今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「米5月の雇用者増加するも予想に届かず」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • 5月の雇用者数の結果を受けドル円は反落。米長期金利が低下したことで109円37銭までドル売りが進む。
  • ユーロドルは反発。1.21台前半から買われ、1.2186前後まで上昇。
  • 株式市場は3指数が揃って上昇し、ダウとナスダックは最高値に迫る。5月の雇用者数が増加したものの勢いは鈍く、FRBがテーパリングを行なうには不十分との見方から株式が買われた。
  • 債券価格は上昇。雇用者数の伸びが予想に届かず、金融正常化観測が後退。長期金利は1.55%台へ低下。
  • 金と原油は反発
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5月失業率 → 5.8%
5月非農業部門雇用者数 → 55.9万人
5月平均時給 (前月比) → 0.5%
5月平均時給 (前年比) → 2.0%
5月労働参加率 → 61.6%
4月製造業受注 → −0.6%
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ドル/円 109.37 〜 110.13
ユーロ/ドル 1.2112 〜 1.2186
ユーロ/円 133.14 〜 133.59
NYダウ +179.35 → 34,756.39ドル
GOLD +18.70 → 1,892.00ドル
WTI +0.81 → 69.62ドル
米10年国債 −0.072 → 1.553%

本日の注目イベント

  • 日 4月景気先行指数(CI)(速報値)
  • 中 中国 5月貿易統計
  • 中 中国5月外貨準備高
  • 独 独4月製造業新規受注
  • 米 4月消費者信用残高

本日のコメント

5月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月よりは増加していたものの、市場予想には届かない「55.9万人」でした。失業保険申請件数やADP雇用者数の伸びからすると、5月分は相当な上振れを予想していただけに、やや想定外の結果でした。業種別の内訳を見ると、飲食店が18万6千人増と大幅な伸びを見せましたが、建設業や金融などが伸びていません。失業率は「5.8%」と、前月よりも改善を見せ、予想よりも良い結果でしたが、コロナ禍前に比べるとまだ高く、雇用者数全体でも700万人ほど少ないと見られます。クリーブランド連銀のメスター総裁は「しっかりした雇用統計だとみている」としつつも、「さらなる進展を確認したい」と話していました。市場では、「悪材料は好材料」と言った声も聞かれ、FRBが資産購入の縮小を始めるには「不十分」との見方が広がり、株式市場では株価が大きく上昇しています。ダウは175ドル上昇し、先月8日に記録した最高値に20ドル余りと迫り、ナスダックも同様に最高値に迫る上昇を見せています。債券も買われ、金利は大幅に低下し。1.55%台で取り引きを終えています。ドル円は金利低下を手掛かりに利益確定の売りと失望感から大幅に下げ、109円37銭までドル安が進みました。バイデン大統領は雇用統計の結果には懸念を示さず、「雇用拡大が継続しているのは政府によるワクチン接種キャンペーンと、3月に成立した経済対策法の功績だ」とデラウェア州でのスピーチで述べています。

イエレン財務長官も5日、このところの物価上昇はいずれ収まるとの見方を示し、労働市場は改善しつつあるが、新型コロナウイルスのパンデミック前の強さを回復するには、まだ道のりは長いとの見解を示しています。またイエレン氏はロンドンで開かれたG7会合後の記者会見で、「幾分のインフレを目にしているが、恒久的だと私は考えていない」と述べ、「少なくとも前年比ベースでは、インフレ率の上昇が今年いっぱい続き、3%前後になるかもしれない」と語っています。インフレ率の上昇が続くとの認識を示しながらも、当局者が物価上昇を引き続き注視していると語り、「われわれはこれを非常に注意深く見守り、目を離さず、生じた問題に必要なら対処することになる」と話しています。(ブルームバーグ)

雇用統計も終わり、今度は来週のFOMCに市場の関心が移ります。ただ、今回の雇用統計の結果を考慮すれば、今回のFOMCでもFRBがテーパリング開始時期に関するフォワードガイダンスを発する可能性は低下したと考えます。もともと今後数カ月の雇用統計を確認し、雇用の持続的な増加が確認できなければ「FRBは動かない」と予想していますが、6月の雇用統計も今回のように不十分な結果だとすれば、フォワードガイダンスを発するのは早くて年内といった見方にシフトする必要があるかもしれません。

ドル円は今回も110円台が維持できずに押し戻されています。依然として「月足の雲」に上昇を抑えられている展開が続いていますが、大きな崩れは見られません。「日足」では一度「雲のねじれ」が生じ、ドルの下落が意識されましたが、先週110円台を回復したことで再び「上昇の雲」に転じています。「週足」ではやや上昇傾向に変化が出始めていますが、まだトレンドの変化までに至っていません。

