「米金利低下によりドル円109円台半ばへ」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- 110円台前半で推移していたドル円は、米8月CPIの発表を境に急速に下げ、109円53銭まで売られる。
- ユーロドルは反発し、1.1846まで買い戻される。
- 株式市場は3指数が揃って反落。CPI発表後は上昇する場面もあったが続かず、法人税増税などが嫌気され大幅安に。
- 債券は大幅高。8月のCPIが予想を下回ったことが材料に。長期金利は1.28%台へと低下。
- 金は続伸し、原油は横ばい。
8月消費者物価指数 → 0.3%
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| ドル/円 | 109.53 〜 110.14 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1800 〜 1.1846 |
| ユーロ/円 | 129.36 〜 130.19 |
| NYダウ | −292.06 → 34,577.57ドル |
| GOLD | +12.70 → 1,807.10ドル |
| WTI | +0.01 → 70.46ドル |
| 米10年国債 | −0.042 → 1.284% |
本日の注目イベント
- 豪 豪9月ウエストパック消費者信頼感指数
- 中 中国8月小売売上高
- 中 中国8月鉱工業生産
- 欧 ユーロ圏7月鉱工業生産
- 英 英8月消費者物価指数
- 英 英8月生産者物価指数
- 米 9月NY連銀製造景況業指数
- 米 8月輸入物価指数
- 米 8月鉱工業生産
- 米 8月設備稼働率
- 加 カナダ8月消費者物価指数
本日のコメント
米8月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想の「0.4%」を下回り、「0.3%」だったことで、少なくともFRBは今後の金融政策に余裕が出てくるものと思われます。消費者物価の上昇率は今年1月以来の低水準となり、上昇率の鈍化が意識されます。変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数も「0.1%」と、今年2月以来の低い伸びとなり、インフレ圧力が低下しています。ただ、今回の結果だけでパウエル議長などが主張する、「物価上昇は一時的だ」と見ることが出来るかどうかは判断できません。また、多くのFOMCメンバ−が「年内のテーパリングを支持する」と主張する政策変更への道筋は、今回のCPI下振れを受けたことだけでは、現時点では変わらないと予想しています。
CPIが予想を下回ったことで、発表後に株高が進む場面もありましたが続かず、結局リスク回避の流れとなりNY株は大きく下げています。特にダウの動きが気になります。前日6日ぶりに大きく反発したものの、昨日はその上昇分を全て吐き出す展開でした。企業業績への懸念や米景気のピークアウト観測などが重荷になっていると見られます。一方日経平均株価の方は昨日も上昇して、31年ぶりの高値を記録していますが、割安感を理由に海外からの買い物も集めているとの説明もあり、年内3万2000円程度までの上昇も見込めるとする専門家の分析もありました。「米国株がくしゃみをすれば、風邪をひく日本株」と言われて久しいですが、今回の上昇が日本株上昇の第一段階だとすれば、ドル円をサポートすることにもつながります。
昨日もこの欄に登場した「中国恒大集団」ですが、同社を巡る問題に新たな火種が持ち上がっています。ブルームバーグによると、同社が提供する個人投資家向けの高利回り商品が償還遅延で投資家の抗議活動が活発になっているようです。恒大は最大で年率約13%の高金利をうたって理財商品を販売し、獲得した資金を運転資金に回していたそうです。また恒大の理財商品を購入した投資家の多くが従業員で、同社も購入を奨励していたようで、購入した一人は、「恒大は世界の500社に選ばれているから、この商品は非常に安全だと言われた」と語っています。結局、高金利を「エサ」に資金を集め、当初はその資金で配当を行いますが、その後資金が回らなくなる「自転車操業」を続けてきたわけです。同社理財商品のうち400億元(約6830億円)程度が満期を迎えているそうです。この類(たぐい)の事件は、日本でもたびたび起きています。2013年頃に起きた「AIJ投資顧問事件」が思い出されました。この世に、「元本保証」、「確定高利回り」、「一部の投資家限定」などという言葉は、全てインチキで詐欺だと思うことが必要です。ここでは「金融リテラシー」が試されます。
