「米CPI前年同月比5%に上昇」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は米5月のCPIが市場予想を上回ったことを受け109円80銭まで上昇。ただその後は、物価上昇は一時的だとの見方が広がり長期金利の低下に沿う形で下落。
- ユーロドルはECBが予想通り政策維持を決めたこともあり1.21台半ばから後半でもみ合う。
- 株式市場は3指数が揃って上昇。S&P500は19ポイント上昇し、最高値を更新。ナスダックも1万4000ポイントを回復する。
- 債券は続伸。CPI発表後売られたがその後上昇に転じる。長期金利は1.43%台と、3カ月ぶりの低水準に。
- 金と原油はともに上昇。
新規失業保険申請件数 → 37.6万件
5月消費者物価指数 → 0.6%
5月財政収支 → −1320億ドル
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| ドル/円 | 109.31 〜 109.80 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.2144 〜 1.2194 |
| ユーロ/円 | 133.04 〜 133.76 |
| NYダウ | +19.10 → 34,466.24ドル |
| GOLD | +0.90 → 1,896.40ドル |
| WTI | +0.33 → 70.29ドル |
| 米10年国債 | −0.059 → 1.432% |
本日の注目イベント
- 英 英4鉱工業生産
- 英 英4月貿易収支
- 英 G7首脳会議(英コーンウォール、13日まで)
- 米 6月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
本日のコメント
米5月のCPI発表と、ECBの政策発表の重大イベントを受けて、それなりの動きはありましたが、それでもドル円は結局109円台を上にも下へも抜け切れない展開でした。これで来週のFOMCを終えても109円台で推移しているようだと、さらに膠着感が強まる恐れもあります。
米5月のCPIは前月比「0.6%」の上昇でした。さらに前年同月比では「5.0%」と、2008年8月以来となる上昇率です。本来ならこの発表を受け、株と債券が売られ、長期金利が上昇することでドル円が買われるシナリオを描き易くなりますが、昨日の動きはやや異なっていました。発表後、債券は売られ長期金利が上昇し、ドル円も109円80銭まで買われましたが、その後金利が急低下したことでドル円も値を下げ、109台前半まで押し戻されています。CPIは市場予想を上回ったものの項目別の内訳を見ると、中古車・トラックが全体の上昇分の3割を占めており、「FRBが資産購入の縮小を急ぐほどの内容ではない」といった見方が急速に広がり債券が買われました。長期金利は1.43%台まで低下し、3月3日以来の低水準を付けています。ただ米国では物価上昇圧力は続いており、政府の経済対策を一因とした財への強い消費需要で受注残の増加や在庫不足が生じたほか、コロナ対策の制限措置解除やワクチン接種の広がり、社会活動の増加は、サービス需要の拡大につながっており、インフレ要因になっている(ブルームバーグ)ことは確かのようです。
ECBは10日の理事会で、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の購入を高いペースで続ける方針を決め、政策金利も据え置きました。ラガルド総裁は政策発表後の記者会見で、「市場金利の持続的な上昇が経済全体の調達環境のタイト化を招く可能性がある」とし、「そのようなタイト化は時期尚早であり景気回復へのリスクになる」と指摘。そのため、「年初の数カ月を著しく上回るペース」での購入を続ける理由だと説明しました。ECBは最新の経済見通しも発表しましたが、緊急購入プログラム終了の時期については、「PEPP終了の議論はそのうち始まるが、現時点では尚早だ」としています。
中国全人代常務委員会は10日、外国が中国を制裁した場合に報復する「反外国制裁法」を成立させました。これは米バイデン政権が進めている「中国包囲網」を念頭に置いたもので、中国へ制裁を加えた場合、「やられたらやりかえす」ことを正当化するための法案です。「法的根拠が整ったことで、今後はより強力な報復措置を発動できるようになるとの見方がある」(日経新聞)といったように、中国も相手国の制裁に対して一歩も怯む構えはありません。G7諸国を中心に、新疆ウイグル地区や香港の人権問題を非難する声が高まり、米国では関係する中国高官の資産凍結に踏み切るなど、中国に対する制裁措置の発動が続いています。トランプ政権では「関税引き上げ」と言った伝家の宝刀を武器に中国と対峙してきましたが、バイデン政権では米国単独ではなく、同盟国を巻き込んだ組織的な面で対抗しています。米議会では民主、共和を問わず、中国への強硬策では一致していると言われています。
