「ナスダック初の1万5000台に」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は欧州からNYにかけてジリ安となり、NYでは109円42銭まで売られる。米長期金利の上昇もこの日はドルの支えにならず、やや上値を切り下げる。
- ユーロドルは小幅に続伸。ドイツのGDP改定値が上方修正されたこともあり、1.1765までユーロが買い戻される。
- 株式市場ではナスダックが連日で最高値を更新し、初の1万5000ポイント台に乗せる。S&P500も最高値を更新。
- 債券相場は軟調な展開となり、長期金利は1.29%台に上昇。
- 金と原油は続伸。
7月新築住宅販売件数 → 70万8千戸
8月リッチモンド連銀製造景況業指数 → 9
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| ドル/円 | 109.42 〜 109.75 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1735 〜 1.1765 |
| ユーロ/円 | 128.59 〜 129.01 |
| NYダウ | +30.55 → 35,366.26ドル |
| GOLD | +2.20 → 1,808.50ドル |
| WTI | +1.90 → 67.54ドル |
| 米10年国債 | +0.042 → 1.294% |
本日の注目イベント
- 日 6月景気一致指数
- 独 独8月ifo景況感指数
- 米 7月耐久財受注
本日のコメント
投資家の資金が再びNY株式市場に向かっているようです。今週末にジャクソンホールでのパウエル議長による講演を控え、発言内容によっては急激にリスクが高まる可能性もある中、昨日のNY株式市場ではアマゾンなどIT銘柄に資金が集まり、ナスダック指数は連日で最高値を更新しました。引け値でも初となる1万5000ポイントの大台に乗せています。他の株価指数も上昇し、先週までの調整気分は終わったような雰囲気です。ドル円はやや上値を切り下げる展開でしたが、WTI原油価格が連日で上昇していることから、資源国通貨が買われドルが売られる展開でした。
ジャクソンホールでのパウエル議長の講演ではテーパリング開始に関する手掛かりを得ようと、投資家の耳目が集まりますが、基本的には慎重姿勢を貫くパウエル議長は余りヒントを与えない可能性もありそうです。公開された7月のFOMC議事録の内容や、これまでのFOMCメンバーの講演での発言を総合すれば、来月9月の会合でのテーパリング示唆はないとしても、11月の会合での示唆と2022年開始のシナリオは動かしがたいところ。多くの機関投資家も「そのシナリオ」に沿ったポジションを構築しているものと思われます。こうなると最大のリスクは「テーパリング開始が遠のいた」場合です。ダラス連銀のカプラン総裁は先週20日の講演で、「新型コロナウイルスのデルタ変異株の感染拡大が長期化し、経済の進展に悪影響を及ぼすようであれば、資産購入のテーパリングを早めに開始すべきだという自身の見解を『調整』する可能性を否定しない」と述べています。ブルームバーグによると、カプラン総裁は今年のFOMCで投票権を持たないが、FOMCメンバーの中では『タカ派』に位置付けられており、それだけに市場が受け流すことが出来る発言ではないと報じています。やはりカギとなるのはデルタ変異株の感染がどこまで拡大するのかという点ですが、専門家でも予想がつかない難しい問題でもあります。パウエル議長もこの辺りの不透明さを前面に出して「テーパリングの開始は時期尚早だ」といった発言をするようだと、株価が急騰し、金利が低下。ドル円は109円を割り込むドル安に振れることも、可能性は低いもののないとは言えません。昨日までのNY株の上昇が、この辺りを嗅ぎ取っての動きと見るのは、穿ち過ぎでしょうか?
