「米9月の雇用者数予想を下回る」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- 雇用統計を受けドル円はNY市場で112円台を回復し、112円26銭まで上昇。米長金利が1.61%台まで上昇したことが手掛かりに。
- ユーロドルはやや水準を切り上げ1.1586まで買われる。対円でも約10日ぶりに130円に迫る。
- 株式市場は3指数が揃って4日ぶりに反落。雇用統計の結果を受け、次回会合でもテーパリングに向けたプロセスは変わらないとの見方から株価は下落。
- 債券は反落し、長期金利は1.61%台まで上昇。
- 金は反落。原油は続伸し、一時は80ドルの大台に乗せる。
8月失業率 → 4.8%
8月非農業部門雇用者数 → 19.4万人
8月平均時給 (前月比) → 0.6%
8月平均時給 (前年比) → 4.6%
8月労働参加率 → 61.6%
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| ドル/円 | 111.52 〜 112.26 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1556 〜 1.1586 |
| ユーロ/円 | 129.08 〜 129.90 |
| NYダウ | −8.69 → 34,746.25ドル |
| GOLD | −1.80 → 1,757.40ドル |
| WTI | +1.05 → 79.35ドル |
| 米10年国債 | +0.039 → 1.612% |
本日の注目イベント
- 英 英8月鉱工業生産
- 英 英8月貿易収支
- 米 債券市場休場(コロンブスデー)
本日のコメント
ドル円は先々週30日(木)に一時112円台に乗せた後、先週には110円台後半まで押し戻される展開になりましたが、本欄では「想定内の動き」といった表現を使い、ドル高の流れは変わっていないと記述してきました。ドル円は再び112円台を回復し、先週末のNYでは112円26銭までドルが買われ、2019年4月以来となるドル高水準を付けました。
9月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が先月に続き予想を大きく下回る結果となりました。本来なら、テーパリング開始の後ずれ観測が台頭し、株高、債券高から金利が低下し、ドル円は下落するといった連想がはたらき易いと思われますが、過去2カ月の雇用者数が上方修正されたことで、「全体的にみれば悪くはない」といった見方が支配的となり、債券が売られ、長期金利は約4カ月ぶりに1.61%台まで上昇し、ドル買いにつながっています。9月の雇用者数は市場予想の「50万人」に対して「19.4万人」と大幅に増加幅が鈍化しましたが、8月分では「23.5万人」が「36.6万人」に上方修正され、7月分も「103.5万人」から「109.1万人」に上方修正されました。また失業率は、市場予想の「5.1%」から「4.8%」に改善しています。
ただ、過去2カ月分が上方修正されたとはいっても、2カ月連続で市場予想を大きく下回った「事実」は決して小さいものではないと考えます。FRBは労働市場改善の目安として「一段と顕著な進展」を掲げており、この目標からすれば、FRB首脳を落胆させる可能性もありそうです。一方で、同時に発表された平均時給を見ると、9月は前月比「0.6%」増と、4月以来の大きな伸び率を示しており、企業側がより高い賃金を提示しないと人手を確保できない状況が続いていることを示唆していると思います。企業側は、このような労働コストの上昇分を価格に転嫁していると見られ、物価上昇の要因の一つと見られます。今回の雇用統計を全体的に見れば、FRBの金融正常化へのアプローチを妨げるものではありませんが、来月の雇用統計がますます重要な意味を持ってきそうです。ただ、11月のFOMCは2〜3日(水)に開催され、雇用統計の発表はその週の5日(金)となるため、日程的には10月分を確認したうえでの開催とはなりません。
米債務上限を巡る混乱は先週7日、連邦債務の法定上限を引き上げる法案が上院で可決されたため、今後下院の採決を待たなければなりませんが、下院では可決する見込みのため、米国史上初となる「デフォルト」はひとまず回避される見込みです。成立すれば、債務上限が4800億ドル(約53兆5800億円)引き上げられますが、それでも約2カ月後には同じ問題が起こることになります。ブルームバーグによると、共和党のマコネル上院院内総務は8日、バイデン大統領に書簡を送付し、連邦債務の法定上限を巡り、次にこの問題が浮上した際には支援しない姿勢を示し、民主党が単独で行動する必要があると述べているようです。12月初旬には再びこの問題が市場に影響を与える可能性が十分あります。
米長期金利の上昇を素直に反映し、ドル円は緩やかに上昇すると見られます。2019年4月には112円40銭という高値を付けているため、目先はこの高値が意識されますが、ここを抜ければ、いよいよ2018年10月〜12月にかけてもみ合った113円台半ば〜114円台半ばのゾーンが視野に入りそうです。上でも触れたように、中国の不動産バブルの行方もあり、前回同様にこのままストレートで上昇するとも思えません。「一歩後退・二歩前進」といった展開を予想します。
本日のドル円は111円80銭〜112円60銭程度を予想します。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 10/4 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | 「リスクは上向きで、2022年にかけてインフレはさらに高進するだろう。来年の個人消費支出(PEC)コア価格指数は2.8%上昇すると予想している」 | -------- |
