「米、ロシア産エネルギーの輸入を禁止」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は堅調に推移し、米金利の上昇を手がかりに115円79銭まで買われた。
- ユーロドルは反発。EUが債券の共同発行を計画しているとの報道に、1.0958まで上昇。
- 株式市場はウクライナのゼレンスキー大統領の発言で3指数が大きく上昇する場面があったが、結局続かずに続落。
- 債券は続落。長期金利は1.84%台へと上昇。
- 金と原油は一段と上昇。原油は米国がロシア産のエネルギーの輸入を禁止したことから一時129ドル台まで上昇。
1月貿易収支 → −89.7b
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| ドル/円 | 115.42 〜 115.79 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.0872 〜 1.0958 |
| ユーロ/円 | 125.56 〜 126.73 |
| NYダウ | −184.74 → 32,632.64ドル |
| GOLD | +47.40 → 2,043.30ドル |
| WTI | +4.30 → 123.70ドル |
| 米10年国債 | +0.072 → 1.846% |
本日の注目イベント
- 豪 豪3月ウエストパック消費者信頼感指数
- 日 10−12月GDP(改定値)
- 韓 韓国大統領選
- 中 中国2月消費者物価指数
- 中 中国2月生産者物価指数
本日のコメント
本レポートの出だしは、連日「ウクライナ情勢」が定着してきました。「今日のロシア・ウクライナ情報」といった感がありますが、いた仕方ありません。この地での情勢が世界の金融・商品市場に大きな影響を及ぼし、今やこの戦争がいつまで続くのかが最大の焦点となり、「オミクロン株」の感染状況などはもはや、圏外になった印象です。
今朝も、その「今日のロシア・ウクライナ情報」から行きます。
バイデン大統領は8日、ロシア産の原油や液化天然ガス(LNG)、石炭など化石燃料の輸入を禁止すると発表しました。また、英国もロシア産原油の輸入を年末まで停止することを発表しています。バイデン氏はホワイトハウスで、「ロシア経済最大の動脈を標的にする」と表明し、「プーチンの戦争にわれわれは加担しない」と述べました。さらに、「プーチンはどんな犠牲があろうと自身が決めた残虐な道を進み続ける決意のようだ。ロシアはこれからもおぞましい犠牲を強いながら進軍を続けるかもしれないが、これだけははっきりしている。ウクライナは決してプーチンの勝利にならない」とし、「プーチンは都市を陥落させたとしても、国家を手に入れることは断じてない」と強い口調で続けました。(ブルームバーグ)またバイデン氏は、石油、天然ガス業界に、過度な値上げを行わないよう、警告もしています。米国がロシアからのエネルギーの禁輸を決めたことで、昨日のWTI原油価格は129ドル台まで急伸し、北海ブレントも一時132ドルを超えています。これに対してロシア側も、西側諸国の制裁に対抗するため一部の物品や原材料の貿易を禁止・制限する命令を出したようですが、具体的な対象については明らかになっていません。
ヘインズ米国家情報長官は8日、下院で開かれた世界の脅威に関する年次公聴会で、「ロシアがウクライナの領土を占領、支配し、持続可能な親ロシア派の政権をキエフに樹立するのは極めて難しいだろうと判断している」と証言しました。また今後の展開については、「プーチン氏が、対ウクライナ戦争の展開を見誤ったロシアは、粘り強く重大な抵抗に遭う公算が大きい。それでもプーチン氏は引かず、勝利の定義を変えようとするかもしれないと予想している」と述べています。ロシア軍はキエフへの攻撃を継続している模様ですが、戦闘が悪化している地域からの民間人の避難用に、ハリコフなど計5都市からの「人道回廊」の提案を示していましたが、その一つである「スムイ」からの避難がようやく始まったようです。依然としてウクライナは厳しい状況下にありますが、10日に予定されている第4回目の停戦交渉も進展の見通しは立たず、ロシア情勢に詳しい小泉悠氏は「時間稼ぎをしている可能性がある」と分析しています。
