 米 ブラード・セントルイス連銀総裁、オンラインイベントで講演
  • 米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、オンライン討論の参加
  • 米 ブレイナード・FRB理事講演
  • 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演

本日のコメント

NY市場では債券が買われ、長期金利が1.7%を割り込み、一時は1.66%台まで低下したことで株式市場には安心感が広がり、主要3指数は揃って上昇しました。昨日の東京株式市場では思いのほか株が売られ、日経平均株価は617円安と大きく下落し、NY市場の動きが注目されていましたが、「連鎖」は起こらずひとまず安心といったところです。ドル円は上値がやや重くなり、108円台半ばまで下げる場面がありましたが、結局昨日とほぼ同水準で戻ってきています。もっとも昨日は109円に乗せる場面が一度もなく、105−110円、あるいは107−110円のレンジが形成されつつあるのかもしれません。

EUは人権侵害の疑いを理由に中国に制裁を科すことを決めました。制裁対象は中国の個人4人と1団体とし、EUへの渡航制限と資産の凍結がその内容です。EUは声明で、「今回の制裁措置は中国・新疆で、ウイグル族らが大規模かつ恣意的に拘束されるなど人権侵害があるため」と説明しています。さらに、「制裁により、人権を擁護し、侵害や虐待に責任のある者に具体的な措置をとるというEUの強い決意を示す」と続けています。(ブルームバーグ)これまでEUは、米国が積極的に中国における人権問題に圧力をかける行動とは距離を置いてきました。ドイツなど、EUは中国経済と密接なつながりがあり、いたずらに中国を刺激したくないといった配慮があったからです。ただ今回は、ブリンケル国務長官が訪欧するタイミングに合わせて急遽米国と協調する姿勢を見せたと言えますが、今後日本も含め、米国ほど対中政策を強めるとも思えません。

一方EUの制裁発表を受け中国は、EUの個人10人と4団体に制裁を科すことを発表し、EUの制裁は「中国の主権と国益を損なう」と反発しています。EUが中国に制裁を科すのは「天安門事件」以来、30年ぶりのこととなりますが、今回の制裁の発動を聞いて、「天安門事件」が発生した直後フランスのミッテラン大統領が会見で、「中国に未来はない」と強く非難した姿が思い起こされました。

FRBのパウエル議長がデジタル通貨についての考えを述べています。議長はBIS主催の行事で、デジタル通貨の創設は金融システムにとって重要な一歩であり、慎重に準備する必要があると述べています。法定通貨のデジタル版「デジタルドル」について、「われわれは技術的な課題、想定され得る負担や利益を理解する上で最先端を行くべきである」としたう上で、「この計画を急ぐ必要はない」と明言しています。

今朝の日経新聞に「円相場、110円まで下落も」という見出しで、米長期金利の先高観を背景に、円は110円まで下落するという見方が強まっているとの記事がありました。ひと月ほど前に「それでも円高が進む」といった内容の記事を読んだ記憶がありますが、経済紙の見通しをも安定させない程、市場の見方も錯綜しているということでしょう。この記事にもあるように、シカゴ先物市場では投機筋のポジションは先月23日から、それまでの「ネット円買い」から「ネット円売り」に変化しており、先週16日時点でのポジションは「ネット円売り」が3万7024枚に急増しています。これは2020年2月28日以来の高水準になります。昨年1年間はほぼ円を買ってドルを売っていた投機筋も、今年2月からはドル買いに転じたということになります。因みにこの時のドル円のレベルは106円台前半から半ばでした。105円を大きく超えてきたことで、さすがにドル買いに舵を切ったということです。約1年ぶりにドルロングに転じたヘッジファンドなど、投機筋のポジション。今度はこれをどこまで維持していくのか、注目していきたいと思います。

