「米長期金利再び低下」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ジャクソンホールを終えてやや材料不足の中、ドル円は109円台後半で小動き。
- ユーロドルも前日と同じ水準で推移。1.18台を巡る攻防が続く。
- 株式市場はまちまちながら、ハイテク株がしっかり。ダウは反落したものの、ナスダックとS&P500は連日で最高値を更新。
- 債券は続伸。長期金利は1.27%台へと低下。
- 金は3日ぶりに下落。原油はハリケーン「アイダ」の影響もあり続伸。69ドル台に乗せる。
7月中古住宅販売成約件数 → −1.8%
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| ドル/円 | 109.85 〜 109.96 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1783 〜 1.1804 |
| ユーロ/円 | 129.54 〜 129.71 |
| NYダウ | −55.96 → 35,399.84ドル |
| GOLD | −7.30 → 1,812.20ドル |
| WTI | +0.47 → 69.21ドル |
| 米10年国債 | −0.029 → 1.278% |
本日の注目イベント
- 豪 豪4−6月期経常収支
- 豪 豪7月住宅建設許可件数
- 日 7月失業率
- 日 7月鉱工業生産
- 中 8月中国製造業PMI
- 中 8月中国サービス業PMI
- 独 独8月失業率
- 欧 ユーロ圏8月消費者信頼感指数(速報値)
- 米 6月ケース・シラ−住宅価格指数
- 米 6月FHFA住宅価格指数
- 米 8月シカゴ購買部協会景気指数
- 米 8月消費者信頼感指数
- 米 米軍、アフガニスタン撤退期限
本日のコメント
先週末のパウエル議長のやや穏健な発言を受け、市場ではドルが売られ、利上げは急がないとの見方から債券と株価が上昇しています。併せて金利の付かない金(きん)も上昇し、WTI原油価格も上昇し、昨日は69ドル台に乗せて取引を終えています。もっとも、こちらの方はハリケーン「アイダ」の影響が大きく、「アイダ」は米南部ルイジアナ州に上陸し、同地域では火災が多数発生しているほか、100万人以上が停電に見舞われています。その後ハリケーンは熱帯低気圧に勢力を弱めたようです。「アイダ」は「カテゴリー4」と、5段階で2番目に強いハリケーンで、偶然でしょうが、16年前の同じ日にハリケーン「カトリーナ」が同州に上陸し、米史上最大級の被害をもたらしました。筆者も本欄でハリケーン「カトリーナ」に関するコメントを載せた記憶が蘇ってきました。今回のハリケーン「アイダ」のよる保険業界の損出額は、少なくとも150億ドル(約1兆6500億円)に上る可能性があるとブルームバーグは伝えています。
元リッチモンド連銀総裁のラッカー氏は、ブルームバーグテレビジョンのインタビューで、パウエル議長はインフレが手に負えなくなるリスクを抱えていると指摘しています。ラッカー氏はインタビューで、「金融当局は困難な状況に置かれていると、私は思う。このインフレ高進で当局が抱える危険は、それが根強く続くことだ。6カ月ベースのインフレは1983年以降に見られたものを上回っている」と述べ、さらに、「1980年代初めにインフレ率を低下させるべく取り組んだが、それには極めて大きな痛みを伴った。よって、そうした経験を持つ当局者は時とともにより予防的な政策を主張するようになった」とした上で、「金融当局は戦略に関して昨年発表した文書で、そうした予防策から遠ざかってしまった」と指摘しました。ラッカー氏は現在バージニア・コモンウェルス大学で教授を務めているそうです。
米中央軍のマッケンジー司令官は米国時間30日午後、「アフガンからの撤収完了と、米国民や第三国の国民、脆弱な立場のアフガン人の退避の軍事的ミッションを終了する」と発表しました。その後、「要員を乗せた最後の飛行機が現在、アフガン上空を飛行中だ」と続けています。アフガニスタンではこの日も、米軍が自爆テロリストが爆弾を輸送していると見られる車をドローンで攻撃し、子供を含む市民も犠牲になっています。これで米国はアフガニスタンの正常化への軍事支援は終了しますが、米国ならびに米国人に対するテロには攻撃の手を緩めるつもりはないようです。タリバンに実質的に支配されたアフガニスタンですが、そのタリバンと敵対する過激派イスラム国(IS)との間でも戦闘が繰り返されることが予想され、多くのアフガン国民が国外への脱出を試みている状況です。アフガンの平和は当分望めそうもありません。
昨日も述べましたが、短期的にはドルの上値が重い展開を予想しています。ジャクソンホール前には1.35%近辺まで上昇した米長期金利は、足元では1.27%台まで低下しています。金利が低下した割にはドルが底堅い動きを見せてはいますが、109円50銭前後を割り込むとドル売りが加速してくる可能性もありそうです。今朝の経済紙は投機筋のドル買いポジションが約91億ドル(約1兆円)に膨らんでおり、1年半ぶりの高水準になっていると報じています。FRBによるテーパリング開始に伴い、ドルが上昇することを見越してポジションを作っていると見られます。109円を明確に割り込むと、そういったポジションも損切を迫られ、ドル下落に拍車をかける状況も考えられます。ただ一方で、早ければ年内にもテーパリングが開始される可能性もくすぶっており、ドルが大きく値を下げる可能性は少ないといった見方もできます。先ずは、今週末の雇用統計を見極めたいところです。
