「FOMC平穏に終わる」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- FOMC声明文では金融正常化への進展が見られたと受け止められ、ドル円は110円台を回復。110円29銭まで上昇したが、パウエル議長の会見を境に軟調となり109円台に押し戻される。
- ユーロドルも声明文発表後に1.1772まで売られたが、その後反発し、1.18台半ばに。
- 株式市場はまちまち。ダウとS&P500は売られたが、ナスダックは好決算を発表したアルファベットなどがけん引し、102ポイント高。
- 債券は声明文発表後売られたが、その後買い戻され、長期金利は前日とほぼ変わらず。
- 金は前日と同水準。原油は反発。
| ドル/円 | 109.85 〜 110.29 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1772 〜 1.1849 |
| ユーロ/円 | 129.81 〜 130.23 |
| NYダウ | −127.59 → 34,930.93ドル |
| GOLD | −0.10 → 1,799.70ドル |
| WTI | +0.74 → 72.39ドル |
| 米10年国債 | −0.008 → 1.233% |
本日の注目イベント
- 豪 豪4−6月四半期輸入物価指数
- 独 独7月失業率
- 独 独7月消費者物価指数(速報値)
- 欧 ユーロ圏7月景況感指数
- 欧 ユーロ圏7月消費者信頼感指数(確定値)
- 英 英6月消費者信用残高
- 米 4−6月GDP(速報値)
- 米 新規失業保険申請件数
- 米 6月中古住宅販売成約件数
- 米 企業決算 → メルク
本日のコメント
注目されていた今回のFOMCでしたが、結果は予想通りで、特にテーパリング開始時期に影響を与える文言も発言もなく、やや「肩透かし」をくらった印象です。ただ冷静に考えれば、今月中旬に予想を超える6月のCPIが発表され、市場のテーパリング開始観測が前のめりになった時期はあったものの、その後長期金利が急低下し、一部には「米景気ピークアウト論」が浮上し、さらにデルタ変異株が拡大したことなどを鑑みれば、FRBが債券購入縮小を急ぐインセンティブは低下していました。そう考えれば、今回の声明文、パウエル議長の発言も順当なものだったと言えるでしょう。
朝方3時に発表された声明文では、会合でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを0−0.25%で据え置くことを決め、「経済は目標に向かって進展しており、委員会は今後数会合において引き続き進展度合いを精査する」と記されています。今回の会合での政策決定は「全会一致」でした。新型コロナウイルスのデルタ変異株が成長を脅かすリスクが高まっているものの、労働市場が力強さを増し、インフレが高進する中で米経済へ強力な支援を弱める時期が近づきつつあることを示唆しているものの、パウエル議長はその後の記者会見で、「その段階にはない。そうした状況に達するにはまだ距離があると、われわれは考えている」と述べました。また議長は「進展は続いている。一段の進展を見込んでおり、順調に進めばその目標を達成するだろう」と語っています。(ブルームバーグ)議長は、適切な時期が訪れた際にどのように債券購入を縮小させるかについて、今回の会合で「初めて深く掘り下げた議論」を行ったことを明らかにしましたが、テーパリングを開始する時期については「何も決定していない」と説明しています。
声明文発表直後には「テーパリングに関する議論が進展している」との観測から株価が下げ、債券も売られたことから金利が上昇し、ドル円は110円29銭まで急伸しましたが、パウエル議長の会見が進むにつれて巻き戻しの動きが出て、ドル円は再び109円台に押し戻される展開でした。本リポートでも何度か触れましたが、FRBとすれば、少なくともあと数回の雇用統計の結果を確認したいのは明らかで、今回の声明文でも「数会合において精査」という文言が記されています。足元ではデルタ変異株の拡大リスクも浮上しており、ここは何としても「拙速」だけは避けたいと思うのが共通した認識かと思います。この様に考えれば、来月26〜28日に行われるジャクソンホールでのシンポジウムでも、「テーパリング開始の示唆」の可能性は極めて低いと見るのが順当でしょう。来週には早くも7月の雇用統計が発表されます。7〜9月の雇用統計の内容はますます注目されることになります。パウエル議長は会見では、利上げの開始時期について、「ずっと先であることは明白だ」とも語っています。
注目されていたFOMCも無事通過し、これでいよいよ「夏枯れ相場」へと突入するのかもしれません。注目すべき点は、デルタ変異株の拡大がどこまで進むのかというところでしょう。本日のドル円は109円50銭〜110円30銭程度と予想します。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 7/28 | パウエル・FRB議長 | 「 その段階にはない。そうした状況に達するにはまだ距離はあると、われわれは考えている」、「進展は続いている。一段の進展を見込んでおり、順調に進めばその目標を達成するだろう」 | 株と債券が買い戻され、金利低下に伴いドル円も下げる。 |