バイデン大統領は、アフガニスタンの首都カブールの空港からの米国人らの撤退について、バーチャル形式で行われたG7では各国が8月31日の撤退期限の延長を要請しましたが、当初設定した期限を堅持することを決めたようです。米軍がイスラム過激派グループなどからテロ攻撃を受ける可能性といった安全保障上のリスクを踏まえ、米国防総省がバイデン大統領に対して撤退期限をあくまで維持するよう提言したことを受け入れた形です。またワシントンポスト紙は、バーンズ米中央情報局(CIA)長官が、アフガニスタンの首都カブールで23日に、タリバンの事実上の指導者アブドゥル・ガニ・バラダル師と秘密会談を行っていたと報じています。タリバンの報道官は記者会見で、「空港は現在閉鎖されている。アフガニスタン人が空港に行くことは認められておらず、外国人だけが許される」と述べています。
大きな値動きはないものの、神経質な展開が続いている為替市場ですが、上述のように、メインシナリオは11月のFOMCでテーパリングを示唆し、2022年から開始するといったものに近いと思いますが、パウエル議長がどのような見解を示すのか、当日にならないと分かりません。過度のリスクは避けたいところです。
本日のドル円は109円30銭〜110円10銭程度を予想します。
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明日の「アナリストレポート」は都合により休みとさせていただきます。読者の皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご理解の程宜しくお願い申し上げます。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 8/18 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | (米経済について)「金融当局の雇用と物価安定に関する目標の達成に向けて、大きな進展を遂げた」、(テーパリングに関して)「2022年1−3月までに終わらせることが望ましい」、「それにより、多くの選択肢が生まれる」 | -------- |
| 8/11 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「われわれは近づきつつある。ただいつになるか正確には分からない。その時期が確実に近づいた時には、経済に無理が出ない範囲で早急にテーパリングを行い、正常な環境に向かって戻っていくことを私は強く支持する」 | -------- |
| 8/11 | ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 | 「景気回復が進行していることを踏まえ、今こそ金融緩和政策からより中立的な政策設定へと移行する必要がある」、「私が先に説明したように現在の引き締まった経済状態が、引き締まった金融政策を必要としているわけでは当然ないが、政策の設定を巻き戻す時期が来たというシグナルであることは確かだ」 | -------- |
| 8/10 | エバンス・シカゴ連銀総裁 | 恐らく年内に『一段と顕著な進展』が見える段階に達すると私は予想している。それが来年にずれ込むとは思わない」、(テーパリングに関する決定を前に)、「さらに数回の雇用統計を見てみたい」 | -------- |
| 8/9 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「米経済が米金融当局の目標に向って前進していると言って、差支えないと」、「労働市場には前進の余地がまだあると思う」 | -------- |
| 8/9 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「かなり心強いのは確かだ。これが次の1−2カ月続けば目標に向けて『顕著な進展』があったことになり、新たな政策姿勢をどうするか考えるべきだろうというのが私の感触だ」 | -------- |
| 8/5 | ウオラー・FRB理事 | 「6日発表の雇用統計、翌月の雇用統計はいずれも非常に高い数字が出ると強く期待している」、「明日の雇用統計で100万人規模の数字が出て、9月発表の統計で100万人近い数字が出れば、1年半に失われた雇用の85%を取り戻したことになる」、「他の人が考えているよりも早期に、緩和的な金融政策を巻き戻せるようになるかもしれない」 | -------- |
| 8/4 | クラリダ・FRB副議長 | 「FF金利の目標レンジの引き上げに必要な条件は、2022年の終わりまでに達成されているだろう」、「23年には利上げを開始するだろう」 | ドル円は108円後半から109円台半ばを超えて上昇。債券と株は売られる。 |
| 8/2 | ウオラー・FRB理事 | 「9月までに発表する準備は整い得ると考えている」、「それは次の2回の雇用統計次第だ。前回のように強い数字が出れば、必要な進展が遂げられたと考える。そうでなければ、あと2カ月ほど先送りする必要が生じるだろう」 | -------- |
