「WTI原油価格11年ぶりに112ドル台まで続伸」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は反発。115円台前半から上昇し、リスク回避の流れが後退したことで115円69銭まで上昇。ウクライナ情勢に伴う債券と株式の動きに連動する展開が続く。
- ユーロドルは1.1058まで売られ、直近安値を更新後1.11台半ばまで反発。
- 連日大きく上げ下げを繰り返している株式市場は大きく上昇。パウエル議長の議会証言が想定内であったことや、ウクライナとロシアとの第2回目の停戦交渉が行われるとの報道に3指数は揃って大幅高。
- 債券相場は大幅に下落。長期金利は急騰し、1.87%台まで上昇。
- 金は3日ぶりに下げる。原油は大幅に続伸し、一時は112ドル台と、11年ぶりの高値を付け、110ドル台で引ける。
2月ADP雇用者数 → 47.5万人
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| ドル/円 | 115.26 〜 115.69 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1058 〜 1.1144 |
| ユーロ/円 | 127.72 〜 128.77 |
| NYダウ | +596.40 → 33,891.35ドル |
| GOLD | −21.50 → 1,922.30ドル |
| WTI | +7.19 → 110.60ドル |
| 米10年国債 | +0.149 → 1.877% |
本日の注目イベント
- 豪 豪1月住宅建設許可件数
- 豪 豪1月貿易収支
- 中 2月財新サービス業PMI
- 中 2月財新コンポジットPMI
- トルコ トルコ2月消費者物価指数
- 独 独8月サービス業PMI(改定値)
- 欧 ユーロ圏1月小売売上高
- 欧 ユーロ圏1月失業率
- 欧 ユーロ圏1月生産者物価指数
- 欧 ユーロ圏2月サービス業PMI(改定値)
- 欧 ユーロ圏2月総合PMI(改定値)
- 欧 ECB議事要旨(2月会合分)
- 英 英2月サービス業PMI(改定値)
- 米 2月マークイットサービス業PMI(改定値)
- 米 2月マークイットコンポジットPMI(改定値)
- 米 新規失業保険申請件数
- 米 2月ISM非製造業景況指数
- 米 1月製造業受注
- 米 FRB議長、上院銀行委員会で議会証言
- 米 ウィリアムズ・NY連銀総裁講演
- 米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
本日のコメント
ロシアの軍事進攻は止まりません。ウクライナ第2の都市ハリコフでは激しい戦闘が続いており、ロシアのインタファクス通信は、ロシア軍はウクライナ南部の港湾都市ヘルソンを掌握したと報道しました。ウクライナ政府は戦争開始から1週間で民間人2000人以上が死亡したと発表し、ウクライナから国外に83万6000人が逃れ、その半数余りをポーランドが受け入れています。一方ロシア国防総省も、軍兵士498人が死亡し、1597人が負傷したと発表しています。このまま戦闘が長引けばさらに両国の死傷者は増え、多くの民間人がその犠牲になることが予想されます。本日にもウクライナとロシアの第2回目の停戦交渉があるようですが、停戦合意への可能性は低いものの、これ以上民間人の被害者で出ないことを望みたいものです。
そんな中、昨日の日本時間昼前にバイデン大統領の一般教書演説が行われました。バイデン氏は冒頭からロシアのウクライナ侵攻を批判し、プーチン大統領を「大統領」という敬称も付けずに、「独裁者プーチン」(Dictator Putin)と名指し、強い口調で「侵略の代償を払わせる」とウクライナ侵攻を糾弾し、「ウクライナ侵攻は大誤算だった」と演説を行いました。演説会場では与党民主党も野党共和党も、この時ばかりは「一体」となっていた印象でした。
パウエル議長は下院金融委員会で議会証言を行い、3月の会合では、「25ベーシスポイントの利上げを提案し、支持する方向に傾いている」と述べました。また、「インフレ率が2%を大きく上回り、労働市場は強い中、FF金利誘導目標レンジを今月の政策会合で引き上げることが適切になると考えている」とし、より大幅な利上げの可能性を閉ざさないとも、質疑応答で答えています。一方で、「ウクライナ侵攻とその後に続いている戦争、経済制裁や今後のイベントが米経済に及ぼす短期的な影響は、依然として不確実性が高い」と警告し、「これから出て来るデータや見通しの変化に応じて、機敏に対応する必要があるだろう」と述べています。(ブルームバーグ)
一部市場で懸念されていた「タカ派的な見通し」は陰を潜め、ほぼ想定内通りの内容だったことで市場は落ち着きを取り戻し、「2回目の停戦交渉の予定」といった報道がさらに支援材料となり、「リスク回避」が急速に後退しました。
株式市場では前日の大幅な下げをほぼ埋める上昇を見せ、前日急落した米長期金利は14bpも上昇し、1.87%台を回復しました。ドル円は両市場に比べると、迫力に欠けましたが、再び115円台後半までドルの買戻しが進みました。何度も繰り返し述べてきましたが、ドル円は、大きくは113円台半ばから116円台半ばのレンジ相場が続いており、コアレンジは115円前後から116円前後に絞られてきました。足元の動きを「レンジ相場」と割り切れば比較的利益の取りやすい展開ですが、これも繰り返しになりますが、上も下も「レンジブレイク」した時の対応は、機敏に行う必要があります。
