今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ウクライナ、ロシア外相会談成果なし」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は堅調に推移。長期金利の上昇を受けドルが買われたが、東京時間に付けた116円20銭前後は抜けず。
  • ユーロドルはECBのQE縮小を受け上昇したものの、続かず。
  • 株式市場は反落。ウクライナとロシアによる外相会談では特段進展もなかったことから、3指数とも揃って下落。
  • 債券は4日続落。CPIの高い伸びを受け、長期金利は一時2%を超えたが、引けでは1.98%台まで低下して取引を終える。
  • 金は反発。原油は続落し106ドル台に。原油は当面の頂点を付けたとの声も。
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2月消費者物価指数 → 0.8%
新規失業保険申請件数 → 22.7万件
米2月財政収支 → −216.6b
10−12月家計純資産変化 → 5297b
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ドル/円 115.85 〜 116.19
ユーロ/ドル 1.0976 〜 1.1109
ユーロ/円 127.45 〜 128.73
NYダウ −112.18 → 33,174.07ドル
GOLD +12.20 → 2,000.40ドル
WTI −2.68 → 106.02ドル
米10年国債 +0.033 → 1.986%

本日の注目イベント

  • 独 独2月消費者物価指数(改定値)
  • 英 英1月鉱工業生産
  • 英 英1月貿易収支
  • 米 3月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
  • 加 カナダ2月就業者数
  • 加 カナダ2月失業率

本日のコメント

ドル円は昨日の東京時間朝方に116円台に乗せ、午後には116円20銭近辺まで上昇する場面がありました。この欄でも何度か指摘したように、115円台後半から116円30銭近辺までが上値の「抵抗帯」であり、ここを抜け切れるかどうかが焦点です。ドル円はNYでも底堅い動きは見せたものの、やはりこのゾーンが意識されたのか、ドルの高値は東京時間のそれと同水準で上昇を抑えられています。ただ、今回の動きはこれまでの動きとはやや異なり、今朝も116円台で推移しており、「ドルは上に行きたがっている」様に思えます。これまでとは異なり、116円前後での「滞空時間」も長いことから、116円台半ばテストも、やや期待が持てそうな雰囲気です。米長期金利の上昇が支援材料になっています。

トルコのアンタルヤで行われたウクライナのクレバ外相とロシアのラブロフ外相との会談は、結局目立った成果はありませんでした。会談はトルコの仲介で1時間半にわたって行われましたが、会談後クレバ外相は、「ロシアのラブロフ外相が通告してきたのは大まかに言って、ロシアは要求が満たされるまで攻撃を継続するということで、その要求とは控えめなところで降伏だ」と語っています。一方ラブロフ外相は、両国の大統領による真剣な対話にロシアはオープンだとしつつ、「そのような対話には付加価値がなければならない」(ブルームバーグ)とし、ウクライナの非武装化など、相手国の大幅な譲歩がなければならないことを主張しているようで、ウクライナのゼレンスキー大統領が言うように、「解決には双方大統領の直接対話が必要」ではあるものの、実現にはほど遠いようです。この会談後にEUは首脳会議を開催しており、初期の声明案では「ウクライナはわれわれ欧州の家族の一員だ」と書かれていますが、加盟国では一致していないようです。またロシアの経済発展省は、外国人持ち分が25%を超える撤退企業を管理下に置く方針を明らかにしました。ロシアからの全面撤退や事業縮小を決めた企業は多くありますが、同条件に合致する企業は、5日以内に営業を再開するか、株式売却など他の選択肢を決めなければならないようです。

注目されていた米2月の消費者物価指数が発表されました。前年同月比では「7.9%」と、市場予想通りでしたが、1月の「7.5%」を大きく上回り、40年ぶりの高水準でした。変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIも、前年同月比「6.4%」(1月は6.0%)と高く、足元の原油価格の高騰から3月はさらに上昇するとの見方が優勢です。項目別ではガソリン価格と住宅関連のコスト上昇が大きく影響しています。ガソリン価格は全米平均価格が1ガロン(約4リットル)あたり4.173ドル(約480円)と、14年ぶりに最高値を更新しており、カリフォルニア州では7ドルに迫る価格も出て来たとの報告もあります。また住宅関連では家賃が1987年以来の高水準です。ロシアのウクライナ侵攻以来高騰している原油価格の大部分は今回の数字には含まれていません。物価は今後さらに上昇する可能性がある一方、戦争による不確実性をどのように織り込んで政策運営を行っていくのか、FRBは厳しい選択を迫られます。経済成長を優先させるのか、あるいはインフレ阻止が最優先となるのか、来週のFOMC後のパウエル議長の会見が注目されます。

