「米長期金利一時1.3%を割り込む」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は前日と同水準で推移。110円台半ばから後半で取引され、FOMC議事録公表後やや円高に振れたが110円台半ばは維持。
- ユーロドルは1.18台を割りこみ、1.1782までユーロ安が進む。ドイツの鉱工業生産が予想を下回ったことが手掛かりに。
- 株式市場は3指数とも揃って上昇。ナスダックは前日に続き最高値を更新し、S&P500も最高値を塗り替える。
- 債券は続伸し、長期金利は一時1.3%を割り込み、1.29%台まで低下。
- 金は5日続伸。原油は大幅に続落。
| ドル/円 | 110.51 〜 110.81 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1782 〜 1.1838 |
| ユーロ/円 | 130.42 〜 130.89 |
| NYダウ | +104.42 → 34,681.79ドル |
| GOLD | +7.90 → 1,802.10ドル |
| WTI | −1.17 → 72.20ドル |
| 米10年国債 | −0.032 → 1.316% |
本日の注目イベント
- 日 5月貿易収支
- 日 5月国際収支
- 日 5月景気ウオッチャー調査
- 独 独5月貿易収支
- 独 独5月経常収支
- 米 5月消費者信用残高
本日のコメント
6月15−16日に開催されたFOMC議事録が公表されました。同会合では2023年までに利上げを見込むとするメンバーが18人中13人に増え、2022年の利上げを予想するメンバーも7人に増えるなど、一気にタカ派寄りになったこともあり、注目されていました。
議事録では「委員会が定める『一段と顕著な進展』の基準にはまだ達していないと概して見なされたが、参加者は進展が続くと予想した」とありました。「資産購入のペース減速を開始するための条件は、以前の会合時に予想されていたよりも幾分か早く達成されるとの見通しを、幾人かの参加者は示した」とあり、インフレについては、その要因となっている労働力不足と供給障害の解消にどの程度時間がかかるかについて、委員会は強い不透明感があるとし、「労働市場とインフレの道筋について確固たる結論を導き出すのは時期尚早だと、幾人かの参加者は強調した」となっています。また、MBSの購入についても議論され、米国債よりもMBSを速いペースで縮小させるかどうかについては意見が分かれたと記されていました。(ブルームバーグ)全体的に見ると、思ったほどタカ派的ではなく、資産購入縮小に対する慎重な認識も示されたと受け止められ、株式と債券が買われ、ドル円はややドル売りが優勢な展開でした。
株式市場では主要3指数が揃って上昇し、ナスダックは小幅ながら連日の最高値更新でした。債券も続伸し、長期金利は一時1.3%を割り込み1.2946%まで低下しました。この水準は2月中旬以来ということになり、金利低下がドル円の上値を抑えた格好になっています。ただ、見方を変えれば、長期金利の急低下の割にはドル円が底堅く推移しているとも言えます。米長期金利は先月末には1.46%台でしたが、そこから19bpほど低下しており、金利水準からすればドル円が110円を割り込んでいてもおかしくはないといった印象があります。
7日に終了したECBの戦略を点検する特別会合で、政策委員会メンバーはインフレ目標を2%に引き上げ、必要ならオーバーシュートの余地を容認することで合意したと、事情に詳しい複数の当局者の話としてブルームバーグが報じています。ECBのこれまでのインフレ目標水準は「2%を下回るがそれに近い水準」とされてきましたが、実際にはインフレ率が目標を何年も下回っている状況でした。今回の決定は大きな転換点になる(ブルームバーグ)可能性がありそうです。戦略転換の結果公表はフランクフルト時間8日午後1時(日本時間同午後8時)の予定で、ラガルドECB総裁が2時半から記者会見を開く予定です。
ドル円は上でも触れたように、健闘していると言えます。これには、輸出企業が慌ててドル売り注文を持ち込まなくなったという背景もあると見ています。6月の日銀短観で明らかになった輸出企業の前提レート(社内レート)は106円でした。現在の水準でも4円以上の「為替益」が見込まれ、トヨタ自動車は1円の円安で400億円の為替益が発生すると言われています。単純計算で1800億円ですから、大変な利益です。円安は日本企業にはプラスだと言われていますが、その割には株価の低迷には目を見張るものがあります。今朝の経済紙の記事で4−6月の株価の推移は、G20では最下位のトルコに次ぐパフォーマンスの悪さになっているようです。まだまだ「貯蓄から投資へ」という標語は、国民の間には浸透していないと見られます。
本日のドル円は110円20銭〜110円90銭程度といったところでしょうか。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 7/7 | FOMC議事録 | 「委員会が定める『一段と顕著な進展』の基準にはまだ達していないと概して見なされたが、参加者は進展が続くと予想した」、「労働市場とインフレの道筋について確固たる結論を導き出すのは時期尚早だ」 | 株と債券が買われ、長期金利は約4カ月ぶりに1.3%を割り込む。 |
| 7/2 | デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 | 「米経済が一段と自律的に機能し始めていると私は実際に見ており、これは金融緩和策を若干縮小できることを意味する。もちろん、大部分ではない。われわれはまだ完全雇用という目標に近くないからだ」、「われわれは債券購入のテーパリングの時期やペース、構成について議論を開始する準備が出来ている。私はそれが適切だと思う」 | -------- |
