「ドル円続落し115円台前半に」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は続落。株価が大きく下落したことでリスクオフが強まり円が買われた。ドル円は115円05銭まで売られたが、115円割れは回避。
- ユーロドルはレンジ相場が続き、1.13を挟みもみ合う。
- 株式市場は続落したものの、値ごろ感からか押し目買いが入り、ダウは下げ幅を縮小し162ドル安で引ける。ナスダックも引けにかけて買いが入り6ポイント高とプラス圏で取引を終える。
- 債券は横ばい。先週末には1.8%台まで上昇した長期金利は1.76%台に低下。
- 金は小幅に続伸。原油は続落。
| ドル/円 | 115.05 〜 115.46 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1285 〜 1.1333 |
| ユーロ/円 | 130.15 〜 130.57 |
| NYダウ | −162.79 → 36,068.87 |
| GOLD | +1.40 → 1,798.80ドル |
| WTI | −0.67 → 78.23ドル |
| 米10年国債 | −0.002 → 1.760% |
本日の注目イベント
- 豪 豪11月貿易収支
- 豪 豪11月小売売上高
- 日 11月景気先行指数(CI)(速報値)
- 独 ヨアヒム・ナーゲル氏、ドイツ連銀総裁に就任
- 米 メスター・クリーブランド連銀総裁インタビュー
- 米 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁講演
- 米 ブラード・セントルイス連銀総裁、オンラインイベントで講演
- 米 上院銀行委員会、パウエル議長のFRB議長再任指名承認公聴会
本日のコメント
先週末に発表された12月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が「19.9万人」と、市場予想の「45万人」を大きく下回り、これで2ヵ月連続で市場予想を下回る結果になりました。オミクロン株の感染が急速に拡大する前のデータであり、ADP雇用者数も予想を大きく上回ったこともあり、楽観的な予想をしていましたが、見事に外してしまいました。ただ、失業率は予想より改善しており、「3.9%」と、こちらはコロナ前の水準まで低下しています。また、平均時給は前月比で「0.6%」上昇しており、労働参加率は横ばいでした。結局、これらを総合的に考えると、高い賃金を提示してもなかなか人が集まらない状況を示しており、依然として人手不足が続いており、労働市場は「売り手市場」から抜け出ていないことが想像できます。
雇用統計を受け、債券市場では債券が大きく売られ、長期金利は一時1.8%台まで上昇し、2年ぶりにコロナ前の水準を付けています。ドル円は長期金利の上昇に反応せず116円台から下げ、115円台半ばまでドル売りが進み、昨日のNYではその流れが続き115円05銭までドルが下落しています。債券も株式もさらにドル円も、FOMC議事録公開を契機に利上げを織り込む形で推移しましたが、ここで一旦今後の動きを見極める状況になっています。本日は上院銀行委員会でパウエル議長のFRB議長再任指名承認公聴会が開かれます。ここでパウエル氏が再任に際して、今後のインフレの見通しや、FRBの利上げスタンスなどについて質問されることが予想されます。すでにパウエル議長が「一時的」との言葉を撤回するほど高進しているインフレ率を背景に、今年3回と見られている利上げ回数を「4回の利上げを見込む」といった具合に修正する動きもあります。急激な利上げが逆風になるとことから米株式市場では、年初2日上昇した後調整が続いています。またビットコインも昨日は続落し、昨年9月以降の取引きで初めて4万ドルを割り込むなど、利上げを意識した動きが顕著に見られます。パウエル議長はこの辺りの状況を十分考えて公聴会に臨むものと見られますが、厳しい判断を求められる状況が続きます。
リッチモンド連銀のバーキン総裁は7日ダウ・ジョーンズ通信が行ったインタビューで、「FOMCによる3月会合で利上げの開始決定は想定可能だと、当然考えている」と述べ、「インフレ圧力は2022年中には和らぐ。サプライチェーンは新型コロナウイルスのパンデミックによる打撃を引き続き受ける。その影響は23年になっても根強く残る可能性がある」と語っています。(ブルームバーグ)またサンフランシスコ連銀のデーリー総裁も7日、「我々が直面しているインフレは不快なほど高い」とし、「1〜2回の利上げをした後に資産を調整することは考えられる」との見方を示しています。米ゴールドマンも、FRBは今年4回の利上げを実施する可能性が高く、遅くとも7月にはバランスシートのランオフ(償還に伴う保有資産の減少)を開始すると、調査リポートで明らかにしています。