米長期金利の低下がドル円を押し下げていますが、109円50銭前後が今日のサポートで、ここを抜けるかどうかが焦点になりそうです。予想レンジは109円30銭〜110円10銭程度でしょうか。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 9/10 | サマーズ・元財務長官 | 「2桁のインフレ率というカーター政権時代のような状況に近いとは思わないが、60年代と70年代初めに犯したほとんど全ての過ちを繰り返すという非常に深刻な危機にさらされていると考える」 | -------- |
| 9/10 | メスター・クリーブランド連銀総裁 | 「一段と顕著な進展を遂げたいという私の見解は、8月の雇用統計後も変わっていないと考える」、「年内のテーパリング開始を望む」 | -------- |
| 9/9 | エバンス・シカゴ連銀総裁 | 「昨年に経済活動が深刻かつ急激に落ち込んだ後、経済は力強く成長した。しかし、サプライチェーンや労働市場で広がるボトルネックが示すように、課題は山積している」、「新型コロナウイルスの新たな変異株が全米で健康や安全性に影響を及ぼす中、全ての共通要素は引き続き不確実性が高いということだ」 | -------- |
| 9/9 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「夏の前半には強いデータが出ていたので、私は多くの予想よりも早期のテーパリング開始支持に相当傾いていた」、「最近の弱いデータはまだ幾らかの駆け引きがある可能性を示唆したが、私は今も年内のある時点が適切だと考えている」 | -------- |
| 9/9 | ボウマン・FRB理事 | 「私が期待するようなデータが出てくれば、年内に資産購入縮小の過程に入ることは適切となる可能性が高い」、「私は入ってくるデータに勇気づけられていることに変わりはないが」、「われわれの協議結果を事前に判断したくない」 | -------- |
| 9/9 | ラガルド・ECB総裁 | 「ユーロ圏経済の回復がますます進展している」と、(今回の決定は)「テーパリングではない」、「PEPPを向こう3カ月について微調整する」 | ユーロドルの上昇が抑制される。 |
| 9/8 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | 「8月の雇用者数の伸びの弱さにもかかわらず、新型コロナウイルス対策の大規模な債券購入を段階的にする計画を進めるべきだ」 | -------- |
| 9/8 | ウイリアムズ・NY連銀総裁 | 「私が想定する通りに米経済の改善が続くならば、年内に資産購入ペースを落とし始めることは適切となり得よう」と、「今後入って来る労働市場のデータや、それが経済見通しにどのような意味を持つのかを慎重に判断していく。デルタ変異株の影響をはじめとするリスクも見極めていく」 | -------- |
| 9/1 | ワイトマン・ドイツ連銀総裁 | 物価見通しに対するリスクを注視しなければならない。私の見解は、上向きのリスクが優勢だ」、「緩和的な金融政策は依然として適切だが、インフレが加速し過ぎるリスクを無視すべきでない」 | 市場ではドル安ユーロ高がやや進む。 |
| 8/31 | クノット・オランダ中銀総裁 | 「来週開かれる政策決定会合でパンデミック緊急債券購入プログラム(PEPP)の3月終了と矛盾しないか決定がなされると見込んでいる」、「つまり、購入ペースの減速を意味する」 | -------- |
| 8/31 | ホルツマン・オーストリア中銀総裁 | 「9月会合で危機対応措置の縮小議論をすべきだ」 | -------- |
| 8/27 | パウエル・FRB議長 | (テーパリングについて)、「年内に開始するのが適当だろう」、「インフレ目標に向けて、一段と顕著な進展を遂げるという基準を満たしたと」、「労働市場についても、明確な進展を遂げたと思う」、「見込まれる資産購入縮小のタイミングとペースは、利上げ開始時期に関する直接的なシグナルを送ることを意図してするわけではない。利上げ開始については、われわれは異なった、そして一層厳しい基準を明確にしている」 | 債券と株が買われ、金利低下に伴いドル円は110円26銭から109円78銭近辺まで下落。 |
