「米7月のCPIやや鈍化」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は欧州時間の朝方に110円80銭まで上昇したが、NYでは7月のCPIの上昇ペースが鈍化していたことを受け下落。110円32銭まで売られる。
- ユーロドルは反発。1.1755まで買い戻されたが、依然として流れはユーロ安方向に。
- 株式市場は前日と同様の展開。ダウとS&P500は連日で最高値を更新したが、ナスダックは続落。
- 債券相場は反発。7月のCPIが上昇ペースを鈍化させたことで買い戻しが入る。長期金利は1.33%台に低下。
- 金と原油は続伸。
7月消費者物価指数 → 0.5%
7月財政収支 → −3021億ドル
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| ドル/円 | 110.32 〜 110.70 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1713 〜 1.1755 |
| ユーロ/円 | 129.56 〜 129.79 |
| NYダウ | +220.30 → 35,484.97ドル |
| GOLD | +21.60 → 1,753.30ドル |
| WTI | +0.95 → 69.25ドル |
| 米10年国債 | −0.019 → 1.330% |
本日の注目イベント
- トルコ トルコ中銀政策金利発表
- 英 英6月鉱工業生産
- 英 英4−6月期GDP(速報値)
- 英 英6月貿易収支
- 欧 ユーロ圏6月鉱工業生産
- 欧 国際エネルギー機関(IEA)月報
- 欧 OPEC月報
- 米 新規失業保険申請件数
- 米 7月生産者物価指数
本日のコメント
ドル円は昨日の東京時間では底堅い動きが続き、欧州時間の朝方には110円80銭までドル高が進みましたが、その後は軟調な動きとなり111円テストには至っていません。米7月のCPIは前月比で「0.5%」の伸びにとどまり、6月の「0.9%」から上昇ペースを緩やかにしました。水準としては依然として高水準ではありましたが、これまで高騰を続けていた中古車価格がわずかな伸びにとどまったことや、航空運賃、自動車保険が低下したことが影響しました。一方で住宅や新車価格などが上昇しています。全体的に見ると、経済再開に伴う価格急騰は一部で収まり始めていますが、依然として「家庭外で消費される食品価格や、ホテル滞在を含む宿泊費は、前者が前月比0.8%、後者が同6%と高い伸びが続いている」(ブルームバーグ)ようです。
今月はFOMCが開催されないこともあり、多くのFOMCメンバーである地区連銀総裁が、テーパリングに関する自身の考えを披露しています。カンザスシティー連銀のジョージ総裁は全米企業エコノミスト協会向け講演で、「景気回復が進行していることを踏まえ、今こそ金融緩和政策からより中立的な政策設定へと移行する必要がある」と指摘し、「私が先に説明したように現在の引き締まった経済状態が、引き締まった金融政策を必要としているわけでは当然ないが、政策の設定を巻き戻す時期が来たというシグナルであることは確かだ」と述べています。リッチモンド連銀のバーキン総裁も、ロイター通信とのインタビューで、「われわれは近づきつつある。ただいつになるか正確には分からない。その時期が確実に近づいた時には、経済に無理が出ない範囲で早急にテーパリングを行い、正常な環境に向かって戻っていくことを私は強く支持する」と語っています。
両総裁は異常な金融政策を元に戻すタイミングが近いという点で一致しています。ただ早すぎる緩和政策の停止は、今後デルタ変異株の感染が急拡大した場合には「拙速」と判断される可能性もあり、ここはやはり向こう2〜3カ月の雇用統計とデルタ変異株の感染状況を注視することが必要と考えます。一方、アトランタ連銀のボスティック総裁は依然として政策変更には慎重な姿勢を崩してはおらず、「FOMCはもはや、過熱気味の労働市場は最終的にインフレにつながるとの懸念を理由に『予防的な利上げ』を実施することはない」と明言し、「インフレ高進の問題が発生し、それが持続する可能性が高いことを示すデータが実際に示されない限り、労働市場については成り行きにまかせるだろう。それが雇用の最大化という長期的な目標に向けた進展につながり得ると考える」と、その理由を述べています。(ブルームバーグ)
ドル円は111円台テストには至らず小幅に反落しましたが、依然として109−111円のレンジ相場が機能しているようです。111円台に乗せるかどうかは上で述べたように、テーパリング開始がいつになるのかという事と多いに関係します。FRBの執行部も含めてFOMCメンバーが「タカ派寄り」の発言をするケースが増えてきたようにも思えます。9月から11月にかけての時期が非常に大きな意味を持ち、相場の方向性も決まってくると思われる「秋の陣」に備えたいと思います。
本日のドル円は110円〜110円70銭程度を予想します。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 8/10 | エバンス・シカゴ連銀総裁 | 恐らく年内に『一段と顕著な進展』が見える段階に達すると私は予想している。それが来年にずれ込むとは思わない」、(テーパリングに関する決定を前に)、「さらに数回の雇用統計を見てみたい」 | -------- |
| 8/9 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「米経済が米金融当局の目標に向って前進していると言って、差支えないと」、「労働市場には前進の余地がまだあると思う」 | -------- |
| 8/9 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「かなり心強いのは確かだ。これが次の1−2カ月続けば目標に向けて『顕著な進展』があったことになり、新たな政策姿勢をどうするか考えるべきだろうというのが私の感触だ」 | -------- |
