「ドル円130円台から133円台に急反発」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は東京時間に130円39銭前後まで売られ、130円テストも迫ったが、NYでは急反発。FOMCメンバーによるタカ派的な発言から米長期金利が急騰し、ドル円は一気に133円18銭まで上昇。
- ユーロドルはやや水準を切り下げ、1.02を挟む展開。
- 株式市場は続落。ペロシ訪台により、米中関係の緊張が高まったことからダウは400ドルを超える下げに。S&P500とナスダックは小幅な下げにとどまる。
- 債券は急落し、金利は急騰。SF連銀のデーリー総裁などの発言から債券は売られ、長期金利は一時2.77%台まで上昇。
- 金は小幅ながら5日続伸。原油も反発。
7月自動車販売台数 → 1335万台(年換算)
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| ドル/円 | 130.64 〜 133.18 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.0164 〜 1.0235 |
| ユーロ/円 | 133.39 〜 135.41 |
| NYダウ | −402.23 → 32,396.17ドル |
| GOLD | +2.00 → 1,789.70ドル |
| WTI | +0.53 → 94.42ドル |
| 米10年国債 | +0.175 → 2.748% |
本日の注目イベント
- 中 7月財新サービス業PMI
- 中 7月財新コンポジットPMI
- 独 独6月貿易収支
- 独 独6経常収支
- トルコ トルコ7月消費者物価指数
- 欧 ユーロ圏7月サービス業PMI(改定値)
- 欧 ユーロ圏7月総合PMI(改定値)
- 欧 ユーロ圏6月生産者物価指数
- 欧 ユーロ圏6月小売売上高
- 英 英7月サービス業PMI(改定値)
- 米 7月ISM非製造業景況指数
- 米 7月サービス業PMI(改定値)
- 米 7月総合PMI(改定値)
- 米 6月耐久財受注
- 米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演
- 米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
- 米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、オンライン座談会に参加
本日のコメント
市場の注目人物は、バイデン大統領でも習近平主席でも、ましてやプーチン氏でもありません。ナンシー・ペロシ、米下院議長です。
ペロシ氏は昨日の夜米軍用機で台湾松山空港に到着しました。失礼ながら、やや派手目のピンクのスーツに身を包みながら、82歳とは思えない足取りで空港に降り立ちました。ペロシ氏は到着後の声明で、「われわれのパートナーへの支援を再確認し、自由で開かれたインド太平洋地域といった共通の利益を促進することに焦点を絞る」と表明しました。さらに「世界は専制主義と民主主義との間で選択を迫られており、2300万人の台湾住民と米国との団結はこれまで以上に重要になった」と指摘し、「今回の訪台は長期にわたって維持している米国の方針と矛盾するものではなく、米国としては今後も一方的な現状変更の試みに反対していく」と表明しています。(ブルームバーグ)ペロシ氏は日本時間11時53分に蔡英文総統と共同記者会見を開く予定になっています。
一方中国側は外務省の報道官が米国に対して「再度警告する」と発言し、ロイター通信は複数の中国機が台湾海峡の停戦ライン「中間線」の付近を飛行したと報じています。先週行われた電話による米中首脳会談でも、習氏は「火遊びをする者はやけどを負う」と述べており、これまでよりも強い警告を発してきました。中国側の報復に備え米軍は、1日時点で沖縄から台湾、フィリピンを結ぶ「第1列島線」の近くに原子力空母「ロナルド・レーガン」を中心とする打撃群と強襲揚陸艦2隻を配備し、ハワイには原子力空母「エイブラハム・リンカーン」が控えていると、中国をけん制しています。中国側の強い警告が、いつものように「単なる脅し」なのかどうか、今日あたりはっきりするかもしれません。仮に不測の事態に発展するようだと、最初の動きとしては、リスク回避の動きから株が売られ債券が買われ、金利低下から再び円高方向に振れる可能性があります。さすがに厳しい事態にはならないと思われますが、注意するにこしたことはありません。
ドル円は昨日も触れましたが、東京市場でのドル売りが強く、東京時間に「大台替え」を見せるケースが特徴的となっています。昨日の朝方は、NYで131円台半ばまで円高が進んだことを受け取引が始まりましたが、9時のオープン直後からドル売りが強まり、1時間余りで130円40銭近辺までドルが急落しました。連日のドル下落で日足の雲の下限である「131円48銭」を大きく下回ってきました。昨日コメントしたように130円という大台を割れば、「上昇トレンドの終焉」と相場観を変えると考えていましたが、同時に米国のインフレはこれで終わったわけではなく、市場に、急速にハト派観測が台頭したことが主因で、今週末の雇用統計などをきっかに再びドルが買い戻される可能性も排除できないと思っていました。
