今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「スエズ運河正常化へ。株式市場は不穏な動き」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は東京時間に109円37銭近辺まで売られたが海外市場では持ち直す。米長期金利の上昇から109円84銭まで反発したが110円には届かず。
  • ユーロドルは前日から水準を下げ、1.1761まで下落。
  • 株式市場はまちまち。ダウは連日で最高値を更新するも、ナスダックとS&P500は下落。好材料と悪材料が交錯。
  • 債券相場は続落し、長期金利は1.70%台を回復。
  • 金は反落し、原油は続伸。
ドル/円 109.60 〜 109.84
ユーロ/ドル 1.1761 〜 1.1792
ユーロ/円 129.08 〜 129.33
NYダウ +98.49  → 33,171.37ドル
GOLD −20.10 → 1,714.60ドル
WTI +0.59 → 61.56ドル
米10年国債 +0.032 → 1.708%

本日の注目イベント

  • 日 2月失業率
  • 独 独3月消費者物価指数(速報値)
  • 欧 ユーロ圏3月消費者信頼感(確定値)
  • 欧 ユーロ圏3月景況感指数
  • 米 1月ケース・シラ−住宅価格指数
  • 米 1月FHFA住宅価格指数
  • 米 3月消費者信頼感指数
  • 米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、討論会に参加
  • 米 クオールズ・FRB副議長、オンライン形式の討論会に参加

本日のコメント

米国では3日連続で300万人を超える人がワクチン接種を行い、バイデン大統領は4月19日までに米国の成人90%が接種対象になると新たに発表しました。またファイザーとモデルナが開発したワクチンは、発症だけではなく感染自体を高い割合で防ぐことが明らかになっています。スエズ運河で座礁し、ほぼ1週間にわたって航路をふさいでいたコンテナ船「エバーギブン」が、ようやく離礁しました。スエズ運河庁は通航が正常化すると発表しましたが、その具体的な日時は明らかになっていません。周辺で待機している多数の船舶が全て通航するには1週間ほどかかる可能性もあるようですが、「数日で正常に戻る」との見方もあるようです。

このように、市場への好材料がリスクオンの流れを高めた一方、米株式市場では新たな不穏な動きも出て来ました。米投資会社「アルケゴス・キャピタル・マネジメント」が保有株の下落を受け、関連する200億ドル(約2兆2000億円)のポジションが強制的に清算されたことで、野村ホールディングスやクレディスイスなど大手の金融機関に多額の損害が発生するとして金融市場に激震が走っています。野村はすでに昨日、「2200億円程度の損出が発生する恐れがある」ことを発表し、同社の株価が急落しましたが、今後損出額が膨らむ可能性もあるようです。2007年8月の「パリバ・ショック」のようなことにはならないと見られていますが、「パリバ・ショック」はその後、米大手金融機関がバタバタと潰れた「リーマン・ショック」への口火だったことを考えると、注意が必要かもしれません。

FRBのウォーラー理事は講演で、「大規模な財政赤字と増大しつつある連邦債務を理由に、米金融当局が債務返済を支援するための低金利維持、および連邦政府のファイナンスを支援するための資産購入維持を求める圧力に屈するとの見方が浮上している」と発言。その上で、「私の目下の目標はこの見方を完全に払拭することだ。とにかく間違った見解だ。金融政策がこのような目的のため運営されたことはこれまでにないし、今後もない」と語っています。(ブルームバーグ)FRBは今月16−17日に行われたFOMCで、2023年末までゼロ金利政策を維持することを確認しています。

大した情報ではありませんが、トルコのエルドアン大統領は、今月20日のアーバルトルコ中銀総裁の更迭に続き、昨日は副総裁も更迭しました。この報道を受け、リラ円は13円台半ばから13円12銭近辺まで約1.2%下落しました。詳しい報道は入っていませんが、同副総裁はアーバル前総裁と同様に、高インフレと通貨安に歯止めをかけるため、利上げには積極的だったと見られます。

ドル円は予想通り、昨日の東京時間では上値が重くじり安の展開でした。一時は109円37銭辺りまで売られる場面がありましたが、そこをボトムに海外市場では再び上昇に転じています。ただ、今回も110円には届かず、先週末と同水準である109円84銭近辺で上昇が止まっています。米長期金利が再び1.70%台まで上昇したことがドル円の支援材料になっていますが、上で述べたように「アルケゴス・キャピタル・マネジメント」問題がさらに波紋を広げるようだと、米株式市場が下落し、長期金利が低下することも予想されます。現時点ではその影響は限定的だとされていますが、引き続き米金利の動きには注目です。

