「ユーロドル1.08台後半まで急落」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は115円台半ばから大きく下落。ウクライナの原子力発電所が制圧されたとの報道にリスク回避の動きが強まり、ドル円は114円65銭まで売られる。
- ユーロドルは大きく下落。ロシアのウクライナ攻撃が止まらず、地政学的リスクがさらに高まったことでユーロドルは1.10を大きく割り込み、1.0886まで下落。2020年5月18日以来となるユーロ安に。ユーロは対円でも125円09銭近辺まで下げる。
- リスク回避の流れが止まらず、主要3指数は揃って続落。
- 債券は続伸し、長期金利は1.73%台まで低下。
- 金は大幅に続伸し1966ドル台に。原油も大きく買われ、引け値で115ドル台に乗せる。
2月失業率 → 3.8%
2月非農業部門雇用者数 → 67.8万人
2月平均時給 (前月比) → 0.0%
2月平均時給 (前年比) → 5.1%
2月労働参加率 → 62.3%
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| ドル/円 | 114.65 〜 115.55 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.0886 〜 1.0945 |
| ユーロ/円 | 125.09 〜 126.32 |
| NYダウ | −179.86 → 33,614.80ドル |
| GOLD | +30.70 → 1,966.60ドル |
| WTI | +8.07 → 115.68ドル |
| 米10年国債 | −0.108 → 1.731% |
本日の注目イベント
- 中 中国2月貿易収支
- 中 中国2月外貨準備高
- 独 独1月製造業新規受注
- 米 1月消費者信用残高
本日のコメント
「ロシアがウクライナ南部にある欧州最大の原子力発電所を制圧」との報道に、ウクライナ情勢がさらに緊迫の度合いを増し、地理的にも近いユーロは大きく売られました。下落基調の続くユーロドルでしたが、先週木曜日時点では「1.10」という節目が意識され、1.10手前で踏み留まりましたが、さすがにロシアによる「原子力発電所の制圧」に大きく売りこまれ、一時は1.0886までユーロ安が進んでいます。ドルが大きく買われたわけですが、一方でドル円を見ると円も買われており、結局ユーロ円が最も大きく売られています。
2月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が市場予想を大きく上回る「67.8万人」でした。1月分もわずかですが上方修正され、その前に発表されたADP雇用者数とともに、労働市場は極めて安定的に推移していると見られます。新型コロナウイルスの感染拡大がピークを越え、行動制限が解除されたことで職を求める人が増えているようです。失業率も予想の「4.0%」よりも大きく改善し「3.8%」でした。ただ、その雇用統計も今回については「ロシアの暴挙」の前に、影響は半減された格好です。本来なら良好な雇用統計を受け、株式市場では株価が上昇し、利上げ観測のさらなる高まりから債券が売られ、ドル円が上昇するパターンでしたが、結果はその真逆でした。
ウクライナのゼレンスキー大統領は北東部のハリコフや北部のチェルニヒフの住宅地域に対するロシア軍の砲撃が続いていることを明らかにしました。南部のマリウポリからの住民避難は2日連続で停止となりました。ゼンレンスキー大統領は、ロシア側が停戦合意を再び破ったと主張しています。また同大統領は、NATOが同国の飛行禁止区域設定を拒否したことについて「弱腰だ」と非難しています。
ロシアがウクライナへの侵攻を開始してから12日目に入ります。ロシアの最大の目的である「首都キエフの制圧」は近郊まで軍が迫っていますが、ウクライナの予想外の抵抗に苦戦しており、プーチン氏にも焦りが見えるといった報道もあります。ロシアとウクライナの第3回目の協議は、本日7日にも行われる見込みですが、プーチン氏は、戦闘を終わらせるにはウクライナ政府がロシアの要求に応じなければならないとしており、事態進展の可能性は低いと見られています。
シカゴ連銀のエバンス総裁は良好だった2月の雇用統計を受けた後のCNBCとのインタビューで、「毎会合で25ベーシスポイントの引き上げは、私が必須と考える利上げを超える可能性はあるが、実際にそれを実施した場合、レンジは年末に1.75−2%になる」と指摘し、その上で、「それは中立金利に十分近く、必要に応じてわれわれが迅速な行動を取り得る水準だ。状況に応じて政策を現状で維持したり、以前の状態に戻すこともあり得る」と述べています。(ブルームバーグ)
予想されていたこととは言え、ユーロの下落が勢いを増してきました。高インフレに悩むユーロ圏にとって、ユーロ安は消費者物価の上昇圧力となり、避けたいところです。ドイツなど貿易黒字のユーロ圏にとっては悩ましいところです。今後景気の悪化が急速に進めば、年内の利上げ観測がさらに遠のき、ユーロ安を加速させる可能性もあります。ユーロドルでユーロが売られると、ドル円でも円売りに波及する可能性がありますが、やはりユーロ円の下落につながることが予想されます。ユーロ円の下落を狙った取引が活発化すればドル円の上値を抑える可能性も出て来ます。