| 9/30 | ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 | 「テーパリングをゆっくり、かつ整然と、率直に言えば退屈なやり方で開始する時期が近く訪れると考えるグループに私は属する」、「資産購入のテーパリングを開始した後、フェデラル・ファンド(FF)金利の引き上げについて考え始めることが出来る。ただ私としては、来年遅く、ないし2023年早期まで利上げは見込んでいない」 | -------- |
| 9/27 | ラガルド・ECB総裁 | 「ユーロ圏のインフレ率はこの秋、8月に達成した3%の水準からさらに上昇する見込みだ」、「上昇の大部分は一時的なものだと引き続き考えている」 | -------- |
| 9/27 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「インフレ目標の達成において一段と大きな進展を遂げたことは明らかだと思う。雇用の最大化に向けても、非常に良い進展がある」、「私の予想通りに経済が改善し続けると仮定すれば、資産購入ペースの減速は近く正当化されるかもしれない」 | -------- |
| 9/27 | ブレイナード・FRB理事 | 雇用は依然として、一段と顕著な進展があったと私が判断する基準にわずかに届いていない」、「私が望んでいるような進展が継続すれば、その基準に近く達成する可能性がある」 | -------- |
| 9/27 | エバンス・シカゴ連銀総裁 | 「足元で見られる供給サイドに起因する一過性のインフレ率上昇では、目的を達成するには十分ではないと考える」、「2%を持続的にオーバーシュートするインフレ期間が必要」、「23年に1回の利上げを想定し、その後は極めて緩やかな傾斜になるだろう」 | -------- |
| 9/24 | メスター・クリーブランド連銀総裁 | 「景気回復が続けば労働市場の改善が継続し、来年末までにフェデラル・ファンド(FF)金利引き上げの条件も整うと見ている」 | 債券が売られ、金利が上昇。 |
| 9/22 | パウエル・FRB議長 | 「早ければ次回の会合で決定する可能性がある」、「資産購入縮小のタイミングとペースは、利上げ開始のタイミングに関して直接のシグナルを送ることを意図しない」、「中国恒大の状況は非常に中国特有のものと見受けられる。中国は新興市場国としては債務水準がかなり高い」 | ドル円110円35銭まで上昇。株高、債券安が大きく進行。 |
| 9/14 | ロウ・オーストラリア中銀総裁 | 「22年や23年初めの利上げが織り込まれる理由は理解しがたい。この期間に他の国・地域で政策金利が引き上げられる可能性はあるが、我が国の賃金とインフレの動向は全く異なる」 | 豪ドル/米ドルが小幅に下落。 |
| 9/10 | サマーズ・元財務長官 | 「2桁のインフレ率というカーター政権時代のような状況に近いとは思わないが、60年代と70年代初めに犯したほとんど全ての過ちを繰り返すという非常に深刻な危機にさらされていると考える」 | -------- |
| 9/10 | メスター・クリーブランド連銀総裁 | 「一段と顕著な進展を遂げたいという私の見解は、8月の雇用統計後も変わっていないと考える」、「年内のテーパリング開始を望む」 | -------- |
| 9/9 | エバンス・シカゴ連銀総裁 | 「昨年に経済活動が深刻かつ急激に落ち込んだ後、経済は力強く成長した。しかし、サプライチェーンや労働市場で広がるボトルネックが示すように、課題は山積している」、「新型コロナウイルスの新たな変異株が全米で健康や安全性に影響を及ぼす中、全ての共通要素は引き続き不確実性が高いということだ」 | -------- |
| 9/9 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「夏の前半には強いデータが出ていたので、私は多くの予想よりも早期のテーパリング開始支持に相当傾いていた」、「最近の弱いデータはまだ幾らかの駆け引きがある可能性を示唆したが、私は今も年内のある時点が適切だと考えている」 | -------- |
| 9/9 | ボウマン・FRB理事 | 「私が期待するようなデータが出てくれば、年内に資産購入縮小の過程に入ることは適切となる可能性が高い」、「私は入ってくるデータに勇気づけられていることに変わりはないが」、「われわれの協議結果を事前に判断したくない」 | -------- |
| 9/9 | ラガルド・ECB総裁 | 「ユーロ圏経済の回復がますます進展している」と、(今回の決定は)「テーパリングではない」、「PEPPを向こう3カ月について微調整する」 | ユーロドルの上昇が抑制される。 |
| 9/8 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | 「8月の雇用者数の伸びの弱さにもかかわらず、新型コロナウイルス対策の大規模な債券購入を段階的にする計画を進めるべきだ」 | -------- |
| 9/8 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「私が想定する通りに米経済の改善が続くならば、年内に資産購入ペースを落とし始めることは適切となり得よう」と、「今後入って来る労働市場のデータや、それが経済見通しにどのような意味を持つのかを慎重に判断していく。デルタ変異株の影響をはじめとするリスクも見極めていく」 | -------- |
| 9/1 | ワイトマン・ドイツ連銀総裁 | 物価見通しに対するリスクを注視しなければならない。私の見解は、上向きのリスクが優勢だ」、「緩和的な金融政策は依然として適切だが、インフレが加速し過ぎるリスクを無視すべきでない」 | 市場ではドル安ユーロ高がやや進む。 |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