本日のドル円は109円50銭〜110円20銭程度を予想します。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 8/27 | パウエル・FRB議長 | (テーパリングについて)、「年内に開始するのが適当だろう」、「インフレ目標に向けて、一段と顕著な進展を遂げるという基準を満たしたと」、「労働市場についても、明確な進展を遂げたと思う」、「見込まれる資産購入縮小のタイミングとペースは、利上げ開始時期に関する直接的なシグナルを送ることを意図してするわけではない。利上げ開始については、われわれは異なった、そして一層厳しい基準を明確にしている」 | 債券と株が買われ、金利低下に伴いドル円は110円26銭から109円78銭近辺まで下落。 |
| 8/26 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | 「米国は好景気に沸いており、現時点での一段の刺激策は恐らく必要ない」発言し、「テーパリングを着手する必要がある」 | -------- |
| 8/26 | カプラン・ダラス連銀総裁 | 「現時点で把握できる状況に基づき、この見通しを大きく変更せざるを得ないような事象は見受けられない」、「9月会合までの数週間、このことを注視し続ける。9月会合の時点で資産購入を調整する計画を発表する状況が十分に整い、10月かそのすぐ後に実行に移せるとみているが、これからの注視後のこの見解はかわりないだろう」 | -------- |
| 8/25 | ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 | 「新型コロナウイルスのデルタ変異株が米経済見通しと雇用の拡大にとってリスクだとしても、政策当局者は資産購入ペースを落とす行動の『スタートを切る』必要がある」、「われわれがこれまで目にした進捗を考えれば、そのような調整に着手する時期だという私自身の計算が変わるとは考えない」 | -------- |
| 8/18 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | (米経済について)「金融当局の雇用と物価安定に関する目標の達成に向けて、大きな進展を遂げた」、(テーパリングに関して)「2022年1−3月までに終わらせることが望ましい」、「それにより、多くの選択肢が生まれる」 | -------- |
| 8/11 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「われわれは近づきつつある。ただいつになるか正確には分からない。その時期が確実に近づいた時には、経済に無理が出ない範囲で早急にテーパリングを行い、正常な環境に向かって戻っていくことを私は強く支持する」 | -------- |
| 8/11 | ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 | 「景気回復が進行していることを踏まえ、今こそ金融緩和政策からより中立的な政策設定へと移行する必要がある」、「私が先に説明したように現在の引き締まった経済状態が、引き締まった金融政策を必要としているわけでは当然ないが、政策の設定を巻き戻す時期が来たというシグナルであることは確かだ」 | -------- |
| 8/10 | エバンス・シカゴ連銀総裁 | 恐らく年内に『一段と顕著な進展』が見える段階に達すると私は予想している。それが来年にずれ込むとは思わない」、(テーパリングに関する決定を前に)、「さらに数回の雇用統計を見てみたい」 | -------- |
| 8/9 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「米経済が米金融当局の目標に向って前進していると言って、差支えないと」、「労働市場には前進の余地がまだあると思う」 | -------- |
| 8/9 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「かなり心強いのは確かだ。これが次の1−2カ月続けば目標に向けて『顕著な進展』があったことになり、新たな政策姿勢をどうするか考えるべきだろうというのが私の感触だ」 | -------- |
| 8/5 | ウオラー・FRB理事 | 「6日発表の雇用統計、翌月の雇用統計はいずれも非常に高い数字が出ると強く期待している」、「明日の雇用統計で100万人規模の数字が出て、9月発表の統計で100万人近い数字が出れば、1年半に失われた雇用の85%を取り戻したことになる」、「他の人が考えているよりも早期に、緩和的な金融政策を巻き戻せるようになるかもしれない」 | -------- |
| 8/4 | クラリダ・FRB副議長 | 「FF金利の目標レンジの引き上げに必要な条件は、2022年の終わりまでに達成されているだろう」、「23年には利上げを開始するだろう」 | ドル円は108円後半から109円台半ばを超えて上昇。債券と株は売られる。 |
| 8/2 | ウオラー・FRB理事 | 「9月までに発表する準備は整い得ると考えている」、「それは次の2回の雇用統計次第だ。前回のように強い数字が出れば、必要な進展が遂げられたと考える。そうでなければ、あと2カ月ほど先送りする必要が生じるだろう」 | -------- |
