「WTI、2年8カ月ぶりの高値に」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は上値の重い展開が続き、NYでは109円35銭まで下落。ほぼ前日の安値に並ぶ。
- ユーロドルは小幅に上昇したものの、依然として1.22台半ばが壁となり、抜けるかどうかが焦点に。
- 株式市場はまちまちの展開。朝方は買い先行で始まったが、経済指標の発表を境に下落基調に。ダウは45ドル高。他の指標はマイナス圏で引ける。
- 債券は反落。長期金利は1.60%台へと上昇。
- 金は小幅に下げる。原油は続伸し、一時は68.87ドルを付け、2018年10月以来の高値を記録。
5月ISM製造業景況指数 → 61.2
5月マークイット製造業PMI(改定値) → 62.1
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| ドル/円 | 109.35 〜 109.70 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.2212 〜 1.2254 |
| ユーロ/円 | 133.67 〜 134.12 |
| NYダウ | +45.86 → 34,575.31ドル |
| GOLD | −0.30 → 1,905.00ドル |
| WTI | +1.40 → 67.72ドル |
| 米10年国債 | +0.012 → 1.606% |
本日の注目イベント
- 豪 豪1−3月期GDP
- 日 5月マネタリーベース
- 欧 ユーロ圏4月生産者物価指数
- 英 英4月消費者信用残高
- 米 ベージュブック(地区連銀経済報告)
- 米 5月自動車販売台数
- 米 ミネアポリス連銀、シカゴ連銀、アトランタ連銀、ダラス連銀各総裁、オンラインイベントに参加
- 米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演
- 加 カナダ4月住宅建設許可件数
本日のコメント
金融市場も商品市場も、経済指標の発表に伴い、米国の金融政策変更時期を探る動きが大きく影響する展開が続いています。
5月のISM製造業景況感指数は「61.2」と、前月を上回り、市場予想をも上回っていました。同指数は「50」を上回ると活動が拡大していると見られますが、「新規受注」が高水準を記録しており、5月は拡大ペースがさらに加速したと見られます。一方「雇用指数」は6カ月ぶりの低水準で、雇用には依然として課題が残る形となっています。ISM製造業調査委員会のフィオレ会長は、「調査対象の企業とそのサプライチェーンは人材確保や労働者保持の困難を背景に、強い需要への対応が引き続き難しい状況だ」と指摘し、政府の失業保険延長給付が失効すれば、労働市場は「需要と供給のバランスがもっと取れてくる」と語っています。(ブルームバーグ)
景気の回復基調が確認されたことで、朝から買い物を集めて上昇していたNY株式市場は、金融政策の正常化が早まるとの観測が強まり上げ幅を縮小。債券も売られ、長期金利が上昇しています。また、景気拡大に伴い、原油の消費量も伸びるとの期待も、原油価格の上昇につながっています。WTI原油価格は一時68ドル87セントまで買われ、2018年10月以来となる高値を付けました。引け値ではやや利食いに押された格好でしたが、これから本格的に始まる旅行シーズンを控え、需要の拡大が見込めることも、投機筋を強気にさせているようです。さらにインフレ率の上昇がインフレに強いとされる金(きん)相場にも影響しており、3月8日には1670ドル台まで売られた金価格は1900ドル台まで上昇しています。ドル円は、昨日は終日上値の重い展開が続き金利高にも反応薄でしたが、ドルに対してユーロが買われたことに引っ張られた印象です。為替市場で最も取引量の多い「ユーロドル」では、明らかに「ドル安・ユーロ高」傾向が続いており、ドル円を取引する場合でも、「ユーロドル」の動きには目配りが欠かせません。「ユーロドル」でユーロ高が続くようなら、ドル円には下落圧力が働くことになるからです。実際、投機筋のポジションを見ると、「ユーロ買い・ドル売り」の枚数が一段と膨らんでいるのが確認できます。
トルコリラが再び急落しました。この通貨は常に「リスクと隣合わせ」で、危険な通貨だと個人的には考えています。きっかけは、エルドアン大統領の発言内容が伝わったことにあります。エルドアン氏は「私は中央銀行総裁ときょう話した。われわれは金利を下げることが不可欠だ」と述べたことが明らかになり、エルドアン氏が再び中銀総裁に利下げを求めています。リラ円はこの報道を受け、12円80銭近辺から12円26銭近辺まで下げ、昨年11月9日以来の安値を付けました。また対ドルでも8.75前後まで売られ、こちらはリラの最安値を更新しています。エルドアン大統領は今年3月に2度目となる中銀総裁を更迭し、自分の息のかかったカブジュオール氏を総裁に据えました。新総裁がエルドアン氏の意のままに利下げを行うのか注目されてきましたが、4月の金融政策会合では「据え置き」を決めています。エルドアン氏は利下げの期日を「7、8月を目標にした」とも伝えられており、同月の会合が一段と注目を集めそうです。
ブレイナードFRB理事は1日、エコノミック・クラブ・オブ・NYで講演を行い、「両面のリスクに注意を払っている」と話したうえで、「長期のインフレ期待が望ましくない形で展開している兆しがあるかどうか、インフレ率に加えインフレ期待の指標を注視する」と語っています。また「私の短期見通しにあるインフレ率の水準は若干高めに移行したが、インフレ率の曲線が経済再開に基調的なトレンドに回帰するという私の予想はほぼ変わっていない」と述べました。(ブルームバーグ)
今週はADP雇用者数と雇用統計が発表されます。今や、FRBが最も注視していると見られる労働市場の動向に市場の注目も集まります。
本日のドル円は109円20銭〜110円程度を予想します。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 6/1 | エルドアン大統領 | 「私は中央銀行総裁ときょう話した。われわれは金利を下げることが不可欠だ」 | トルコリラ急落。対ドルで8.75前後、対円で12円26銭前後まで売られる。 |
