今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「米長期金利3年ぶりに2.56%台へ上昇」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ブレイナードFRB理事の発言を受け米長期金利が上昇したことでドル円は急伸。123円台を回復し、123円67銭までドル高が進む。
  • ドル高が進んだことでユーロドルは続落。1.0900近辺まで売られ、約4週間ぶりのユーロ安を示現。
  • 株式市場は3指数が大きく売られる。金利上昇を受け、特にナスダックの下げが大きく328ポイントの下落。
  • 債券は大幅に続落。ブレイナードFRB理事がバランスシート縮小を急ぐ考えを示したことで、長期金利は2.56%台まで急騰。
  • 金と原油は反落。
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3月マークイットサービス業PMI(改定値) → 58.0
3月マークイットコンポジットPMI(改定値) → 57.7
2月貿易収支 → −89.2b
3月ISM非製造業景況指数 → 58.3
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ドル/円 122.76 〜 123.67
ユーロ/ドル 1.0900 〜 1.0976
ユーロ/円 134.58 〜 135.00
NYダウ −280.70 → 34,641.18ドル
GOLD −6.50 → 1,927.50ドル
WTI −1.32 → 101.96ドル
米10年国債 +0.152 → 2.547%

本日の注目イベント

  • 中 3月財新サービス業PMI
  • 中 3月財新コンポジットPMI
  • 独 独2月製造業新規受注
  • 欧 ユーロ圏2月生産者物価指数
  • 欧 NATO外相会合(ブリュッセル、7日まで)
  • 米 FOMC議事録(3月15−16日分)

本日のコメント

個人的にも大いに注目していたブレイナードFRB理事の発言は、やはりインパクトがありました。ブレイナード氏は5日、ミネアポリス連銀主催の講演で、FOMCは「一連の利上げを通じて整然と、また早ければ5月の会合で急速なペースでのバランスシート縮小を開始することで、金融政策の引き締めを続ける」と述べ、「過去の景気サイクルと比べて回復がかなり力強く、かつ速いスピードで進んでいることを踏まえれば、バランスシートは過去の回復局面よりもかなり急速なペースで縮小すると想定する。2017−19年と比較して縮小額の上限がかなり大きくなるほか、縮小期間も大幅に短くなる」と付け加えました。さらにブレイナード氏は、「現時点において、インフレは高すぎる状況で、上振れリスクにさらされている。インフレやインフレ期待の指標で正当化されれば、FOMCには一段と強力な行動を取る用意がある」と続けています。(ブルームバーグ)

ブレイナード理事が5月にもバランスシート縮小を「急速なペース」で行うことに言及したことで株価は大きく下げ、債券も売られ、長期金利は一時2.565%台まで上昇し、2019年5月以来、約3年ぶりとなる高水準を記録しました。123円近辺が重かったドル円も、金利上昇に吸い寄せられるように、123円台をクリアし、1週間ぶりに123円67銭までドル高が進んでいます。昨日の東京市場でのドル安水準から見ると、1円30銭も上昇したことになります。ただ米長期金利の水準を見ると、前回125円を記録した際よりも、今回はさらに高くなりましたが、125円には届いていません。これも先週指摘したことですが、今回のドル高は前回に比べ上昇スピードが明らかに遅いと言えます。前回利益を取り損ねた投資家の「戻り売り」が上昇スピードを抑制したとみています。125円台から121円台への急落を経験した「学習効果」が働いているようです。

昨日はブレイナードFRB理事の他にもFOMCメンバーによる発言がありました。サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は、「金利は上昇しつつあるものの、歴史的基準から見て比較的低い軌道上になおある」との認識を示し、5月にもバランスシート縮小を開始する可能性に触れています。また、カンザスシティー連銀のジョージ総裁もブルームバーグニュースとのインタビューで、「50ベーシスポイントは、われわれが他の事とともに検討しなければならない選択肢の一つだと思う」と述べ、「この金融緩和を解除する課程で、非常に慎重かつ意図を持って行う必要がある。バランスシートが政策金利の上昇とともにどう推移するかを考えることを、私は重視している」と語っています。

