「ドル円1週間ぶりに113円台半ばまで売られる」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は反落。米長期金利が低下したことで一旦ドルロングを手仕舞う動きもあり、113円42銭まで売られる。
- ユーロドルはやや水準を切り上げたものの、1.16台半ばが抜け切れず。
- 株式市場はまちまちながらダウは上昇し、約2カ月ぶりに最高値を更新。
- 債券は反発し長期金利は前日の1.7%台から1.63%台へと急低下。
- 金と原油は揃って反発。
10月マークイット製造業PMI(速報値) → 59.2
10月マークイットサービス業PMI(速報値) → 58.2
8月マークイットコンポジットPMI(速報値) → 57.3
9月財政収支 → −615億ドル
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| ドル/円 | 113.42 〜 113.91 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1622 〜 1.1656 |
| ユーロ/円 | 131.92 〜 132.54/td> |
| NYダウ | +73.94 → 35,677.02ドル |
| GOLD | +14.40 → 1,796.30ドル |
| WTI | +1.26 → 83.76ドル |
| 米10年国債 | −0.069 → 1.632% |
本日の注目イベント
- 日 8月景気先行指数(CI)
- 独 独10月ifo景況感指数
本日のコメント
トルコリラが先週に引き続き再び安値を更新しています。トルコのエルドアン大統領は米独仏など西側10カ国の駐トルコ大使を、「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」に指定すると演説し、国外追放を警告しました。きっかけはトルコ人実業家で人権活動家、オスマン・カバラ氏の釈放を求めた10大使館の共同声明にあるようです。エルドアン氏は、「外務省に対して、10人の大使のペルソナ・ノン・グラータ指定を迅速に処理するよう必要な指示を行った」と説明しています。この発言を受け、トルコリラは対米ドルで1%強売られ、対円でも今朝は11円50銭台で取引が開始されています。先週は高インフレが続いているにもかかわらず、「高金利は悪」と言い放ち、強硬に政策金利を引き下げリラ売りを誘いましたが、今度は自身の独裁政治を批判する人権派に同調する動きを封じ込めるという「暴挙」に出ました。通貨安がさらにインフレを加速する可能性もあり、リラ円の底値が見えない展開です。
パウエル議長は先週末バーチャル形式のパネル討論会で、「われわれは資産購入のテーパリング開始へと順調に向かっており、経済がおおむね想定通り展開すれば、来年半ばまでに完了する見通しだ」としつつ、「私はテーパリングを始める時が来たと考えているが、利上げの時期とは考えていない」と述べ、改めて利上げはまだ先であることを強調しています。また、イエレン財務長官はNCCの番組で、「米国がインフレに対するコントロールを失いつつあるとは考えていない」と発言し、米国がインフレリスクを十分留意していないとするサマーズ元財務長官の批判に反論しています。(ブルームバーグ)イエレン氏はさらに足元のインフレの高進について、「このところ経験しているようなインフレは米国では長い間みられなかった。しかし正常に戻る中でこれも終わると予想する」と語っています。これら一連の発言から、FRB執行部や財務長官は、物価上昇は一時的であるとの見方を依然として崩していないことがうかがえます。
バイデン大統領は、米国は台湾を守るコミットメントがあり、台湾が中国から攻撃を受けた場合には米国が防衛に向うと表明しました。大統領はCNNがメリーランド州ボルティモアで行ったタウンホール集会で、「中国は、米国は世界最強の軍を有していることを知っている」と述べ、懸念するのは中国が深刻な間違いを犯しかねない活動に従事していることだ」と付け加えていました。中国は台湾海峡での圧力を強め、台湾が西側諸国との経済的結びつきを強めていることに対しても批判し、警戒を強めています。半導体受託生産の世界的大手である台湾のTSMCがソニーと共同で熊本に半導体生産工場を建設することに伴い、日本政府がその資金(4000億円程度)半分を拠出することや、台湾外交トップがスロバキアやチェコなど欧州諸国を歴訪し、経済外交を推し進めていることに強く反発しています。
ドル円は113円台半ばまで下落してきましたが、これは米長期金利の低下に伴った動きであり、これも想定内と言えます。ただ、ドル円が111円台から114円台まで上昇した際のスピードと、先週の動きは明らかに異なってきました。米国のテーパリング開始は完全に相場に織り込まれ、中国恒大集団を始め中国不動産リスクが徐々に表面化する中で、円に対する見方にもやや変化が出て来た可能性があります。そのため「調整局面」も想定以上に長くなることも予想されますが、ドルの上昇トレンドにまだ変化はないとみています。