ECBは10日の理事会で金融緩和の縮小を加速させる方針を決めました。5月から段階的に資産購入を減らし、7〜9月には終了する見込みですが、これは今後のデータ次第ということです。ラガルド総裁は会見で、「政策委員会はインフレ率が中期的に2%の目標で安定する可能性が強まっているとみている。ウクライナでの戦争は特にエネルギー価格への相当な上振れリスクだ」と説明しましたが、今後も物価上昇圧力はさらに強まると予想される中、市場はやや想定外と受け止めています。

引き続きウクライナ情勢を睨みながらの展開となります。ロシア軍が首都キエフに迫っていることも気になります。キエフの人口の半分はすでに首都からの避難を終えたようですが、この週末にかけてロシア軍が総攻撃を開始する可能性もないとは言えません。首都キエフが制圧されれば、リスクオフが再び強まることも考えられます。

本日のドル円は115円60銭〜116円50銭程度を予想します。

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連日のようにロシアによるウクライナ砲撃の様子が報道されていますが、ここまでくると「独裁者プーチン」ではなく、もはや「狂人プーチン」になり下がった感があります。テレビでは泣く子供を胸に抱きかかえて「助けてください」と涙ながらに訴えている女性の姿も放映されています。砲撃をさけるため、電気の来ない地下で寒さと飢えに襲われながらも、声を潜めて我慢する多くの人々・・・

21世紀の今日、連日画面の向こうで実際に戦争が行われているシーンを見るとは思ってもいませんでした。それと同時に、多くの民間人が犠牲になる戦争を止めることが出来ない国連や西側諸国の対応に歯がゆさも覚えます。ウクライナに1日も早く平和が訪れることを願ってやみません。ここは、これまでに依頼された仕事を一度も失敗したことのない、あの「ゴルゴ13」にお願いしたいと思うのは、私だけではないでしょう。