昨日の午後、オーストラリア準備銀行(RBA)は金融政策会合で政策金利であるキャッシュ・レートを「0.1%」で据え置くことを決めました。この決定は市場予想通りでしたが、会合後に発表した声明が豪ドルを大きく押し上げています。2021年11月会合以降、声明で毎回使われた「忍耐強い対応を続ける」との表現が消えたことで、RBAがタカ派的シグナルを発した可能性があると受け止められ、豪ドルが買われました。声明では「豪州のインフレ率は他の多くの国々よりも低い水準にとどまる」としながらも、「インフレは勢いを増しており、さらなる加速が予想される」とし、「力強い雇用の伸びが継続する兆しがある」うえ、「賃金の上昇は引き続き緩やかと予想」との言い回しから、今年の夏ごろには利上げに踏み切るのではないかと思われます。豪ドル円はこの発表後上昇し、92円台前半から93円台まで上昇。さらにNYでは94円台まで買われています。

キーウ(キエフ)郊外のブチャでのロシア軍の残虐な行為に対して世界中から厳しい非難の声が上がっていますが、EUに続いて米国もロシアに対して追加制裁を行うことを決め、本日にも発表される見込みです。ウクライナのゼレンスキー大統領はこれらの行為を「ジェノサイドだ」と断じ、国連はロシアの拒否権剥奪か平和を確保するシステムの改革が必要だと訴え、さもなければ、国連安保理は「解散」すべきだと、これまでより一歩踏み込んだ発言を行いました。

本日は3月のFOMC議事録が公開されます。利上げを決めた会合だけに、どのようなタカ派的議論があったのか注目されますが、昨日ブレイナード理事がバランスシート縮小に関してかなり突っ込んだ発言を行ったことで、議事録の「鮮度」はやや低下しているとみています。議事録の内容だけでここから一気に125円台に乗せる公算は低いと考えます。