本日のドル円は113円20銭〜114円程度を予想します。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 10/24 | イエレン・財務長官 | 「米国がインフレに対するコントロールを失いつつあるとは考えていない」、「このところ経験しているようなインフレは米国では長い間みられなかった。しかし正常に戻る中でこれも終わると予想する」 | -------- |
| 10/22 | パウエル・FRB議長 | 「われわれは資産購入のテーパリング開始へと順調に向かっており、経済がおおむね想定通り展開すれば、来年半ばまでに完了する見通しだ」、「私はテーパリングを始める時が来たと考えているが、利上げの時期とは考えていない」 | -------- |
| 10/21 | メスター・クリーブランド連銀総裁 | 「利上げに関する検討は当面、全く考えられない」 | -------- |
| 10/21 | ウォラー・FRB理事 | 「今後数カ月間が極めて重要だ」、「当局は来年の政策スタンスにおいて、私が予測していたよりずっと積極的になる必要があるだろう」、「この状況が続くだろうと私が想定していたよりも、ずっと大きな上振れリスクがある」 | -------- |
| 10/20 | クオールズ・FRB理事 | 「こうした買い入れの縮小開始を11月の会合で決定することを、私は支持するだろう」、(現在の高インフレについて)「一過性だとの見方に賛同する」とし、(米当局は金融政策で)「後手に回ってはいない」 | -------- |
| 10/19 | ウォラー・FRB理事 | 「金融当局の責務のうち雇用に関してはなお改善の余地があるものの、十分な前進を遂げたため、資産購入のテーパリングを2週間後のFOMCの後に始めるべきだと私は考える」、「2022年に入ってもインフレ率が2%をかなり上回って、私の上振れリスクが現実化した場合は、現在の予想よりも早い利上げを支持するだろう」 | ドル円114円前後から114円台半ばに上昇。米10年債は売られ、長期金利は5カ月ぶりに1.64%台まで上昇。 |
| 10/14 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | 「高インフレ状態は向こう半年で自然に解消する可能性はいくらかあるが、それを金融当局者として当てにできるほど確かだとは言えない」と「テーパリングを11月に開始し、2022年1−3月末までに完了させることを支持している」 | -------- |
| 10/14 | ゴーマン・モルガンスタンレーCEO | 「このバブルに少し穴を開ける必要がある」、「マネーは現在やや自由になり過ぎ、あまりに簡単に利用できる状態にある」、「賃金上昇とサプライチェーンのボトルネック、商品価格の急騰がインフレを押し上げている。それら全てが一過性というわけではなく、金融当局は現在の想定よりやや積極的に動かざるを得なくなるだろう」 | -------- |
| 10/12 | イエレン・財務長官 | (物価上昇について) 「それは一時的と考えているが、そうした圧力が向こう1、2カ月で消えると示唆しているのではない」 | -------- |
| 10/12 | クラリダ・FRB副議長 | 「米経済における基調的なインフレ率は、金融当局の中長期目標である2%付近で推移していると、私は引き続き考えている。今年見られる望ましくないインフレ高進については、相対的な価格調整が完了し、ボトルネックが解消されれば、最終的には大部分が一過性のものだと分かるだろう」 | -------- |
| 10/12 | ポスティック・アトランタ連総裁 | 「価格圧力を高めている今般の要因は主として激しく広範なサプライチェーンの混乱だが、それが短期間では終わらないことがますます鮮明になりつつある」、「その点を踏まえれば、物価上昇の力は一過性のものではない」 | -------- |
| 10/4 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | 「リスクは上向きで、2022年にかけてインフレはさらに高進するだろう。来年の個人消費支出(PEC)コア価格指数は2.8%上昇すると予想している」 | -------- |
| 9/30 | ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 | 「テーパリングをゆっくり、かつ整然と、率直に言えば退屈なやり方で開始する時期が近く訪れると考えるグループに私は属する」、「資産購入のテーパリングを開始した後、フェデラル・ファンド(FF)金利の引き上げについて考え始めることが出来る。ただ私としては、来年遅く、ないし2023年早期まで利上げは見込んでいない」 | -------- |
| 9/27 | ラガルド・ECB総裁 | 「ユーロ圏のインフレ率はこの秋、8月に達成した3%の水準からさらに上昇する見込みだ」、「上昇の大部分は一時的なものだと引き続き考えている」 | -------- |
