今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「米長期金利、FOMC議事録を受け1.71%前後まで急伸」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • 堅調だったドル円は欧州時間からNYにかけては売られ、115円62銭前後まで下落。NYではFOMC議事録が公開され、米長期金利の上昇に伴い116円台を回復。116円18銭まで反発。
  • ユーロドルは小幅に水準を切り上げ、1.13台で推移。
  • 株式市場は前日までの「リスクオン」が急速に後退し大幅安に。公開されたFOMC議事録がタカ派的であったことから3指数が大きく売られ、中でもナスダッックは3.3%の下落。
  • 債券は急落。タカ派的なFOMC議事録を受け、長期金利は一時1.71%前後まで上昇。
  • 金は続伸。原油価格も3日続伸。
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12月ADP雇用者数 → 80.7万人
12月マークイットサービス業PMI(速報値) → 57.6
12月マークイットコンポジットPMI(速報値) → 57.0
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ドル/円 115.68 〜 116.18
ユーロ/ドル 1.1303 〜 1.1346
ユーロ/円 130.87 〜 131.60
NYダウ −392.54 → 36,407.11
GOLD +10.50 → 1,825.10ドル
WTI +0.86 → 77.85ドル
米10年国債 +0.058 → 1.705%

本日の注目イベント

  • 中 12月財新サービス業PMI
  • 中 12月財新コンポジットPMI
  • 独 独12月消費者物価指数(速報値)
  • 独 独11月製造業新規受注
  • 欧 ユーロ圏11月生産者物価指数
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 11月貿易収支
  • 米 11月製造業受注
  • 米 12月ISM非製造業景況指数
  • 米 トランプ前大統領、議事堂乱入事件から1年で記者会見(中止)
  • 米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演(オンライン)
  • 加 カナダ11月貿易収支

本日のコメント

『NYでは「リスクオン」もそろそろ一旦後退するタイミングも近いと予想しますが、どうでしょうか。』昨日の本欄でこのようなコメントを残しましたが、昨日のNY市場では正に、これまで市場を覆っていた楽観論が急速にしぼみ、株価が大きく下げました。年明け連日で最高値を更新し翌日急落するなど、この辺りも今年の相場を予感させるような動きです。

昨年12月14−15日に開催されたFOMC議事録が引き金を弾きました。議事録では、経済が力強さを増し、インフレが加速すれば、従来想定よりも早期かつ迅速に利上げに踏み切ることもあり得るとの見方が示され、一部のメンバーはバランスシート縮小を利上げ後の早い時期に開始することが望ましいとの見解を明らかにしました。「参加者は概して、経済や労働市場、インフレについての個々の見通しに基づきフェデラル・ファンド(FF)金利を参加者の従来想定よりも早期に、あるいは迅速に引き上げることが正当化される可能性があることに留意した」と議事録には記されています。議事録ではまた、「FF金利引き上げ開始後の比較的早い時期に、連邦準備制度のバランスシートの規模を縮小し始めることが適切になり得ると、一部の参加者が留意した」とも書かれています。(ブルームバーグ)

議事録の内容が予想以上に「タカ派的」だったことから、3月の利上げが確実視され、さらにFRBが保有する資産の売却まで議論されたことで、債券市場では債券価格が急落し、長期金利は一時昨年4月以来となる1.71%近辺まで上昇しました。「リスクオン」が急速に後退したことから、年明けから最高値を更新して来たNYダウやS&P500は大きく下げ、特に金利上昇に弱いとされるナスダック指数は、前日比522ポイント安と、3.3%の下落を記録しました。利益確定の売りが膨らんだことで下落幅が拡大したものと思われますが、「リスクオン」が後退したことで、本来ならドル円でも「円買い」が急速に進むところですが、今回のケースでは「早期の利上げ観測」に株価は反応したものの、長期金利の急上昇からドル円はサポートされる展開になっています。

ドル円は昨日の東京時間では115円台後半が維持されていましたが、欧州時間ではジリジリと値を下げ、115円62銭辺りまで売られる場面もありました。ただ、米長期金利との相関が強いドル円はNYでは再び116円台まで反発しています。恐怖指数と呼ばれる「VIX指数」が一気に「19.3」前後まで急上昇したことを考えると、円がいかに米金利に左右されるかが理解できると思います。今後FRBは粛々と利上げを実施していくことになりそうですが、もし米株価がさらに下落し「調整局面入り」するようなら、さすがにドル円も円高方向に振れる可能性があるとみています。引き続きインフレの動向がカギを握りそうですが、昨日発表された12月のADP雇用者数では市場予想を大きく超える「80.7万人」でした。これは昨年5月以来の高水準で、7カ月ぶりの大幅増加でした。米労働市場では引き続き労働人口が増え、過去最高水準に増えている求人に求職者が応じている状況がうかがえます。FRBの金融政策判断にとって極めて重要な労働市場で改善傾向がみられたことも、FRBのタカ派的なメンバーを後押することになりますが、明日の雇用統計本番でも良好な数字が予想されます。

