「ドル円続伸し、111円に迫る」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は続伸。東京時間昼頃、110円97銭までドルが買われたが、NY市場ではその水準を抜けず、110円84銭止まり。
- ユーロドルは底堅い動きを見せ、1.17台前半から半ばで推移。ユーロ円は130円台に乗せる場面も。
- 株式市場はまちまち。バイデン政権のインフラ投資を好感し、ナスダックとS&P500は3日ぶりに反発し、ダウは続落。
- 債券は続落。長期金利は1.74%台に上昇。
- 金は反発し、原油は続落。
3月ADP雇用者数 → 51.7万人
3月シカゴ購買部協会景気指数 → 66.3
2月中古住宅販売成約件数 → −10.6
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| ドル/円 | 110.42 〜 110.84 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1720 〜 1.1760 |
| ユーロ/円 | 129.69 〜 130.04 |
| NYダウ | −85.41 → 32,981.55ドル |
| GOLD | +29.60 → 1,715.60ドル |
| WTI | −1.39 → 59.16ドル |
| 米10年国債 | +0.038 → 1.740% |
本日の注目イベント
- 豪 豪2月貿易収支
- 日 1−3月期月日銀短観
- 中 中国3月財新製造業PMI
- 独 独3月製造業PMI(改定値)
- 欧 ユーロ圏11月総合PMI(改定値)
- 英 英3月製造業PMI(改定値)
- 米 3月ISM製造業景況指数
- 米 新規失業保険申請件数
- 米 3月自動車販売台数
- 米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、オンラインシンポジウムで講演
- 加 カナダ2月住宅建設許可件数
本日のコメント
ドル円の上昇スピードが思った以上に速い印象です。前日110円台に乗せたドル円は昨日の東京時間朝方から堅調に推移し、昼頃には110円97銭まで一気に上昇する場面がありました。1年ぶりの110円台半ばという水準でもあり、こういった場面では東京時間ではドル売り注文が上値を抑える展開がこれまでの動きでしたが、反対にドル買いが強まり、111円近辺までドルを押し上げました。特段材料はなかったので、ストップロスのドル買いが執行されたものと見られます。ただ、その後のNYではドルが底堅い動きを見せたものの111円には届いていません。
バイデン大統領は日本時間の今朝方、ペンシルベニア州ピッツバーグでインフラ投資として、8年間で2兆5000億ドル(約250兆円)規模の計画を発表しました。ピッツバーグはかつて「鉄の街」として繁栄してきましたが、その後米国の鉄産業は日本やインドなどに後塵を拝し、街全体が衰退しました。ただ現在は再生した街として脚光を浴びており、今回の大規模なインフラ投資計画を発表するには相応しい場所と言えます。計画は4本の柱からなり、公共交通機関など運輸に6200億ドル、生活の質向上に関連した施策に6500億ドル、製造業の強化のために5800億ドル、そして高齢者と障害者の介護向上に4000億ドルを振り向けるというもので、幅広い分野にまたがっています。バイデン大統領は演説で、過去の経済成長では米国社会の多くの層が取り残されていたが、「われわれは誰も置き去りにすることはない」と強調し、「誰もが成功すれば、皆がもっとうまくいく」と述べました。また大統領は、「米経済を中流階級から構築するべき時だ」とし、自分の計画は「富みだけではなく、勤労に報いるものだ」と説明しています。ただその背景は、経済的にも急速に力を付けて来ている中国を意識したもので、「中国に対抗する」ことを明確にしています。
一方で大規模な投資の財源として、現行21%の法人税率を28%に引き上げるとともに、世界的に事業展開する企業の利益に税率21%の「ミニマム税」を適用するとしています。それら増税で補えない部分については、国債発行に頼るようです。ただこの案には共和党が拒否をすると見られ、議会での審議が難航することも予想されます。
ラガルドECB総裁はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、足元で上昇傾向を見せている金利について、投資家が債券利回りを押し上げようとすれば、ECBは持てる全ての手段を駆使して対応すると言明しました。総裁は、「投資家は好きなだけわれわれを試すことができる。ECBは現在、例外的な手段があり、必要に応じて使用する」と述べています。金利上昇は、ユーロ圏の景気回復を最優先するECBの政策にマイナスとの認識を示しました。