| 9/27 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「インフレ目標の達成において一段と大きな進展を遂げたことは明らかだと思う。雇用の最大化に向けても、非常に良い進展がある」、「私の予想通りに経済が改善し続けると仮定すれば、資産購入ペースの減速は近く正当化されるかもしれない」 | -------- |
| 9/27 | ブレイナード・FRB理事 | 雇用は依然として、一段と顕著な進展があったと私が判断する基準にわずかに届いていない」、「私が望んでいるような進展が継続すれば、その基準に近く達成する可能性がある」 | -------- |
| 9/27 | エバンス・シカゴ連銀総裁 | 「足元で見られる供給サイドに起因する一過性のインフレ率上昇では、目的を達成するには十分ではないと考える」、「2%を持続的にオーバーシュートするインフレ期間が必要」、「23年に1回の利上げを想定し、その後は極めて緩やかな傾斜になるだろう」 | -------- |
| 9/24 | メスター・クリーブランド連銀総裁 | 「景気回復が続けば労働市場の改善が継続し、来年末までにフェデラル・ファンド(FF)金利引き上げの条件も整うと見ている」 | 債券が売られ、金利が上昇。 |
| 9/22 | パウエル・FRB議長 | 「早ければ次回の会合で決定する可能性がある」、「資産購入縮小のタイミングとペースは、利上げ開始のタイミングに関して直接のシグナルを送ることを意図しない」、「中国恒大の状況は非常に中国特有のものと見受けられる。中国は新興市場国としては債務水準がかなり高い」 | ドル円110円35銭まで上昇。株高、債券安が大きく進行。 |
| 9/14 | ロウ・オーストラリア中銀総裁 | 「22年や23年初めの利上げが織り込まれる理由は理解しがたい。この期間に他の国・地域で政策金利が引き上げられる可能性はあるが、我が国の賃金とインフレの動向は全く異なる」 | 豪ドル/米ドルが小幅に下落。 |
| 9/10 | サマーズ・元財務長官 | 「2桁のインフレ率というカーター政権時代のような状況に近いとは思わないが、60年代と70年代初めに犯したほとんど全ての過ちを繰り返すという非常に深刻な危機にさらされていると考える」 | -------- |
| 9/10 | メスター・クリーブランド連銀総裁 | 「一段と顕著な進展を遂げたいという私の見解は、8月の雇用統計後も変わっていないと考える」、「年内のテーパリング開始を望む」 | -------- |
| 9/9 | エバンス・シカゴ連銀総裁 | 「昨年に経済活動が深刻かつ急激に落ち込んだ後、経済は力強く成長した。しかし、サプライチェーンや労働市場で広がるボトルネックが示すように、課題は山積している」、「新型コロナウイルスの新たな変異株が全米で健康や安全性に影響を及ぼす中、全ての共通要素は引き続き不確実性が高いということだ」 | -------- |
| 9/9 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「夏の前半には強いデータが出ていたので、私は多くの予想よりも早期のテーパリング開始支持に相当傾いていた」、「最近の弱いデータはまだ幾らかの駆け引きがある可能性を示唆したが、私は今も年内のある時点が適切だと考えている」 | -------- |
| 9/9 | ボウマン・FRB理事 | 「私が期待するようなデータが出てくれば、年内に資産購入縮小の過程に入ることは適切となる可能性が高い」、「私は入ってくるデータに勇気づけられていることに変わりはないが」、「われわれの協議結果を事前に判断したくない」 | -------- |
| 9/9 | ラガルド・ECB総裁 | 「ユーロ圏経済の回復がますます進展している」と、(今回の決定は)「テーパリングではない」、「PEPPを向こう3カ月について微調整する」 | ユーロドルの上昇が抑制される。 |
| 9/8 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | 「8月の雇用者数の伸びの弱さにもかかわらず、新型コロナウイルス対策の大規模な債券購入を段階的にする計画を進めるべきだ」 | -------- |
| 9/8 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「私が想定する通りに米経済の改善が続くならば、年内に資産購入ペースを落とし始めることは適切となり得よう」と、「今後入って来る労働市場のデータや、それが経済見通しにどのような意味を持つのかを慎重に判断していく。デルタ変異株の影響をはじめとするリスクも見極めていく」 | -------- |
| 9/1 | ワイトマン・ドイツ連銀総裁 | 物価見通しに対するリスクを注視しなければならない。私の見解は、上向きのリスクが優勢だ」、「緩和的な金融政策は依然として適切だが、インフレが加速し過ぎるリスクを無視すべきでない」 | 市場ではドル安ユーロ高がやや進む。 |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



