今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ドル円続伸し、NYでは118円21銭まで上昇」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は続伸。欧州市場で118円台に乗せ、NYでは118円21銭までドル高が進行。米長期金利が大きく上昇し、2.1%台に乗せたことも支援材料に。
  • ドル高が進む中、ユーロドルにも売り圧力が強まり終始1.09台で推移。
  • 株式市場はまちまち。ダウは大きく上昇する場面があったが、引け値ではほぼ横ばい。一方ナスダックは金利上昇が嫌気され262ポイントの下げに。
  • 債券は大幅に続落。長期金利は2.13%台まで上昇。
  • 金は続落。原油も大きく売られ、一時は100ドルを割り込んだが103ドル台まで戻して取引を終える。
ドル/円 117.84 〜 118.21
ユーロ/ドル 1.0936 〜 1.0994
ユーロ/円 129.03 〜 129.71
NYダウ +1.06 → 32,945.24ドル
GOLD −24.28 → 1,960.80ドル
WTI −6.32 → 103.01ドル
米10年国債 +0.141 → 2.133%

本日の注目イベント

  • 中 中国2月小売売上高
  • 中 中国2月鉱工業生産
  • 独 独3月ZEW景気期待指数
  • 欧 ユーロ圏1月鉱工業生産
  • 欧 OPEC月報
  • 英 英2月失業率
  • 米 3月NY連銀製造業景況指数
  • 米 2月生産者物価指数
  • 加 カナダ2月住宅着工件数

本日のコメント

ドル円は連日上値を切り上げ、ついに118円台までドル高が進みました。投資家のセンチメントがドル高に大きく傾く中、昨日は米長期金利が2.13%台まで上昇したことがドル高を後押し、NYでは118円21銭と、2017年1月以来5年2カ月ぶりの水準を付けました。米長期金利が2.13%台まで上昇したのは、2019年7月以来ということになります。FOMCが本日から開催されることもあり、投資家は再び日米中銀の金融政策の違いに着目し始めています。

明日の会合最終日にFRBは「0.25%の利上げ」を決めるものと思われます。FRBはコロナウイルスのパンデミックを受け、2020年3月にゼロ金利政策を採用し、金融緩和を始めましたが、これで超低金利時代は終焉を迎え、「金融引き締めへの第一歩」を踏み出すことになります。現時点の金利先物市場から推計すると、FRBは年内の会合全てで利上げを実施することが示唆されています。市場もこの辺りに再度目を向け、日米金利差がさらに拡大するとの見方から「円売り」姿勢を強めているものと思われます。ロシアによるウクライナ攻撃でも、思ったほど円買いが進まなかったことも、ドルの買い方に安心感を与えています。ただ、それにしてもドルの上昇スピードは速すぎると思われます。これで目先のドルの高値のメドは2016年12月に記録した118円66銭ということになりますが、118円台まで円安が進んだことで、自動車など輸出企業はかなり余裕を持って市場と対峙できます。慌ててドル売注文を持ち込む必要が無くなったとみられます。一方石油など輸入業者はドルを早めに手当しておかないと、といった焦りも出てきます。加えて、原油価格が100ドルを大きく超えており、ドルに対する需要は拡大の一途です。こう考えると、足元のドル高は投機的な動きに加えて「実需に基づくドル高」と言えなくもありません。上記118円66銭を明確に上抜けするようだと、「次は120円」といった声も出てきそうです。

ウクライナ情勢を巡り、サリバン米大統領補佐官と中国の楊共産党政治局員がローマで会談しました。会談は約6時間続き、両者はロシアによる戦争に関し、「実質的な議論」を行ったとの声明をホワイトハウスが発表しています。サリバン氏は、ロシアとウクライナの戦争だけではなく「米中関係における広範囲な問題を取り上げた」と述べ、「米中間で開かれた連絡ラインを維持する重要性も強調した」と語っています。一方楊氏は、中国がウクライナ和平協議の促進にコミットしており、中国の立ち位置を歪曲したり中傷したりする不正確な情報の発信には反対すると述べています。(ブルームバーグ)ウクライナとロシアの停戦交渉は、双方が状況を見極めるため15日まで一時中断となりました。ウクライナのゼレンスキー大統領は16日に米議会向けに演説を行うことを発表し、国連のグテレス事務総長は、ウクライナ国内や国外に避難した人の数は約500万人以上になると指摘しています。またブルームバーグは、ホワイトハウスがバイデン大統領の訪欧計画を協議していると報じています。NBCニュースもバイデン大統領の訪問はベルギーのブリュッセルになる可能性があると報じています。ブリュッセルにはNATOの本部が置かれています。

