「ドル円は続伸し、113円台後半に」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は米長期金利が低下したにもかかわらず続伸。113円78銭までドル高が進み、2年10カ月ぶりの水準を記録。
- ユーロドルでもドル高が進む。1.1522までユーロ安が進み、こちらは1年3カ月ぶりのユーロ安を付ける。独ZEW景気期待指数が5カ月連続で悪化したことも材料に。
- 株式市場は小幅ながら3指数が揃って続落。ダウは、プラス圏とマイナス圏を上下しながらも結局下落し、117ドル安。
- 債券は反発。長期金利は1.57%台へ低下。
- 金は反発し、原油は続伸。
| ドル/円 | 113.36 〜 113.78 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1522 〜 1.1558 |
| ユーロ/円 | 130.91 〜 131.27 |
| NYダウ | −117.72 → 34,378.34ドル |
| GOLD | +3.60 → 1,759.30ドル |
| WTI | +0.12 → 80.64ドル |
| 米10年国債 | −0.035 → 1.577% |
本日の注目イベント
- 豪 豪10月ウエストパック消費者信頼感指数
- 中 中国 9月貿易統計
- 独 独9月消費者物価指数(改定値)
- 欧 ユーロ圏8月鉱工業生産
- 欧 OPEC月報
- 英 英8月鉱工業生産
- 米 9月消費者物価指数
- 米 9月財政収支
- 米 FOMC議事録(9月21−22日開催分)
- 米 G20財務相・中央銀行会議(ワシントン)
- 米 ブレイナード・FRB理事講演
- 米 ボウマン・FRB理事講演
- 米 バイデン大統領、世界のサプライチェーン問題について協議・発言
- 米 企業決算 → JPモルガン、ブラックロック
本日のコメント
前日が休場だったため休み明けの動きが注目されていた米債券市場では、落ち着いた動きとなり、長期債が買われ金利は低下しました。10年債利回りは1.57%台で取引を終えています。ドル円はそれでも続伸し、NY市場では前日の高値を更新し、113円78銭までドルが買われ、2018年12月以来となるドル高水準を付けました。昨日はドルが主要通貨に対して買われ、ユーロドルでも1.1522と、1年3カ月ぶりの水準です。前日82ドル台まで上昇したWTI原油価格は小幅な上昇に留まり、80ドル台半ばで取引を終えており、本日発表される9月の消費者物価指数を見極めたいとする姿勢が強まった1日でした。同指数は引き続き高い数値が予想されています。
そんな中、アトランタ連銀のポスティック総裁はバーチャル形式の講演で、「価格圧力を高めている今般の要因は主として激しく広範なサプライチェーンの混乱だが、それが短期間では終わらないことがますます鮮明になりつつある」と指摘し、「その点を踏まえれば、物価上昇の力は一過性のものではない」との見方を示しました。ポスティック総裁は、「一時的という言葉は禁句だ」として、「一時的」と書かれたガラス瓶を横に置き、その言葉を使うごとに1ドルを入れたと、ブルームバーグは伝えています。サプライチェーンの混乱に加えて足元の原油価格の高騰から、物価上昇圧力は一段と強まるとの見方が徐々に増えています。
一方で、クラリダFRB副議長は、インフレについて「米経済における基調的なインフレ率は、金融当局の中長期目標である2%付近で推移していると、私は引き続き考えている。今年見られる望ましくないインフレ高進については、相対的な価格調整が完了し、ボトルネックが解消されれば、最終的には大部分が一過性のものだと分かるだろう」と述べ、上記ポスティック総裁とは対照的な認識を示しています。クラリダ氏はFRBの副議長としての立場もあり、パウエル議長が「物価上昇は一時的なものだ」と述べ、未だにその認識を変えていないこともあり、やや苦しい発言だったのではとの印象が残ります。クラリダ副議長はその後、「ただし私も当局の大半の同僚と同様に、インフレに関するリスクは上方向だと考えている。引き続き基調的なインフレトレンド、特にインフレ期待の指数に注意を払っていく」と述べています。
IMFは12日、今年の世界の成長率を「5.9%」と、7月時点の予想から「0.1」ポイント引き下げました。米国の予想を「7.0%」から「6.0%」に引き下げ、中国は「8.1%」から「8.0%」に、日本は「2.4%」から「2.0%」へ引き下げています。米国の引き下げ幅が突出しており、IMFは、デルタ変異株とサプライチェーンの逼迫、インフレの加速、食料と燃料の値上がりをその理由に挙げています。新型コロナワクチンの入手が限られる低所得国を中心に一部の国の成長予想は大きく下方修正し、「危険な格差」だと警鐘を鳴らしています。
本日は米9月の消費者物価指数とFOMC議事録が注目されます。消費者物価指数は前月比で「0.2%」の上昇が見込まれています。FOMC議事録では「早ければ次回会合でテーパリングの発表がある」と記されていたこともあり、その辺りの議論と、インフレに対する多くの委員の認識も判明する可能性があります。労働市場に一抹の不安は残るものの、現時点ではテーパリング開始に向けた環境は整っていると見ています。
本日のドル円は113円10銭〜113円90銭程度と予想します。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 10/12 | クラリダ・FRB副議長 | 「米経済における基調的なインフレ率は、金融当局の中長期目標である2%付近で推移していると、私は引き続き考えている。今年見られる望ましくないインフレ高進については、相対的な価格調整が完了し、ボトルネックが解消されれば、最終的には大部分が一過性のものだと分かるだろう」 | -------- |
| 10/12 | ポスティック・アトランタ連総裁 | 「価格圧力を高めている今般の要因は主として激しく広範なサプライチェーンの混乱だが、それが短期間では終わらないことがますます鮮明になりつつある」、「その点を踏まえれば、物価上昇の力は一過性のものではない」 | -------- |