本日のドル円は114円40銭〜115円30銭程度を予想します。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 3/4 | エバンス・シカゴ連銀総裁 | 「毎会合で25ベーシスポイントの引き上げは、私が必須と考える利上げを超える可能性はあるが、実際にそれを実施した場合、レンジは年末に1.75−2%になる」と指摘し、その上で、「それは中立金利に十分近く、必要に応じてわれわれが迅速な行動を取り得る水準だ。状況に応じて政策を現状で維持したり、以前の状態に戻すこともあり得る」 | -------- |
| 3/3 | パウエル・FRB議長 | 「ウクライナへの侵攻が始まる前に想定した計画に沿って今後も政策を進めていくのが適切になると考えている。つまり、3月会合で利上げし、今年を通じてその姿勢を続けるということだ」、「現在は極めて微妙は時期にあり、米金融当局として慎重に政策を実施していくことが適切だ。情勢は極めて不確実であり、その不確実性をさらに強めることをわれわれは望んでいない」 | -------- |
| 3/2 | パウエル議長の議会証言 | 「25ベーシスポイントの利上げを提案し、支持する方向に傾いている」、「インフレ率が2%を大きく上回り、労働市場は強い中、FF金利誘導目標レンジを今月の政策会合で引き上げることが適切になると考えている」、「ウクライナ侵攻とその後に続いている戦争、経済制裁や今後のイベントが米経済に及ぼす短期的な影響は、依然として不確実性が高い」、「これから出て来るデータや見通しの変化に応じて、機敏に対応する必要があるだろう」 | 安心感からドル円は115円台後半に。株高、金利高が進む。 |
| 2/28 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「特に注視しているデータポイントの一つがインフレの月間の変化だ。それが低下トレンドに入り始める限り、25bpの動きにかなり満足するだろう。インフレが根強く高止まりしている場合、あるいはさらに上振れるような場合、3月の会合では50bpの利上げを真剣に考える必要があるだろう」 | -------- |
| 2/24 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「緊急時レベルの緩和策を解除する必要性を変えるとは思わない」、「今後の展開を見守る必要がある。過去数週間で石油価格は天然ガスと同様に急上昇した。それが波紋を広げる可能性がある」 | -------- |
| 2/24 | メスター・クリーブランド連銀総裁 | 「経済が予想外に転換しない限り、3月にFF金利を引き上げ、今後数カ月で追加利上げを行うことが適切だと考える」 | -------- |
| 2/23 | デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 | 「インフレ率は高すぎる。インフレ圧力はパンデミック関連の混乱から直接影響を受けたセクター以外にも拡大し始めている」、「予想外の重大な悪材料がない限り、3月は金融政策を調整し始める適切な時期である」 | -------- |
| 2/21 | ボウマン・FRB理事 | 「私は3月の会合でのFF金利引き上げを支持する。私の想定通りに景気が進展すれば、数カ月中にも追加利上げが適切になる」、「インフレ抑制に向け強力な行動を取るべきだ」 | -------- |
| 2/18 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「3月の利上げは適切」、「最初に大きな一歩を踏み出すべきだとの説得力ある議論は見られない」 | -------- |
| 2/18 | エバンス:シカゴ連銀総裁 | 「インフレ高進を踏まえ、金融政策の大きな転換が必要だ」、「長期にわたる引き締めについては慎重であるべきだ」 | -------- |
| 2/17 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | 「一部ではインフレが落ち着くと期待する向きもあるが、われわれが落ち着かなくなるリスクに対処する必要がある」、「市場は、ある程度妥当な期間でインフレが落ち着くということに対して、やや信頼感を失いつつある」 | -------- |
| 2/16 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 「もし非常に積極的に金利を引き上げれば、経済に急ブレーキがかかり、経済をリセッション入りさせるリスクを冒すことになる」、「同僚や自分自身への戒めは、やりすぎないようにということだ」、「年内に目標の2%に下がる可能性は低いが、着実に落ち着く方向で進み、年末までに3%に近づく」 | -------- |
| 2/16 | FOMC議事録 | 「インフレが予想通りに鈍化しない場合、FOMCが現在の想定より早いペースで政策緩和を解除することが適切になると、大半の参加者は指摘した」、「幾人かの参加者は現状から判断して、いずれ年内に バランスシートの規模縮小を開始することが正当化される可能性が高いとコメントした」 | 思ったほどタカ派的ではなかったことから、 市場には安心感が広がる。 |
| 2/15 | バイデン・米大統領 | われわれは外交努力による解決の可能性を最後まで追求すべきであり、それぞれの安全保障上の懸念に対処する現実的な方法が存在すると私は考える」、「ロシアの市民に呼び掛けたい。あなた方は米国の敵ではない。そしてあなた方はウクライナを破壊する残酷な戦争を望んでいないと私は信じる」 | -------- |