2月のADP雇用者数は「47.5万人の増加」と、市場予想を大きく上回る内容でした。さらに「マイナス30万1000人」だった1月の同指数も、「50.9万人」に大幅に上方修正されました。新型コロナウイルスの感染者減少や制限措置の緩和が雇用増につながったと見られますが、1月分が好い例でしたが、明日の雇用統計本番とは真逆の結果になるケースも多く、明日の雇用統計に上方バイアスを掛けることには注意が必要です。ただ、米雇用に関してはウクライナ情勢の影響はないはずで、コロナが最大の変動要因かと思います。
本日のドル円は115円20銭〜116円程度と予想します。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 3/2 | パウエル議長の議会証言 | 「25ベーシスポイントの利上げを提案し、支持する方向に傾いている」、「インフレ率が2%を大きく上回り、労働市場は強い中、FF金利誘導目標レンジを今月の政策会合で引き上げることが適切になると考えている」、「ウクライナ侵攻とその後に続いている戦争、経済制裁や今後のイベントが米経済に及ぼす短期的な影響は、依然として不確実性が高い」、「これから出て来るデータや見通しの変化に応じて、機敏に対応する必要があるだろう」 | 安心感からドル円は115円台後半に。株高、金利高が進む。 |
| 2/28 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「特に注視しているデータポイントの一つがインフレの月間の変化だ。それが低下トレンドに入り始める限り、25bpの動きにかなり満足するだろう。インフレが根強く高止まりしている場合、あるいはさらに上振れるような場合、3月の会合では50bpの利上げを真剣に考える必要があるだろう」 | -------- |
| 2/24 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「緊急時レベルの緩和策を解除する必要性を変えるとは思わない」、「今後の展開を見守る必要がある。過去数週間で石油価格は天然ガスと同様に急上昇した。それが波紋を広げる可能性がある」 | -------- |
| 2/24 | メスター・クリーブランド連銀総裁 | 「経済が予想外に転換しない限り、3月にFF金利を引き上げ、今後数カ月で追加利上げを行うことが適切だと考える」 | -------- |
| 2/23 | デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 | 「インフレ率は高すぎる。インフレ圧力はパンデミック関連の混乱から直接影響を受けたセクター以外にも拡大し始めている」、「予想外の重大な悪材料がない限り、3月は金融政策を調整し始める適切な時期である」 | -------- |
| 2/21 | ボウマン・FRB理事 | 「私は3月の会合でのFF金利引き上げを支持する。私の想定通りに景気が進展すれば、数カ月中にも追加利上げが適切になる」、「インフレ抑制に向け強力な行動を取るべきだ」 | -------- |
| 2/18 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「3月の利上げは適切」、「最初に大きな一歩を踏み出すべきだとの説得力ある議論は見られない」 | -------- |
| 2/18 | エバンス:シカゴ連銀総裁 | 「インフレ高進を踏まえ、金融政策の大きな転換が必要だ」、「長期にわたる引き締めについては慎重であるべきだ」 | -------- |
| 2/17 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | 「一部ではインフレが落ち着くと期待する向きもあるが、われわれが落ち着かなくなるリスクに対処する必要がある」、「市場は、ある程度妥当な期間でインフレが落ち着くということに対して、やや信頼感を失いつつある」 | -------- |
| 2/16 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 「もし非常に積極的に金利を引き上げれば、経済に急ブレーキがかかり、経済をリセッション入りさせるリスクを冒すことになる」、「同僚や自分自身への戒めは、やりすぎないようにということだ」、「年内に目標の2%に下がる可能性は低いが、着実に落ち着く方向で進み、年末までに3%に近づく」 | -------- |
| 2/16 | FOMC議事録 | 「インフレが予想通りに鈍化しない場合、FOMCが現在の想定より早いペースで政策緩和を解除することが適切になると、大半の参加者は指摘した」、「幾人かの参加者は現状から判断して、いずれ年内に バランスシートの規模縮小を開始することが正当化される可能性が高いとコメントした」 | 思ったほどタカ派的ではなかったことから、 市場には安心感が広がる。 |
| 2/15 | バイデン・米大統領 | われわれは外交努力による解決の可能性を最後まで追求すべきであり、それぞれの安全保障上の懸念に対処する現実的な方法が存在すると私は考える」、「ロシアの市民に呼び掛けたい。あなた方は米国の敵ではない。そしてあなた方はウクライナを破壊する残酷な戦争を望んでいないと私は信じる」 | -------- |
