今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「米3月の雇用者数は91.6万人増」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • 3月の非農業部門雇用者数は市場予想を大幅に上回ったが、すでに織り込み済みとの見方からドル円は小幅に反落。参加者が少なく商いも低調となる中、110円51銭まで売られる。
  • ユーロドルは欧州市場が休場だったこともあり小動き。1.17台半ばで推移し、値幅も20ポイント以下にとどまる。
  • 債券市場は良好な雇用統計を受け反落。長期金利は1.72%台まで上昇。
********************
3月失業率 → 6.0%
3月非農業部門雇用者数 → 91.6万人
3月平均時給(前月比) → −0.1%
3月平均時給(前年比) → 4.2%
3月労働参加率 → 61.5%
********************
ドル/円 110.51 〜 110.75
ユーロ/ドル 1.1752 〜 1.1768
ユーロ/円 129.77 〜 130.31
NYダウ ------ → 33,153.21ドル
GOLD ------ → 1,728.40ドル
WTI ------ → 61.45ドル
米10年国債 +0.052 → 1.722%

本日の注目イベント

  • トルコ トルコ3月消費者物価指数
  • 米   3月ISM非製造業景況指数
  • 米   3月マークイットサービス業PMI(改定値)
  • 米   3月マークイットコンポジットPMI(改定値)
  • 米   2月製造業受注

本日のコメント

「91.6万人の増加」・・・。3月の非農業部門雇用者数は予想通りというか、予想を大きく上回る結果でした。先週末のこのレポートでも指摘したように、ADP雇用者が大きく伸び、ISM製造業景況指数も記録的な高水準となり、さらに失業保険申請件数も減少していたことで、雇用者数は大きく伸びていました。失業率も予想より改善しており、「6.0%」に低下しています。また、これも指摘したことですが、その結果を受けた為替市場ではドルが売られ、110円台半ばまで下落しています。良好な結果がすでに予想されており、市場には織り込み済みだったことで、むしろ材料出尽くしからドルが売られる結果でした。この日はグッドフライデーで、欧州市場は休場。米国でも株式市場や商品市場が休みで、債券市場も短縮取引でした。株式市場が開いていたら、この結果をどのように受け止めていたのか、興味のあるところです。

米国ではコロナワクチンの接種が急速に進み、さらに先週には米ファイザーと独モデルナが開発したワクチンでは、接種後6カ月の有効性も高いことが確認されています。このため、米疾病対策センター(CDC)は、ワクチン接種が済んだ者の国内移動を認めることも発表しています。加えてバイデン政権の大規模の財政出動で、人々の消費者心理は急速に改善しており、これらが経済データを改善させている構図になっています。

バイデン大統領は2日、3月31日に公表したインフラ投資計画について、向こう10年で1900万人の雇用創出につながる見通しを示しました。大統領はホワイトハウスで、「独立した分析は、この計画が成立すれば経済が1900万人の雇用を生むことを示している」と発言し、「良質の雇用、ブルーカラー雇用、報酬の良い雇用だ」と述べています。ただ、このインフラ投資計画案は、今後議会の承認を得る必要があり、すんなり議会を通過するかどうかは不透明です。共和党のブラント上院議員はFOXニュースの番組で、「政権がインフラ投資計画を6150億ドル(約68兆円)ほどに縮小すれば、超党派の支持が望めるかもしれない」(ブルームバーグ)と発言しており、今後議会での承認を得るため、計画の規模を縮小する可能性もあるようです。

ドル円は依然上昇の余地を残しているものの、チャートでは「月足の雲の下限」で一旦上昇が抑えられた形になっています。引き続き111円台乗せをテストする可能性が高いと予想しますが、今後も株価の動向と長期金利の動きがカギになります。上昇傾向にある株価は、このところやや調整気味とも受け取れます。また長期金利も1.75%を超えると、金利水準が魅力的とみた機関投資家からの買いが入り、金利を押し下げる展開が続いており、少なくとも3月初旬のころとは様相を異にしています。何かのきっかけで市場の流れが「逆回転」する可能性も、決して高くはないものの頭の片隅には入れておきたいところです。