| 6/1 | ブレイナード・FRB理事 | 「長期のインフレ期待が望ましくない形で展開している兆しがあるかどうか、インフレ率に加えインフレ期待の指標を注視する」、「私の短期見通しにあるインフレ率の水準は若干高めに移行したが、インフレ率の曲線が経済再開に基調的なトレンドに回帰するという私の予想はほぼ変わっていない」 | -------- |
| 5/31 | クノット・オランダ中銀総裁 | この一時的な物価上昇が二次的な影響や賃金の大幅な上昇圧力につながる可能性を示す兆候を私は現時点では見ていない」、「ユーロ圏の労働市場には依然かなりのスラック(たるみ)がある」 | -------- |
| 5/26 | イエレン・財務長官 | 「最近のインフレは一時的であり、定着するようなものではないというのが現時点での私の判断だ」、「しかしながら、この状態はもう数カ月間は続き、今年末までインフレ率は高止まりするとみている」 | -------- |
| 5/26 | パネッタ・ECB理事 | 「基調的インフレの上昇トレンドに反映され、インフレおよびインフレ期待をECBの目標に一致させるような持続可能なインフレ圧力の高まりのみが、購入の減速を正当化し得る」、「ユーロ圏の見通しは改善しているものの、回復はまだ不完全で経済は依然として金融および財政の支えに頼っている」、「政策による支援が不十分になることのリスクはなお高い」、「現在の環境が驚きではないが、為替レートの持続的で無視できない上昇も続いている。これが持続すれば、インフレ圧力を弱めるだろう」 | ユーロドル→1.22台から1.21台後半に下落。 |
| 5/25 | クラリダ・FRB副議長 | 「今後入ってくるデータ次第になると思う」、「恐らく、今後数回の会合で資産購入ペースの縮小について議論を開始できる状況になるだろう」 | 株価の下げにつながる。 |
| 5/24 | ブレイナード・FRB理事 | 「インフレ動向の非常に重要な部分は長期的なインフレ期待で、こうした期待は極めて安定していた状況が続いている。インフレが上昇するような展開になっても、現状のインフレに深く影響を及ぼすことは想定されないと示唆している」、「今後数カ月に一段と上昇することが予想されるが、こうした経済再開やボトルネックに関連した物価上昇は弱まると私は見込んでいる」、「インフレが当局が想定する以上に上昇した場合でも、インフレ目標に戻るよう緩やかに誘導する手段と経験がある」 | 株式と債券が買われ、金利が低下したことでドル円下落。 |
| 5/19 | FOMC議事録 | 「幾人かの参加者は経済が委員会の目標に向けて急速な進展を続ければ、今後の会合のいずれかに資産購入ベースの調整に関する協議を開始し始めることが適切になるかもしれないと提案した」(供給不足は)「早急に解消されない可能性があり、そうなれば来年以降もこれらの要因の影響で物価に上昇圧力がかかる可能性がある」 | -------- |
| 5/17 | クラリダ・FRB副議長 | 「4月の雇用統計を踏まえると、一段と顕著な進展を遂げていない」、「こうした購入ペースの減速を見込む前に、必ず事前に通知する」 | -------- |
| 5/17 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「雇用者はパンデミック前をなお800万人下回っている。この差を埋めると言う点で顕著な進展を遂げるまで、われわれの政策は極めて強力に緩和的な状態ないし、スタンスを維持する必要がある」、「今後も予断を持たずに注意深く見守っていく。だが今は動くことを検討する時期ではない」 | -------- |
| 5/13 | ウォラー・FRB理事 | 「昨日発表されたCPIの伸びは予想外に大きかったが、インフレに上向きの圧力をかけている要素は一時的なものであり、緩和的な金融政策は景気回復の支援という点で引き続き重要な役割を担っている」、」われわれはインフレ率の一時的なオーバーシュートには過剰に反応しない」 | -------- |
| 5/12 | クラリダ・FRB理事 | 「発表されたCPIには驚いた。必要とあればインフレ率を目標まで抑えるための行動をわれわれはちゅうちょしないだろう」 | -------- |
| 5/11 | ブレイナード・FRB理事 | 「見通しは明るいがリスクは残っており、われわれの目標からは程遠い」、「ガイダンスに盛り込まれた最大限の雇用とインフレの目標達成に今後も辛抱強く集中することが重要になる」、「経済の道筋を巡っては通常より大きな不透明感が存在する」 | -------- |
| 5/10 | デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 | このような雇用統計が発表され、ボラティリティーが生じた際、正しい道筋にはいるが回復の道のりは長いということになる。回復の道のりが長いのであれば、当局が講じてきた緩和策を緩めることについて協議を始める時期ではまだない」 | -------- |
| 5/10 | エバンス・シカゴ連銀総裁 | 「雇用統計が毎月、十分に改善するのを確認する必要があり、その上で協議を開始することになると考える。それにはしばらく時間がかかるだろう」 | 債券は売られ金利は上昇。株価はハイテク株を中心に下落。 |
| 5/7 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 「今回のデータは米金融当局が刺激措置を継続している理由を正当化する」、「この日の雇用統計はわれわれの道のりが長いことを示す一例だ。尚早に勝利宣言してはならない」 | -------- |
| 5/5 | デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 | (国内のインフレ上昇について)「一時的なものであり、また若干の上昇はわれわれにとって良いことだ」 | -------- |
| 5/5 | カプラン・ダラス連銀総裁 | 「経済活動の再開が進む中で物価上昇圧力を注意深く見守っている」、「インフレ率は年末までに2.25%近辺で落ち着く」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



