今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ドル円約2カ月ぶりに110円30銭台に乗せる」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は110円台を回復し、110円32銭まで上昇。景気回復を示す指標が相次ぎ、長期金利が上昇したことを受けドル買いが加速した。
  • ユーロドルは続落。1.2118までユーロ安が進む。
  • 株式市場は揃って反落。長期金利上昇を嫌気し、ダウは23ドル安。バイデン政権が計画している法人税率引き上げが見直されるとの好材料もあったが、金利高に押し切られた。
  • 債券は反落し、長期金利は1.62%台へと上昇。
  • 金は大幅に下げる。原油はほぼ横ばい。
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5月ADP雇用者数 → 97.8万人
新規失業保険申請件数 → 38.5万件
5月ISM非製造業景況指数 →  64.0
5月マークイットサービス業PMI(改定値) → 70.4
5月マークイットコンポジットPMI(改定値) → 68.7
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ドル/円 109.76 〜 110.32
ユーロ/ドル 1.2118 〜 1.2189
ユーロ/円 133.62 〜 133.85
NYダウ −23.34 → 34,577.04ドル
GOLD −36.60 → 1,873.30ドル
WTI −0.02 → 68.81ドル
米10年国債 +0.037 → 1.625%

本日の注目イベント

  • 欧 ユーロ圏4月小売売上高
  • 英 G7財務相会合(LDN)
  • 米 5月雇用統計
  • 米 4月製造業受注
  • 米 FRB議長とECB総裁、日銀総裁など、討論会に参加
  • 加 カナダ5月就業者数
  • 加 カナダ5月失業率

本日のコメント

市場予想を上回る経済指標の発表→金融正常化が早まる→株式と債券が売られる→金利上昇→金も売られる・・・・そしてドルが買われる。予想通りで分かり易い展開でした。本来ならこれに原油高も加わることになりますが、こちらはすでに高値圏にあることと、在庫が増えていたことで相殺されています。

ドル円は110円台に乗せ、4月6日以来となる110円32銭までドル高が進みました。今夜の雇用統計の前哨戦と言われる5月のADP雇用者数が市場予想を大きく超え、97万8000人の増加でした。これは昨年6月以来の伸びで、娯楽、ホスピタリティーの分野での伸びが特に顕著になっています。さらに新規失業保険申請件数も「38.5万件」と、新型コロナウイルスのパンデミック開始後、初めて40万件を下回ってきました。今夜の雇用統計も「67.5万人」と予想されていますが、このままだと、上振れする可能性が高いと見られます。ADP雇用者数は、民間の雇用に関する統計で、基本的には個人が受け取る「給与明細」(Pay roll)の枚数で雇用者の増減を推計しており、公務員はカウントされません。従って、厳密にいえば両指標の相関関係はほぼないと言えます。そのため、今夜発表の雇用統計が「予想を下回る」こともないとは言えませんが、その可能性は低いとみています。

さらにこの日発表された5月のISM非製造業景況指数も「64.0」と、1997年の統計開始以来、過去最高でした。製造業指数に続き、航空や宿泊業、外食など多くのサービス業に需要が戻っています。ワクチン接種が進み新型コロナウイルス関連の制限が緩和されたことで、人々の活動水準が高まっていることを表しています。ISM非製造業景況感調査員会のニエベス委員長は、「事業再開や生産能力の拡大を背景に、活動拡大ペースは非常に力強い」と指摘しています。5月は18業種全てで活動が拡大し、小売りや卸売り、建設、娯楽、レクリエーションなどのセクターの伸びが目立った(ブルームバーグ)と報じられています。米国ではコロナワクチンの接種が大きく進み、足元の接種率が鈍化していると言われていますが、その中には接種を希望しない人も多く含まれており、今後はそういった人たちに如何にして接種を受けさせるかが焦点になっています。やはり、経済活動が急速に拡大し、街ゆく人々の顔にも余裕が感じられる米国の景気回復は、日本よりも2歩も3歩も先を行っているのが実情です。今後金利上昇圧力はさらに増していくと予想されます。