本日のドル円は109円40銭〜110円20銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
3/25 パウエル・FRB議長 「われわれの目標に向かってさらに大きく前進すれば、徐々に米国債や住宅ローン担保証券の購入を縮小していくだろう。その後さらに長期的には、利上げを可能にするためのテストを設定している」、「つまり、経済がほぼ完全に回復した時、時間をかけて非常に漸進的かつ透明性をもって、緊急時に導入した緩和策を引き上げていくことになる」 --------
3/23 ブレイナード・FRB理事 「見通しは大幅に改善しているが、雇用はコロナ禍前を1000万人近く下回っており、インフレ率は2%を下回る水準にとどまっていることから、経済はわれわれの目標からなお程遠い」 --------
3/23 イエレン財務長官 「経済対策の成立で、国民は生活基盤が損なわれることなくコロナ禍を乗り越えると私は確認している」、イエレン氏は「景気回復の兆候は見られるものの、われわれがどうゆう苦境から抜け出そうとしているのかを直視すべきだ。米国の雇用はなおコロナ前のピークを1000万人近く下回っている」 --------
3/23 パウエル・FRB議長 「今年は年を通じてインフレ率が上昇すると予想しているが、インフレへの影響は特段に大きくはなく、持続的でもないだろうというのが、最もあり得る展開だとみている」、「この四半世紀、経済には強いディスインフレ圧力が世界的に見受けられる」 --------
3/17 パウエル・FRB議長 「金融環境を巡るさまざまな指標を見れば、金融情勢が全般に極めて緩和的である様子を示していることが分かるだろう。そして、それは適切なことだ」、「予測を基に予防的に行動することはしない」、「われわれの目標達成を脅かすような、市場の無秩序な状況や金融環境の持続的なタイト化が見られれば懸念するだろう」 ドル円は109円台から下落。株価は上昇し、長期金利も1.64%台まで上昇。
3/17 FOMC声明文 「経済活動と雇用情勢が示す指標はここ最近は上向いたが、パンデミックによる悪影響が最も深刻だったセクターはなお脆弱だ」、「インフレ率は引き続き2%を下回っている」 --------
3/14 イエレン・財務長官 「インフレのリスクはあるだろうか。小さなリスクはあるが、制御可能だと私は考えている」(一部の物価は上昇するだろうが)、「それは一時的な動きだ」 --------
3/11 ラガルド・ECB総裁 「新型コロナウイルス流行に関する何らかの悪い展開がない限り、現在進行中のワクチン接種と段階的な制限緩和が、2021年中に経済活動がしっかりと回復するとの予想を支えるだろう」 --------
3/4 クノット・オランダ中銀総裁 (ワクチン接種により)「活動制限が解除されるであろう下期については楽観的になる理由があり、市場はそうした楽観を織り込みつつあるということだ」 --------
3/4 パウエル・FRB議長 われわれは広範囲にわたる金融環境を注視している。目標からまだ遠いところにいると考えている」、「われわれも目標達成を脅かすような、市場の無秩序な状況や金融環境の持続的なタイト化が見られれば懸念するだろう」、2%を大きく超えるインフレ期待を生むほどの水準にとどまることは確実にない」 株と債券は大きく売られ、長期金利は1.56%台に急騰。ドル円は107円台前半から107円98銭までドル高に。
3/3 ベージュブック 「新型コロナウイルス感染症ワクチンが一段と普及する中、大半の企業は向こう6−12カ月について楽観的な見方を維持している」、「大半の地区は、今回の調査機関中に雇用水準がゆっくりとではあるが上昇した」 --------
3/2 ブレイナード・FRB理事 「ワクチン接種の増加に加え、実行済みおよび予想される財政投入、緩和的な金融政策は2021年見通しが力強いことを示している」、「いかなる予想も依然かなりの不確実性が伴う」 --------
3/1 バーキン・リッチモンド連銀総裁 (債券利回りの上昇について)「景気見通しが強まっていることを考えれば、驚きはない」、「景気には地平線上の夜明けが見える」 --------
2/24 パウエル・FRB議長 「われわれの政策は緩和的だ。失業率が高く、労働市場は最大限の雇用達成から程遠い状況にあるためだ」、「一部指標で価格上昇が示されている資産があるのは確かだ」「この状況は必ずしもインフレにつながらない。インフレというのは、(一時的な物価高騰ではなく)、毎年のように繰り返され継続的に物価が上昇するプロセスだからだ」 NYダウは424ドル高と急騰。ドル円は106円台まで上昇。
2/17 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「失業率の高止まりが続く限り、今後2年間は持続的なインフレ率2%の達成を見込んでいない」 --------
2/17 FOMC議事録(1月26、27日分) 「経済がそれらの目標からまだほど遠い状況にあることを踏まえ、一段と顕著な進展が得られるまでにはしばらく時間がかかる可能性が高いと、参加者は判断した」、「経済は委員会が掲げる中長期の目標からなお程遠く、今後の道のりはなお極めて不透明で、パンデミックが引き続き見通しに多大なリスクをもたらしているとの見解で参加者は一致した」 --------
2/16 オーストラリア準備銀行議事要旨 「債券購入プログラムは実施しなかった場合と比べ、金利と豪ドル相場の押し下げにつながった。これを考慮すれば、金融刺激策の巻き戻しを検討するのは時期尚早だろう」 --------
2/10 パウエル・FRB議長 「恩恵が広く共有されるような力強い労働市場からは、なお非常に遠い状態にある」、「最大限の雇用を達成し、それを維持するには、金融政策による支援以上のものが必要となる」 --------
2/7 バイデン大統領 習主席に「電話しない理由はない」、(中国に対するアプローチはトランプ前大統領とは異なるものになるとし)「対立する必要はないが、激しい競争になるだろう」、「彼の中には民主主義という概念はみじんもない」 --------
2/7 イエレン財務長官 「労働市場は深い穴に沈んでおり、抜け出すのはまだずっと先だ」、「十分な支援がなければ労働市場は2025年まで回復しない可能性がある」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和