| 7/28 | パウエル・FRB議長 | 「 その段階にはない。そうした状況に達するにはまだ距離はあると、われわれは考えている」、「進展は続いている。一段の進展を見込んでおり、順調に進めばその目標を達成するだろう」 | 株と債券が買い戻され、金利低下に伴いドル円も下げる。 |
| 7/28 | FOMC声明文 | 「経済は目標に向かって進展しており、委員会は今後数会合において引き続き進展度合いを精査する」 | 株と債券は売られ、ドルが上昇。 |
| 7/25 | アンソニー・ファウチ、米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長 | 「米国は間違った方向に進んでおり、特に重症化リスクが最も大きい人はブースター(追加免疫)接種が必要になる可能性がある」、「最悪のシナリオでは冬季にコロナ死者数が昨年冬季のピーク時と同水準の1日あたり4000人に達する恐れがある」 | -------- |
| 7/15 | ブラード・セントルイス連銀 | 「米金融当局はインフレと雇用の両方に関して『一段と顕著な進展』を遂げるという目標を達成した」、「テーパリングできる状況にあると考える。市場を動揺させるようなことは望んでいないが、こうした緊急措置を終了する時期だと思う」 | -------- |
| 7/15 | パウエル・FRB議長 | 「これは経済活動の再開に伴いシステム全体に衝撃が及んでいる状況であり、それが2%を大きく上回る水準にインフレ率を押し上げている。当局としてはもちろん、心地よくない」、(このところの物価上昇については)、「歴史において他に類を見ないものだ」、「FOMCは6月の会合で、資産購入を縮小する可能性について議論を開始した。FOMCは今月27、28日に開く会合で、この議論をさらに進める」 | 債券が買われ長期金利は再び1.3%前後まで低下。 |
| 7/14 | パウエル・FRB議長 | 「生産のボトルネックなど供給面の制約で生産が限定されている業種で強い需要が見られ、それが一部の財とサービスに特に急速な物価上昇をもたらしている。だがそうした物価上昇は、ボトルネックの影響が解消されるのに伴い一部反転するだろう」、「労働市場の状況は改善が続いているが、まだ長い道のりが残っている」(その見通しについては)、「公衆衛生の状況が引き続き改善し、現在雇用の重石となっているパンデミック関連要素の一部が後退するにつれて、雇用の伸びは向こう数カ月に力強さを見せるだろう」 | テーパリング開始時期を早めるものではないとの見方から、株と債券が買われ、金利低下に伴いドル円は110円台半ばから110円割れまで下落。 |
| 7/13 | デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 | 「恐らく年末か来年早々にはテーパリングの状況が整うだろうというのが、私の見解だ」、「資産購入を段階的に縮小し、経済に供給してきた緩和の一部を引き揚げることについて協議を始めるには適切だ」、(利上げについて協議するには)「極めて時期尚早な段階だ」 | -------- |
| 7/12 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「債券購入の縮小を始めるには(就業率が)59%を上回る程度の就業率が望ましい」 | -------- |
| 7/12 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | (目標を上回るインフレ率は)「一過性のものだとの考えに、私は同感だ」、「最も重要な要素は労働市場だと考える」 | -------- |
| 7/8 | ラガルド・ECB総裁 | 「新原則はあいまいさを全て取り除くとともに、2%は上限ではないと明確に伝えている」 | -------- |
| 7/7 | FOMC議事録 | 「委員会が定める『一段と顕著な進展』の基準にはまだ達していないと概して見なされたが、参加者は進展が続くと予想した」、「労働市場とインフレの道筋について確固たる結論を導き出すのは時期尚早だ」 | 株と債券が買われ、長期金利は約4カ月ぶりに1.3%を割り込む。 |
| 7/2 | デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 | 「米経済が一段と自律的に機能し始めていると私は実際に見ており、これは金融緩和策を若干縮小できることを意味する。もちろん、大部分ではない。われわれはまだ完全雇用という目標に近くないからだ」、「われわれは債券購入のテーパリングの時期やペース、構成について議論を開始する準備が出来ている。私はそれが適切だと思う」 | -------- |
| 7/1 | ベイリーBOE総裁 | 「最近のインフレ加速の一部は、前年の物価水準が低いことによるベース効果および、新型コロナウイルス対策の行動制限の緩和に伴う需給ひっ迫によるものであり、こうした影響は長続きしないはずだ」、「現時点では金融環境の早すぎるタイト化によって回復が損なわれないことが重要だ」 | ポンドドルは1.38台前半から1.3760近辺まで下落。 |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