本日のドル円は123円〜124円30銭程度と予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
4/5 オーストラリア準備銀行(RBA) 「忍耐強い対応を続ける」との表現が消え、「豪州のインフレ率は他の多くの国々よりも低い水準にとどまる」、「インフレは勢いを増しており、さらなる加速が予想される」、「力強い雇用の伸びが継続する兆しがある」、「賃金の上昇は引き続き緩やかと予想」 豪ドル円92円台前半から93円台まで上昇。
4/5 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 「50ベーシスポイントは、われわれが他の事とともに検討しなければならない選択肢の一つだと思う」、「この金融緩和を解除する課程で、非常に慎重かつ意図を持って行う必要がある。バランスシートが政策金利の上昇とともに同推移するかを考えることを、私は重視している」 --------
4/5 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 「金利は上昇しつつあるものの、歴史的基準から見て比較的低い軌道上になおある」 --------
4/5 ブレイナード・FRB理事 「一連の利上げを通じて整然と、また早ければ5月の会合で急速なペースでのバランスシート縮小を開始することで、金融政策の引き締めを続ける」、「過去の景気サイクルと比べて回復がかなり力強く、かつ速いスピードで進んでいることを踏まえれば、バランスシートは過去の回復局面よりもかなり急速なペースで縮小すると想定する。2017−19年と比較して縮小額の上限がかなり大きくなるほか、縮小期間も大幅に短くなる」、「現時点において、インフレは高すぎる状況で、上振れリスクにさらされている。インフレやインフレ期待の指標で正当化されれば、FOMCには一段と強力な行動を取る用意がある」 債券は大幅下落。長期金利が2.56%台まで上昇し、ドル円は122円半ばから123円台半ばまで上昇。株価は3指数が揃って大幅な下げに。
4/2 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「金利をもっと正常ないし中立的な水準に引き上げなければならないのは明らかだが、直ちにそこに到達する必要があるかと問えば、答えはノーだ。それは一連のステップを通じて実行可能だ」 --------
4/1 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 「今から次回の会合までにネガティブサプライズがないとすれば、0.5ポイントの論拠は強まっている」、「そうした早期の調整を行うのが適切になるとの確信を私は強めている」 --------
3/30 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 「緩和解除が必須なのは明白だ。ただ解除の度合いや、どの程度積極的にすべきかについては不透明な部分がずっと大きい」 --------
3/30 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「5月の会合でわれわれは決定を下すわけだが、問題となるのは、利上げへの対応能力と高インフレの根強さという面で米経済がどの程度の力強さを備えているかということだろう。私はそれらの両方の面に注目しており、5月に判断が下される」 --------
3/29 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 「大規模な財政支援策とサプライチェーンの混乱、緩和的な金融政策を背景に、インフレ率は私や同僚が懸念せずにいられる水準を大きく超えて上昇している」、「インフレ期待が抑制できなくなるリスクを懸念している」、「われわれが直面している経済の不確実性の度合いを踏まえれば、次回会合で0.5ポイントという選択肢を排除しない。ただ現時点では断言しない」 --------
3/25 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「FOMCの1回の会合で50ベーシスポイント利上げをすることが適切なら、そうすべきだ。どちらかを選択しない理由はない。経済に起きていることに基づいた正しい決定が必要だということだ」 長期金利は2.5%まで上昇
3/24 エバンス・シカゴ連銀総裁 「毎回の会合で0.25ポイント引き上げることには違和感はない」、「そう遠くない将来に中立水準に到達したい。0.5ポイントの利上げがそのとき役立つかもしれない。私はそれにはオープンだ」 ドル円の上昇につながる。ドル円は一時122円41銭まで買われる。
3/23 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 物価安定を確保するために必要なあらゆる措置を講じる用意がある。現時点で物価が安定していると誰も考えていないことは明白だ」、「0.5ポイントの行動が必要なら、われわれはそれを実行するだろう」 ドル円120円台半ばから121円台に。
3/23 メスター・クリーブランド連銀総裁 「何回かの50ベーシスポイントの利上げが必要になる。ここから7月までの全会合を前提にするつもりはないが、後ではなく、より早い時期にもっと積極的になる必要があると考える」 ドル円120円台半ばから121円台に。
3/23 ブラード・セントルイス連銀総裁 「米金融当局がインフレ率を2%目標に戻すは長い道のりがある」、「これは当局が慣れているペースより速く動くことを意味する。FF金利誘導目標を300ベーシスポイント引き上げた1994年−95年の引き締めサイクルが手本にすべき戦略だ」 ドル円120円台半ばから121円台に。