| 8/5 | ウオラー・FRB理事 | 「6日発表の雇用統計、翌月の雇用統計はいずれも非常に高い数字が出ると強く期待している」、「明日の雇用統計で100万人規模の数字が出て、9月発表の統計で100万人近い数字が出れば、1年半に失われた雇用の85%を取り戻したことになる」、「他の人が考えているよりも早期に、緩和的な金融政策を巻き戻せるようになるかもしれない」 | -------- |
| 8/4 | クラリダ・FRB副議長 | 「FF金利の目標レンジの引き上げに必要な条件は、2022年の終わりまでに達成されているだろう」、「23年には利上げを開始するだろう」 | ドル円は108円後半から109円台半ばを超えて上昇。債券と株は売られる。 |
| 8/2 | ウオラー・FRB理事 | 「9月までに発表する準備は整い得ると考えている」、「それは次の2回の雇用統計次第だ。前回のように強い数字が出れば、必要な進展が遂げられたと考える。そうでなければ、あと2カ月ほど先送りする必要が生じるだろう」 | -------- |
| 7/28 | パウエル・FRB議長 | 「 その段階にはない。そうした状況に達するにはまだ距離はあると、われわれは考えている」、「進展は続いている。一段の進展を見込んでおり、順調に進めばその目標を達成するだろう」 | 株と債券が買い戻され、金利低下に伴いドル円も下げる。 |
| 7/28 | FOMC声明文 | 「経済は目標に向かって進展しており、委員会は今後数会合において引き続き進展度合いを精査する」 | 株と債券は売られ、ドルが上昇。 |
| 7/25 | アンソニー・ファウチ、米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長 | 「米国は間違った方向に進んでおり、特に重症化リスクが最も大きい人はブースター(追加免疫)接種が必要になる可能性がある」、「最悪のシナリオでは冬季にコロナ死者数が昨年冬季のピーク時と同水準の1日あたり4000人に達する恐れがある」 | -------- |
| 7/15 | ブラード・セントルイス連銀 | 「米金融当局はインフレと雇用の両方に関して『一段と顕著な進展』を遂げるという目標を達成した」、「テーパリングできる状況にあると考える。市場を動揺させるようなことは望んでいないが、こうした緊急措置を終了する時期だと思う」 | -------- |
| 7/15 | パウエル・FRB議長 | 「これは経済活動の再開に伴いシステム全体に衝撃が及んでいる状況であり、それが2%を大きく上回る水準にインフレ率を押し上げている。当局としてはもちろん、心地よくない」、(このところの物価上昇については)、「歴史において他に類を見ないものだ」、「FOMCは6月の会合で、資産購入を縮小する可能性について議論を開始した。FOMCは今月27、28日に開く会合で、この議論をさらに進める」 | 債券が買われ長期金利は再び1.3%前後まで低下。 |
| 7/14 | パウエル・FRB議長 | 「生産のボトルネックなど供給面の制約で生産が限定されている業種で強い需要が見られ、それが一部の財とサービスに特に急速な物価上昇をもたらしている。だがそうした物価上昇は、ボトルネックの影響が解消されるのに伴い一部反転するだろう」、「労働市場の状況は改善が続いているが、まだ長い道のりが残っている」(その見通しについては)、「公衆衛生の状況が引き続き改善し、現在雇用の重石となっているパンデミック関連要素の一部が後退するにつれて、雇用の伸びは向こう数カ月に力強さを見せるだろう」 | テーパリング開始時期を早めるものではないとの見方から、株と債券が買われ、金利低下に伴いドル円は110円台半ばから110円割れまで下落。 |
| 7/13 | デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 | 「恐らく年末か来年早々にはテーパリングの状況が整うだろうというのが、私の見解だ」、「資産購入を段階的に縮小し、経済に供給してきた緩和の一部を引き揚げることについて協議を始めるには適切だ」、(利上げについて協議するには)「極めて時期尚早な段階だ」 | -------- |
| 7/12 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「債券購入の縮小を始めるには(就業率が)59%を上回る程度の就業率が望ましい」 | -------- |
| 7/12 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | (目標を上回るインフレ率は)「一過性のものだとの考えに、私は同感だ」、「最も重要な要素は労働市場だと考える」 | -------- |
| 7/8 | ラガルド・ECB総裁 | 「新原則はあいまいさを全て取り除くとともに、2%は上限ではないと明確に伝えている」 | -------- |
| 7/7 | FOMC議事録 | 「委員会が定める『一段と顕著な進展』の基準にはまだ達していないと概して見なされたが、参加者は進展が続くと予想した」、「労働市場とインフレの道筋について確固たる結論を導き出すのは時期尚早だ」 | 株と債券が買われ、長期金利は約4カ月ぶりに1.3%を割り込む。 |
| 7/2 | デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 | 「米経済が一段と自律的に機能し始めていると私は実際に見ており、これは金融緩和策を若干縮小できることを意味する。もちろん、大部分ではない。われわれはまだ完全雇用という目標に近くないからだ」、「われわれは債券購入のテーパリングの時期やペース、構成について議論を開始する準備が出来ている。私はそれが適切だと思う」 | -------- |
| 7/1 | ベイリーBOE総裁 | 「最近のインフレ加速の一部は、前年の物価水準が低いことによるベース効果および、新型コロナウイルス対策の行動制限の緩和に伴う需給ひっ迫によるものであり、こうした影響は長続きしないはずだ」、「現時点では金融環境の早すぎるタイト化によって回復が損なわれないことが重要だ」 | ポンドドルは1.38台前半から1.3760近辺まで下落。 |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