| 10/4 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | 「リスクは上向きで、2022年にかけてインフレはさらに高進するだろう。来年の個人消費支出(PEC)コア価格指数は2.8%上昇すると予想している」 | -------- |
| 9/30 | ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 | 「テーパリングをゆっくり、かつ整然と、率直に言えば退屈なやり方で開始する時期が近く訪れると考えるグループに私は属する」、「資産購入のテーパリングを開始した後、フェデラル・ファンド(FF)金利の引き上げについて考え始めることが出来る。ただ私としては、来年遅く、ないし2023年早期まで利上げは見込んでいない」 | -------- |
| 9/27 | ラガルド・ECB総裁 | 「ユーロ圏のインフレ率はこの秋、8月に達成した3%の水準からさらに上昇する見込みだ」、「上昇の大部分は一時的なものだと引き続き考えている」 | -------- |
| 9/27 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「インフレ目標の達成において一段と大きな進展を遂げたことは明らかだと思う。雇用の最大化に向けても、非常に良い進展がある」、「私の予想通りに経済が改善し続けると仮定すれば、資産購入ペースの減速は近く正当化されるかもしれない」 | -------- |
| 9/27 | ブレイナード・FRB理事 | 雇用は依然として、一段と顕著な進展があったと私が判断する基準にわずかに届いていない」、「私が望んでいるような進展が継続すれば、その基準に近く達成する可能性がある」 | -------- |
| 9/27 | エバンス・シカゴ連銀総裁 | 「足元で見られる供給サイドに起因する一過性のインフレ率上昇では、目的を達成するには十分ではないと考える」、「2%を持続的にオーバーシュートするインフレ期間が必要」、「23年に1回の利上げを想定し、その後は極めて緩やかな傾斜になるだろう」 | -------- |
| 9/24 | メスター・クリーブランド連銀総裁 | 「景気回復が続けば労働市場の改善が継続し、来年末までにフェデラル・ファンド(FF)金利引き上げの条件も整うと見ている」 | 債券が売られ、金利が上昇。 |
| 9/22 | パウエル・FRB議長 | 「早ければ次回の会合で決定する可能性がある」、「資産購入縮小のタイミングとペースは、利上げ開始のタイミングに関して直接のシグナルを送ることを意図しない」、「中国恒大の状況は非常に中国特有のものと見受けられる。中国は新興市場国としては債務水準がかなり高い」 | ドル円110円35銭まで上昇。株高、債券安が大きく進行。 |
| 9/14 | ロウ・オーストラリア中銀総裁 | 「22年や23年初めの利上げが織り込まれる理由は理解しがたい。この期間に他の国・地域で政策金利が引き上げられる可能性はあるが、我が国の賃金とインフレの動向は全く異なる」 | 豪ドル/米ドルが小幅に下落。 |
| 9/10 | サマーズ・元財務長官 | 「2桁のインフレ率というカーター政権時代のような状況に近いとは思わないが、60年代と70年代初めに犯したほとんど全ての過ちを繰り返すという非常に深刻な危機にさらされていると考える」 | -------- |
| 9/10 | メスター・クリーブランド連銀総裁 | 「一段と顕著な進展を遂げたいという私の見解は、8月の雇用統計後も変わっていないと考える」、「年内のテーパリング開始を望む」 | -------- |
| 9/9 | エバンス・シカゴ連銀総裁 | 「昨年に経済活動が深刻かつ急激に落ち込んだ後、経済は力強く成長した。しかし、サプライチェーンや労働市場で広がるボトルネックが示すように、課題は山積している」、「新型コロナウイルスの新たな変異株が全米で健康や安全性に影響を及ぼす中、全ての共通要素は引き続き不確実性が高いということだ」 | -------- |
| 9/9 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「夏の前半には強いデータが出ていたので、私は多くの予想よりも早期のテーパリング開始支持に相当傾いていた」、「最近の弱いデータはまだ幾らかの駆け引きがある可能性を示唆したが、私は今も年内のある時点が適切だと考えている」 | -------- |
| 9/9 | ボウマン・FRB理事 | 「私が期待するようなデータが出てくれば、年内に資産購入縮小の過程に入ることは適切となる可能性が高い」、「私は入ってくるデータに勇気づけられていることに変わりはないが」、「われわれの協議結果を事前に判断したくない」 | -------- |
| 9/9 | ラガルド・ECB総裁 | 「ユーロ圏経済の回復がますます進展している」と、(今回の決定は)「テーパリングではない」、「PEPPを向こう3カ月について微調整する」 | ユーロドルの上昇が抑制される。 |
| 9/8 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | 「8月の雇用者数の伸びの弱さにもかかわらず、新型コロナウイルス対策の大規模な債券購入を段階的にする計画を進めるべきだ」 | -------- |
| 9/8 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「私が想定する通りに米経済の改善が続くならば、年内に資産購入ペースを落とし始めることは適切となり得よう」と、「今後入って来る労働市場のデータや、それが経済見通しにどのような意味を持つのかを慎重に判断していく。デルタ変異株の影響をはじめとするリスクも見極めていく」 | -------- |
| 9/1 | ワイトマン・ドイツ連銀総裁 | 物価見通しに対するリスクを注視しなければならない。私の見解は、上向きのリスクが優勢だ」、「緩和的な金融政策は依然として適切だが、インフレが加速し過ぎるリスクを無視すべきでない」 | 市場ではドル安ユーロ高がやや進む。 |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



