「米インフレ、ピークアウト観測強まる」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は133円台でもみ合う。ミシガン大学消費者マインドが予想を超えていたことでドルを買う流れが強まり133円89銭までドル高が進む。
- ユーロドルは売りが優勢となり、1.0239前後まで下落。前日までの1.03台は維持できず。
- 株式市場は大幅に続伸。輸入物価指数がマイナスだったことでインフレ圧力が大きく低下したとの見方が支えに。S&P500は72ポイント上昇し、今回の大幅な下落分の半値戻しを達成。
- 債券も買われ、長期金利は2.83%台へと低下。
- 金は反発し、原油は反落。
7月輸入物価指数 → −1.4%
8月ミシガン大学消費者マインド(速報値) → 55.5
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| ドル/円 | 133.44 〜 133.89 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.0239 〜 1.0290 |
| ユーロ/円 | 136.88 〜 137.63 |
| NYダウ | +424.38 → 33,761.05ドル |
| GOLD | +8.30 → 1,815.50ドル |
| WTI | −2.25 → 92.09ドル |
| 米10年国債 | −0.056 → 2.831% |
本日の注目イベント
- 日 4−6月GDP(速報値)
- 日 6月鉱工業生産
- 中 中国7月小売売上高
- 中 中国7月鉱工業生産
- 中 中国7月工業利益
- 米 8月NY連銀製造業景況指数
- 米 8月NAHB住宅市場指数
本日のコメント
7月のCPI、PPIが予想を下回る上昇率だったことに加え、先週末に発表された7月の輸入物価指数も前月比「マイナス1.4%」と、市場予想よりも改善していたことで米国のインフレがピークを付けたとの見方が強まってきました。インフレ指標の頭打ち傾向が見えてきたことから、FRBの大幅利上げのペースが緩やかになるとの観測から、NY株式市場では主要3指数が揃って大幅に続伸し、S&P500は、今回の大幅な下げで失った下落分の「半値戻し」を達成しました。それに伴い恐怖指数と言われる「VIX指数」も、4月以来約4カ月ぶりに恐怖心理が低下したとみて取れる「20」を下回ってきました。
グランホルム米エネルギー長官は14日、米国のガソリン価格はさらに低下するとの見方を示しています。足許の米国のガソリン価格は1ガロン当たり4ドルを下回り、3月以来の低水準となっています。WTI原油価格は7月11日以来100ドルの大台を下回っており、今月4日には一時87ドル台まで売られる局面もありました。ロシアによるウクライナ侵攻もあり、3月には130ドル台まで急騰した原油価格でしたが、世界的なインフレの高進から各国中銀が積極的な大幅利上げを行い、景気拡大に急ブレイキがかかりました。景気が世界的なリセッションに入る可能性が出てきたことから、製造業を中心に原油の使用量も減少するといった見方が大きな理由ですが、投機筋の今後の「相場観」にも変化が出て来たようです。
ただ今後の見方はまだ予断を許しません。台湾問題では、ペロシ下院議長の訪台をきっかけに中国側が猛反発をし、台湾周辺地域では「一触即発」の状況にもなり米国も危機感を強めていましたが、中国の再三の強い警告は今のところ「脅し」の域を出ていません。しかし14日、マーキー米上院議員(民主党)率いる米議員団が台湾を訪問しています。議員団にはマーキー氏の他3名の民主党下院議員と、1名の共和党下院議員も含まれており、蔡英文総統や呉外相らと、米台関係や地域の安全保障、貿易、サプライチェーンなどについて話し合われる模様です。これを巡っては再び中国の反発が強まりそうです。また、まもなく半年になろうとしているロシアのウクライナ攻撃も一向に終わりが見えません。ウクライナ軍は南部ヘルソン州で高機動ロケット砲システム「ハイマース」を使ってロシアの弾薬庫を攻撃するだの、反撃を強めています。さらにドンバス地域でも「激しい戦闘」が続いており、ロシア側も砲兵や軍事機器、兵士を大規模動員させており、長期戦を意識した戦闘態勢を敷いているとの情報もあります。ゼレンスキー大統領は欧州最大の原子力施設であるザポリージャ原発をロシアが攻撃すれば、ウクライナ軍はこれに対応するとけん制しています。このような状況の中、原油価格を中心に世界的な物価高騰がこのまま落ち着きをみせるのかどうかは、まだ不確実性が高いと思われます。
今週はさすがに大きな動きは一服かと思いますが、トランプ氏とFBIの対決も今後の米大統領選に影響する可能性もあり、注目していきたいと思います。コロナの陽性から回復したバイデン氏は2024年の大統領選にも出馬し、再選を目指す計画を始動させる準備を進めていると、ブルームバーグは報じています。
本日のドル円は132円50銭〜134円30銭程度を予想します。