バイデン大統領はインフラ投資計画の財源として法人税率を現行の21%から28%に引き上げることを提案していましたが、複数のメディアがバイデン氏が税率の引き上げには柔軟な姿勢を見せていると報じています。ただ法人税率の引き上げを見送った場合でも、法人税の最低税率15%の導入は計画しているとしています。バイデン大統領はこの日、トランプ前政権下で始まった中国企業への投資禁止措置に修正を加える大統領令に署名しました。ホワイトハウスの発表した資料では、禁止対象として防衛、監視技術の業務を手掛けている中国企業「59社」を特定し、その中にはファーウェイや通信大手3社が含まれているとのことです。これら企業への新規投資は米東部時間8月2日午前0時1分時点で禁止されるとのことです。既存の投資については、投資家は1年以内に完全に売却するよう義務付けられ、罰則規定もあるようです。

セントルイス連銀のブラード総裁は講演で、「ワクチンによって新型コロナウイルスを巡る危機が収まり、景気は速いペースで回復しつつある。今の回復ペースは過去の多くの経済ショックと比べて相当速い」と述べ、そのため「かなりひっ迫した労働市場を示している。労働者を雇用するのが困難だとの事例報告にも一致するだろう」と語っています。

110円台を回復したドル円ですが、前回5月28日の上昇は「短命」に終わっており、110円台維持に失敗しています。今回はどこまで110円台を維持できるかが焦点ですが、今夜の雇用統計がその機会を与えてくれるかもしれません。

本日のドル円は109円70銭〜110円70銭程度を予想します。

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今週、念願のコロナワクチンの接種を受けてきました。

テレビなどの画像でみると肩への注射が痛そうに見えていましたが、実際はあっという間に終わり、痛くはありません。ただ人によっては肩の痛みが2、3日続くようです。接種後の具合ですが、専門家の話や、すでに接種を終えた人の話では、2回目の接種後に熱が出るケースがあるということでした。

ところが筆者は接種を受けた夜に熱が出て、37度5分まで上がり、ひどい倦怠感に襲われました。まさに、風邪のひき始めと同じ状態でした。このままだと、2回目の接種後も熱が出るかもしれません。あの倦怠感はいやですが、それでも2回目に向けて気分を高めています。

