「米長期金利1.75%台まで上昇」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は前日と同じような展開となり、NYでは115円63銭前後まで下げたがその後反発。米長期金利の上昇が支えとなり115円95銭まで買い戻される。
- ユーロドルは再び1.13を挟む展開に戻る。
- 株式市場は小幅ながら3指数が揃って続落。日中はもみ合う展開だったが、引けにかけてマイナス圏に沈む。
- 債券は続落。長期金利は一時1.75%台まで上昇し、昨年の最高水準に接近。
- 金は大きく反落し1800ドルを割り込む。原油は続伸。カザフスタン情勢が買いを誘い、一時は80ドル台に乗せる。
新規失業保険申請件数 → 20.7万件
11月貿易収支 → −80.2b
11月製造業受注 → 1.6%
12月ISM非製造業景況指数 → 62.0
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| ドル/円 | 115.63 〜 115.95 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1287 〜 1.1332 |
| ユーロ/円 | 130.64 〜 131.22 |
| NYダウ | −170.64 → 36,236.47 |
| GOLD | −35.90 → 1,789.20ドル |
| WTI | +1.61 → 79.46ドル |
| 米10年国債 | +0.016 → 1.721% |
本日の注目イベント
- 日 12月東京都区部消費者物価指数
- 中 中国 12月外貨準備高
- 独 独11月貿易収支
- 独 独11月鉱工業生産
- 欧 ユーロ圏12月消費者信頼感指数(確定値)
- 欧 ユーロ圏11月小売売上高
- 欧 ユーロ圏12月消費者物価指数(速報値)
- 欧 ユーロ圏12月景況感指数
- 英 BOE総裁、パネル討論に参加
- 米 12月雇用統計
- 米 11月消費者信用残高
- 米 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、パネル討論に参加
- 米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
- 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁、パネル討論に参加
- 加 カナダ12月就業者数
- 加 カナダ12月失業率
本日のコメント
ドル円は底堅い動きをみせながらも、なかなか116円台を維持する動きにはなっていません。昨年後半から年明けまで好調な動きを見せた米国株が急速に下げに転じたことで、「リスクオン」が「リスクオフ」の流れに変化してきたことが主因です。前日公開されたFOMC議事録では、3月の利上げ開始の可能性も浮上し、さらにFRBが保有する資産の縮小も開始すべきとの議論もあり、予想以上に「タカ派的」だったことから、債券と株式に売り圧力が増しています。債券が売られたことで、米長期金利は急上昇し、昨日は一時1.75%台まで上昇する局面がありました。昨年末が1.51%前後であったことを考えると、わずか4営業日で24bpの上昇は「急騰」という他ありません。もっとも、FRBが金融正常化に向けて利上げに踏み切るとの予想は、昨年秋頃には分かっていましたが、それでも当時の長期金利は低水準で留まっており、この欄でも「長期金利は何故上昇しないのか」と、筆者は幾度となく困惑しましたが、ようやく正常な動きになってきたという印象です。
長期金利の上昇がドル円をサポートしており、昨日も前日同様に115円63銭辺りで下げ止まっています。株価の下落を主因とする「リスクオフ」に伴う「円買い」と、金利上昇という「円売り」の綱引きといった状況です。ただ今後さらに株価が下げ米金利が上昇すると、大量の資金が株式から債券に向かい、金利上昇を抑制する可能性もあります。その時は円が買われると予想しますが、本邦の機関投資家にとっても、日本国債が0.12%台で推移している中、1.7%台の金利は純投資としても投資妙味があり米国債が買われることも予想されます。一方で本邦機関投資家が米国債購入に動けば、基本的には「円売り・ドル買い」というオペレーションを行うこととなり、ヘッジをかけない限り「ドル高要因」と言えます。この様に米長期金利がこのまま一方的に上昇することはないと思われますが、今後のインフレの動向とオミクロン株の経済への影響次第といったところです。
