「米11月のPPI年率で9.6%の上昇」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- FOMCを控え小動きの中、米11月のPPIが年率で9.6%の伸びを見せたことで長期金利が上昇。ドル円は113円76銭まで買われた。
- ドル高が進む中、ユーロを買い戻す動きは限定的となり、1.13台前半から半ばが徐々に重くなる展開が続く。
- 株式市場は続落。PPIの上振れを嫌気し、3指数とも揃って大幅安に。
- 債券は反落。長期金利は1.44%へと小幅に上昇。
- 金と原油はともに反落。
11月生産者物価指数 → 9.6%
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| ドル/円 | 113.43 〜 113.76 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1254 〜 1.1318 |
| ユーロ/円 | 128.00 〜 128.50 |
| NYダウ | −106.77 → 35,544.18 |
| GOLD | −16.00 → 1,772.30ドル |
| WTI | −0.56 → 70.73ドル |
| 米10年国債 | +0.026 → 1.441% |
本日の注目イベント
- 豪 豪12月ウエストパック消費者信頼感指数
- 中 中国11月小売売上高
- 中 中国11月鉱工業生産
- 英 英11月消費者物価指数
- 米 12月NY連銀製造景況業指数
- 米 11月小売売上高
- 米 11月輸入物価指数
- 米 12月NAHB住宅市場指数
- 米 FOMC 政策金利発表
- 米 パウエル議長記者会見
本日のコメント
消費者物価指数(CPI)と歩調を合わせるかのように、米11月の生産者物価指数(PPI)も記録的な伸びを見せました。総合PPIは前年比で「9.6%」上昇し、統計でさかのぼれる2010年以降で最大の伸びでした。変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPPIも前年比で「7.7%」と過去最大の伸びでした。物流網のボトルネックや堅調な需要、さらに労働力の制約といった状況の中、原材料の価格は今年に入り急速に上昇しています。多くの事業者はそうしたコスト上昇分を値上げという形で消費者に転嫁しており、このままでいけば、2022年1−3月期のCPIも引き続き高い伸びを見せる可能性がありそうです。
記録的なPPIの伸びを受けて、各市場の反応はこれまでとはやや異なり単純な「リスクオフ」ではなかったようです。株式市場では金利上昇を嫌い、前日に続き主要3指数が揃って続落しましたが、債券も売られ金利上昇を受けてドル円は113円76銭までドルが買われています。明日の朝方発表されるFOMCでは、テーパリングが加速されることがほぼ規定路線と見られており、高いPPIの伸びがさらにその可能性を高めた側面もあります。ブルームバーグ・エコノミクスは、FOMCが債券購入の縮小額を300億ドル(約3兆4000億円)と、これまでの2倍にし、購入を来年3月に停止することを表明するとともに、物価圧力を「一過性」と表現しないといった見方を示すと予想しています。また、金利予測分布図に基づく2022年の利上げ予想回数は3回になるとみています。注意したいのは、仮にこの予想通りであっても、市場では予想がほぼ織り込まれており、必ずしもドルが買われるわけではないという事です。筆者は来年の利上げ回数は2回と予想しており、金利予測分布図が3回を示唆するようだと、さすがにドル高に振れる公算は高いとは思いますが、今回のFOMCでのタカ派寄りの決定はかなり織り込まれているのも事実です。ドル安材料にはならないとしても、どこまでドルを押し上げるドライバーになるのか見極める必要があります。
オミクロン株を巡る情報が引き続き市場に飛び交っています。ファイザーは14日、同社が開発中の新型コロナウイルス感染症経口薬「パクスロビト」について、入院が必要になるほどの重症化を防ぐかなりの効果があるが、ワクチン接種後のブレークスルー感染に関係することが多いより軽度の症状を消すにはそれほど有効でないことが、二つの研究報告で示されたと発表しました。同社の資料によれば、「パクスロビト」はコロナ合併症を起こす標準リスクのある673人を対象に実施したところ、自覚症状を減らす主要目的を達成できなかった。ただ、このグループでは入院が70%減る傾向が見られたそうです。また別の研究では、発症から3日以内に「パクスロビト」を使用した場合、高リスクのワクチン未接種患者の入院をなお89%防ぐ効果が確認されたとも報告されています。(ブルームバーグ)一方WHOのテドロス事務局長は「このウイルスを過小評価すれば危険を冒すことになると、これまでにわれわれが学んだのは確かだ」と述べ、オミクロン株について、従来のどのウイルス型よりも急速に広がっているにもかかわらず、軽症として片付けられてしまうことに警鐘を鳴らしています。
記録的な伸びを見せたCPIとPPIの結果を認識した中でのFOMCですが、パウエル議長がどこまでタカ派的な姿勢に傾くのかも注目されます。オミクロン株への懸念も日増しに高まってきており、今後景気拡大の足かせになる可能性もくすぶる状況ですが、一方でケンタッキー州などで起きた竜巻被害の影響もあり、今後も物価上昇が鎮静化する兆しはありません。サマーズ元財務長官は「インフレの大きな減速を見込める説得力のある根拠はない」と、引き続き厳しいコメントをしています。パウエル議長の発言を待ちたいと思います。