| 7/28 | パウエル・FRB議長 | 「 その段階にはない。そうした状況に達するにはまだ距離はあると、われわれは考えている」、「進展は続いている。一段の進展を見込んでおり、順調に進めばその目標を達成するだろう」 | 株と債券が買い戻され、金利低下に伴いドル円も下げる。 |
| 7/28 | FOMC声明文 | 「経済は目標に向かって進展しており、委員会は今後数会合において引き続き進展度合いを精査する」 | 株と債券は売られ、ドルが上昇。 |
| 7/25 | アンソニー・ファウチ、米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長 | 「米国は間違った方向に進んでおり、特に重症化リスクが最も大きい人はブースター(追加免疫)接種が必要になる可能性がある」、「最悪のシナリオでは冬季にコロナ死者数が昨年冬季のピーク時と同水準の1日あたり4000人に達する恐れがある」 | -------- |
| 7/15 | ブラード・セントルイス連銀 | 「米金融当局はインフレと雇用の両方に関して『一段と顕著な進展』を遂げるという目標を達成した」、「テーパリングできる状況にあると考える。市場を動揺させるようなことは望んでいないが、こうした緊急措置を終了する時期だと思う」 | -------- |
| 7/15 | パウエル・FRB議長 | 「これは経済活動の再開に伴いシステム全体に衝撃が及んでいる状況であり、それが2%を大きく上回る水準にインフレ率を押し上げている。当局としてはもちろん、心地よくない」、(このところの物価上昇については)、「歴史において他に類を見ないものだ」、「FOMCは6月の会合で、資産購入を縮小する可能性について議論を開始した。FOMCは今月27、28日に開く会合で、この議論をさらに進める」 | 債券が買われ長期金利は再び1.3%前後まで低下。 |
| 7/14 | パウエル・FRB議長 | 「生産のボトルネックなど供給面の制約で生産が限定されている業種で強い需要が見られ、それが一部の財とサービスに特に急速な物価上昇をもたらしている。だがそうした物価上昇は、ボトルネックの影響が解消されるのに伴い一部反転するだろう」、「労働市場の状況は改善が続いているが、まだ長い道のりが残っている」(その見通しについては)、「公衆衛生の状況が引き続き改善し、現在雇用の重石となっているパンデミック関連要素の一部が後退するにつれて、雇用の伸びは向こう数カ月に力強さを見せるだろう」 | テーパリング開始時期を早めるものではないとの見方から、株と債券が買われ、金利低下に伴いドル円は110円台半ばから110円割れまで下落。 |
| 7/13 | デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 | 「恐らく年末か来年早々にはテーパリングの状況が整うだろうというのが、私の見解だ」、「資産購入を段階的に縮小し、経済に供給してきた緩和の一部を引き揚げることについて協議を始めるには適切だ」、(利上げについて協議するには)「極めて時期尚早な段階だ」 | -------- |
| 7/12 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「債券購入の縮小を始めるには(就業率が)59%を上回る程度の就業率が望ましい」 | -------- |
| 7/12 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | (目標を上回るインフレ率は)「一過性のものだとの考えに、私は同感だ」、「最も重要な要素は労働市場だと考える」 | -------- |
| 7/8 | ラガルド・ECB総裁 | 「新原則はあいまいさを全て取り除くとともに、2%は上限ではないと明確に伝えている」 | -------- |
| 7/7 | FOMC議事録 | 「委員会が定める『一段と顕著な進展』の基準にはまだ達していないと概して見なされたが、参加者は進展が続くと予想した」、「労働市場とインフレの道筋について確固たる結論を導き出すのは時期尚早だ」 | 株と債券が買われ、長期金利は約4カ月ぶりに1.3%を割り込む。 |
| 7/2 | デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 | 「米経済が一段と自律的に機能し始めていると私は実際に見ており、これは金融緩和策を若干縮小できることを意味する。もちろん、大部分ではない。われわれはまだ完全雇用という目標に近くないからだ」、「われわれは債券購入のテーパリングの時期やペース、構成について議論を開始する準備が出来ている。私はそれが適切だと思う」 | -------- |
| 7/1 | ベイリーBOE総裁 | 「最近のインフレ加速の一部は、前年の物価水準が低いことによるベース効果および、新型コロナウイルス対策の行動制限の緩和に伴う需給ひっ迫によるものであり、こうした影響は長続きしないはずだ」、「現時点では金融環境の早すぎるタイト化によって回復が損なわれないことが重要だ」 | ポンドドルは1.38台前半から1.3760近辺まで下落。 |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