本日のドル円は109円30銭〜110円程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
6/2 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 「少なくともテーパリングの議論を考えてみる時期だろう」、「インフレ上昇のリスクが一定程ある」(テーパリングについては)「ある日突然行うようなことではない」 --------
6/1 エルドアン大統領 「私は中央銀行総裁ときょう話した。われわれは金利を下げることが不可欠だ」 トルコリラ急落。対ドルで8.75前後、対円で12円26銭前後まで売られる。
6/1 ブレイナード・FRB理事 「長期のインフレ期待が望ましくない形で展開している兆しがあるかどうか、インフレ率に加えインフレ期待の指標を注視する」、「私の短期見通しにあるインフレ率の水準は若干高めに移行したが、インフレ率の曲線が経済再開に基調的なトレンドに回帰するという私の予想はほぼ変わっていない」 --------
5/31 クノット・オランダ中銀総裁 この一時的な物価上昇が二次的な影響や賃金の大幅な上昇圧力につながる可能性を示す兆候を私は現時点では見ていない」、「ユーロ圏の労働市場には依然かなりのスラック(たるみ)がある」 --------
5/26 イエレン・財務長官 「最近のインフレは一時的であり、定着するようなものではないというのが現時点での私の判断だ」、「しかしながら、この状態はもう数カ月間は続き、今年末までインフレ率は高止まりするとみている」 --------
5/26 パネッタ・ECB理事 「基調的インフレの上昇トレンドに反映され、インフレおよびインフレ期待をECBの目標に一致させるような持続可能なインフレ圧力の高まりのみが、購入の減速を正当化し得る」、「ユーロ圏の見通しは改善しているものの、回復はまだ不完全で経済は依然として金融および財政の支えに頼っている」、「政策による支援が不十分になることのリスクはなお高い」、「現在の環境が驚きではないが、為替レートの持続的で無視できない上昇も続いている。これが持続すれば、インフレ圧力を弱めるだろう」 ユーロドル→1.22台から1.21台後半に下落。
5/25 クラリダ・FRB副議長 「今後入ってくるデータ次第になると思う」、「恐らく、今後数回の会合で資産購入ペースの縮小について議論を開始できる状況になるだろう」 株価の下げにつながる。
5/24 ブレイナード・FRB理事 「インフレ動向の非常に重要な部分は長期的なインフレ期待で、こうした期待は極めて安定していた状況が続いている。インフレが上昇するような展開になっても、現状のインフレに深く影響を及ぼすことは想定されないと示唆している」、「今後数カ月に一段と上昇することが予想されるが、こうした経済再開やボトルネックに関連した物価上昇は弱まると私は見込んでいる」、「インフレが当局が想定する以上に上昇した場合でも、インフレ目標に戻るよう緩やかに誘導する手段と経験がある」 株式と債券が買われ、金利が低下したことでドル円下落。
5/19 FOMC議事録 「幾人かの参加者は経済が委員会の目標に向けて急速な進展を続ければ、今後の会合のいずれかに資産購入ベースの調整に関する協議を開始し始めることが適切になるかもしれないと提案した」(供給不足は)「早急に解消されない可能性があり、そうなれば来年以降もこれらの要因の影響で物価に上昇圧力がかかる可能性がある」 --------
5/17 クラリダ・FRB副議長 「4月の雇用統計を踏まえると、一段と顕著な進展を遂げていない」、「こうした購入ペースの減速を見込む前に、必ず事前に通知する」 --------
5/17 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「雇用者はパンデミック前をなお800万人下回っている。この差を埋めると言う点で顕著な進展を遂げるまで、われわれの政策は極めて強力に緩和的な状態ないし、スタンスを維持する必要がある」、「今後も予断を持たずに注意深く見守っていく。だが今は動くことを検討する時期ではない」 --------
5/13 ウォラー・FRB理事 「昨日発表されたCPIの伸びは予想外に大きかったが、インフレに上向きの圧力をかけている要素は一時的なものであり、緩和的な金融政策は景気回復の支援という点で引き続き重要な役割を担っている」、」われわれはインフレ率の一時的なオーバーシュートには過剰に反応しない」 --------
5/12 クラリダ・FRB理事 「発表されたCPIには驚いた。必要とあればインフレ率を目標まで抑えるための行動をわれわれはちゅうちょしないだろう」 --------
5/11 ブレイナード・FRB理事 「見通しは明るいがリスクは残っており、われわれの目標からは程遠い」、「ガイダンスに盛り込まれた最大限の雇用とインフレの目標達成に今後も辛抱強く集中することが重要になる」、「経済の道筋を巡っては通常より大きな不透明感が存在する」 --------
5/10 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 このような雇用統計が発表され、ボラティリティーが生じた際、正しい道筋にはいるが回復の道のりは長いということになる。回復の道のりが長いのであれば、当局が講じてきた緩和策を緩めることについて協議を始める時期ではまだない」 --------
5/10 エバンス・シカゴ連銀総裁 「雇用統計が毎月、十分に改善するのを確認する必要があり、その上で協議を開始することになると考える。それにはしばらく時間がかかるだろう」 債券は売られ金利は上昇。株価はハイテク株を中心に下落。
5/7 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「今回のデータは米金融当局が刺激措置を継続している理由を正当化する」、「この日の雇用統計はわれわれの道のりが長いことを示す一例だ。尚早に勝利宣言してはならない」 --------
5/5 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 (国内のインフレ上昇について)「一時的なものであり、また若干の上昇はわれわれにとって良いことだ」 --------
5/5 カプラン・ダラス連銀総裁 「経済活動の再開が進む中で物価上昇圧力を注意深く見守っている」、「インフレ率は年末までに2.25%近辺で落ち着く」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和