| 2/15 | プーチン・ロシア大統領 | 「この問題についてわれわれは、交渉と平和的手段を通じて今すぐ、ないし近い将来の解決を望んでいる」と述べ、「戦争については、ノーだ」 | 株価が大幅に上昇。長期金利も大きく上昇し、ドル円は115円88銭まで買われる。 |
| 2/14 | ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 | 「7.5%のインフレ率とタイトな労働市場のなかで、ゼロ金利が正しい調整だとは思わない。一方で行き過ぎた誘導を避けるべきだとも考えている。従ってこの先重要になるのは、体系的であることであり、何に向っているのかを意思伝達することだと考えている」 | -------- |
| 2/14 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | 「計画されている緩和解除をより従来よりも前倒しする必要がある」、「(元FRB議長の)アラン・グリーンスパン氏が一度も目にしことがなかった数字が出ている」、「問われているのはわれわれの信頼性であり、われわれはデータに応じて行動しなくてはならない」 | -------- |
| 2/13 | デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 | 「急激でアグレッシブな行動は、われわれが目指す経済成長や物価安定そのものへの不安定要因になりかねない」、「私が支持するのは3月に行動を起こし、その後は状況を注視、評価し、この先に何が起きるかについて非常に慎重に構え、最適と見える時点で次の利上げを行うことだ。それがすぐ次の会合になることも、次の次の会合になることも考えられる」 | -------- |
| 2/9 | ナ−ゲル・ドイツ連銀総裁 | 「金融政策の正常化を長く待ち過ぎた場合、リスクを抱えることになるのは極めて明らかだ」 | ユーロドル1.14台前半から1.14台半ばへ上昇。 |
| 2/9 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「経済の反応次第では、4回利上げに若干傾斜しつつある」 | -------- |
| 2/9 | メスター・クリーブランド連銀総裁 | 「どの選択肢も検討から外したくない」、「50ベーシスポイントで始めるべきだとする説得力のある主張はないと思う」 | -------- |
| 2/7 | ラガルド・ECB総裁 | 「今後入って来るデータへの注視を続け、中期的なインフレ見通しに対する影響を慎重に分析する」、「政策を調整する場合は常に漸進的に行う」 | -------- |
| 2/6 | クノット・オランダ中銀総裁 | 「早ければ第4四半期(10−12月)中に利上げを見込んでいる」、「2回目の利上げは2023年春に実施することが可能だ」 | -------- |
| 2/4 | サマーズ・元財務長官 | 「市場は毎会合での利上げに備えなくてはならない。インフレのプロセスが続く中、0.25ポイントより大きく引き上げる会合が必要となる可能性にも備えなくてはならない」、「FRBは後手に回っている」 | -------- |
| 2/3 | ラガルド・ECB総裁 | 「昨年12月のわれわれの予想に比べ、インフレ見通しに対するリスクは特に短期的に上振れ方向に傾いている。現状および今後の起こりそうな事態について非常に注意を払っている」、「3月の会合とその後の6月の会合が、ECBのフォワードガイダンスの3条件が完全に満たされたかどうかを判断するにおいて極めて重要になる」 | ユーロドルは1.12台後半から1.14台半ばまで上昇。 |
| 2/3 | ベイリー・BOE総裁 | 「輸入インフレの一部が国内経済に定着し、高インフレが長期にわたって続くリスクに直面している」 | -------- |
| 2/2 | デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 | 「インフレ率は高すぎ、労働市場は堅調であることは明らかだ。従ってわれわれは行動する必要がある」、「年内の毎回の各会合で何が実施されるかと思うかについて現時点で話したくない」、「政策金利が今年を通して上昇すると確実に予想するが、度の会合でどの程度の幅、どの程度の迅速さになるかについてはオープンにしておく」、「基本的なファンダメンタルズが政策調整で損なわれるという感覚は、私にはない」 | -------- |
| 2/1 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | 「50bpはわれわれの助けにならないと思う。少なくとも現時点で考える限り助けにならない。われわれは政策金利引き上げに規律あるアプローチを取ることができ、その予想は既に市場に織り込まれている」 | -------- |
| 2/1 | ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 | 「私としては3月の25bpを支持する。50bpもあり得るだろうが、そうするべきだろうか。現時点でそこまでは確信が持てない。今後約2週間にどのようなデータが示されるか見守る必要があるだろう」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