ますます動きの取れないドル円ですが、ここはこまめに利益確定をしていくしかありません。それでも「根っこの美味しい部分」はキープしておく必要があるとは思いますが、ドルが下がったら買い入れる余裕は保持したいところです。
本日のドル円は109円〜109円80銭程度といったところでしょうか。
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7月23日の東京オリンピック・パラリンピックまであと40日あまりに迫ってきました。全てが「開催」に向けて動いているようにも見えますが、開催かどうかの決定権をもつIOCはまだやるのか、やらないのかを決めていません。ここまでくれば「開催に突き進む」しかないのかもしれませんが、背後には政治的な思惑も見え隠れしているとの指摘もあります。菅首相は自民党総裁としての任期が9月末、さらに10月までには衆議院の解散・総選挙が控えており、菅氏としては何としても五輪を開催して好印象を残したいところ。そうでなくとも政権の支持率は33%(朝日新聞5月の調査)まで落ち込んでいることから、ここで「イチかバチか」の勝負に出ているとも。野村総研は、五輪が中止された場合の経済損出は約1兆8000億円と試算しています。しかし、五輪開催をきっかけにコロナ感染が拡大して、緊急事態の状況を余儀なくされた場合、経済損出はさらに大きくなる(ブルームバーグ)との指摘もあります。もう、後には引けない状況なのかもしれません。ワクチン接種の方は急速に進展していますが、コロナを乗り切った後には、熱中症という「波」が襲ってくるかもしれません。
良い週末を・・・・・。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 6/10 | ラガルド・ECB総裁 | 「市場金利の持続的な上昇が経済全体の調達環境のタイト化を招く可能性がある」、「そのようなタイト化は時期尚早であり景気回復へのリスクになる」(そのため)、「年初の数カ月を著しく上回るペース」 | -------- |
| 6/2 | ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 | 「少なくともテーパリングの議論を考えてみる時期だろう」、「インフレ上昇のリスクが一定程ある」(テーパリングについては)「ある日突然行うようなことではない」 | -------- |
| 6/1 | エルドアン大統領 | 「私は中央銀行総裁ときょう話した。われわれは金利を下げることが不可欠だ」 | トルコリラ急落。対ドルで8.75前後、対円で12円26銭前後まで売られる。 |
| 6/1 | ブレイナード・FRB理事 | 「長期のインフレ期待が望ましくない形で展開している兆しがあるかどうか、インフレ率に加えインフレ期待の指標を注視する」、「私の短期見通しにあるインフレ率の水準は若干高めに移行したが、インフレ率の曲線が経済再開に基調的なトレンドに回帰するという私の予想はほぼ変わっていない」 | -------- |
| 5/31 | クノット・オランダ中銀総裁 | この一時的な物価上昇が二次的な影響や賃金の大幅な上昇圧力につながる可能性を示す兆候を私は現時点では見ていない」、「ユーロ圏の労働市場には依然かなりのスラック(たるみ)がある」 | -------- |
| 5/26 | イエレン・財務長官 | 「最近のインフレは一時的であり、定着するようなものではないというのが現時点での私の判断だ」、「しかしながら、この状態はもう数カ月間は続き、今年末までインフレ率は高止まりするとみている」 | -------- |
| 5/26 | パネッタ・ECB理事 | 「基調的インフレの上昇トレンドに反映され、インフレおよびインフレ期待をECBの目標に一致させるような持続可能なインフレ圧力の高まりのみが、購入の減速を正当化し得る」、「ユーロ圏の見通しは改善しているものの、回復はまだ不完全で経済は依然として金融および財政の支えに頼っている」、「政策による支援が不十分になることのリスクはなお高い」、「現在の環境が驚きではないが、為替レートの持続的で無視できない上昇も続いている。これが持続すれば、インフレ圧力を弱めるだろう」 | ユーロドル→1.22台から1.21台後半に下落。 |