先月1.9兆ドルの追加経済対策が成立し、すでに実施されていることで、米国のコロナ禍に対する経済対策の規模は累計で約5兆ドル(約553兆円)にも上っています。これは日本の昨年のGDPを上回る規模だと思われます。ワクチン接種の進展でコロナ禍からの経済回復期待も高まっており、多くの研究機関が2021年の米国のGDPは6.5%〜7.5%近辺に上振れると予想しています。ブルームバーグエコノミクスはこれら大規模な経済対策に加え、パンデミックが始まって以降に積み上がった多額の貯蓄の取り崩しや、不動産価格・株式相場の上昇に伴う多大な資産効果といった「3つの要因」から、2021年10−12月GDPは7.7%になると予想しています。インフレ率が上昇し、長期金利も上昇することでドルが買われるといった「好循環」が続く可能性が高いと見られます。ドル円も昨日の上昇で、すでに「113円まで上昇する」といった声も出てきました。その可能性は高いとは思いますが、それでも予想通りに行かないのが相場の常。この先、メインシナリオを妨げるものは何か?じっくりと見ていかなければなりません。
本日は月初めということで、ISM製造業景況指数の発表があります。最新の予想では「61.5」と、2月の「60.8」からさらに改善すると見られています。昨日のADP雇用者数もまずまずの高水準でした。こうなると、「明日の雇用統計でも・・・・」といった見方も強まります。現時点での明日の非農業部門雇用者数の予想は「65万人増」です。
本日のドル円は110円40銭〜111円30銭程度と予想します。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 3/31 | ラガルド・ECB総裁 | 「投資家は好きなだけわれわれを試すことができる。ECBは現在、例外的な手段があり、必要に応じて使用する」 | -------- |
| 3/31 | バイデン・米大統領 | われわれは誰も置き去りにすることはない」、「誰もが成功すれば、皆がもっとうまくいく」、「米経済を中流階級から構築するべき時だ」、(計画は)「富みだけではなく、勤労に報いるものだ」 | 米ナスダック指数が買われ、債券は下落。 |
| 3/30 | クオールズ・FRB副議長 | FOMCはインフレ率が目標値の2%を幾らか上回っても問題ないと考えているとの見方は、非常に確実性の高いFOMCのコミットメントであり、私はこれを強く支持する」、「早まるべきではない」、「マクロ経済や金融政策の動向を過去10年だけでなく、15年や20年分まで見ることによって、優れた結果を導きだせるのではないだろうか」 | -------- |
| 3/25 | パウエル・FRB議長 | 「われわれの目標に向かってさらに大きく前進すれば、徐々に米国債や住宅ローン担保証券の購入を縮小していくだろう。その後さらに長期的には、利上げを可能にするためのテストを設定している」、「つまり、経済がほぼ完全に回復した時、時間をかけて非常に漸進的かつ透明性をもって、緊急時に導入した緩和策を引き上げていくことになる」 | -------- |
| 3/23 | ブレイナード・FRB理事 | 「見通しは大幅に改善しているが、雇用はコロナ禍前を1000万人近く下回っており、インフレ率は2%を下回る水準にとどまっていることから、経済はわれわれの目標からなお程遠い」 | -------- |
| 3/23 | イエレン財務長官 | 「経済対策の成立で、国民は生活基盤が損なわれることなくコロナ禍を乗り越えると私は確認している」、イエレン氏は「景気回復の兆候は見られるものの、われわれがどうゆう苦境から抜け出そうとしているのかを直視すべきだ。米国の雇用はなおコロナ前のピークを1000万人近く下回っている」 | -------- |
| 3/23 | パウエル・FRB議長 | 「今年は年を通じてインフレ率が上昇すると予想しているが、インフレへの影響は特段に大きくはなく、持続的でもないだろうというのが、最もあり得る展開だとみている」、「この四半世紀、経済には強いディスインフレ圧力が世界的に見受けられる」 | -------- |
| 3/17 | パウエル・FRB議長 | 「金融環境を巡るさまざまな指標を見れば、金融情勢が全般に極めて緩和的である様子を示していることが分かるだろう。そして、それは適切なことだ」、「予測を基に予防的に行動することはしない」、「われわれの目標達成を脅かすような、市場の無秩序な状況や金融環境の持続的なタイト化が見られれば懸念するだろう」 | ドル円は109円台から下落。株価は上昇し、長期金利も1.64%台まで上昇。 |
