今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「米金利低下でドル円109円台半ばまで下落」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • 底堅い動きを見せ、欧州時間には110円台半ばまで上昇したドル円はNY市場で急落。米長期金利の急低下に伴い109円67銭までドル安が進み、この日の安値圏で引ける。
  • ユーロドルは反発。1.1878までユーロ高が進み、約2週間ぶりの水準を回復。
  • 株式市場は反落。バイデン大統領の提案する大規模なインフラ投資計画が議会で修正を迫られる懸念が台頭。ハイテク株を中心に主要3指数は揃って下落。
  • 債券は急上昇。長期金利は1.6%台半ばまで低下。
  • 金と原油は上昇。
ドル/円 109.67 〜 110.34
ユーロ/ドル 1.1805 〜 1.1878
ユーロ/円 129.81 〜 130.43
NYダウ −96.95 → 33,430.24ドル
GOLD +14.20 → 1,743.00ドル
WTI +0.68 → 59.33ドル
米10年国債 −0.044 → 1.656%

本日の注目イベント

  • 日 2月景気先行一致指数(CI)(速報値)
  • 中 中国 3月外貨準備高
  • 独 独3月サービス業PMI(改定値)
  • 欧 ユーロ圏3月サービス業PMI(改定値)
  • 欧 ユーロ圏3月総合PMI(改定値)
  • 米 2月貿易収支
  • 米 FOMC議事録(3月16日−17日分)
  • 米 2月消費者信用残高
  • 米 エバンス・シカゴ連銀総裁、オンラインイベントで講演
  • 米 カプラン・ダラス連銀総裁、パネル討論に参加
  • 米 バーキン・リッチモンド連銀総裁、オンラインイベントで講演
  • 加 カナダ2月貿易収支
  • G20財務相・中央銀行総裁会議(オンライン)

本日のコメント

ドル円は米長期金利の急低下に伴い109円67銭まで売られ、約1週間ぶりとなるドル安水準を付けました。ドル円は昨日の東京時間でも底堅く、欧州市場では110円台半ばまでドルが買い戻される場面もありましたが、主戦場のNYでは米長期金利が1.6%台の半ばまで低下したことで109円67銭までドルが売られています。バイデン大統領が3月31日に発表した2兆2500億ドル(約250兆円)規模のインフラ投資計画を巡り、共和党有力議員が規模を縮小しないと支持しないと表明したことから、同案の議会での成立が不透明になってきました。またこの日は株式市場でハイテク株が売られ、主要株価指数が軟調だったこともあり、債券が買われ、金利が低下したと見られます。

IMFは6日、世界経済見通し(WEO)を公表しました。世界全体の成長率を従来の「5.5%」から、「6.0%」に上方修正しながらも、先進国と発展途上国との格差の拡大や乖離に警鐘を鳴らしています。米国は「5.1%」から「6.4%」大幅に引き上げ、日本は「3.3%」、欧州は「4.4%」とそれぞれ上方修正し、中国は「8.8%」としています。先進国の中では日本と欧州の上方修正幅が小さく、米国の修正幅が突出しています。これについてIMFは、バイデン大統領が先月署名し成立した1兆9000億ドル(約210兆円)規模の追加経済対策が、米国の今年のGDPを、パンデミック前を上回る水準に押し上げ、貿易相手国にもかなりのプラスの波及効果をもたらすとしています。一方で、多くの先進国が22年までにパンデミック前の水準に戻らず、新興国や途上国がコロナ禍前の水準に戻るのは23年までかかると予想しています。IMFのゴピナート、チーフエコノミストは今後の展望について、「各国間および各国内での回復ペースの乖離や、危機に伴う持続的な経済的ダメージの恐れに関して非常に困難な問題を突き付ける」とコメントしています。(ブルームバーグ)

バイデン大統領はワクチン接種の現状について6日、米国の18歳以上の全成人が4月19日までに新型コロナウイルスワクチンの接種対象になると正式に発表しました。また欧州ではワクチン接種の進捗度の違いにより、感染者数に大きな差が出ており、一時は1日で10万人を超えたイギリスでは3000人程度まで急速に減少しています。一方ワクチン接種の遅れているフランスでは、感染者数の爆発的な増加に対応し今週から厳しいロックダウンに踏み切っています。ただ大半のEU加盟国は6月末までに、人口の過半数に接種するのに十分なワクチンを確保する見込みだと、欧州医薬品庁(EMA)は発表しています。

長期金利の上昇に伴って111円手前まで買われたドル円でしたが、ここにきてやや軟調な動きに変わっています。ドル円のドライバーである米長期金利が、1.75%前後まで上昇すると押し戻される展開となっており、この水準が「壁」になりつつあります。多くの債券専門家が「米長期金利は2%まで上昇する」と予想し始めましたが、その予想に反して足踏みすることは良く見られることです。ただ、上述のIMFの予想にもあるように、コロナワクチンの接種が急速に進み、さらに世界で類を見ない大規模な経済対策を打ち出した米国の優位性は意識せざるを得ません。余程突発的なことがない限りリスクオンの流れは続き、ドル高基調は変わらないと考えます。ドルの押し目を拾うスタンスが有効かと考えます。