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明日(8月16日)のアナリストレポートは都合によりお休みとさせて頂きます。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 8/10 | デーリー・SFシスコ連銀総裁 | 「インフレは依然として高水準にあり、われわれの物価安定目標にはほど遠い」、「高水準にあるインフレとの闘いで米金融当局が勝利宣言するのは時期尚早だ」と語っています。また9月のFOMCについては、「9月に0.5ポイントの利上げが自身の基本シナリオだ」 | -------- |
| 8/9 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | 「インフレ上振れのサプライズが続くのであれば、米金融当局として高めの金利を長期にわたり維持する用意がある」、「インフレ率が鈍化しつつあるのなら、その間に金利を高めに維持することができると考えられる」(それもって)、「インフレ率がピークに達したと主張するには時期尚早だ」 | -------- |
| 8/5 | デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 | 「インフレを抑制するという点で金融当局が役割を果たしたと言える状況からはまだ遠い」、(9月会合で50ベーシスポイントの利上げが実施される可能性について問われ)、「もちろんだ。だがデータに基づく姿勢を取る必要がある」、「考え方をオープンにしておく必要がある。インフレ指標がさらに2つ、雇用統計もあと1回発表される」 | -------- |
| 8/5 | ボウマン・FRB理事 | 「インフレ率が明白に低下するまでは先月決めた0.75ポイント利上げと同様の大幅な利上げを検討し続けるべきだ」、「現在進めているような利上げが適切だと予想しているが、データや状況がどのように展開するかについては不確実性を踏まえ、そうした情報を指針としてどの程度の利上げが必要かを判断する」 | -------- |
| 8/4 | メスター・クリーブランド連銀総裁 | 「米金融当局はインフレ抑制にコミットしており、需要を緩和するために政策金利を、4%を少し上回る水準まで引き上げる必要がある」、(9月の利上げ幅について)「0.75ポイントは不合理ではないものの、0.5ポイントもあり得る」 | -------- |
| 8/4 | ベイリー・BOE総裁 | 「ポンドの下落は今のところ危機ではない」、「景気見通しを見極めるため政策当局は為替を含むあらゆる指標を注視している」 | -------- |
| 8/2 | エバンス・シカゴ連銀総裁 | (9月のFOMC会合で決定する利上げ幅について)「50ベーシスポイントが妥当な判断となり得るまでに十分な時間があると思われるが、75bpでも問題ないかもしれない」 | 債券が急落し、長期金利は2.54%台から2.77%まで急騰。ドル円は130円台半ばから133円台前半まで上昇。 |
| 8/2 | デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 | 「インフレははるかに高すぎる。われわれは物価安定の達成をなお強く決意しており、完全に団結している。物価安定は9.1%のインフレではなく、2%に近いインフレを意味する。従って、道のりはまだ長い」 | 債券が急落し、長期金利は2.54%台から2.77%まで急騰。ドル円は130円台半ばから133円台前半まで上昇。 |
| 7/29 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「米国がリセッション下にあるとは考えていない」、「われわれは高インフレに真剣に対応する必要があり、米国経済をより安定的かつ持続的な状態に戻されなければならない」 | -------- |
| 7/29 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 「FOMCではインフレ率を2%以下に下げるとの決意で一致している。インフレが2%に低下する軌道に十分乗ってきていると確信するまで、われわれは必要なことを続けるだろう。そこに至るまでには長い道のりがある」 | -------- |
| 7/28 | イエレン財務長官 | 「経済がリセッションに陥っていることを証明するものではない」、「本当の意味でのリセッションとは、広範囲に及ぶ経済の弱まりだ」、「現在そういう状況は見られない」、「インフレ率が依然として高すぎ、これを下げることが政府の最優先事項だ」、「消費者物価の伸びは、近いうちに低下する可能性が高い」 | -------- |
| 7/27 | パウエル・FRB議長 | 「次回の会合で異例に大幅な利上げをもう一度行うことも適切となり得るが、判断は今から次回会合までのデータ次第だ」と、「いずれ利上げペースを落とすことになる」と説明し、「米経済がリセッションに陥っているとは考えていない」 | 株式市場では3指数が揃って大幅高。債券も買われ、金利低下にドル円は137円台から136円35銭まで下落。 |
| 7/27 | FOMC声明文 | 「支出と生産に関する最近の指標は軟化している。それでも雇用はこの数カ月、堅調に伸びており。失業率は低いままだ。インフレは高止まりし、それはパンデミックに関連した需給の不均衡と食品・エネルギー価格の上昇、より広範な価格圧力を反映している」、「委員会はより長期にわたって最大限の雇用と2%のインフレを達成することを目指す。金融政策の適切なスタンスを見極める上で、委員会は公衆衛生や労働市場の状況、インフレ圧力やインフレ期待を示す各指標のほか、金融・国際情勢など幅広く考慮して判断する」 | -------- |