| 3/17 | FOMC声明文 | 「経済活動と雇用情勢が示す指標はここ最近は上向いたが、パンデミックによる悪影響が最も深刻だったセクターはなお脆弱だ」、「インフレ率は引き続き2%を下回っている」 | -------- |
| 3/14 | イエレン・財務長官 | 「インフレのリスクはあるだろうか。小さなリスクはあるが、制御可能だと私は考えている」(一部の物価は上昇するだろうが)、「それは一時的な動きだ」 | -------- |
| 3/11 | ラガルド・ECB総裁 | 「新型コロナウイルス流行に関する何らかの悪い展開がない限り、現在進行中のワクチン接種と段階的な制限緩和が、2021年中に経済活動がしっかりと回復するとの予想を支えるだろう」 | -------- |
| 3/4 | クノット・オランダ中銀総裁 | (ワクチン接種により)「活動制限が解除されるであろう下期については楽観的になる理由があり、市場はそうした楽観を織り込みつつあるということだ」 | -------- |
| 3/4 | パウエル・FRB議長 | われわれは広範囲にわたる金融環境を注視している。目標からまだ遠いところにいると考えている」、「われわれも目標達成を脅かすような、市場の無秩序な状況や金融環境の持続的なタイト化が見られれば懸念するだろう」、2%を大きく超えるインフレ期待を生むほどの水準にとどまることは確実にない」 | 株と債券は大きく売られ、長期金利は1.56%台に急騰。ドル円は107円台前半から107円98銭までドル高に。 |
| 3/3 | ベージュブック | 「新型コロナウイルス感染症ワクチンが一段と普及する中、大半の企業は向こう6−12カ月について楽観的な見方を維持している」、「大半の地区は、今回の調査機関中に雇用水準がゆっくりとではあるが上昇した」 | -------- |
| 3/2 | ブレイナード・FRB理事 | 「ワクチン接種の増加に加え、実行済みおよび予想される財政投入、緩和的な金融政策は2021年見通しが力強いことを示している」、「いかなる予想も依然かなりの不確実性が伴う」 | -------- |
| 3/1 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | (債券利回りの上昇について)「景気見通しが強まっていることを考えれば、驚きはない」、「景気には地平線上の夜明けが見える」 | -------- |
| 2/24 | パウエル・FRB議長 | 「われわれの政策は緩和的だ。失業率が高く、労働市場は最大限の雇用達成から程遠い状況にあるためだ」、「一部指標で価格上昇が示されている資産があるのは確かだ」「この状況は必ずしもインフレにつながらない。インフレというのは、(一時的な物価高騰ではなく)、毎年のように繰り返され継続的に物価が上昇するプロセスだからだ」 | NYダウは424ドル高と急騰。ドル円は106円台まで上昇。 |
| 2/17 | ローゼングレン・ボストン連銀総裁 | 「失業率の高止まりが続く限り、今後2年間は持続的なインフレ率2%の達成を見込んでいない」 | -------- |
| 2/17 | FOMC議事録(1月26、27日分) | 「経済がそれらの目標からまだほど遠い状況にあることを踏まえ、一段と顕著な進展が得られるまでにはしばらく時間がかかる可能性が高いと、参加者は判断した」、「経済は委員会が掲げる中長期の目標からなお程遠く、今後の道のりはなお極めて不透明で、パンデミックが引き続き見通しに多大なリスクをもたらしているとの見解で参加者は一致した」 | -------- |
| 2/16 | オーストラリア準備銀行議事要旨 | 「債券購入プログラムは実施しなかった場合と比べ、金利と豪ドル相場の押し下げにつながった。これを考慮すれば、金融刺激策の巻き戻しを検討するのは時期尚早だろう」 | -------- |
| 2/10 | パウエル・FRB議長 | 「恩恵が広く共有されるような力強い労働市場からは、なお非常に遠い状態にある」、「最大限の雇用を達成し、それを維持するには、金融政策による支援以上のものが必要となる」 | -------- |
| 2/7 | バイデン大統領 | 習主席に「電話しない理由はない」、(中国に対するアプローチはトランプ前大統領とは異なるものになるとし)「対立する必要はないが、激しい競争になるだろう」、「彼の中には民主主義という概念はみじんもない」 | -------- |
| 2/7 | イエレン財務長官 | 「労働市場は深い穴に沈んでおり、抜け出すのはまだずっと先だ」、「十分な支援がなければ労働市場は2025年まで回復しない可能性がある」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