昨日のNY市場では前日と同じ様に、リスク資産は売られ、安全資産が買われましたが、やや変化も出てきました。株式市場では、ウクライナのゼレンスキー大統領がABCニュースとのインタビューで行った発言で、一時大きく上昇する場面もありました。ゼレンスキー氏が、「ロシアを考慮し、ウクライナはNATO加盟をもはや主張しない」としていると言った内容が明らかになると株価が大きく反発しましたが、この発言は、「NATOは門戸を開放する方針だと表明しているが、ウクライナの加盟には大きな障害が残っており、直ぐには実現しない」というのが、ゼレンスキー氏の本意のようです。
ロシアで事業を見直す動きが加速しており、日米欧の主要企業が「撤退・縮小」を決めた数が200社を超えたと日経新聞が報じています。今朝もイギリスのシェルがロシアからの「完全撤退」を決めたと報じられており、経済制裁に加えて、今後は市民の日常生活にも大きな支障が出て来るものと見られます。一方コカ・コーラなど一部の企業はロシア事業を継続する意向を示していますが、「ロシア事業を続ける企業の取締役会は、ガバナンスのまずさや想像力の欠如からリスクを抱えている。一部企業はロシアに残るウィンウィンの解決方法を模索しているが、そのようなものは存在しない」といった専門家の意見を紹介しています。
米長期金利が戻り基調になってきたことから、ドル円は再び115円台後半まで値を戻してきました。この水準から116円台にかけてのゾーンが、なかなか突破できない状況になっていますが、方向的には「ドル高円安」との見方を筆者は維持しています。目先は10日の第4回目の停戦交渉と、10日発表の米2月のCPI、さらには来週のFOMCといったイベントが注目されます。もっとも、FOMCでは「0.25%の利上げ」は確定的と思われ、パウエル議長の会見が注目材料となりそうです。
本日のドル円は115円40銭〜116円20銭程度を予想します。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 3/8 | ヘインズ・米国家情報長官 | 「ロシアがウクライナの領土を占領、支配し、持続可能は親ロシア派の政権をキエフに樹立するのは極めて難しいだろうと判断している」、「プーチン氏が対ウクライナ戦争の展開を見誤ったロシアは、粘り強く重大な抵抗に遭う公算が大きい。それでもプーチン氏は引かず、勝利の定義を変えようとするかもしれない」 | -------- |
| 3/8 | バイデン・米大統領 | 「ロシア経済最大の動脈を標的にする」、「プーチンの戦争にわれわれは加担しない」、「プーチンはどんな犠牲があろうと自身が決めた残虐な道を進み続ける決意のようだ。ロシアはこれからもおぞましい犠牲を強いながら進軍を続けるかもしれないが、これだけははっきりしている。ウクライナは決してプーチンの勝利にならない」、「プーチンは都市を陥落させたとしても、国家を手に入れることは断じてない」 | -------- |
| 3/4 | エバンス・シカゴ連銀総裁 | 「毎会合で25ベーシスポイントの引き上げは、私が必須と考える利上げを超える可能性はあるが、実際にそれを実施した場合、レンジは年末に1.75−2%になる」と指摘し、その上で、「それは中立金利に十分近く、必要に応じてわれわれが迅速な行動を取り得る水準だ。状況に応じて政策を現状で維持したり、以前の状態に戻すこともあり得る」 | -------- |
| 3/3 | パウエル・FRB議長 | 「ウクライナへの侵攻が始まる前に想定した計画に沿って今後も政策を進めていくのが適切になると考えている。つまり、3月会合で利上げし、今年を通じてその姿勢を続けるということだ」、「現在は極めて微妙は時期にあり、米金融当局として慎重に政策を実施していくことが適切だ。情勢は極めて不確実であり、その不確実性をさらに強めることをわれわれは望んでいない」 | -------- |
| 3/2 | パウエル議長の議会証言 | 「25ベーシスポイントの利上げを提案し、支持する方向に傾いている」、「インフレ率が2%を大きく上回り、労働市場は強い中、FF金利誘導目標レンジを今月の政策会合で引き上げることが適切になると考えている」、「ウクライナ侵攻とその後に続いている戦争、経済制裁や今後のイベントが米経済に及ぼす短期的な影響は、依然として不確実性が高い」、「これから出て来るデータや見通しの変化に応じて、機敏に対応する必要があるだろう」 | 安心感からドル円は115円台後半に。株高、金利高が進む。 |
| 2/28 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「特に注視しているデータポイントの一つがインフレの月間の変化だ。それが低下トレンドに入り始める限り、25bpの動きにかなり満足するだろう。インフレが根強く高止まりしている場合、あるいはさらに上振れるような場合、3月の会合では50bpの利上げを真剣に考える必要があるだろう」 | -------- |