| 7/1 | ベイリーBOE総裁 | 「最近のインフレ加速の一部は、前年の物価水準が低いことによるベース効果および、新型コロナウイルス対策の行動制限の緩和に伴う需給ひっ迫によるものであり、こうした影響は長続きしないはずだ」、「現時点では金融環境の早すぎるタイト化によって回復が損なわれないことが重要だ」 | ポンドドルは1.38台前半から1.3760近辺まで下落。 |
| 6/30 | カプラン・ダラス連銀総裁 | 「市場に周知させたい。FOMCや公にも行われているこのテーパリング議論は良いものだと考えている」、「そうした調整が近く行われると市場に認識させることになる。ここで唯一問題になるのはその時期だ」 | -------- |
| 6/30 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「雇用の回復にはしばらく時間がかかるだろう」と述べ、(インフレについては)、「注意を払う必要がある」 | -------- |
| 6/24 | バーキン・リッチモンド連銀 | 「短期的なインフレ圧力は第4四半期(10−12月)に向けて和らいでいくと見込んでいる」、「物価上昇の大半は和らぐと考えなければならない。物価の反転すら見られる可能性もある。レンタカー料金が永遠に1日400ドルとなることはない。供給が増えるからだ」 | -------- |
| 6/23 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「最新のデータが示す上方向へのサプライズを考慮し、米金融当局の最初の動きに関する自分の予測を2022年終盤へと前倒しした」、「2023年には2回の動きもあると考えている」 | -------- |
| 6/23 | ボウマン・FRB理事 | 「こうした物価上昇圧力はボトルネックが解消されれば緩和されるかもしれないが、いくらか時間がかかる可能性がる。状況を引き続き注視し、必要に応じて自身の見通しを調整する」 | -------- |
| 6/22 | パウエル・FRB議長 | 「われわれは雇用が好調すぎるとの考えやインフレの兆候への警戒を理由に予防的に利上げすることはない。実際のインフレやその他不均衡の事実に基づいた証拠を待つ」 | 市場に利上げに対する安心感が広がり、リスクオンが拡大。 |
| 6/21 | ウイリアムズ・NY連銀総裁 | 「今年3%前後のインフレ率が2022年と23年には2%近くに低下する」、「ただ物価上昇には強い不透明感がある」 | -------- |
| 6/21 | カプラン・ダラス連銀総裁 | 「FOMCが先週にテーパリング議論を開始したのは適切だ」 | -------- |
| 6/18 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | 「私は2022年終盤の開始を予測している」、「ただし、これらは予想の内容に関連していると考えなければならない。私の予想は21年のインフレ上昇率(コアPCEインフレ率)が3%、22年のコアPCEインフレ率は2.5%だ」 | 株価は大きく下落し、債券は売られたがその買戻しが優勢に。ドル円は110円48銭まで上昇後反落。 |
| 6/18 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 「労働市場が新型コロナウイルス禍前の力強さを取り戻せるようにするため、少なくとも2023年末まで事実上ゼロ金利政策が維持されることを望む」 | -------- |
| 6/16 | パウエル・FRB議長 | (資産購入の縮小について)「今日も議論した」、「米経済は明らかに進展した」、「今回の会合は議論することについて議論する会合だという考え方も可能だ」市場への影響:利上げ観測が早まったとの見方が強まり、ドル高、債券安、株安が進行。 | ドル円は109円85銭前後から110円72銭まで上昇。 |
| 6/10 | ラガルド・ECB総裁 | 「市場金利の持続的な上昇が経済全体の調達環境のタイト化を招く可能性がある」、「そのようなタイト化は時期尚早であり景気回復へのリスクになる」(そのため)、「年初の数カ月を著しく上回るペース」 | -------- |
| 6/2 | ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 | 「少なくともテーパリングの議論を考えてみる時期だろう」、「インフレ上昇のリスクが一定程ある」(テーパリングについては)「ある日突然行うようなことではない」 | -------- |
| 6/1 | エルドアン大統領 | 「私は中央銀行総裁ときょう話した。われわれは金利を下げることが不可欠だ」 | トルコリラ急落。対ドルで8.75前後、対円で12円26銭前後まで売られる。 |
| 6/1 | ブレイナード・FRB理事 | 「長期のインフレ期待が望ましくない形で展開している兆しがあるかどうか、インフレ率に加えインフレ期待の指標を注視する」、「私の短期見通しにあるインフレ率の水準は若干高めに移行したが、インフレ率の曲線が経済再開に基調的なトレンドに回帰するという私の予想はほぼ変わっていない」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



