「ユーロドル5カ月ぶりに1.1710まで下落」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は小幅ながら続伸し、110円60銭まで上昇。動きは緩慢だったものの、ユーロドルでのドル高に引っ張られる格好で上昇。
- ユーロドルは続落し一時は3月31日以来となる1.1710までユーロ安が進む。独ZEW期待指数が予想を下回ったこともユーロ売りに拍車。
- 株式市場では日替わりで最高値を更新する展開が続く。この日はダウとS&P500が最高値を更新し、ナスダックはマイナス圏で引ける。
- 債券は小幅ながら続落。長期金利は1.35%近辺まで上昇。
- 金と原油は共に反発。
| ドル/円 | 110.41 〜 110.60 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1710 〜 1.1725 |
| ユーロ/円 | 129.40 〜 129.62 |
| NYダウ | +162.82 → 35,264.67ドル |
| GOLD | +5.20 → 1,731.70ドル |
| WTI | +1.81 → 68.29ドル |
| 米10年国債 | +0.025 → 1.349% |
本日の注目イベント
- 豪 豪8月ウエストパック消費者信頼感指数
- 独 独7月消費者物価指数(改定値)
- 米 7月消費者物価指数
- 米 7月財政収支
- 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
- 米 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁講演
本日のコメント
ユーロドルがさらに売られ、NY市場では一時1.1710までユーロ安が進みました。この水準は今年3月31日以来となる低水準で、非常に重要なサポートと見られている同日に記録した1.1704に迫って来ました。この日は米長期金利がじわじわと上昇し、ドルが買われ易い状況の中、ドイツの欧州経済研究センター(ZEW)が発表した8月の期待指数が前月の「63.3」から「40.4」と大幅に低下したことで、ドイツ経済の先行きに対する懸念が広がりユーロ売りが加速したものです。この同指数は昨年11月以来の低水準で、ドイツでは人口の半分以上が新型コロナワクチン接種を完了していますが、感染拡大が続いています。ドイツ政府は既に一部の移動制限を強化していますが、今後制限措置がさらに強化される見通しが数値悪化につながっています。ドル円もユーロでドル高が進んだ影響を受け、110円台半ばを超える水準までドル高に振れています。
米上院は5500億ドル(約61兆円)規模のインフラ包括法案を賛成69、反対30の大差で可決しました。今後下院に回され審議されることになりますが、成立すれば過去十年で最大の公共投資法となり、バイデン大統領の経済対策にとって大きな勝利になるとブルームバーグは報じています。法案が通過すれば全ての州に及び、道路、橋の整備のほか、EVの充電拠点整備にも資金が使われます。ただ、ブルームバーグは同法の早期成立に向けたハードルは高く、下院が9月20日まで休会していることに加え、民主党のペロシ下院議長は党内進歩派からの圧力を受け、より広範な支出・税制計画が上院を通過するまで、超党派のインフラ投資法案を採択せず保留する方針を明確にしているようです。一方で穏健派はより早い段階で同法案を取り上げるよう下院に強く要求しており、さらには下院がインフラ法案の修正に動く可能性も指摘されています。上院での同法案成立を受け、株式市場ではキャタピラーなど、インフラ関連銘柄が値を伸ばしていました。
ウオラー・FRB理事やボスティック・アトランタ連銀総裁に加え、昨日はシカゴ連銀のエバンス総裁もテーパリング開始に前向きな発言を行っています。エバンス総裁はテーパリング開始の目安に言及し、「恐らく年内に『一段と顕著な進展』が見える段階に達すると私は予想している。それが来年にずれ込むとは思わない」と述べ、テーパリングに関する決定を前に、「さらに数回の雇用統計を見てみたい」との考えを示しました。共通することは、いずれも「あと1〜2回の雇用統計を確認したい」という点であり、7月のような結果が続けば、「早期にテーパリングを開始すべきだ」という点です。FOMCのメンバーの中にはこの他にもテーパリング開始を支持する委員もおり、クラリダFRB副議長なども同じような立場にいます。このように考えると、次回9月のFOMCでの議論は、テーパリング開始に相当傾くと見られます。ひょっとしたら、26−28日に行われるジャクソンホールでのパウエル議長の講演内容の草稿をブルームバーグなどが事前に入手し、配信する可能性もないとは言えません。今年はやはり、例年の夏とは異なるようです。
本日のドル円の予想は110円20銭〜110円80銭程度といったところでしょうか。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 8/10 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「米経済が米金融当局の目標に向って前進していると言って、差支えないと」、「労働市場には前進の余地がまだあると思う」 | -------- |
| 8/9 | エバンス・シカゴ連銀総裁 | 恐らく年内に『一段と顕著な進展』が見える段階に達すると私は予想している。それが来年にずれ込むとは思わない」、(テーパリングに関する決定を前に)、「さらに数回の雇用統計を見てみたい」 | -------- |
| 8/9 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「かなり心強いのは確かだ。これが次の1−2カ月続けば目標に向けて『顕著な進展』があったことになり、新たな政策姿勢をどうするか考えるべきだろうというのが私の感触だ」 | -------- |