| 2/15 | プーチン・ロシア大統領 | 「この問題についてわれわれは、交渉と平和的手段を通じて今すぐ、ないし近い将来の解決を望んでいる」と述べ、「戦争については、ノーだ」 | 株価が大幅に上昇。長期金利も大きく上昇し、ドル円は115円88銭まで買われる。 |
| 2/14 | ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 | 「7.5%のインフレ率とタイトな労働市場のなかで、ゼロ金利が正しい調整だとは思わない。一方で行き過ぎた誘導を避けるべきだとも考えている。従ってこの先重要になるのは、体系的であることであり、何に向っているのかを意思伝達することだと考えている」 | -------- |
| 2/14 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | 「計画されている緩和解除をより従来よりも前倒しする必要がある」、「(元FRB議長の)アラン・グリーンスパン氏が一度も目にしことがなかった数字が出ている」、「問われているのはわれわれの信頼性であり、われわれはデータに応じて行動しなくてはならない」 | -------- |
| 2/13 | デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 | 「急激でアグレッシブな行動は、われわれが目指す経済成長や物価安定そのものへの不安定要因になりかねない」、「私が支持するのは3月に行動を起こし、その後は状況を注視、評価し、この先に何が起きるかについて非常に慎重に構え、最適と見える時点で次の利上げを行うことだ。それがすぐ次の会合になることも、次の次の会合になることも考えられる」 | -------- |
| 2/9 | ナ−ゲル・ドイツ連銀総裁 | 「金融政策の正常化を長く待ち過ぎた場合、リスクを抱えることになるのは極めて明らかだ」 | ユーロドル1.14台前半から1.14台半ばへ上昇。 |
| 2/9 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「経済の反応次第では、4回利上げに若干傾斜しつつある」 | -------- |
| 2/9 | メスター・クリーブランド連銀総裁 | 「どの選択肢も検討から外したくない」、「50ベーシスポイントで始めるべきだとする説得力のある主張はないと思う」 | -------- |
| 2/7 | ラガルド・ECB総裁 | 「今後入って来るデータへの注視を続け、中期的なインフレ見通しに対する影響を慎重に分析する」、「政策を調整する場合は常に漸進的に行う」 | -------- |
| 2/6 | クノット・オランダ中銀総裁 | 「早ければ第4四半期(10−12月)中に利上げを見込んでいる」、「2回目の利上げは2023年春に実施することが可能だ」 | -------- |
| 2/4 | サマーズ・元財務長官 | 「市場は毎会合での利上げに備えなくてはならない。インフレのプロセスが続く中、0.25ポイントより大きく引き上げる会合が必要となる可能性にも備えなくてはならない」、「FRBは後手に回っている」 | -------- |
| 2/3 | ラガルド・ECB総裁 | 「昨年12月のわれわれの予想に比べ、インフレ見通しに対するリスクは特に短期的に上振れ方向に傾いている。現状および今後の起こりそうな事態について非常に注意を払っている」、「3月の会合とその後の6月の会合が、ECBのフォワードガイダンスの3条件が完全に満たされたかどうかを判断するにおいて極めて重要になる」 | ユーロドルは1.12台後半から1.14台半ばまで上昇。 |
| 2/3 | ベイリー・BOE総裁 | 「輸入インフレの一部が国内経済に定着し、高インフレが長期にわたって続くリスクに直面している」 | -------- |
| 2/2 | デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 | 「インフレ率は高すぎ、労働市場は堅調であることは明らかだ。従ってわれわれは行動する必要がある」、「年内の毎回の各会合で何が実施されるかと思うかについて現時点で話したくない」、「政策金利が今年を通して上昇すると確実に予想するが、度の会合でどの程度の幅、どの程度の迅速さになるかについてはオープンにしておく」、「基本的なファンダメンタルズが政策調整で損なわれるという感覚は、私にはない」 | -------- |
| 2/1 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | 「50bpはわれわれの助けにならないと思う。少なくとも現時点で考える限り助けにならない。われわれは政策金利引き上げに規律あるアプローチを取ることができ、その予想は既に市場に織り込まれている」 | -------- |
| 2/1 | ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 | 「私としては3月の25bpを支持する。50bpもあり得るだろうが、そうするべきだろうか。現時点でそこまでは確信が持てない。今後約2週間にどのようなデータが示されるか見守る必要があるだろう」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