ほぼ想定通りの動きでした。
サンフランシスコ連銀のデーリー総裁はリンクトインのインタビューで、「われわれは良いスタートを切った。これまでに達成してきたことに非常に満足している」としつつ、「インフレははるかに高すぎる。われわれは物価安定の達成をなお強く決意しており、完全に団結している。物価安定は9.1%のインフレではなく、2%に近いインフレを意味する。従って、道のりはまだ長い」と述べ、引き続きインフレの抑制に全力で取り組む姿勢を見せています。また、シカゴ連銀のエバンス総裁も2日記者団に、9月のFOMC会合で決定する利上げ幅について、「50ベーシスポイントが妥当な判断となり得るまでに十分な時間があると思われるが、75bpでも問題ないかもしれない」と述べました。この2名の発言が、ハト派寄りの観測を強めていた市場に大きなインパクトを与えました。特に債券市場では債券が大きく売られ、長期金利は一時2.77%台と、前日比20ベーシスも上昇する場面がありました。株式市場でもダウは400ドルを超える下げとなり、ドル円はNY時間だけも2円50銭以上もドル高に振れています。これまでも述べてきましたが、FRBはインフレがピークアウトしたという「明確で、説得力のあるエビデンス」を手にするまでは金融引き締めの手綱を緩めることはないということです。今後も雇用統計を始め、インフレ関連指標の発表には十分注意が必要です。
上でも述べたように、本日は台湾に関する情報と中国の動きに関心が集まります。このままドル円が元の鞘に戻る可能性は、「130円割れは簡単ではない」ことが確認されたものの、現時点は低いでしょう。ペロシ訪台が無事終われば、やや落ち着きを取り戻すとみられますが、寝苦しい夏はまだ半分です。今後も熱い相場展開は続くと覚悟すべきです。
本日のドル円は132円50銭〜134円30銭といったところでしょうか。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 8/2 | エバンス・シカゴ連銀総裁 | (9月のFOMC会合で決定する利上げ幅について)「50ベーシスポイントが妥当な判断となり得るまでに十分な時間があると思われるが、75bpでも問題ないかもしれない」 | 債券が急落し、長期金利は2.54%台から2.77%まで急騰。ドル円は130円台半ばから133円台前半まで上昇。 |
| 8/2 | デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 | 「インフレははるかに高すぎる。われわれは物価安定の達成をなお強く決意しており、完全に団結している。物価安定は9.1%のインフレではなく、2%に近いインフレを意味する。従って、道のりはまだ長い」 | 債券が急落し、長期金利は2.54%台から2.77%まで急騰。ドル円は130円台半ばから133円台前半まで上昇。 |
| 7/29 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「米国がリセッション下にあるとは考えていない」、「われわれは高インフレに真剣に対応する必要があり、米国経済をより安定的かつ持続的な状態に戻されなければならない」 | -------- |
| 7/29 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 「FOMCではインフレ率を2%以下に下げるとの決意で一致している。インフレが2%に低下する軌道に十分乗ってきていると確信するまで、われわれは必要なことを続けるだろう。そこに至るまでには長い道のりがある」 | -------- |
| 7/28 | イエレン財務長官 | 「経済がリセッションに陥っていることを証明するものではない」、「本当の意味でのリセッションとは、広範囲に及ぶ経済の弱まりだ」、「現在そういう状況は見られない」、「インフレ率が依然として高すぎ、これを下げることが政府の最優先事項だ」、「消費者物価の伸びは、近いうちに低下する可能性が高い」 | -------- |
| 7/27 | パウエル・FRB議長 | 「次回の会合で異例に大幅な利上げをもう一度行うことも適切となり得るが、判断は今から次回会合までのデータ次第だ」と、「いずれ利上げペースを落とすことになる」と説明し、「米経済がリセッションに陥っているとは考えていない」 | 株式市場では3指数が揃って大幅高。債券も買われ、金利低下にドル円は137円台から136円35銭まで下落。 |
| 7/27 | FOMC声明文 | 「支出と生産に関する最近の指標は軟化している。それでも雇用はこの数カ月、堅調に伸びており。失業率は低いままだ。インフレは高止まりし、それはパンデミックに関連した需給の不均衡と食品・エネルギー価格の上昇、より広範な価格圧力を反映している」、「委員会はより長期にわたって最大限の雇用と2%のインフレを達成することを目指す。金融政策の適切なスタンスを見極める上で、委員会は公衆衛生や労働市場の状況、インフレ圧力やインフレ期待を示す各指標のほか、金融・国際情勢など幅広く考慮して判断する」 | -------- |