| 8/5 | ウオラー・FRB理事 | 「6日発表の雇用統計、翌月の雇用統計はいずれも非常に高い数字が出ると強く期待している」、「明日の雇用統計で100万人規模の数字が出て、9月発表の統計で100万人近い数字が出れば、1年半に失われた雇用の85%を取り戻したことになる」、「他の人が考えているよりも早期に、緩和的な金融政策を巻き戻せるようになるかもしれない」 | -------- |
| 8/4 | クラリダ・FRB副議長 | 「FF金利の目標レンジの引き上げに必要な条件は、2022年の終わりまでに達成されているだろう」、「23年には利上げを開始するだろう」 | ドル円は108円後半から109円台半ばを超えて上昇。債券と株は売られる。 |
| 8/2 | ウオラー・FRB理事 | 「9月までに発表する準備は整い得ると考えている」、「それは次の2回の雇用統計次第だ。前回のように強い数字が出れば、必要な進展が遂げられたと考える。そうでなければ、あと2カ月ほど先送りする必要が生じるだろう」 | -------- |
| 7/28 | パウエル・FRB議長 | 「 その段階にはない。そうした状況に達するにはまだ距離はあると、われわれは考えている」、「進展は続いている。一段の進展を見込んでおり、順調に進めばその目標を達成するだろう」 | 株と債券が買い戻され、金利低下に伴いドル円も下げる。 |
| 7/28 | FOMC声明文 | 「経済は目標に向かって進展しており、委員会は今後数会合において引き続き進展度合いを精査する」 | 株と債券は売られ、ドルが上昇。 |
| 7/25 | アンソニー・ファウチ、米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長 | 「米国は間違った方向に進んでおり、特に重症化リスクが最も大きい人はブースター(追加免疫)接種が必要になる可能性がある」、「最悪のシナリオでは冬季にコロナ死者数が昨年冬季のピーク時と同水準の1日あたり4000人に達する恐れがある」 | -------- |
| 7/15 | ブラード・セントルイス連銀 | 「米金融当局はインフレと雇用の両方に関して『一段と顕著な進展』を遂げるという目標を達成した」、「テーパリングできる状況にあると考える。市場を動揺させるようなことは望んでいないが、こうした緊急措置を終了する時期だと思う」 | -------- |
| 7/15 | パウエル・FRB議長 | 「これは経済活動の再開に伴いシステム全体に衝撃が及んでいる状況であり、それが2%を大きく上回る水準にインフレ率を押し上げている。当局としてはもちろん、心地よくない」、(このところの物価上昇については)、「歴史において他に類を見ないものだ」、「FOMCは6月の会合で、資産購入を縮小する可能性について議論を開始した。FOMCは今月27、28日に開く会合で、この議論をさらに進める」 | 債券が買われ長期金利は再び1.3%前後まで低下。 |
| 7/14 | パウエル・FRB議長 | 「生産のボトルネックなど供給面の制約で生産が限定されている業種で強い需要が見られ、それが一部の財とサービスに特に急速な物価上昇をもたらしている。だがそうした物価上昇は、ボトルネックの影響が解消されるのに伴い一部反転するだろう」、「労働市場の状況は改善が続いているが、まだ長い道のりが残っている」(その見通しについては)、「公衆衛生の状況が引き続き改善し、現在雇用の重石となっているパンデミック関連要素の一部が後退するにつれて、雇用の伸びは向こう数カ月に力強さを見せるだろう」 | テーパリング開始時期を早めるものではないとの見方から、株と債券が買われ、金利低下に伴いドル円は110円台半ばから110円割れまで下落。 |
| 7/13 | デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 | 「恐らく年末か来年早々にはテーパリングの状況が整うだろうというのが、私の見解だ」、「資産購入を段階的に縮小し、経済に供給してきた緩和の一部を引き揚げることについて協議を始めるには適切だ」、(利上げについて協議するには)「極めて時期尚早な段階だ」 | -------- |
| 7/12 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「債券購入の縮小を始めるには(就業率が)59%を上回る程度の就業率が望ましい」 | -------- |
| 7/12 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | (目標を上回るインフレ率は)「一過性のものだとの考えに、私は同感だ」、「最も重要な要素は労働市場だと考える」 | -------- |
| 7/8 | ラガルド・ECB総裁 | 「新原則はあいまいさを全て取り除くとともに、2%は上限ではないと明確に伝えている」 | -------- |
| 7/7 | FOMC議事録 | 「委員会が定める『一段と顕著な進展』の基準にはまだ達していないと概して見なされたが、参加者は進展が続くと予想した」、「労働市場とインフレの道筋について確固たる結論を導き出すのは時期尚早だ」 | 株と債券が買われ、長期金利は約4カ月ぶりに1.3%を割り込む。 |
| 7/2 | デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 | 「米経済が一段と自律的に機能し始めていると私は実際に見ており、これは金融緩和策を若干縮小できることを意味する。もちろん、大部分ではない。われわれはまだ完全雇用という目標に近くないからだ」、「われわれは債券購入のテーパリングの時期やペース、構成について議論を開始する準備が出来ている。私はそれが適切だと思う」 | -------- |
| 7/1 | ベイリーBOE総裁 | 「最近のインフレ加速の一部は、前年の物価水準が低いことによるベース効果および、新型コロナウイルス対策の行動制限の緩和に伴う需給ひっ迫によるものであり、こうした影響は長続きしないはずだ」、「現時点では金融環境の早すぎるタイト化によって回復が損なわれないことが重要だ」 | ポンドドルは1.38台前半から1.3760近辺まで下落。 |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