3/22 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 「インフレ期待は十分抑制されているようであり、物価上昇はなお鈍化する見込みだ」 --------
3/22 メスター・クリーブランド連銀総裁 「経済の基調的な強さと現在の極めて低水準のFF金利を考えると、必要な利上げの一部をプロセスの後半ではなく早期に前倒しすることが好ましいと思う。経済が予測と異なる展開となった場合に政策を調整しやすくできるからだ」 --------
3/22 ブラード・セントルイス連銀総裁 「インフレ抑制のため金融当局は積極的に動く必要がある」、(金融当局がどの程度の速さで動くべきかといった質問に対しては)、「速いほどよい」 --------
3/21 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「2022年に6回、23年に2回の利上げを予想する」、「同僚たちに比べ私の予想が低い軌道にあることは承知だが、目の前の不確実性が高まっていることに留意し、極めて積極的な金利軌道が今や適切なのか確信が弱まった」 --------
3/21 パウエル・FRB議長 「FF金利誘導目標を1会合ないし複数の会合で0.25ポイント引き上げる、より積極的な行動が適切だとの結論に至った場合は、そうするだろう」、(5月FOMC会合での0.5ポイント利上げを妨げる要素はあるのかとの質問に対し)、「妨げるものなどあるだろうか。何もない」、「決定はなされてないが、最新のデータで正当化されれば可性はある」、「同僚と私は、より迅速に行動する必要があるとの結論に達する可能性が十分あり、その場合はそう行動するだろう」 米長期金利は2.29%台に急騰。ドル円一時119円50銭まで買われる。
3/17 クノット・オランダ中銀総裁 「既に高水準の消費者物価指数が上振れするようならば、2022年中に2回の利上げを行う可能性も排除しない」 ユーロドル1.10台半ばから1.11台まで上昇
3/17 BOE政策委員会 今後数カ月に追加引き締めが適切になる可能性がある。今回の判断には上下両方のリスクがある」 --------
3/16 パウエル・FRB議長 「米経済は極めて好調だ。近いうちに経済が下降する兆しはほとんどない。向こう1年間のリセッションの確率は特に高くない」 株高、債券安が進む。ドル円は119円12銭まで上昇。
3/16 FOMC声明文 「経済活動や雇用の指標は引き続き強さを増した。雇用はこの数カ月、力強く伸びており、失業率は大幅に低下した。インフレは高止まりし、それはパンデミックとエネルギー価格の上昇、より広範な価格圧力に関連した需給の不均衡を反映している。ロシアによるウクライナ侵攻は人的・経済的に甚大な苦難を引き起こしつつある。この問題が米経済に及ぼす意味合いは極めて不確実だが、侵攻とその関連の事柄は短期的にインフレを一段と押し上げる圧力を生み、経済活動への重しとなる公算が大きい」 --------
3/10 ラガルド・ECB総裁 「政策委員会はインフレ率が中期的に2%の目標で安定する可能性が強まっているとみている。ウクライナでの戦争は特にエネルギー価格への相当な上振れリスクだ」 --------
3/8 ヘインズ・米国家情報長官 「ロシアがウクライナの領土を占領、支配し、持続可能は親ロシア派の政権をキエフに樹立するのは極めて難しいだろうと判断している」、「プーチン氏が対ウクライナ戦争の展開を見誤ったロシアは、粘り強く重大な抵抗に遭う公算が大きい。それでもプーチン氏は引かず、勝利の定義を変えようとするかもしれない」 --------
3/8 バイデン・米大統領 「ロシア経済最大の動脈を標的にする」、「プーチンの戦争にわれわれは加担しない」、「プーチンはどんな犠牲があろうと自身が決めた残虐な道を進み続ける決意のようだ。ロシアはこれからもおぞましい犠牲を強いながら進軍を続けるかもしれないが、これだけははっきりしている。ウクライナは決してプーチンの勝利にならない」、「プーチンは都市を陥落させたとしても、国家を手に入れることは断じてない」 --------
3/4 エバンス・シカゴ連銀総裁 「毎会合で25ベーシスポイントの引き上げは、私が必須と考える利上げを超える可能性はあるが、実際にそれを実施した場合、レンジは年末に1.75−2%になる」と指摘し、その上で、「それは中立金利に十分近く、必要に応じてわれわれが迅速な行動を取り得る水準だ。状況に応じて政策を現状で維持したり、以前の状態に戻すこともあり得る」 --------
3/3 パウエル・FRB議長 「ウクライナへの侵攻が始まる前に想定した計画に沿って今後も政策を進めていくのが適切になると考えている。つまり、3月会合で利上げし、今年を通じてその姿勢を続けるということだ」、「現在は極めて微妙は時期にあり、米金融当局として慎重に政策を実施していくことが適切だ。情勢は極めて不確実であり、その不確実性をさらに強めることをわれわれは望んでいない」 --------
3/2 パウエル議長の議会証言 「25ベーシスポイントの利上げを提案し、支持する方向に傾いている」、「インフレ率が2%を大きく上回り、労働市場は強い中、FF金利誘導目標レンジを今月の政策会合で引き上げることが適切になると考えている」、「ウクライナ侵攻とその後に続いている戦争、経済制裁や今後のイベントが米経済に及ぼす短期的な影響は、依然として不確実性が高い」、「これから出て来るデータや見通しの変化に応じて、機敏に対応する必要があるだろう」 安心感からドル円は115円台後半に。株高、金利高が進む。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和