本日のドル円は110円20銭〜111円10銭程度を予想します。

佐藤正和の書籍紹介

これだけ! FXチャート分析 三種の神器

これだけ! FXチャート分析 三種の神器
著者:佐藤正和
出版社:クロスメディア・パブリッシング

チャートがしっかり読めるようになるFX入門

チャートがしっかり読めるようになるFX入門
著者:佐藤正和
出版社:翔泳社

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
4/1 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 ( インフラ計画は)「全体的に成長が押し上げられるものの、インフレが高進することはないだろう」、(利上げについては)「急ぐ必要はない。私が目にする必要があるのは、2%のインフレ率が一定期間続き、さらに一定の期間2%を上回ると予想される状況だ。そうなれば、次の景気拡大期にインフレ率が必ず期間平均で2%になると私は確信できる」 --------
3/31 ラガルド・ECB総裁 「投資家は好きなだけわれわれを試すことができる。ECBは現在、例外的な手段があり、必要に応じて使用する」 --------
3/31 バイデン・米大統領 われわれは誰も置き去りにすることはない」、「誰もが成功すれば、皆がもっとうまくいく」、「米経済を中流階級から構築するべき時だ」、(計画は)「富みだけではなく、勤労に報いるものだ」 米ナスダック指数が買われ、債券は下落。
3/30 クオールズ・FRB副議長 FOMCはインフレ率が目標値の2%を幾らか上回っても問題ないと考えているとの見方は、非常に確実性の高いFOMCのコミットメントであり、私はこれを強く支持する」、「早まるべきではない」、「マクロ経済や金融政策の動向を過去10年だけでなく、15年や20年分まで見ることによって、優れた結果を導きだせるのではないだろうか」 --------
3/25 パウエル・FRB議長 「われわれの目標に向かってさらに大きく前進すれば、徐々に米国債や住宅ローン担保証券の購入を縮小していくだろう。その後さらに長期的には、利上げを可能にするためのテストを設定している」、「つまり、経済がほぼ完全に回復した時、時間をかけて非常に漸進的かつ透明性をもって、緊急時に導入した緩和策を引き上げていくことになる」 --------
3/23 ブレイナード・FRB理事 「見通しは大幅に改善しているが、雇用はコロナ禍前を1000万人近く下回っており、インフレ率は2%を下回る水準にとどまっていることから、経済はわれわれの目標からなお程遠い」 --------
3/23 イエレン財務長官 「経済対策の成立で、国民は生活基盤が損なわれることなくコロナ禍を乗り越えると私は確認している」、イエレン氏は「景気回復の兆候は見られるものの、われわれがどうゆう苦境から抜け出そうとしているのかを直視すべきだ。米国の雇用はなおコロナ前のピークを1000万人近く下回っている」 --------
3/23 パウエル・FRB議長 「今年は年を通じてインフレ率が上昇すると予想しているが、インフレへの影響は特段に大きくはなく、持続的でもないだろうというのが、最もあり得る展開だとみている」、「この四半世紀、経済には強いディスインフレ圧力が世界的に見受けられる」 --------
3/17 パウエル・FRB議長 「金融環境を巡るさまざまな指標を見れば、金融情勢が全般に極めて緩和的である様子を示していることが分かるだろう。そして、それは適切なことだ」、「予測を基に予防的に行動することはしない」、「われわれの目標達成を脅かすような、市場の無秩序な状況や金融環境の持続的なタイト化が見られれば懸念するだろう」 ドル円は109円台から下落。株価は上昇し、長期金利も1.64%台まで上昇。
3/17 FOMC声明文 「経済活動と雇用情勢が示す指標はここ最近は上向いたが、パンデミックによる悪影響が最も深刻だったセクターはなお脆弱だ」、「インフレ率は引き続き2%を下回っている」 --------
3/14 イエレン・財務長官 「インフレのリスクはあるだろうか。小さなリスクはあるが、制御可能だと私は考えている」(一部の物価は上昇するだろうが)、「それは一時的な動きだ」 --------
3/11 ラガルド・ECB総裁 「新型コロナウイルス流行に関する何らかの悪い展開がない限り、現在進行中のワクチン接種と段階的な制限緩和が、2021年中に経済活動がしっかりと回復するとの予想を支えるだろう」 --------
3/4 クノット・オランダ中銀総裁 (ワクチン接種により)「活動制限が解除されるであろう下期については楽観的になる理由があり、市場はそうした楽観を織り込みつつあるということだ」 --------
3/4 パウエル・FRB議長 われわれは広範囲にわたる金融環境を注視している。目標からまだ遠いところにいると考えている」、「われわれも目標達成を脅かすような、市場の無秩序な状況や金融環境の持続的なタイト化が見られれば懸念するだろう」、2%を大きく超えるインフレ期待を生むほどの水準にとどまることは確実にない」 株と債券は大きく売られ、長期金利は1.56%台に急騰。ドル円は107円台前半から107円98銭までドル高に。
3/3 ベージュブック 「新型コロナウイルス感染症ワクチンが一段と普及する中、大半の企業は向こう6−12カ月について楽観的な見方を維持している」、「大半の地区は、今回の調査機関中に雇用水準がゆっくりとではあるが上昇した」 --------
3/2 ブレイナード・FRB理事 「ワクチン接種の増加に加え、実行済みおよび予想される財政投入、緩和的な金融政策は2021年見通しが力強いことを示している」、「いかなる予想も依然かなりの不確実性が伴う」 --------
3/1 バーキン・リッチモンド連銀総裁 (債券利回りの上昇について)「景気見通しが強まっていることを考えれば、驚きはない」、「景気には地平線上の夜明けが見える」 --------
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和