「米長期金利急低下」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- 米長期金利の急低下を受け、ドル円は110円52銭まで売られる。NYダウが下げ幅を拡大する中、リスク回避の円買いが強まった。
- ユーロドルはやや上値を切り下げる展開。独IFO景況指数が予想を大きく下回り、ユーロの上値を重くした。ユーロ円は130円台半ばまで売られ、約2週間ぶりの安値に。
- 株式市場ではISM非製造業景況指数が予想を下回り、景気回復が遅れるとの見方が株価を押し下げた。ダウは208ドル下落したが、長期金利の低下にナスダックは最高値を更新。
- 長期金利は急低下。1.4%を大きく割り込み、1.34%台まで低下し、この日の最低水準で取引を終える。
- 金は4日続伸。原油は77ドル目前まで買われた後、下げ足を速める。
6月マークイットサービス業PMI(改定値) → 64.6
6月マークイットコンポジットPMI(改定値) → 63.7
6月ISM非製造業景況指数 → 60.1
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| ドル/円 | 110.52 〜 110.80 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1806 〜 1.1846 |
| ユーロ/円 | 130.61 〜 131.10 |
| NYダウ | −208.98 → 34,577.37ドル |
| GOLD | +10.90 → 1,794.20ドル |
| WTI | −1.79 → 73.37ドル |
| 米10年国債 | −0.076 → 1.348% |
本日の注目イベント
- 日 5月景気先行指数(CI)(速報値)
- 中 中国6月外貨準備高
- 独 独5月貿易収支
- 独 独5月鉱工業生産
- 米 FOMC議事録(6月15−16日分)
本日のコメント
連休明けのNY市場では10年債利回りが急低下し、金利低下を受けドル円は110円52銭まで売られています。米10年債は節目の1.4%を大きく割り込み、1.346%まで低下しました。これは2月23日以来となる低水準になります。きっかけは、6月のISM非製造業景況指数の悪化でした。6月は「60.1」と、市場予想を下回っただけではなく、2月以来の低水準でした。項目別では「雇用」が「49.3」(前月は55.3)と、拡大、縮小の境目である「50」を割り込んだことが全体を押し下げたようです。ただ外食や宿泊、旅行といったサービスへの需要は依然底堅いことが示されています。ISM非製造業景況調査委員会のニエベス委員長は、「過去最高をつけた前月からやや衰えたが、サービス業界はそれでも高い活動拡大ペースを維持している」と指摘し、「資材の不足やインフレ、物流、人材に関する課題が事業環境への阻害要因であり続けている」と説明しています。(ブルームバーグ)確かに今回の結果は予想を下回ってはいますが、それでも総合指数は「60.1」と高水準です。この結果だけで10年債が大きく買われ、金利がここまで下げたことはやや理解に苦しみます。独DAXなど、欧州株が大きく下げたことも影響した模様です。
中国政府は、データセキュリティや国際間のデータ移動、機密情報に関する規制を改定し、国外で上場している同国企業への監督を強化すると声明で発表しました。中国企業はNY証券取引所に新規公開するケースが多く、米調査会社によると、2021年に入っての中国企業の新規公開件数は36件、調達額は125億ドル(約1兆4000億円)にも上っています。(日経新聞)この発表を受けてアリババなど、中国企業の株価は軒並み売られています。先月公開した、中国配車アプリ最大手の「ディディ」は一時25%安まで売られ、この日だけで約220億ドル(2.4兆円)の時価総額が消失したと報じられています。今回の発表で、「米中の分断が資本市場にまで及んできた」と日経新聞は伝えています。
昨日のNYではリスク回避の流れが強まったことからクロス円が総じて軟調でした。豪ドル円は昨日、RBA(オーストラリア準備銀行)が金融政策会合で予想通り政策金利据え置きを決め、一部で予想されていた債券購入の縮小についても、現行通り11月半ばまで予定しているとの声明で84円台まで上昇しました。その後のNYではドル円の下落に伴って、クロス円全般が売られたことで82円台後半まで急落しています。オーストラリアでは最大都市のシドニーで新型コロナウイルス感染が再び拡大しているといった懸念材料はあるものの、景気回復は順調です。住宅市場にやや軟調な結果が出ていますが、住宅価格の高騰が続いたため「買い控え」が起きていると見られ、これがどこまで続くのかを注視する必要があります。
ドル円は110円台ミドルまで売られてきましたが、米長期金利の推移を基準に見れば、やむを得ないところでしょう。日足チャートでは「基準線」がサポートしている流れが続いており、この「基準線」を割り込むのかどうかが一つのポイントになろうかと思います。もし明確に割り込めば、約1カ月ぶりとなり、111円台半ばが再び「壁」になることも予想されます。111円63−65銭では「ダブルトップ」が形成されつつあります。
本日のドル円は110円20銭〜110円90銭程度を予想します。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 7/2 | デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 | 市場への影響:「米経済が一段と自律的に機能し始めていると私は実際に見ており、これは金融緩和策を若干縮小できることを意味する。もちろん、大部分ではない。われわれはまだ完全雇用という目標に近くないからだ」、「われわれは債券購入のテーパリングの時期やペース、構成について議論を開始する準備が出来ている。私はそれが適切だと思う」 | -------- |