FOMCメンバーの中でも「超タカ派」とみられるセントルイス連銀のブラード総裁は6日の講演で、「FOMCはインフレの制御を高めるため、早ければ3月会合で利上げを開始することが可能だ」と述べ、「それに続く2022年中の利上げはインフレ動向次第で、前倒しも後ずれもあり得る」と語っています。さらに同総裁は、「資産購入は向こう数カ月で終了を迎えるが、FOMCは適切なペースで金融緩和を巻き戻すため、バランスシートの受動的な縮小という選択肢を取ることもあり得る」との見方も示しました。(ブルームバーグ)さすが「超タカ派」といった印象です。一方サンフランシスコ連銀のデーリー総裁もバーチャルイベントで講演を行い、「現時点で、資産購入の縮小ペースを加速させ始めることは非常に適切だとの感触を得ている」と述べ、「FRBのバランスシート縮小とは極めて異なる議論だ。バランスシート縮小はFF金利誘導目標の正常化を始めた後に実現する」と話し、早期の資産購入縮小議論を牽制した格好になっています。
米国では1日の新規感染者数が108万人に達するなど、オミクロン株の感染が爆発的に広がっています。WHOのテドロス事務局長は、「オミクロン変異株は感染しても従来株より重症度は低いように見えるが、軽度と考えるべきではない」と指摘し、「オミクロン株は人々を入院させ、命を奪っている」と述べています。一方で、これまでと同様に楽観的なデータも報告されています。6日の南ア医学研究審議会の発表によると、オミクロン変異株を主流とする新型コロナウイル感染拡大期での「超過死亡」が、それまでの変異株による感染拡大期を大きく下回る水準で頭打ちとなったと説明しています。2021年初めにつけたピークの「超過死亡」数は1万6115人で、デルタ株が主流だった昨年7月のそれは1万人強でしたが、12月26日までの「超過死亡」は3016人と、前週の3087人から減少したと発表しています。
本日は12月の雇用統計が発表されます。非農業部門雇用者数は11月の「21万人」から「44.7万人」と、大きく増加していると予想されています。今回の数字は昨年12月12日の週を基準としており、オミクロン株の感染が急拡大する前の数字であるため、良好な数字が発表されると予想しています。
本日のドル円は115円40銭〜116円40銭程度とみています。
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新年早々の4日、5日に大幅高を演じたと思ったら、翌6日にはそれらを全部吐き出し、844円安で取引を終えた日本株。何やら今年の波乱を予告しているような展開です。
一方で、ソニーがいよいよ本格的にEVに参入を表明するなど、国内でも力のある企業が異業種への参入を加速させる動きもあります。ウォークマン世代の筆者にとって、「ソニーカー」にはやや違和感はありますが、あと10年もしたら「ソニーって、エレキメーカーだったの?」という話になるかもしれません。相場だけではなく、企業間でも大きな変貌がおきそうです。「酔わない車」に期待したいと思います。
天候の方も、今年の波乱を予感させるように、関東地方では昨日の午後から雪が降り、都心でも10センチほど積りました。暗闇の中、今朝の出勤には難儀しました。
良い週末を・・・・・。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 1/6 | デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 | 「現時点で、資産購入の縮小ペースを加速させ始めることは非常に適切だとの感触を得ている」、「FRBNおバランスシート縮小とは極めて異なる議論だ。バランスシート縮小はFF金利誘導目標の正常化を始めた後に実現する」 | -------- |
| 1/6 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | 「FOMCはインフレの制御を高めるため、早ければ3月会合で利上げを開始することが可能だ」と述べ、「それに続く2022年中の利上げはインフレ動向次第で、前倒しも後ずれもあり得る」、「資産購入は向こう数カ月で終了を迎えるが、FOMCは適切なペースで金融緩和を巻き戻すため、バランスシートの受動的な縮小という選択肢を取ることもあり得る」 | 債券売り、ドル円上昇にやや影響。 |
| 1/5 | FOMC議事録 | 「参加者は概して、経済や労働市場、インフレについての個々の見通しに基づきフェデラル・ファンド(FF)金利を参加者の従来想定よりも早期に、あるいは迅速に引き上げることが正当化される可能性があることに留意した」、「FF金利引き上げ開始後の比較的早い時期に、連邦準備制度のバランスシートの規模を縮小し始めることが適切になり得ると、一部の参加者が留意した」 | ナスダックが3.3%など株価は大幅下落。債券も売られ、長期金利は1.71%まで上昇。ドル円は115円台半ばから116円台前半まで買われる。 |