良い週末を・・・・・。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
3/10 ラガルド・ECB総裁 「政策委員会はインフレ率が中期的に2%の目標で安定する可能性が強まっているとみている。ウクライナでの戦争は特にエネルギー価格への相当な上振れリスクだ」 --------
3/8 ヘインズ・米国家情報長官 「ロシアがウクライナの領土を占領、支配し、持続可能は親ロシア派の政権をキエフに樹立するのは極めて難しいだろうと判断している」、「プーチン氏が対ウクライナ戦争の展開を見誤ったロシアは、粘り強く重大な抵抗に遭う公算が大きい。それでもプーチン氏は引かず、勝利の定義を変えようとするかもしれない」 --------
3/8 バイデン・米大統領 「ロシア経済最大の動脈を標的にする」、「プーチンの戦争にわれわれは加担しない」、「プーチンはどんな犠牲があろうと自身が決めた残虐な道を進み続ける決意のようだ。ロシアはこれからもおぞましい犠牲を強いながら進軍を続けるかもしれないが、これだけははっきりしている。ウクライナは決してプーチンの勝利にならない」、「プーチンは都市を陥落させたとしても、国家を手に入れることは断じてない」 --------
3/4 エバンス・シカゴ連銀総裁 「毎会合で25ベーシスポイントの引き上げは、私が必須と考える利上げを超える可能性はあるが、実際にそれを実施した場合、レンジは年末に1.75−2%になる」と指摘し、その上で、「それは中立金利に十分近く、必要に応じてわれわれが迅速な行動を取り得る水準だ。状況に応じて政策を現状で維持したり、以前の状態に戻すこともあり得る」 --------
3/3 パウエル・FRB議長 「ウクライナへの侵攻が始まる前に想定した計画に沿って今後も政策を進めていくのが適切になると考えている。つまり、3月会合で利上げし、今年を通じてその姿勢を続けるということだ」、「現在は極めて微妙は時期にあり、米金融当局として慎重に政策を実施していくことが適切だ。情勢は極めて不確実であり、その不確実性をさらに強めることをわれわれは望んでいない」 --------
3/2 パウエル議長の議会証言 「25ベーシスポイントの利上げを提案し、支持する方向に傾いている」、「インフレ率が2%を大きく上回り、労働市場は強い中、FF金利誘導目標レンジを今月の政策会合で引き上げることが適切になると考えている」、「ウクライナ侵攻とその後に続いている戦争、経済制裁や今後のイベントが米経済に及ぼす短期的な影響は、依然として不確実性が高い」、「これから出て来るデータや見通しの変化に応じて、機敏に対応する必要があるだろう」 安心感からドル円は115円台後半に。株高、金利高が進む。
2/28 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「特に注視しているデータポイントの一つがインフレの月間の変化だ。それが低下トレンドに入り始める限り、25bpの動きにかなり満足するだろう。インフレが根強く高止まりしている場合、あるいはさらに上振れるような場合、3月の会合では50bpの利上げを真剣に考える必要があるだろう」 --------
2/24 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「緊急時レベルの緩和策を解除する必要性を変えるとは思わない」、「今後の展開を見守る必要がある。過去数週間で石油価格は天然ガスと同様に急上昇した。それが波紋を広げる可能性がある」 --------
2/24 メスター・クリーブランド連銀総裁 「経済が予想外に転換しない限り、3月にFF金利を引き上げ、今後数カ月で追加利上げを行うことが適切だと考える」 --------
2/23 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 「インフレ率は高すぎる。インフレ圧力はパンデミック関連の混乱から直接影響を受けたセクター以外にも拡大し始めている」、「予想外の重大な悪材料がない限り、3月は金融政策を調整し始める適切な時期である」 --------
2/21 ボウマン・FRB理事 「私は3月の会合でのFF金利引き上げを支持する。私の想定通りに景気が進展すれば、数カ月中にも追加利上げが適切になる」、「インフレ抑制に向け強力な行動を取るべきだ」 --------
2/18 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「3月の利上げは適切」、「最初に大きな一歩を踏み出すべきだとの説得力ある議論は見られない」 --------
2/18 エバンス:シカゴ連銀総裁 「インフレ高進を踏まえ、金融政策の大きな転換が必要だ」、「長期にわたる引き締めについては慎重であるべきだ」 --------
2/17 ブラード・セントルイス連銀総裁 「一部ではインフレが落ち着くと期待する向きもあるが、われわれが落ち着かなくなるリスクに対処する必要がある」、「市場は、ある程度妥当な期間でインフレが落ち着くということに対して、やや信頼感を失いつつある」 --------
2/16 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「もし非常に積極的に金利を引き上げれば、経済に急ブレーキがかかり、経済をリセッション入りさせるリスクを冒すことになる」、「同僚や自分自身への戒めは、やりすぎないようにということだ」、「年内に目標の2%に下がる可能性は低いが、着実に落ち着く方向で進み、年末までに3%に近づく」 --------