| 7/26 | IMF、世界経済見通し(WEO) | 「リスクへの見通しは圧倒的に下振れ方向だ」、「欧州向けロシア産ガス輸入の突然の停止やインフレの長期化、中国での不動産危機のエスカレートなど、懸念要因は多く、世界経済が近くリセッション入りの瀬戸際に立たされる恐れがある」 | 株価の重石に。 |
| 7/25 | カザークス・ラトビア中銀総裁 | 「先週の大幅利上げが唯一の前倒しだとは言えない。9月の利上げもかなり大きくする必要があると言える」(FRBが6月に行ったように、ECBの次回の利上げ幅が0.75ポイントとさらに大きくなる可能性があるかとの問に)、「不確実性とインフレのダイナミクス、持続性のリスクを踏まえ、もちろんわれわれは議論にオープンであるべきだと思う」 | -------- |
| 7/24 | イエレン・財務長官 | 「雇用創出ペースがやや減速する可能性が高い」、「それはリセッションではないだろう。リセッションとは経済が広い範囲で弱くなることだ。現在のところ、そうした状況は目にしていない」、(金融当局によるインフレ抑制への取り組みについては)「成功すると見込んでいる」 | -------- |
| 7/21 | ラガルド・ECB総裁 | 「価格上昇圧力はより多くのセクターに広がりつつあり、ユーロ安が拍車をかけている」、「基調的インフレの指標のほとんどがさらに上昇した。インフレは当分、望ましくない高水準にとどまる見込みだ」、「9月の金利決定に関する従来のガイダンスはもはや当てにはならない。9月の行動はその時のデータ次第だとし」、「利上げを加速させるが、最終的に目標とする金利水準を変えるわけではない」 | -------- |
| 7/14 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | 「これまでわれわれは50bpか75bpという枠組みで議論してきた。私は75bpにかなり利点があると考えている」、「今日時点では、私は次回会合で再び75bp利上げすることを支持する」 | -------- |
| 7/14 | ウォラー・FRB理事 | 「6月のCPI統計については最大級の失望だ」、「75bpという利上げ幅は極めて大きい。FOMCがそうした幅の利上げを選択した場合、金融当局が役割を果たしていないことにはならない」、「行き過ぎた利上げはしない方が良い」 | 株と債券は買い戻される。ドル円は139円39銭前後の高値を付けた後、小幅に下落。 |
| 7/13 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「CPIの数字は懸念すべき要素だ」、「あらゆる行動が考慮される」、(そうした行動に1ポイントの利上げが含まれるのかという質問に)「全てという意味だ」 | -------- |
| 7/12 | イエレン財務長官 | (為替介入について)「まれで例外的な状況でしか正当化されない」 | -------- |
| 7/12 | 日米財務長官・財務相回会談共同声明 | 「為替市場に関して緊密協議し、為替の問題について適切に協力する」 | -------- |
| 7/11 | ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 | 「政策金利の軌道についての意思伝達は、そこに至るまでの速さよりも、はるかに重要だろう。金利をあまりに速く動かすとオーバーステアとなる可能性を高める」 | -------- |
| 7/8 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「米経済の勢いが非常に強いことを踏まえると、次回会合で75ベーシスポイントで動くことは可能であり、広範な経済へのダメージが長引くことはないだろう」、(同幅の利上げを)「完全に支持する」 | -------- |
| 7/7 | ウォラーFRB理事 | 「もっと大いに抑制的な設定に向う必要がある。可能な限り迅速に動くべきだ」と、7月会合で2会合連続となる75ベーシスポイントの利上を支持する考えを示し「9月会合では恐らく50bpの利上げを支持する」 | -------- |
| 7/6 | FOMC議事録 | 「政策引き締めは経済成長ペースを一時的に減速させ得るが、最大限の雇用を持続的なペースで達成するためには2%へのインフレ率回帰が極めて重要」、「高いインフレ圧力が続くようであれば、さらに抑制的なスタンスが適切となり得ることの認識を示した。インフレ期待が固定されなくなった場合、インフレ率をFOMCの目標に再び引き下げる上でより多くの代償が必要になる」 | 対ユーロなどでドル高が進む。 |
| 7/5 | ロウ・RBA総裁 | 「政策委員会は今後数カ月の豪州の金融正常化プロセスでさらなる対応を取るつもりだ。豪州のインフレ率が徐々に目標水準に戻るよう確実を期するために必要な行動にコミットしている」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