| 1/4 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 「私が想定した以上にインフレが高く、かつ根強いため、私は2回の利上げ予想を2022年に前倒しさせた」、「根本的には、新たな高インフレのレジームに入るよりも、過去20年にわたって続いてきた低インフレのレジームに最終的には戻る可能性が高いと確信している」、「しかし、高インフレレジームに陥ることのコストは、低インフレレジームに最終的に戻ることのコストよりも大きくなる可能性が高い」 | -------- |
| 12/23 | サマーズ・元財務長官 | 「インフレ動向はかなり深刻となっている」、「今後リセッション(景気後退)に陥った後にスタグネーション(停滞)に見舞われるリスクがあり、これから何年間かは困難な局面が懸念される」 | -------- |
| 12/22 | ホルツマン・オーストリア中銀総裁 | 「インフレ率が予想に沿って低下しなければ当局者にとって『警鐘』がなるだろう」、「従来の資産購入プログラムであるAPPを終了すれば、その後の利上げがあるという『非常に強いシグナル』を市場に送ることになる」 | ユーロドル1週間ぶりに1.1342近辺まで上昇。 |
| 12/17 | デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 | 「米経済が、私の予想通り勢いを増し、新型コロナウイルスを切り抜けるように、1四半期は成長が低迷してもその後は回復するといった状況であれば、来年2、3回の利上げは適切だと思う」 | -------- |
| 12/17 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 米金融政策スタンスを好位置に置くということだ。もちろん、来年のある時点でフェデラル・ファンド(FF)金利誘導目標の引き上げを実際に開始し得るという選択肢を作るという意味もある」、「実際に利上げとなれば、景気サイクルのどの時点にいるかという観点で前向きな展開を示す兆候となろう」 | -------- |
| 12/17 | ウォラー・FRB理事 | テーパリング加速で最も重要な点は、当初よりずっと早い3月にプログラムを終了させることだ。それにより3月の会合で政策金利の変更があり得る。テーパリング加速の意図はそこにある」、「今後入手するデータの内容にもよるが、3月は利上げ開始を決定し得る会合になり得る」、「オミクロン株による深刻な影響が労働市場の改善や失業率の低下を遅らせるようなことがない限り、3月が利上げの開始検討の重要な時期から外れることはない」、「私の見通しでは、3月に利上げを決定する可能性は極めて高い」 | -------- |
| 12/16 | ラガルド・ECB総裁 | 「以前にも述べたように、2022年に利上げする可能性は極めて低い。これは変わっていない」、「インフレ見通しには上振れリスクがある可能性もある」 | ユーロドル下落。 |
| 12/15 | パウエル・FRB議長 | 「10月の雇用統計や7−9月の雇用コスト指数の力強い数値に加え、1990年以来の大幅上昇となった10月のCPIを受けて、CPI発表後の週末に資産購入のテーパリング加速の必要があると認識し、当局としてそのための作業に着手した」 | -------- |
| 12/15 | FOMC声明文 | FRBは現在の困難な時期に米経済を支えるため、あらゆる手段を用い、それによって最大限の雇用と物価安定という目標を促進することにコミットしている」、「雇用はこの数カ月堅調に伸びており、失業率は大幅に低下した。パンデミックと経済再生に関連した需給の不均衡は、引き続き高水準のインフレにつながっている」、「経済の道筋はウイルスを巡る状況に引き続き左右されている」 | 株価は大きく上昇。ドル円は113円台後半から114円30銭近辺まで買われる |
| 12/3 | サマーズ・元財務長官 | 「インフレの数値がどうなるかに左右されるが、私だったら来年4回の利上げを示唆するだろう」、「それは衝撃になるが、衝撃は信頼回復には必要なことだ」 | -------- |
| 12/2 | ポスティック・アトランタ連銀総裁 | 「利上げ前倒しが適切となるかもしれない」、「そうだとすれば、その選択肢がなくてはならない」、(資産購入を来年1−3月期に向けて終わらせることは)「われわれの利益にかなう」 | -------- |
| 12/1 | パウエル・FRB議長 | 「インフレ高進が根強く続くリスクが明らかに高まった」、(金融当局の)「政策はそうした状況に合わせて適応してきたし、今後も適応していく」、「現在起きている高インフレが定着しないよう、当局として手段を講じていくことを約束したい」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