本日は日本株の動向をにらみながらの展開で、ドル円は115円60銭〜116円40銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
1/5 FOMC議事録 「参加者は概して、経済や労働市場、インフレについての個々の見通しに基づきフェデラル・ファンド(FF)金利を参加者の従来想定よりも早期に、あるいは迅速に引き上げることが正当化される可能性があることに留意した」、「FF金利引き上げ開始後の比較的早い時期に、連邦準備制度のバランスシートの規模を縮小し始めることが適切になり得ると、一部の参加者が留意した」 ナスダックが3.3%など株価は大幅下落。債券も売られ、長期金利は1.71%まで上昇。ドル円は115円台半ばから116円台前半まで買われる。
1/4 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「私が想定した以上にインフレが高く、かつ根強いため、私は2回の利上げ予想を2022年に前倒しさせた」、「根本的には、新たな高インフレのレジームに入るよりも、過去20年にわたって続いてきた低インフレのレジームに最終的には戻る可能性が高いと確信している」、「しかし、高インフレレジームに陥ることのコストは、低インフレレジームに最終的に戻ることのコストよりも大きくなる可能性が高い」 --------
12/23 サマーズ・元財務長官 「インフレ動向はかなり深刻となっている」、「今後リセッション(景気後退)に陥った後にスタグネーション(停滞)に見舞われるリスクがあり、これから何年間かは困難な局面が懸念される」 --------
12/22 ホルツマン・オーストリア中銀総裁 「インフレ率が予想に沿って低下しなければ当局者にとって『警鐘』がなるだろう」、「従来の資産購入プログラムであるAPPを終了すれば、その後の利上げがあるという『非常に強いシグナル』を市場に送ることになる」 ユーロドル1週間ぶりに1.1342近辺まで上昇。
12/17 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 「米経済が、私の予想通り勢いを増し、新型コロナウイルスを切り抜けるように、1四半期は成長が低迷してもその後は回復するといった状況であれば、来年2、3回の利上げは適切だと思う」 --------
12/17 ウィリアムズ・NY連銀総裁 米金融政策スタンスを好位置に置くということだ。もちろん、来年のある時点でフェデラル・ファンド(FF)金利誘導目標の引き上げを実際に開始し得るという選択肢を作るという意味もある」、「実際に利上げとなれば、景気サイクルのどの時点にいるかという観点で前向きな展開を示す兆候となろう」 --------
12/17 ウォラー・FRB理事 テーパリング加速で最も重要な点は、当初よりずっと早い3月にプログラムを終了させることだ。それにより3月の会合で政策金利の変更があり得る。テーパリング加速の意図はそこにある」、「今後入手するデータの内容にもよるが、3月は利上げ開始を決定し得る会合になり得る」、「オミクロン株による深刻な影響が労働市場の改善や失業率の低下を遅らせるようなことがない限り、3月が利上げの開始検討の重要な時期から外れることはない」、「私の見通しでは、3月に利上げを決定する可能性は極めて高い」 --------
12/16 ラガルド・ECB総裁 「以前にも述べたように、2022年に利上げする可能性は極めて低い。これは変わっていない」、「インフレ見通しには上振れリスクがある可能性もある」 ユーロドル下落。
12/15 パウエル・FRB議長 「10月の雇用統計や7−9月の雇用コスト指数の力強い数値に加え、1990年以来の大幅上昇となった10月のCPIを受けて、CPI発表後の週末に資産購入のテーパリング加速の必要があると認識し、当局としてそのための作業に着手した」 --------
12/15 FOMC声明文 FRBは現在の困難な時期に米経済を支えるため、あらゆる手段を用い、それによって最大限の雇用と物価安定という目標を促進することにコミットしている」、「雇用はこの数カ月堅調に伸びており、失業率は大幅に低下した。パンデミックと経済再生に関連した需給の不均衡は、引き続き高水準のインフレにつながっている」、「経済の道筋はウイルスを巡る状況に引き続き左右されている」 株価は大きく上昇。ドル円は113円台後半から114円30銭近辺まで買われる
12/3 サマーズ・元財務長官 「インフレの数値がどうなるかに左右されるが、私だったら来年4回の利上げを示唆するだろう」、「それは衝撃になるが、衝撃は信頼回復には必要なことだ」 --------
12/2 ポスティック・アトランタ連銀総裁 「利上げ前倒しが適切となるかもしれない」、「そうだとすれば、その選択肢がなくてはならない」、(資産購入を来年1−3月期に向けて終わらせることは)「われわれの利益にかなう」 --------
12/1 パウエル・FRB議長 「インフレ高進が根強く続くリスクが明らかに高まった」、(金融当局の)「政策はそうした状況に合わせて適応してきたし、今後も適応していく」、「現在起きている高インフレが定着しないよう、当局として手段を講じていくことを約束したい」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和