本日のドル円は109円40銭〜110円30銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
4/5 イエレン・財務長官 「米国第一が、米国単独ということであっては決してならない」、「世界におけるリーダーシップと関与の欠如は、米国の機関と経済を脆弱させる」、(トランプ政権は)「米国を自ら孤立させ、米国が築いた国際秩序から後退させた」 --------
4/1 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 ( インフラ計画は)「全体的に成長が押し上げられるものの、インフレが高進することはないだろう」、(利上げについては)「急ぐ必要はない。私が目にする必要があるのは、2%のインフレ率が一定期間続き、さらに一定の期間2%を上回ると予想される状況だ。そうなれば、次の景気拡大期にインフレ率が必ず期間平均で2%になると私は確信できる」 --------
3/31 ラガルド・ECB総裁 「投資家は好きなだけわれわれを試すことができる。ECBは現在、例外的な手段があり、必要に応じて使用する」 --------
3/31 バイデン・米大統領 われわれは誰も置き去りにすることはない」、「誰もが成功すれば、皆がもっとうまくいく」、「米経済を中流階級から構築するべき時だ」、(計画は)「富みだけではなく、勤労に報いるものだ」 米ナスダック指数が買われ、債券は下落。
3/30 クオールズ・FRB副議長 FOMCはインフレ率が目標値の2%を幾らか上回っても問題ないと考えているとの見方は、非常に確実性の高いFOMCのコミットメントであり、私はこれを強く支持する」、「早まるべきではない」、「マクロ経済や金融政策の動向を過去10年だけでなく、15年や20年分まで見ることによって、優れた結果を導きだせるのではないだろうか」 --------
3/25 パウエル・FRB議長 「われわれの目標に向かってさらに大きく前進すれば、徐々に米国債や住宅ローン担保証券の購入を縮小していくだろう。その後さらに長期的には、利上げを可能にするためのテストを設定している」、「つまり、経済がほぼ完全に回復した時、時間をかけて非常に漸進的かつ透明性をもって、緊急時に導入した緩和策を引き上げていくことになる」 --------
3/23 ブレイナード・FRB理事 「見通しは大幅に改善しているが、雇用はコロナ禍前を1000万人近く下回っており、インフレ率は2%を下回る水準にとどまっていることから、経済はわれわれの目標からなお程遠い」 --------
3/23 イエレン財務長官 「経済対策の成立で、国民は生活基盤が損なわれることなくコロナ禍を乗り越えると私は確認している」、イエレン氏は「景気回復の兆候は見られるものの、われわれがどうゆう苦境から抜け出そうとしているのかを直視すべきだ。米国の雇用はなおコロナ前のピークを1000万人近く下回っている」 --------
3/23 パウエル・FRB議長 「今年は年を通じてインフレ率が上昇すると予想しているが、インフレへの影響は特段に大きくはなく、持続的でもないだろうというのが、最もあり得る展開だとみている」、「この四半世紀、経済には強いディスインフレ圧力が世界的に見受けられる」 --------
3/17 パウエル・FRB議長 「金融環境を巡るさまざまな指標を見れば、金融情勢が全般に極めて緩和的である様子を示していることが分かるだろう。そして、それは適切なことだ」、「予測を基に予防的に行動することはしない」、「われわれの目標達成を脅かすような、市場の無秩序な状況や金融環境の持続的なタイト化が見られれば懸念するだろう」 ドル円は109円台から下落。株価は上昇し、長期金利も1.64%台まで上昇。
3/17 FOMC声明文 「経済活動と雇用情勢が示す指標はここ最近は上向いたが、パンデミックによる悪影響が最も深刻だったセクターはなお脆弱だ」、「インフレ率は引き続き2%を下回っている」 --------
3/14 イエレン・財務長官 「インフレのリスクはあるだろうか。小さなリスクはあるが、制御可能だと私は考えている」(一部の物価は上昇するだろうが)、「それは一時的な動きだ」 --------
3/11 ラガルド・ECB総裁 「新型コロナウイルス流行に関する何らかの悪い展開がない限り、現在進行中のワクチン接種と段階的な制限緩和が、2021年中に経済活動がしっかりと回復するとの予想を支えるだろう」 --------
3/4 クノット・オランダ中銀総裁 (ワクチン接種により)「活動制限が解除されるであろう下期については楽観的になる理由があり、市場はそうした楽観を織り込みつつあるということだ」 --------
3/4 パウエル・FRB議長 われわれは広範囲にわたる金融環境を注視している。目標からまだ遠いところにいると考えている」、「われわれも目標達成を脅かすような、市場の無秩序な状況や金融環境の持続的なタイト化が見られれば懸念するだろう」、2%を大きく超えるインフレ期待を生むほどの水準にとどまることは確実にない」 株と債券は大きく売られ、長期金利は1.56%台に急騰。ドル円は107円台前半から107円98銭までドル高に。
3/3 ベージュブック 「新型コロナウイルス感染症ワクチンが一段と普及する中、大半の企業は向こう6−12カ月について楽観的な見方を維持している」、「大半の地区は、今回の調査機関中に雇用水準がゆっくりとではあるが上昇した」 --------
3/2 ブレイナード・FRB理事 「ワクチン接種の増加に加え、実行済みおよび予想される財政投入、緩和的な金融政策は2021年見通しが力強いことを示している」、「いかなる予想も依然かなりの不確実性が伴う」 --------
3/1 バーキン・リッチモンド連銀総裁 (債券利回りの上昇について)「景気見通しが強まっていることを考えれば、驚きはない」、「景気には地平線上の夜明けが見える」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和