本日のドル円は108円40銭〜109円20銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
3/17 パウエル・FRB議長 「金融環境を巡るさまざまな指標を見れば、金融情勢が全般に極めて緩和的である様子を示していることが分かるだろう。そして、それは適切なことだ」、「予測を基に予防的に行動することはしない」、「われわれの目標達成を脅かすような、市場の無秩序な状況や金融環境の持続的なタイト化が見られれば懸念するだろう」 ドル円は109円台から下落。株価は上昇し、長期金利も1.64%台まで上昇。
3/17 FOMC声明文 「経済活動と雇用情勢が示す指標はここ最近は上向いたが、パンデミックによる悪影響が最も深刻だったセクターはなお脆弱だ」、「インフレ率は引き続き2%を下回っている」 --------
3/14 イエレン・財務長官 「インフレのリスクはあるだろうか。小さなリスクはあるが、制御可能だと私は考えている」(一部の物価は上昇するだろうが)、「それは一時的な動きだ」 --------
3/11 ラガルド・ECB総裁 「新型コロナウイルス流行に関する何らかの悪い展開がない限り、現在進行中のワクチン接種と段階的な制限緩和が、2021年中に経済活動がしっかりと回復するとの予想を支えるだろう」 --------
3/4 クノット・オランダ中銀総裁 (ワクチン接種により)「活動制限が解除されるであろう下期については楽観的になる理由があり、市場はそうした楽観を織り込みつつあるということだ」 --------
3/4 パウエル・FRB議長 われわれは広範囲にわたる金融環境を注視している。目標からまだ遠いところにいると考えている」、「われわれも目標達成を脅かすような、市場の無秩序な状況や金融環境の持続的なタイト化が見られれば懸念するだろう」、2%を大きく超えるインフレ期待を生むほどの水準にとどまることは確実にない」 株と債券は大きく売られ、長期金利は1.56%台に急騰。ドル円は107円台前半から107円98銭までドル高に。
3/3 ベージュブック 「新型コロナウイルス感染症ワクチンが一段と普及する中、大半の企業は向こう6−12カ月について楽観的な見方を維持している」、「大半の地区は、今回の調査機関中に雇用水準がゆっくりとではあるが上昇した」 --------
3/2 ブレイナード・FRB理事 「ワクチン接種の増加に加え、実行済みおよび予想される財政投入、緩和的な金融政策は2021年見通しが力強いことを示している」、「いかなる予想も依然かなりの不確実性が伴う」 --------
3/1 バーキン・リッチモンド連銀総裁 (債券利回りの上昇について)「景気見通しが強まっていることを考えれば、驚きはない」、「景気には地平線上の夜明けが見える」 --------
2/24 パウエル・FRB議長 「われわれの政策は緩和的だ。失業率が高く、労働市場は最大限の雇用達成から程遠い状況にあるためだ」、「一部指標で価格上昇が示されている資産があるのは確かだ」「この状況は必ずしもインフレにつながらない。インフレというのは、(一時的な物価高騰ではなく)、毎年のように繰り返され継続的に物価が上昇するプロセスだからだ」 NYダウは424ドル高と急騰。ドル円は106円台まで上昇。
2/17 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「失業率の高止まりが続く限り、今後2年間は持続的なインフレ率2%の達成を見込んでいない」 --------
2/17 FOMC議事録(1月26、27日分) 「経済がそれらの目標からまだほど遠い状況にあることを踏まえ、一段と顕著な進展が得られるまでにはしばらく時間がかかる可能性が高いと、参加者は判断した」、「経済は委員会が掲げる中長期の目標からなお程遠く、今後の道のりはなお極めて不透明で、パンデミックが引き続き見通しに多大なリスクをもたらしているとの見解で参加者は一致した」 --------
2/16 オーストラリア準備銀行議事要旨 「債券購入プログラムは実施しなかった場合と比べ、金利と豪ドル相場の押し下げにつながった。これを考慮すれば、金融刺激策の巻き戻しを検討するのは時期尚早だろう」 --------
2/10 パウエル・FRB議長 「恩恵が広く共有されるような力強い労働市場からは、なお非常に遠い状態にある」、「最大限の雇用を達成し、それを維持するには、金融政策による支援以上のものが必要となる」 --------
2/7 バイデン大統領 習主席に「電話しない理由はない」、(中国に対するアプローチはトランプ前大統領とは異なるものになるとし)「対立する必要はないが、激しい競争になるだろう」、「彼の中には民主主義という概念はみじんもない」 --------
2/7 イエレン財務長官 「労働市場は深い穴に沈んでおり、抜け出すのはまだずっと先だ」、「十分な支援がなければ労働市場は2025年まで回復しない可能性がある」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和