2/16 FOMC議事録 「インフレが予想通りに鈍化しない場合、FOMCが現在の想定より早いペースで政策緩和を解除することが適切になると、大半の参加者は指摘した」、「幾人かの参加者は現状から判断して、いずれ年内に バランスシートの規模縮小を開始することが正当化される可能性が高いとコメントした」 思ったほどタカ派的ではなかったことから、 市場には安心感が広がる。
2/15 バイデン・米大統領 われわれは外交努力による解決の可能性を最後まで追求すべきであり、それぞれの安全保障上の懸念に対処する現実的な方法が存在すると私は考える」、「ロシアの市民に呼び掛けたい。あなた方は米国の敵ではない。そしてあなた方はウクライナを破壊する残酷な戦争を望んでいないと私は信じる」 --------
2/15 プーチン・ロシア大統領 「この問題についてわれわれは、交渉と平和的手段を通じて今すぐ、ないし近い将来の解決を望んでいる」と述べ、「戦争については、ノーだ」 株価が大幅に上昇。長期金利も大きく上昇し、ドル円は115円88銭まで買われる。
2/14 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 「7.5%のインフレ率とタイトな労働市場のなかで、ゼロ金利が正しい調整だとは思わない。一方で行き過ぎた誘導を避けるべきだとも考えている。従ってこの先重要になるのは、体系的であることであり、何に向っているのかを意思伝達することだと考えている」 --------
2/14 ブラード・セントルイス連銀総裁 「計画されている緩和解除をより従来よりも前倒しする必要がある」、「(元FRB議長の)アラン・グリーンスパン氏が一度も目にしことがなかった数字が出ている」、「問われているのはわれわれの信頼性であり、われわれはデータに応じて行動しなくてはならない」 --------
2/13 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 「急激でアグレッシブな行動は、われわれが目指す経済成長や物価安定そのものへの不安定要因になりかねない」、「私が支持するのは3月に行動を起こし、その後は状況を注視、評価し、この先に何が起きるかについて非常に慎重に構え、最適と見える時点で次の利上げを行うことだ。それがすぐ次の会合になることも、次の次の会合になることも考えられる」 --------
2/9 ナ−ゲル・ドイツ連銀総裁 「金融政策の正常化を長く待ち過ぎた場合、リスクを抱えることになるのは極めて明らかだ」 ユーロドル1.14台前半から1.14台半ばへ上昇。
2/9 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「経済の反応次第では、4回利上げに若干傾斜しつつある」 --------
2/9 メスター・クリーブランド連銀総裁 「どの選択肢も検討から外したくない」、「50ベーシスポイントで始めるべきだとする説得力のある主張はないと思う」 --------
2/7 ラガルド・ECB総裁 「今後入って来るデータへの注視を続け、中期的なインフレ見通しに対する影響を慎重に分析する」、「政策を調整する場合は常に漸進的に行う」 --------
2/6 クノット・オランダ中銀総裁 「早ければ第4四半期(10−12月)中に利上げを見込んでいる」、「2回目の利上げは2023年春に実施することが可能だ」 --------
2/4 サマーズ・元財務長官 「市場は毎会合での利上げに備えなくてはならない。インフレのプロセスが続く中、0.25ポイントより大きく引き上げる会合が必要となる可能性にも備えなくてはならない」、「FRBは後手に回っている」 --------
2/3 ラガルド・ECB総裁 「昨年12月のわれわれの予想に比べ、インフレ見通しに対するリスクは特に短期的に上振れ方向に傾いている。現状および今後の起こりそうな事態について非常に注意を払っている」、「3月の会合とその後の6月の会合が、ECBのフォワードガイダンスの3条件が完全に満たされたかどうかを判断するにおいて極めて重要になる」 ユーロドルは1.12台後半から1.14台半ばまで上昇。
2/3 ベイリー・BOE総裁 「輸入インフレの一部が国内経済に定着し、高インフレが長期にわたって続くリスクに直面している」 --------
2/2 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 「インフレ率は高すぎ、労働市場は堅調であることは明らかだ。従ってわれわれは行動する必要がある」、「年内の毎回の各会合で何が実施されるかと思うかについて現時点で話したくない」、「政策金利が今年を通して上昇すると確実に予想するが、度の会合でどの程度の幅、どの程度の迅速さになるかについてはオープンにしておく」、「基本的なファンダメンタルズが政策調整で損なわれるという感覚は、私にはない」 --------
2/1 ブラード・セントルイス連銀総裁 「50bpはわれわれの助けにならないと思う。少なくとも現時点で考える限り助けにならない。われわれは政策金利引き上げに規律あるアプローチを取ることができ、その予想は既に市場に織り込まれている」 --------
2/1 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 「私としては3月の25bpを支持する。50bpもあり得るだろうが、そうするべきだろうか。現時点でそこまでは確信が持てない。今後約2週間にどのようなデータが示されるか見守る必要があるだろう」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和