| 7/26 | IMF、世界経済見通し(WEO) | 「リスクへの見通しは圧倒的に下振れ方向だ」、「欧州向けロシア産ガス輸入の突然の停止やインフレの長期化、中国での不動産危機のエスカレートなど、懸念要因は多く、世界経済が近くリセッション入りの瀬戸際に立たされる恐れがある」 | 株価の重石に。 |
| 7/25 | カザークス・ラトビア中銀総裁 | 「先週の大幅利上げが唯一の前倒しだとは言えない。9月の利上げもかなり大きくする必要があると言える」(FRBが6月に行ったように、ECBの次回の利上げ幅が0.75ポイントとさらに大きくなる可能性があるかとの問に)、「不確実性とインフレのダイナミクス、持続性のリスクを踏まえ、もちろんわれわれは議論にオープンであるべきだと思う」 | -------- |
| 7/24 | イエレン・財務長官 | 「雇用創出ペースがやや減速する可能性が高い」、「それはリセッションではないだろう。リセッションとは経済が広い範囲で弱くなることだ。現在のところ、そうした状況は目にしていない」、(金融当局によるインフレ抑制への取り組みについては)「成功すると見込んでいる」 | -------- |
| 7/21 | ラガルド・ECB総裁 | 「価格上昇圧力はより多くのセクターに広がりつつあり、ユーロ安が拍車をかけている」、「基調的インフレの指標のほとんどがさらに上昇した。インフレは当分、望ましくない高水準にとどまる見込みだ」、「9月の金利決定に関する従来のガイダンスはもはや当てにはならない。9月の行動はその時のデータ次第だとし」、「利上げを加速させるが、最終的に目標とする金利水準を変えるわけではない」 | -------- |
| 7/14 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | 「これまでわれわれは50bpか75bpという枠組みで議論してきた。私は75bpにかなり利点があると考えている」、「今日時点では、私は次回会合で再び75bp利上げすることを支持する」 | -------- |
| 7/14 | ウォラー・FRB理事 | 「6月のCPI統計については最大級の失望だ」、「75bpという利上げ幅は極めて大きい。FOMCがそうした幅の利上げを選択した場合、金融当局が役割を果たしていないことにはならない」、「行き過ぎた利上げはしない方が良い」 | 株と債券は買い戻される。ドル円は139円39銭前後の高値を付けた後、小幅に下落。 |
| 7/13 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「CPIの数字は懸念すべき要素だ」、「あらゆる行動が考慮される」、(そうした行動に1ポイントの利上げが含まれるのかという質問に)「全てという意味だ」 | -------- |
| 7/12 | イエレン財務長官 | (為替介入について)「まれで例外的な状況でしか正当化されない」 | -------- |
| 7/12 | 日米財務長官・財務相回会談共同声明 | 「為替市場に関して緊密協議し、為替の問題について適切に協力する」 | -------- |
| 7/11 | ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 | 「政策金利の軌道についての意思伝達は、そこに至るまでの速さよりも、はるかに重要だろう。金利をあまりに速く動かすとオーバーステアとなる可能性を高める」 | -------- |
| 7/8 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「米経済の勢いが非常に強いことを踏まえると、次回会合で75ベーシスポイントで動くことは可能であり、広範な経済へのダメージが長引くことはないだろう」、(同幅の利上げを)「完全に支持する」 | -------- |
| 7/7 | ウォラーFRB理事 | 「もっと大いに抑制的な設定に向う必要がある。可能な限り迅速に動くべきだ」と、7月会合で2会合連続となる75ベーシスポイントの利上を支持する考えを示し「9月会合では恐らく50bpの利上げを支持する」 | -------- |
| 7/6 | FOMC議事録 | 「政策引き締めは経済成長ペースを一時的に減速させ得るが、最大限の雇用を持続的なペースで達成するためには2%へのインフレ率回帰が極めて重要」、「高いインフレ圧力が続くようであれば、さらに抑制的なスタンスが適切となり得ることの認識を示した。インフレ期待が固定されなくなった場合、インフレ率をFOMCの目標に再び引き下げる上でより多くの代償が必要になる」 | 対ユーロなどでドル高が進む。 |
| 7/5 | ロウ・RBA総裁 | 「政策委員会は今後数カ月の豪州の金融正常化プロセスでさらなる対応を取るつもりだ。豪州のインフレ率が徐々に目標水準に戻るよう確実を期するために必要な行動にコミットしている」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