NY市の保健・精神衛生局によると、新型コロナと考えられる症状で救急医療施設を訪れた患者の数は12月末以降、7日平均ベースで全地区で大きく減少しており、中でもブロンクス地区では、1月7日までの週に7日平均の数字が35%低下したと発表し、「新型コロナウイルスの感染がピークを打った可能性がある」とコメントしています。米国では、1日の新規感染者数が108万人を記録した今月4日からは減少傾向が続き、9日には37万人にまで減ってきました。ただ、市はデータが修正される可能性があるとも指摘しています。一方スイスの医薬品メーカー「ノベルティス」は10日、新型コロナウイルス感染症の治療薬候補である抗ウイルス薬の中規模治験で患者の症状悪化リスク低減が認められたことから、開発・製造・販売に向け提携企業からライセンスを取得することを発表しました。発表によると、407人が参加した抗ウイルス薬「ensovibep」の治験で救急治療や入院、死亡に至るリスクは78%低下したとあります。
米長期金利が1.8%台まで上昇したにもかかわらず、ドル円は116円台から反落しています。一旦「手仕舞い」の部分はあったとは思いますが、この欄でも指摘してきたように、株価の大幅な下げが「リスク回避の円買い」につながったようです。現時点では115円台は維持しているため、115〜120円程度の新たなレンジを形成しつつある可能性は残っていると思いますが、今週の動きが注目されます。
本日の予想は、114円80銭〜115円60銭程度といったところでしょうか。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 1/7 | デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 | 「我々が直面しているインフレは不快なほど高い」、「1〜2回の利上げをした後に資産を調整することは考えられる」との見方を示しています。 | -------- |
| 1/7 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「FOMCによる3月会合で利上げの開始決定は想定可能だと、当然考えている」、「インフレ圧力は2022年中には和らぐ。サプライチェーンは新型コロナウイルのパンデミックによる打撃を引き続き受ける。その影響は23年になっても根強く残る可能性がある」 | -------- |
| 1/6 | デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 | 「現時点で、資産購入の縮小ペースを加速させ始めることは非常に適切だとの感触を得ている」、「FRBNおバランスシート縮小とは極めて異なる議論だ。バランスシート縮小はFF金利誘導目標の正常化を始めた後に実現する」 | -------- |
| 1/6 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | 「FOMCはインフレの制御を高めるため、早ければ3月会合で利上げを開始することが可能だ」と述べ、「それに続く2022年中の利上げはインフレ動向次第で、前倒しも後ずれもあり得る」、「資産購入は向こう数カ月で終了を迎えるが、FOMCは適切なペースで金融緩和を巻き戻すため、バランスシートの受動的な縮小という選択肢を取ることもあり得る」 | 債券売り、ドル円上昇にやや影響。 |
| 1/5 | FOMC議事録 | 「参加者は概して、経済や労働市場、インフレについての個々の見通しに基づきフェデラル・ファンド(FF)金利を参加者の従来想定よりも早期に、あるいは迅速に引き上げることが正当化される可能性があることに留意した」、「FF金利引き上げ開始後の比較的早い時期に、連邦準備制度のバランスシートの規模を縮小し始めることが適切になり得ると、一部の参加者が留意した」 | ナスダックが3.3%など株価は大幅下落。債券も売られ、長期金利は1.71%まで上昇。ドル円は115円台半ばから116円台前半まで買われる。 |
| 1/4 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 「私が想定した以上にインフレが高く、かつ根強いため、私は2回の利上げ予想を2022年に前倒しさせた」、「根本的には、新たな高インフレのレジームに入るよりも、過去20年にわたって続いてきた低インフレのレジームに最終的には戻る可能性が高いと確信している」、「しかし、高インフレレジームに陥ることのコストは、低インフレレジームに最終的に戻ることのコストよりも大きくなる可能性が高い」 | -------- |