| 7/1 | ベイリーBOE総裁 | 「最近のインフレ加速の一部は、前年の物価水準が低いことによるベース効果および、新型コロナウイルス対策の行動制限の緩和に伴う需給ひっ迫によるものであり、こうした影響は長続きしないはずだ」、「現時点では金融環境の早すぎるタイト化によって回復が損なわれないことが重要だ」 | ポンドドルは1.38台前半から1.3760近辺まで下落。 |
| 6/30 | カプラン・ダラス連銀総裁 | 「市場に周知させたい。FOMCや公にも行われているこのテーパリング議論は良いものだと考えている」、「そうした調整が近く行われると市場に認識させることになる。ここで唯一問題になるのはその時期だ」 | -------- |
| 6/30 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「雇用の回復にはしばらく時間がかかるだろう」と述べ、(インフレについては)、「注意を払う必要がある」 | -------- |
| 6/24 | バーキン・リッチモンド連銀 | 「短期的なインフレ圧力は第4四半期(10−12月)に向けて和らいでいくと見込んでいる」、「物価上昇の大半は和らぐと考えなければならない。物価の反転すら見られる可能性もある。レンタカー料金が永遠に1日400ドルとなることはない。供給が増えるからだ」 | -------- |
| 6/23 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「最新のデータが示す上方向へのサプライズを考慮し、米金融当局の最初の動きに関する自分の予測を2022年終盤へと前倒しした」、「2023年には2回の動きもあると考えている」 | -------- |
| 6/23 | ボウマン・FRB理事 | 「こうした物価上昇圧力はボトルネックが解消されれば緩和されるかもしれないが、いくらか時間がかかる可能性がる。状況を引き続き注視し、必要に応じて自身の見通しを調整する」 | -------- |
| 6/22 | パウエル・FRB議長 | 「われわれは雇用が好調すぎるとの考えやインフレの兆候への警戒を理由に予防的に利上げすることはない。実際のインフレやその他不均衡の事実に基づいた証拠を待つ」 | 市場に利上げに対する安心感が広がり、リスクオンが拡大。 |
| 6/21 | ウイリアムズ・NY連銀総裁 | 「今年3%前後のインフレ率が2022年と23年には2%近くに低下する」、「ただ物価上昇には強い不透明感がある」 | -------- |
| 6/21 | カプラン・ダラス連銀総裁 | 「FOMCが先週にテーパリング議論を開始したのは適切だ」 | -------- |
| 6/18 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | 「私は2022年終盤の開始を予測している」、「ただし、これらは予想の内容に関連していると考えなければならない。私の予想は21年のインフレ上昇率(コアPCEインフレ率)が3%、22年のコアPCEインフレ率は2.5%だ」 | 株価は大きく下落し、債券は売られたがその買戻しが優勢に。ドル円は110円48銭まで上昇後反落。 |
| 6/18 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 「労働市場が新型コロナウイルス禍前の力強さを取り戻せるようにするため、少なくとも2023年末まで事実上ゼロ金利政策が維持されることを望む」 | -------- |
| 6/16 | パウエル・FRB議長 | (資産購入の縮小について)「今日も議論した」、「米経済は明らかに進展した」、「今回の会合は議論することについて議論する会合だという考え方も可能だ」市場への影響:利上げ観測が早まったとの見方が強まり、ドル高、債券安、株安が進行。 | ドル円は109円85銭前後から110円72銭まで上昇。 |
| 6/10 | ラガルド・ECB総裁 | 「市場金利の持続的な上昇が経済全体の調達環境のタイト化を招く可能性がある」、「そのようなタイト化は時期尚早であり景気回復へのリスクになる」(そのため)、「年初の数カ月を著しく上回るペース」 | -------- |
| 6/2 | ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 | 「少なくともテーパリングの議論を考えてみる時期だろう」、「インフレ上昇のリスクが一定程ある」(テーパリングについては)「ある日突然行うようなことではない」 | -------- |
| 6/1 | エルドアン大統領 | 「私は中央銀行総裁ときょう話した。われわれは金利を下げることが不可欠だ」 | トルコリラ急落。対ドルで8.75前後、対円で12円26銭前後まで売られる。 |
| 6/1 | ブレイナード・FRB理事 | 「長期のインフレ期待が望ましくない形で展開している兆しがあるかどうか、インフレ率に加えインフレ期待の指標を注視する」、「私の短期見通しにあるインフレ率の水準は若干高めに移行したが、インフレ率の曲線が経済再開に基調的なトレンドに回帰するという私の予想はほぼ変わっていない」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