良い週末を・・・・・。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
6/2 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 「少なくともテーパリングの議論を考えてみる時期だろう」、「インフレ上昇のリスクが一定程ある」(テーパリングについては)「ある日突然行うようなことではない」 --------
6/1 エルドアン大統領 「私は中央銀行総裁ときょう話した。われわれは金利を下げることが不可欠だ」 トルコリラ急落。対ドルで8.75前後、対円で12円26銭前後まで売られる。
6/1 ブレイナード・FRB理事 「長期のインフレ期待が望ましくない形で展開している兆しがあるかどうか、インフレ率に加えインフレ期待の指標を注視する」、「私の短期見通しにあるインフレ率の水準は若干高めに移行したが、インフレ率の曲線が経済再開に基調的なトレンドに回帰するという私の予想はほぼ変わっていない」 --------
5/31 クノット・オランダ中銀総裁 この一時的な物価上昇が二次的な影響や賃金の大幅な上昇圧力につながる可能性を示す兆候を私は現時点では見ていない」、「ユーロ圏の労働市場には依然かなりのスラック(たるみ)がある」 --------
5/26 イエレン・財務長官 「最近のインフレは一時的であり、定着するようなものではないというのが現時点での私の判断だ」、「しかしながら、この状態はもう数カ月間は続き、今年末までインフレ率は高止まりするとみている」 --------
5/26 パネッタ・ECB理事 「基調的インフレの上昇トレンドに反映され、インフレおよびインフレ期待をECBの目標に一致させるような持続可能なインフレ圧力の高まりのみが、購入の減速を正当化し得る」、「ユーロ圏の見通しは改善しているものの、回復はまだ不完全で経済は依然として金融および財政の支えに頼っている」、「政策による支援が不十分になることのリスクはなお高い」、「現在の環境が驚きではないが、為替レートの持続的で無視できない上昇も続いている。これが持続すれば、インフレ圧力を弱めるだろう」 ユーロドル→1.22台から1.21台後半に下落。
5/25 クラリダ・FRB副議長 「今後入ってくるデータ次第になると思う」、「恐らく、今後数回の会合で資産購入ペースの縮小について議論を開始できる状況になるだろう」 株価の下げにつながる。
5/24 ブレイナード・FRB理事 「インフレ動向の非常に重要な部分は長期的なインフレ期待で、こうした期待は極めて安定していた状況が続いている。インフレが上昇するような展開になっても、現状のインフレに深く影響を及ぼすことは想定されないと示唆している」、「今後数カ月に一段と上昇することが予想されるが、こうした経済再開やボトルネックに関連した物価上昇は弱まると私は見込んでいる」、「インフレが当局が想定する以上に上昇した場合でも、インフレ目標に戻るよう緩やかに誘導する手段と経験がある」 株式と債券が買われ、金利が低下したことでドル円下落。
5/19 FOMC議事録 「幾人かの参加者は経済が委員会の目標に向けて急速な進展を続ければ、今後の会合のいずれかに資産購入ベースの調整に関する協議を開始し始めることが適切になるかもしれないと提案した」(供給不足は)「早急に解消されない可能性があり、そうなれば来年以降もこれらの要因の影響で物価に上昇圧力がかかる可能性がある」 --------
5/17 クラリダ・FRB副議長 「4月の雇用統計を踏まえると、一段と顕著な進展を遂げていない」、「こうした購入ペースの減速を見込む前に、必ず事前に通知する」 --------
5/17 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「雇用者はパンデミック前をなお800万人下回っている。この差を埋めると言う点で顕著な進展を遂げるまで、われわれの政策は極めて強力に緩和的な状態ないし、スタンスを維持する必要がある」、「今後も予断を持たずに注意深く見守っていく。だが今は動くことを検討する時期ではない」 --------
5/13 ウォラー・FRB理事 「昨日発表されたCPIの伸びは予想外に大きかったが、インフレに上向きの圧力をかけている要素は一時的なものであり、緩和的な金融政策は景気回復の支援という点で引き続き重要な役割を担っている」、」われわれはインフレ率の一時的なオーバーシュートには過剰に反応しない」 --------
5/12 クラリダ・FRB理事 「発表されたCPIには驚いた。必要とあればインフレ率を目標まで抑えるための行動をわれわれはちゅうちょしないだろう」 --------
5/11 ブレイナード・FRB理事 「見通しは明るいがリスクは残っており、われわれの目標からは程遠い」、「ガイダンスに盛り込まれた最大限の雇用とインフレの目標達成に今後も辛抱強く集中することが重要になる」、「経済の道筋を巡っては通常より大きな不透明感が存在する」 --------
5/10 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 このような雇用統計が発表され、ボラティリティーが生じた際、正しい道筋にはいるが回復の道のりは長いということになる。回復の道のりが長いのであれば、当局が講じてきた緩和策を緩めることについて協議を始める時期ではまだない」 --------
5/10 エバンス・シカゴ連銀総裁 「雇用統計が毎月、十分に改善するのを確認する必要があり、その上で協議を開始することになると考える。それにはしばらく時間がかかるだろう」 債券は売られ金利は上昇。株価はハイテク株を中心に下落。
5/7 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「今回のデータは米金融当局が刺激措置を継続している理由を正当化する」、「この日の雇用統計はわれわれの道のりが長いことを示す一例だ。尚早に勝利宣言してはならない」 --------
5/5 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 (国内のインフレ上昇について)「一時的なものであり、また若干の上昇はわれわれにとって良いことだ」 --------
5/5 カプラン・ダラス連銀総裁 「経済活動の再開が進む中で物価上昇圧力を注意深く見守っている」、「インフレ率は年末までに2.25%近辺で落ち着く」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和