| 8/26 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | 「米国は好景気に沸いており、現時点での一段の刺激策は恐らく必要ない」発言し、「テーパリングを着手する必要がある」 | -------- |
| 8/26 | カプラン・ダラス連銀総裁 | 「現時点で把握できる状況に基づき、この見通しを大きく変更せざるを得ないような事象は見受けられない」、「9月会合までの数週間、このことを注視し続ける。9月会合の時点で資産購入を調整する計画を発表する状況が十分に整い、10月かそのすぐ後に実行に移せるとみているが、これからの注視後のこの見解はかわりないだろう」 | -------- |
| 8/25 | ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 | 「新型コロナウイルスのデルタ変異株が米経済見通しと雇用の拡大にとってリスクだとしても、政策当局者は資産購入ペースを落とす行動の『スタートを切る』必要がある」、「われわれがこれまで目にした進捗を考えれば、そのような調整に着手する時期だという私自身の計算が変わるとは考えない」 | -------- |
| 8/18 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | (米経済について)「金融当局の雇用と物価安定に関する目標の達成に向けて、大きな進展を遂げた」、(テーパリングに関して)「2022年1−3月までに終わらせることが望ましい」、「それにより、多くの選択肢が生まれる」 | -------- |
| 8/11 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「われわれは近づきつつある。ただいつになるか正確には分からない。その時期が確実に近づいた時には、経済に無理が出ない範囲で早急にテーパリングを行い、正常な環境に向かって戻っていくことを私は強く支持する」 | -------- |
| 8/11 | ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 | 「景気回復が進行していることを踏まえ、今こそ金融緩和政策からより中立的な政策設定へと移行する必要がある」、「私が先に説明したように現在の引き締まった経済状態が、引き締まった金融政策を必要としているわけでは当然ないが、政策の設定を巻き戻す時期が来たというシグナルであることは確かだ」 | -------- |
| 8/10 | エバンス・シカゴ連銀総裁 | 恐らく年内に『一段と顕著な進展』が見える段階に達すると私は予想している。それが来年にずれ込むとは思わない」、(テーパリングに関する決定を前に)、「さらに数回の雇用統計を見てみたい」 | -------- |
| 8/9 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「米経済が米金融当局の目標に向って前進していると言って、差支えないと」、「労働市場には前進の余地がまだあると思う」 | -------- |
| 8/9 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「かなり心強いのは確かだ。これが次の1−2カ月続けば目標に向けて『顕著な進展』があったことになり、新たな政策姿勢をどうするか考えるべきだろうというのが私の感触だ」 | -------- |
| 8/5 | ウオラー・FRB理事 | 「6日発表の雇用統計、翌月の雇用統計はいずれも非常に高い数字が出ると強く期待している」、「明日の雇用統計で100万人規模の数字が出て、9月発表の統計で100万人近い数字が出れば、1年半に失われた雇用の85%を取り戻したことになる」、「他の人が考えているよりも早期に、緩和的な金融政策を巻き戻せるようになるかもしれない」 | -------- |
| 8/4 | クラリダ・FRB副議長 | 「FF金利の目標レンジの引き上げに必要な条件は、2022年の終わりまでに達成されているだろう」、「23年には利上げを開始するだろう」 | ドル円は108円後半から109円台半ばを超えて上昇。債券と株は売られる。 |
| 8/2 | ウオラー・FRB理事 | 「9月までに発表する準備は整い得ると考えている」、「それは次の2回の雇用統計次第だ。前回のように強い数字が出れば、必要な進展が遂げられたと考える。そうでなければ、あと2カ月ほど先送りする必要が生じるだろう」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