ドル円は「日足」では6営業日連続で「陽線」を示現しています。これは昨年12月以来ということになりますが、その時と比べ値幅が圧倒的に異なります。今回は既に6営業日で3円50銭以上も上昇しており、仮に118円66銭を超えたとしても120円到達前には「スピード調整」が見られると予想します。ロシアの攻撃によりウクライナの民間人の被害も拡大しています。首都キエフ制圧に向けた総攻撃がいつあってもおかしくない情勢下では、まだまだ不確実性が多いと感じます。本日のドル円は117円80銭から118円70銭程度を予想しています。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
3/10 ラガルド・ECB総裁 「政策委員会はインフレ率が中期的に2%の目標で安定する可能性が強まっているとみている。ウクライナでの戦争は特にエネルギー価格への相当な上振れリスクだ」 --------
3/8 ヘインズ・米国家情報長官 「ロシアがウクライナの領土を占領、支配し、持続可能は親ロシア派の政権をキエフに樹立するのは極めて難しいだろうと判断している」、「プーチン氏が対ウクライナ戦争の展開を見誤ったロシアは、粘り強く重大な抵抗に遭う公算が大きい。それでもプーチン氏は引かず、勝利の定義を変えようとするかもしれない」 --------
3/8 バイデン・米大統領 「ロシア経済最大の動脈を標的にする」、「プーチンの戦争にわれわれは加担しない」、「プーチンはどんな犠牲があろうと自身が決めた残虐な道を進み続ける決意のようだ。ロシアはこれからもおぞましい犠牲を強いながら進軍を続けるかもしれないが、これだけははっきりしている。ウクライナは決してプーチンの勝利にならない」、「プーチンは都市を陥落させたとしても、国家を手に入れることは断じてない」 --------
3/4 エバンス・シカゴ連銀総裁 「毎会合で25ベーシスポイントの引き上げは、私が必須と考える利上げを超える可能性はあるが、実際にそれを実施した場合、レンジは年末に1.75−2%になる」と指摘し、その上で、「それは中立金利に十分近く、必要に応じてわれわれが迅速な行動を取り得る水準だ。状況に応じて政策を現状で維持したり、以前の状態に戻すこともあり得る」 --------
3/3 パウエル・FRB議長 「ウクライナへの侵攻が始まる前に想定した計画に沿って今後も政策を進めていくのが適切になると考えている。つまり、3月会合で利上げし、今年を通じてその姿勢を続けるということだ」、「現在は極めて微妙は時期にあり、米金融当局として慎重に政策を実施していくことが適切だ。情勢は極めて不確実であり、その不確実性をさらに強めることをわれわれは望んでいない」 --------
3/2 パウエル議長の議会証言 「25ベーシスポイントの利上げを提案し、支持する方向に傾いている」、「インフレ率が2%を大きく上回り、労働市場は強い中、FF金利誘導目標レンジを今月の政策会合で引き上げることが適切になると考えている」、「ウクライナ侵攻とその後に続いている戦争、経済制裁や今後のイベントが米経済に及ぼす短期的な影響は、依然として不確実性が高い」、「これから出て来るデータや見通しの変化に応じて、機敏に対応する必要があるだろう」 安心感からドル円は115円台後半に。株高、金利高が進む。
2/28 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「特に注視しているデータポイントの一つがインフレの月間の変化だ。それが低下トレンドに入り始める限り、25bpの動きにかなり満足するだろう。インフレが根強く高止まりしている場合、あるいはさらに上振れるような場合、3月の会合では50bpの利上げを真剣に考える必要があるだろう」 --------
2/24 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「緊急時レベルの緩和策を解除する必要性を変えるとは思わない」、「今後の展開を見守る必要がある。過去数週間で石油価格は天然ガスと同様に急上昇した。それが波紋を広げる可能性がある」 --------
2/24 メスター・クリーブランド連銀総裁 「経済が予想外に転換しない限り、3月にFF金利を引き上げ、今後数カ月で追加利上げを行うことが適切だと考える」 --------
2/23 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 「インフレ率は高すぎる。インフレ圧力はパンデミック関連の混乱から直接影響を受けたセクター以外にも拡大し始めている」、「予想外の重大な悪材料がない限り、3月は金融政策を調整し始める適切な時期である」 --------
2/21 ボウマン・FRB理事 「私は3月の会合でのFF金利引き上げを支持する。私の想定通りに景気が進展すれば、数カ月中にも追加利上げが適切になる」、「インフレ抑制に向け強力な行動を取るべきだ」 --------
2/18 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「3月の利上げは適切」、「最初に大きな一歩を踏み出すべきだとの説得力ある議論は見られない」 --------
2/18 エバンス:シカゴ連銀総裁 「インフレ高進を踏まえ、金融政策の大きな転換が必要だ」、「長期にわたる引き締めについては慎重であるべきだ」 --------
2/17 ブラード・セントルイス連銀総裁 「一部ではインフレが落ち着くと期待する向きもあるが、われわれが落ち着かなくなるリスクに対処する必要がある」、「市場は、ある程度妥当な期間でインフレが落ち着くということに対して、やや信頼感を失いつつある」 --------