| 7/28 | FOMC声明文 | 「経済は目標に向かって進展しており、委員会は今後数会合において引き続き進展度合いを精査する」 | 株と債券は売られ、ドルが上昇。 |
| 7/25 | アンソニー・ファウチ、米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長 | 「米国は間違った方向に進んでおり、特に重症化リスクが最も大きい人はブースター(追加免疫)接種が必要になる可能性がある」、「最悪のシナリオでは冬季にコロナ死者数が昨年冬季のピーク時と同水準の1日あたり4000人に達する恐れがある」 | -------- |
| 7/15 | ブラード・セントルイス連銀 | 「米金融当局はインフレと雇用の両方に関して『一段と顕著な進展』を遂げるという目標を達成した」、「テーパリングできる状況にあると考える。市場を動揺させるようなことは望んでいないが、こうした緊急措置を終了する時期だと思う」 | -------- |
| 7/15 | パウエル・FRB議長 | 「これは経済活動の再開に伴いシステム全体に衝撃が及んでいる状況であり、それが2%を大きく上回る水準にインフレ率を押し上げている。当局としてはもちろん、心地よくない」、(このところの物価上昇については)、「歴史において他に類を見ないものだ」、「FOMCは6月の会合で、資産購入を縮小する可能性について議論を開始した。FOMCは今月27、28日に開く会合で、この議論をさらに進める」 | 債券が買われ長期金利は再び1.3%前後まで低下。 |
| 7/14 | パウエル・FRB議長 | 「生産のボトルネックなど供給面の制約で生産が限定されている業種で強い需要が見られ、それが一部の財とサービスに特に急速な物価上昇をもたらしている。だがそうした物価上昇は、ボトルネックの影響が解消されるのに伴い一部反転するだろう」、「労働市場の状況は改善が続いているが、まだ長い道のりが残っている」(その見通しについては)、「公衆衛生の状況が引き続き改善し、現在雇用の重石となっているパンデミック関連要素の一部が後退するにつれて、雇用の伸びは向こう数カ月に力強さを見せるだろう」 | テーパリング開始時期を早めるものではないとの見方から、株と債券が買われ、金利低下に伴いドル円は110円台半ばから110円割れまで下落。 |
| 7/13 | デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 | 「恐らく年末か来年早々にはテーパリングの状況が整うだろうというのが、私の見解だ」、「資産購入を段階的に縮小し、経済に供給してきた緩和の一部を引き揚げることについて協議を始めるには適切だ」、(利上げについて協議するには)「極めて時期尚早な段階だ」 | -------- |
| 7/12 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「債券購入の縮小を始めるには(就業率が)59%を上回る程度の就業率が望ましい」 | -------- |
| 7/12 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | (目標を上回るインフレ率は)「一過性のものだとの考えに、私は同感だ」、「最も重要な要素は労働市場だと考える」 | -------- |
| 7/8 | ラガルド・ECB総裁 | 「新原則はあいまいさを全て取り除くとともに、2%は上限ではないと明確に伝えている」 | -------- |
| 7/7 | FOMC議事録 | 「委員会が定める『一段と顕著な進展』の基準にはまだ達していないと概して見なされたが、参加者は進展が続くと予想した」、「労働市場とインフレの道筋について確固たる結論を導き出すのは時期尚早だ」 | 株と債券が買われ、長期金利は約4カ月ぶりに1.3%を割り込む。 |
| 7/2 | デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 | 「米経済が一段と自律的に機能し始めていると私は実際に見ており、これは金融緩和策を若干縮小できることを意味する。もちろん、大部分ではない。われわれはまだ完全雇用という目標に近くないからだ」、「われわれは債券購入のテーパリングの時期やペース、構成について議論を開始する準備が出来ている。私はそれが適切だと思う」 | -------- |
| 7/1 | ベイリーBOE総裁 | 「最近のインフレ加速の一部は、前年の物価水準が低いことによるベース効果および、新型コロナウイルス対策の行動制限の緩和に伴う需給ひっ迫によるものであり、こうした影響は長続きしないはずだ」、「現時点では金融環境の早すぎるタイト化によって回復が損なわれないことが重要だ」 | ポンドドルは1.38台前半から1.3760近辺まで下落。 |