本日のドル円は113円30銭〜114円30銭程度を予想しています。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 12/3 | サマーズ・元財務長官 | 「インフレの数値がどうなるかに左右されるが、私だったら来年4回の利上げを示唆するだろう」、「それは衝撃になるが、衝撃は信頼回復には必要なことだ」 | -------- |
| 12/2 | ポスティック・アトランタ連銀総裁 | 「利上げ前倒しが適切となるかもしれない」、「そうだとすれば、その選択肢がなくてはならない」、(資産購入を来年1−3月期に向けて終わらせることは)「われわれの利益にかなう」 | -------- |
| 12/1 | パウエル・FRB議長 | 「インフレ高進が根強く続くリスクが明らかに高まった」、(金融当局の)「政策はそうした状況に合わせて適応してきたし、今後も適応していく」、「現在起きている高インフレが定着しないよう、当局として手段を講じていくことを約束したい」 | -------- |
| 11/30 | パウエル・FRB議長 | 「インフレ高進という形で恒久的な影響を残さないという意味で、われわれはこの表現を使う傾向がある」、「この言葉を使うのをやめ、われわれが意味するところのもっと明確な説明に努める良いタイミングと思う」 | ドル円は112円台半ばから113円台半ばへ上昇。株価は下げが加速。 |
| 11/29 | パウエル・FRB議長 | 「このところの新型コロナ新規感染の増加とオミクロン株の発生は、雇用と経済活動に下振れリスクとなるとともに、インフレ動向を巡る不確実性の高まりをもたらした」、「ウイルスに関する懸念が強まれば、対面での勤務の意欲がそがれ、労働市場の前進を遅らせてサプライチェーンの混乱を深めることになる」 | -------- |
| 11/24 | デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 | 「これまでの状況が続けば、私はテーパリングのペース加速を全面的に支持するだろう」と述べ、「それを加速させるべき論拠は確かにある。次回の会合前に発表される重要なデータは2つある」、「これまで発表された雇用の数字の一部が上方向に修正されたことを示している。雇用市場では人員採用が実に活発に続いているようだ」、「インフレの数字については、月間ベースで数カ月にわたって減速した後、CPIの月間の数字が再び高進した。これが続けば、これらはテーパリングの加速が必要なようだと示唆するものになる」 | -------- |
| 11/24 | FOMC議事録(11月2、3日分) | 「幾人かの参加者は、インフレがFOMCの目標と整合する水準を上回る状態が続いた場合に、FOMCは資産購入ペースを調整し、フェデラル・ファンド金利誘導目標レンジの引き上げ開始を参加者が現在想定する時期から早める準備を整えるべきだと主張した」 | -------- |
| 11/19 | ウォラー・FRB理事 | 「労働市場の急速な改善とインフレデータの悪化を受け、私はテーパリングを加速し、来年には金融緩和をより急速に解除することを支持する方向に傾いておる」、「最新のデータを見守るつもりだが、金融政策はこれに基づいてテーパリング加速の方向へとかじを切る必要があるかもしれないと考える」 | -------- |
| 11/18 | エバンス・シカゴ連銀総裁 | 「資産購入プログラム終了後の来年に始まるか、2023年にずれ込む可能性がある」、「こうした大幅上昇は剥落し始めるだろう。インフレ率を2%に近づける可能性のある多くの要因があると考える」 | -------- |
| 11/18 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「米国の長期インフレ期待はかなり上昇した」、「長期インフレ期待のさらなる上昇は望ましくない」 | -------- |
| 11/16 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | 「インフレのリスクを適切に管理するためには、FOMCは次の会合でよりタカ派的な方向に進むべきだ」、「これまでも提案してきたが、議論したいもう一つの案は、テーパリングが終わった時点で決定を待たずにバランスシートのランオフ(償還に伴う保有資産の減少)を認めることだ」、「これを行えば、若干ながらよりタカ派的な政策となると思う」 | 経済指標の上振れもあり、ドル円は114円台前半から114円85銭までドル高に振れる。 |
| 11/16 | RBA議事録要旨 | 「インフレ見通しのリスクが変化し、予想される結果の分布は上向きにシフトした」、「忍耐強くある用意がある」、「現在のペースの量的緩和継続が適切だと思われる」 | 豪ドル円は83円台後半から84円台に上昇。 |
| 11/15 | ベイリー・BOE総裁 | (インフレの状況を)「非常に懸念している」、「労働市場は逼迫している」、(今月利上げを見送ったことについては)、「非常にぎりぎりの決断だった」と語っています。 | -------- |