| 2/24 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「緊急時レベルの緩和策を解除する必要性を変えるとは思わない」、「今後の展開を見守る必要がある。過去数週間で石油価格は天然ガスと同様に急上昇した。それが波紋を広げる可能性がある」 | -------- |
| 2/24 | メスター・クリーブランド連銀総裁 | 「経済が予想外に転換しない限り、3月にFF金利を引き上げ、今後数カ月で追加利上げを行うことが適切だと考える」 | -------- |
| 2/23 | デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 | 「インフレ率は高すぎる。インフレ圧力はパンデミック関連の混乱から直接影響を受けたセクター以外にも拡大し始めている」、「予想外の重大な悪材料がない限り、3月は金融政策を調整し始める適切な時期である」 | -------- |
| 2/21 | ボウマン・FRB理事 | 「私は3月の会合でのFF金利引き上げを支持する。私の想定通りに景気が進展すれば、数カ月中にも追加利上げが適切になる」、「インフレ抑制に向け強力な行動を取るべきだ」 | -------- |
| 2/18 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「3月の利上げは適切」、「最初に大きな一歩を踏み出すべきだとの説得力ある議論は見られない」 | -------- |
| 2/18 | エバンス:シカゴ連銀総裁 | 「インフレ高進を踏まえ、金融政策の大きな転換が必要だ」、「長期にわたる引き締めについては慎重であるべきだ」 | -------- |
| 2/17 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | 「一部ではインフレが落ち着くと期待する向きもあるが、われわれが落ち着かなくなるリスクに対処する必要がある」、「市場は、ある程度妥当な期間でインフレが落ち着くということに対して、やや信頼感を失いつつある」 | -------- |
| 2/16 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 「もし非常に積極的に金利を引き上げれば、経済に急ブレーキがかかり、経済をリセッション入りさせるリスクを冒すことになる」、「同僚や自分自身への戒めは、やりすぎないようにということだ」、「年内に目標の2%に下がる可能性は低いが、着実に落ち着く方向で進み、年末までに3%に近づく」 | -------- |
| 2/16 | FOMC議事録 | 「インフレが予想通りに鈍化しない場合、FOMCが現在の想定より早いペースで政策緩和を解除することが適切になると、大半の参加者は指摘した」、「幾人かの参加者は現状から判断して、いずれ年内に バランスシートの規模縮小を開始することが正当化される可能性が高いとコメントした」 | 思ったほどタカ派的ではなかったことから、 市場には安心感が広がる。 |
| 2/15 | バイデン・米大統領 | われわれは外交努力による解決の可能性を最後まで追求すべきであり、それぞれの安全保障上の懸念に対処する現実的な方法が存在すると私は考える」、「ロシアの市民に呼び掛けたい。あなた方は米国の敵ではない。そしてあなた方はウクライナを破壊する残酷な戦争を望んでいないと私は信じる」 | -------- |
| 2/15 | プーチン・ロシア大統領 | 「この問題についてわれわれは、交渉と平和的手段を通じて今すぐ、ないし近い将来の解決を望んでいる」と述べ、「戦争については、ノーだ」 | 株価が大幅に上昇。長期金利も大きく上昇し、ドル円は115円88銭まで買われる。 |
| 2/14 | ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 | 「7.5%のインフレ率とタイトな労働市場のなかで、ゼロ金利が正しい調整だとは思わない。一方で行き過ぎた誘導を避けるべきだとも考えている。従ってこの先重要になるのは、体系的であることであり、何に向っているのかを意思伝達することだと考えている」 | -------- |