2/16 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「もし非常に積極的に金利を引き上げれば、経済に急ブレーキがかかり、経済をリセッション入りさせるリスクを冒すことになる」、「同僚や自分自身への戒めは、やりすぎないようにということだ」、「年内に目標の2%に下がる可能性は低いが、着実に落ち着く方向で進み、年末までに3%に近づく」 --------
2/16 FOMC議事録 「インフレが予想通りに鈍化しない場合、FOMCが現在の想定より早いペースで政策緩和を解除することが適切になると、大半の参加者は指摘した」、「幾人かの参加者は現状から判断して、いずれ年内に バランスシートの規模縮小を開始することが正当化される可能性が高いとコメントした」 思ったほどタカ派的ではなかったことから、 市場には安心感が広がる。
2/15 バイデン・米大統領 われわれは外交努力による解決の可能性を最後まで追求すべきであり、それぞれの安全保障上の懸念に対処する現実的な方法が存在すると私は考える」、「ロシアの市民に呼び掛けたい。あなた方は米国の敵ではない。そしてあなた方はウクライナを破壊する残酷な戦争を望んでいないと私は信じる」 --------
2/15 プーチン・ロシア大統領 「この問題についてわれわれは、交渉と平和的手段を通じて今すぐ、ないし近い将来の解決を望んでいる」と述べ、「戦争については、ノーだ」 株価が大幅に上昇。長期金利も大きく上昇し、ドル円は115円88銭まで買われる。
2/14 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 「7.5%のインフレ率とタイトな労働市場のなかで、ゼロ金利が正しい調整だとは思わない。一方で行き過ぎた誘導を避けるべきだとも考えている。従ってこの先重要になるのは、体系的であることであり、何に向っているのかを意思伝達することだと考えている」 --------
2/14 ブラード・セントルイス連銀総裁 「計画されている緩和解除をより従来よりも前倒しする必要がある」、「(元FRB議長の)アラン・グリーンスパン氏が一度も目にしことがなかった数字が出ている」、「問われているのはわれわれの信頼性であり、われわれはデータに応じて行動しなくてはならない」 --------
2/13 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 「急激でアグレッシブな行動は、われわれが目指す経済成長や物価安定そのものへの不安定要因になりかねない」、「私が支持するのは3月に行動を起こし、その後は状況を注視、評価し、この先に何が起きるかについて非常に慎重に構え、最適と見える時点で次の利上げを行うことだ。それがすぐ次の会合になることも、次の次の会合になることも考えられる」 --------
2/9 ナ−ゲル・ドイツ連銀総裁 「金融政策の正常化を長く待ち過ぎた場合、リスクを抱えることになるのは極めて明らかだ」 ユーロドル1.14台前半から1.14台半ばへ上昇。
2/9 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「経済の反応次第では、4回利上げに若干傾斜しつつある」 --------
2/9 メスター・クリーブランド連銀総裁 「どの選択肢も検討から外したくない」、「50ベーシスポイントで始めるべきだとする説得力のある主張はないと思う」 --------
2/7 ラガルド・ECB総裁 「今後入って来るデータへの注視を続け、中期的なインフレ見通しに対する影響を慎重に分析する」、「政策を調整する場合は常に漸進的に行う」 --------
2/6 クノット・オランダ中銀総裁 「早ければ第4四半期(10−12月)中に利上げを見込んでいる」、「2回目の利上げは2023年春に実施することが可能だ」 --------
2/4 サマーズ・元財務長官 「市場は毎会合での利上げに備えなくてはならない。インフレのプロセスが続く中、0.25ポイントより大きく引き上げる会合が必要となる可能性にも備えなくてはならない」、「FRBは後手に回っている」 --------
2/3 ラガルド・ECB総裁 「昨年12月のわれわれの予想に比べ、インフレ見通しに対するリスクは特に短期的に上振れ方向に傾いている。現状および今後の起こりそうな事態について非常に注意を払っている」、「3月の会合とその後の6月の会合が、ECBのフォワードガイダンスの3条件が完全に満たされたかどうかを判断するにおいて極めて重要になる」 ユーロドルは1.12台後半から1.14台半ばまで上昇。
2/3 ベイリー・BOE総裁 「輸入インフレの一部が国内経済に定着し、高インフレが長期にわたって続くリスクに直面している」 --------
2/2 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 「インフレ率は高すぎ、労働市場は堅調であることは明らかだ。従ってわれわれは行動する必要がある」、「年内の毎回の各会合で何が実施されるかと思うかについて現時点で話したくない」、「政策金利が今年を通して上昇すると確実に予想するが、度の会合でどの程度の幅、どの程度の迅速さになるかについてはオープンにしておく」、「基本的なファンダメンタルズが政策調整で損なわれるという感覚は、私にはない」 --------
2/1 ブラード・セントルイス連銀総裁 「50bpはわれわれの助けにならないと思う。少なくとも現時点で考える限り助けにならない。われわれは政策金利引き上げに規律あるアプローチを取ることができ、その予想は既に市場に織り込まれている」 --------
2/1 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 「私としては3月の25bpを支持する。50bpもあり得るだろうが、そうするべきだろうか。現時点でそこまでは確信が持てない。今後約2週間にどのようなデータが示されるか見守る必要があるだろう」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和