| 5/25 | クラリダ・FRB副議長 | 「今後入ってくるデータ次第になると思う」、「恐らく、今後数回の会合で資産購入ペースの縮小について議論を開始できる状況になるだろう」 | 株価の下げにつながる。 |
| 5/24 | ブレイナード・FRB理事 | 「インフレ動向の非常に重要な部分は長期的なインフレ期待で、こうした期待は極めて安定していた状況が続いている。インフレが上昇するような展開になっても、現状のインフレに深く影響を及ぼすことは想定されないと示唆している」、「今後数カ月に一段と上昇することが予想されるが、こうした経済再開やボトルネックに関連した物価上昇は弱まると私は見込んでいる」、「インフレが当局が想定する以上に上昇した場合でも、インフレ目標に戻るよう緩やかに誘導する手段と経験がある」 | 株式と債券が買われ、金利が低下したことでドル円下落。 |
| 5/19 | FOMC議事録 | 「幾人かの参加者は経済が委員会の目標に向けて急速な進展を続ければ、今後の会合のいずれかに資産購入ベースの調整に関する協議を開始し始めることが適切になるかもしれないと提案した」(供給不足は)「早急に解消されない可能性があり、そうなれば来年以降もこれらの要因の影響で物価に上昇圧力がかかる可能性がある」 | -------- |
| 5/17 | クラリダ・FRB副議長 | 「4月の雇用統計を踏まえると、一段と顕著な進展を遂げていない」、「こうした購入ペースの減速を見込む前に、必ず事前に通知する」 | -------- |
| 5/17 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「雇用者はパンデミック前をなお800万人下回っている。この差を埋めると言う点で顕著な進展を遂げるまで、われわれの政策は極めて強力に緩和的な状態ないし、スタンスを維持する必要がある」、「今後も予断を持たずに注意深く見守っていく。だが今は動くことを検討する時期ではない」 | -------- |
| 5/13 | ウォラー・FRB理事 | 「昨日発表されたCPIの伸びは予想外に大きかったが、インフレに上向きの圧力をかけている要素は一時的なものであり、緩和的な金融政策は景気回復の支援という点で引き続き重要な役割を担っている」、」われわれはインフレ率の一時的なオーバーシュートには過剰に反応しない」 | -------- |
| 5/12 | クラリダ・FRB理事 | 「発表されたCPIには驚いた。必要とあればインフレ率を目標まで抑えるための行動をわれわれはちゅうちょしないだろう」 | -------- |
| 5/11 | ブレイナード・FRB理事 | 「見通しは明るいがリスクは残っており、われわれの目標からは程遠い」、「ガイダンスに盛り込まれた最大限の雇用とインフレの目標達成に今後も辛抱強く集中することが重要になる」、「経済の道筋を巡っては通常より大きな不透明感が存在する」 | -------- |
| 5/10 | デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 | このような雇用統計が発表され、ボラティリティーが生じた際、正しい道筋にはいるが回復の道のりは長いということになる。回復の道のりが長いのであれば、当局が講じてきた緩和策を緩めることについて協議を始める時期ではまだない」 | -------- |
| 5/10 | エバンス・シカゴ連銀総裁 | 「雇用統計が毎月、十分に改善するのを確認する必要があり、その上で協議を開始することになると考える。それにはしばらく時間がかかるだろう」 | 債券は売られ金利は上昇。株価はハイテク株を中心に下落。 |
| 5/7 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 「今回のデータは米金融当局が刺激措置を継続している理由を正当化する」、「この日の雇用統計はわれわれの道のりが長いことを示す一例だ。尚早に勝利宣言してはならない」 | -------- |
| 5/5 | デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 | (国内のインフレ上昇について)「一時的なものであり、また若干の上昇はわれわれにとって良いことだ」 | -------- |
| 5/5 | カプラン・ダラス連銀総裁 | 「経済活動の再開が進む中で物価上昇圧力を注意深く見守っている」、「インフレ率は年末までに2.25%近辺で落ち着く」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