| 2/14 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | 「計画されている緩和解除をより従来よりも前倒しする必要がある」、「(元FRB議長の)アラン・グリーンスパン氏が一度も目にしことがなかった数字が出ている」、「問われているのはわれわれの信頼性であり、われわれはデータに応じて行動しなくてはならない」 | -------- |
| 2/13 | デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 | 「急激でアグレッシブな行動は、われわれが目指す経済成長や物価安定そのものへの不安定要因になりかねない」、「私が支持するのは3月に行動を起こし、その後は状況を注視、評価し、この先に何が起きるかについて非常に慎重に構え、最適と見える時点で次の利上げを行うことだ。それがすぐ次の会合になることも、次の次の会合になることも考えられる」 | -------- |
| 2/9 | ナ−ゲル・ドイツ連銀総裁 | 「金融政策の正常化を長く待ち過ぎた場合、リスクを抱えることになるのは極めて明らかだ」 | ユーロドル1.14台前半から1.14台半ばへ上昇。 |
| 2/9 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「経済の反応次第では、4回利上げに若干傾斜しつつある」 | -------- |
| 2/9 | メスター・クリーブランド連銀総裁 | 「どの選択肢も検討から外したくない」、「50ベーシスポイントで始めるべきだとする説得力のある主張はないと思う」 | -------- |
| 2/7 | ラガルド・ECB総裁 | 「今後入って来るデータへの注視を続け、中期的なインフレ見通しに対する影響を慎重に分析する」、「政策を調整する場合は常に漸進的に行う」 | -------- |
| 2/6 | クノット・オランダ中銀総裁 | 「早ければ第4四半期(10−12月)中に利上げを見込んでいる」、「2回目の利上げは2023年春に実施することが可能だ」 | -------- |
| 2/4 | サマーズ・元財務長官 | 「市場は毎会合での利上げに備えなくてはならない。インフレのプロセスが続く中、0.25ポイントより大きく引き上げる会合が必要となる可能性にも備えなくてはならない」、「FRBは後手に回っている」 | -------- |
| 2/3 | ラガルド・ECB総裁 | 「昨年12月のわれわれの予想に比べ、インフレ見通しに対するリスクは特に短期的に上振れ方向に傾いている。現状および今後の起こりそうな事態について非常に注意を払っている」、「3月の会合とその後の6月の会合が、ECBのフォワードガイダンスの3条件が完全に満たされたかどうかを判断するにおいて極めて重要になる」 | ユーロドルは1.12台後半から1.14台半ばまで上昇。 |
| 2/3 | ベイリー・BOE総裁 | 「輸入インフレの一部が国内経済に定着し、高インフレが長期にわたって続くリスクに直面している」 | -------- |
| 2/2 | デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 | 「インフレ率は高すぎ、労働市場は堅調であることは明らかだ。従ってわれわれは行動する必要がある」、「年内の毎回の各会合で何が実施されるかと思うかについて現時点で話したくない」、「政策金利が今年を通して上昇すると確実に予想するが、度の会合でどの程度の幅、どの程度の迅速さになるかについてはオープンにしておく」、「基本的なファンダメンタルズが政策調整で損なわれるという感覚は、私にはない」 | -------- |
| 2/1 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | 「50bpはわれわれの助けにならないと思う。少なくとも現時点で考える限り助けにならない。われわれは政策金利引き上げに規律あるアプローチを取ることができ、その予想は既に市場に織り込まれている」 | -------- |
| 2/1 | ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 | 「私としては3月の25bpを支持する。50bpもあり得るだろうが、そうするべきだろうか。現時点でそこまでは確信が持てない。今後約2週間にどのようなデータが示されるか見守る必要があるだろう」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