| 6/30 | カプラン・ダラス連銀総裁 | 「市場に周知させたい。FOMCや公にも行われているこのテーパリング議論は良いものだと考えている」、「そうした調整が近く行われると市場に認識させることになる。ここで唯一問題になるのはその時期だ」 | -------- |
| 6/30 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「雇用の回復にはしばらく時間がかかるだろう」と述べ、(インフレについては)、「注意を払う必要がある」 | -------- |
| 6/24 | バーキン・リッチモンド連銀 | 「短期的なインフレ圧力は第4四半期(10−12月)に向けて和らいでいくと見込んでいる」、「物価上昇の大半は和らぐと考えなければならない。物価の反転すら見られる可能性もある。レンタカー料金が永遠に1日400ドルとなることはない。供給が増えるからだ」 | -------- |
| 6/23 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「最新のデータが示す上方向へのサプライズを考慮し、米金融当局の最初の動きに関する自分の予測を2022年終盤へと前倒しした」、「2023年には2回の動きもあると考えている」 | -------- |
| 6/23 | ボウマン・FRB理事 | 「こうした物価上昇圧力はボトルネックが解消されれば緩和されるかもしれないが、いくらか時間がかかる可能性がる。状況を引き続き注視し、必要に応じて自身の見通しを調整する」 | -------- |
| 6/22 | パウエル・FRB議長 | 「われわれは雇用が好調すぎるとの考えやインフレの兆候への警戒を理由に予防的に利上げすることはない。実際のインフレやその他不均衡の事実に基づいた証拠を待つ」 | 市場に利上げに対する安心感が広がり、リスクオンが拡大。 |
| 6/21 | ウイリアムズ・NY連銀総裁 | 「今年3%前後のインフレ率が2022年と23年には2%近くに低下する」、「ただ物価上昇には強い不透明感がある」 | -------- |
| 6/21 | カプラン・ダラス連銀総裁 | 「FOMCが先週にテーパリング議論を開始したのは適切だ」 | -------- |
| 6/18 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | 「私は2022年終盤の開始を予測している」、「ただし、これらは予想の内容に関連していると考えなければならない。私の予想は21年のインフレ上昇率(コアPCEインフレ率)が3%、22年のコアPCEインフレ率は2.5%だ」 | 株価は大きく下落し、債券は売られたがその買戻しが優勢に。ドル円は110円48銭まで上昇後反落。 |
| 6/18 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 「労働市場が新型コロナウイルス禍前の力強さを取り戻せるようにするため、少なくとも2023年末まで事実上ゼロ金利政策が維持されることを望む」 | -------- |
| 6/16 | パウエル・FRB議長 | (資産購入の縮小について)「今日も議論した」、「米経済は明らかに進展した」、「今回の会合は議論することについて議論する会合だという考え方も可能だ」市場への影響:利上げ観測が早まったとの見方が強まり、ドル高、債券安、株安が進行。 | ドル円は109円85銭前後から110円72銭まで上昇。 |
| 6/10 | ラガルド・ECB総裁 | 「市場金利の持続的な上昇が経済全体の調達環境のタイト化を招く可能性がある」、「そのようなタイト化は時期尚早であり景気回復へのリスクになる」(そのため)、「年初の数カ月を著しく上回るペース」 | -------- |
| 6/2 | ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 | 「少なくともテーパリングの議論を考えてみる時期だろう」、「インフレ上昇のリスクが一定程ある」(テーパリングについては)「ある日突然行うようなことではない」 | -------- |
| 6/1 | エルドアン大統領 | 「私は中央銀行総裁ときょう話した。われわれは金利を下げることが不可欠だ」 | トルコリラ急落。対ドルで8.75前後、対円で12円26銭前後まで売られる。 |
| 6/1 | ブレイナード・FRB理事 | 「長期のインフレ期待が望ましくない形で展開している兆しがあるかどうか、インフレ率に加えインフレ期待の指標を注視する」、「私の短期見通しにあるインフレ率の水準は若干高めに移行したが、インフレ率の曲線が経済再開に基調的なトレンドに回帰するという私の予想はほぼ変わっていない」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