| 12/23 | サマーズ・元財務長官 | 「インフレ動向はかなり深刻となっている」、「今後リセッション(景気後退)に陥った後にスタグネーション(停滞)に見舞われるリスクがあり、これから何年間かは困難な局面が懸念される」 | -------- |
| 12/22 | ホルツマン・オーストリア中銀総裁 | 「インフレ率が予想に沿って低下しなければ当局者にとって『警鐘』がなるだろう」、「従来の資産購入プログラムであるAPPを終了すれば、その後の利上げがあるという『非常に強いシグナル』を市場に送ることになる」 | ユーロドル1週間ぶりに1.1342近辺まで上昇。 |
| 12/17 | デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 | 「米経済が、私の予想通り勢いを増し、新型コロナウイルスを切り抜けるように、1四半期は成長が低迷してもその後は回復するといった状況であれば、来年2、3回の利上げは適切だと思う」 | -------- |
| 12/17 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 米金融政策スタンスを好位置に置くということだ。もちろん、来年のある時点でフェデラル・ファンド(FF)金利誘導目標の引き上げを実際に開始し得るという選択肢を作るという意味もある」、「実際に利上げとなれば、景気サイクルのどの時点にいるかという観点で前向きな展開を示す兆候となろう」 | -------- |
| 12/17 | ウォラー・FRB理事 | テーパリング加速で最も重要な点は、当初よりずっと早い3月にプログラムを終了させることだ。それにより3月の会合で政策金利の変更があり得る。テーパリング加速の意図はそこにある」、「今後入手するデータの内容にもよるが、3月は利上げ開始を決定し得る会合になり得る」、「オミクロン株による深刻な影響が労働市場の改善や失業率の低下を遅らせるようなことがない限り、3月が利上げの開始検討の重要な時期から外れることはない」、「私の見通しでは、3月に利上げを決定する可能性は極めて高い」 | -------- |
| 12/16 | ラガルド・ECB総裁 | 「以前にも述べたように、2022年に利上げする可能性は極めて低い。これは変わっていない」、「インフレ見通しには上振れリスクがある可能性もある」 | ユーロドル下落。 |
| 12/15 | パウエル・FRB議長 | 「10月の雇用統計や7−9月の雇用コスト指数の力強い数値に加え、1990年以来の大幅上昇となった10月のCPIを受けて、CPI発表後の週末に資産購入のテーパリング加速の必要があると認識し、当局としてそのための作業に着手した」 | -------- |
| 12/15 | FOMC声明文 | FRBは現在の困難な時期に米経済を支えるため、あらゆる手段を用い、それによって最大限の雇用と物価安定という目標を促進することにコミットしている」、「雇用はこの数カ月堅調に伸びており、失業率は大幅に低下した。パンデミックと経済再生に関連した需給の不均衡は、引き続き高水準のインフレにつながっている」、「経済の道筋はウイルスを巡る状況に引き続き左右されている」 | 株価は大きく上昇。ドル円は113円台後半から114円30銭近辺まで買われる |
| 12/3 | サマーズ・元財務長官 | 「インフレの数値がどうなるかに左右されるが、私だったら来年4回の利上げを示唆するだろう」、「それは衝撃になるが、衝撃は信頼回復には必要なことだ」 | -------- |
| 12/2 | ポスティック・アトランタ連銀総裁 | 「利上げ前倒しが適切となるかもしれない」、「そうだとすれば、その選択肢がなくてはならない」、(資産購入を来年1−3月期に向けて終わらせることは)「われわれの利益にかなう」 | -------- |
| 12/1 | パウエル・FRB議長 | 「インフレ高進が根強く続くリスクが明らかに高まった」、(金融当局の)「政策はそうした状況に合わせて適応してきたし、今後も適応していく」、「現在起きている高インフレが定着しないよう、当局として手段を講じていくことを約束したい」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