| 11/15 | サマーズ・元財務長官 | 「バイデン政権によるFRBの人事では、インフレ抑制という課題を認識する必要があり、それが金融政策全般に反映されるべきだ」、「過度のインフレとそれが抑制されていないという感覚が、リチャード・ニクソンとロナルド・レーガンの当選を後押しした。ドナルド・トランプ氏が権力を取り戻すリスクもある」 | -------- |
| 11/14 | サマーズ・元財務長官 | (インフレの勢いは)、「重大な政策調整またはインフレ率が2%のレンジに戻る前に景気を減速させる不幸なアクシデントをもたらす水準にまで積み上がっている」 | -------- |
| 11/14 | イエレン・財務長官 | 「今回のインフレの要因は新型コロナウイルスだと認識することが重要だ」、「インフレ率を下げたいのであれば、われわれが出来る最も重要なことはコロナ対策で進展し続けることだと考える」、(インフレがどこまで続くかについては)、「労働供給や需要パターンが正常化すれば、インフレ率が2022年後半までに鈍化し、物価は正常に戻ると考える」 | -------- |
| 11/14 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 家計が支払っている高い価格は本物で、人々は現在その傷みを経験している」、「われわれはそれを非常に深刻に受け止める必要があるが、その痛みが本物であっても、そうした一時的な要因の一部に過剰反応する必要がないというのが私の見解だ」 | -------- |
| 11/10 | デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 | 「利上げに関するわれわれの計算式を変更し始めるのは、まだ時期尚早だろう」 | -------- |
| 11/8 | クラリダ・FRB副議長 | 「利上げを検討するのはまだずっと先だということは明らかだ」、「フェデラル・ファンド(FF)金利誘導目標を引き上げるために必要な3条件は、2022年末までに達成されていると確信する」、「今年のインフレは現時点で、長期目標の2%を『適度に』上回るというものを著しく上回っていると自分には見受けられる。来年も同様の状況となるなら、政策として成功とは見なさない」 | 「利上げはまだ先だ」との発言に反応し、ドル円は113円08銭まで下落。 |
| 11/8 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | 「必要に応じてテーパリングを幾分か早期に終了することは可能だ」、「来年に2回の利上げを予想している」 | -------- |
| 11/8 | ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 | 「テーパリング完了前にFF金利誘導目標を引き上げることはないだろう。しかしわれわれはインフレ動向を非常に注意深く監視しており、適切な状況となれば行動を取る用意がある」 | -------- |
| 11/5 | ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 | 「サプライチェーンが正常化し、需要が弱まるにつれ、インフレはいずれ落ち着くと想定するのが妥当だが、高いインフレが長期化するリスクが高まったことも同様に明白だ」、「こうしたインフレ圧力を前に、辛抱強くなれるとの主張は説得力が薄れた」 | -------- |
| 11/4 | ベイリー・BOE総裁 | 「インフレ率を将来的に目標以下に引き下げる公算が大きいであろう規模の利上げ予想に対しては警告する」 | ポンド円は156円前後から153円台前半まで急落。 |
| 11/3 | FOMC声明文 | 「委員会は月間の資産買入れペースを縮小し始めることを決定した。委員会は資産の純買い入れ額を毎月同様のペースで減らすことが適切ある公算が大きいと判断するが、経済見通しの変化によりそれが正当化される場合は購入ペースを調整する用意がある」、「委員会が判断する最大限の雇用水準と労働市場の環境が整合的になるまで、またインフレが2%に上昇し、一定期間2%を適度に超える軌道に乗るまで、この目標レンジ(ゼロ−0.25%)を維持することが適切になると予想する」 | -------- |
| 11/3 | パウエル・FRB議長 | 「われわれは辛抱強くなれると考えている。対応が必要な状況になれば、ちゅうちょしない」、「現在は利上げに適した時期とは考えていない。労働市場の一段の回復を目にしたいからだ」、「インフレは高水準にあり、これは主として一過性と予想される要因を反映している」 | ドル円は113円70銭台から114円台前半まで上昇。株式市場の好感し、3指数が揃って最高値を更新。 |
| 11/2 | RBA声明文 | 「景気の改善を背景に利回り目標を撤廃した」、「オーストラリアの金融情勢は高度に緩和的」、「インフレ率は上昇しているが、基調はなお低い」、「今年と来年の基調的なインフレ率が2.25%前後と予想」 | 豪ドル円は85円60銭近辺から85円10銭まで下落。 |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



