今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ドル円145円目前から反落」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は連日大台替えを見せ、NY市場開始前には144円99銭までドル高が進む。その後ブレイナードFRB副議長の発言を手掛かりに一転してドルが売られ、143円68銭まで下落。
  • ユーロドルも朝方の0.98台後半から買い戻され、1.00台を回復。
  • 株式市場は久しぶりに3指数が揃って反発。ナスダックは2%以上買われ、8日ぶりの上昇。
  • 債券は反発。長期金利は3.26%台へと低下。
  • 金は続落。原油は大きく売られ、今年1月以来となる81ドル台まで下落。主要国中銀が大幅利上げを行い、景気減速により石油需要の減少がさらに進むとの観測が広がる。
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7月貿易収支 → −70.6b
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ドル/円 143.68 〜 144.95
ユーロ/ドル 0.9875 〜 1.0011
ユーロ/円 143.04 〜 144.00
NYダウ +435.98 → 31,581.28ドル
GOLD −14.90 → 1,727.80ドル
WTI −4.94 → 81.94ドル
米10年国債 −0.086 → 3.263%

本日の注目イベント

  • 豪 豪7月貿易収支
  • 日 7月貿易収支
  • 日 7月国際収支
  • 日 8月景気ウオッチャー調査
  • 欧 ECB政策金利発表
  • 欧 ラガルド・ECB総裁記者会見
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 7月消費者信用残高
  • 米 パウエル・FRB議長講演
  • 米 エバンス・シカゴ連銀総裁講演
  • 米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁講演

本日のコメント

ドル円はついに145円にあと1銭に迫る水準まで上昇しましたが、「145」という数字を見ずに反落しています。昨日の東京市場午後に144円台に乗せたドル円は欧州市場でも投機的なドル買いが続き、NY市場が始まる20時半ごろには144円99銭までドルが続伸しました。しかしNY市場ではブレイナードFRB副議長の発言を手掛かりに143円68銭までドルが売られました。ちょうど145円という大台を前に、この発言が利益確定のドル売りを誘ったというところでしょうか。

それにしても今週に入ってからのドル円の上昇は急ピッチです。昨日までですでに5円に迫る値幅で上昇しており、投機筋は「政府日銀は動かない」というよりも「動けない」と見透かしているようです。144円台まで円が売られた昨日、鈴木財務大臣は「円安方向に一方的に振れており憂慮している。継続することになれば、必要な対応を取る」と話し、必要な対応の詳細については「私の不用意な発言が相場に影響を与えてはいけないため、一切コメントしていない。まさにどうゆう対応を取るかは、為替に大きな影響与えるためコメントしない」と述べていました。市場に影響を与えるために発言すべきだと思いますが、なんとも消極的なコメントです。仮に市場介入を行う場合には、財務大臣が最高意思決定者になり、その指示に基づいて国際局長→為替市場課長へと命令系統が降り、その指示に従い日銀が動くというのが基本的な流れです。市場介入の最高責任者である財務大臣のこのような言葉から市場は「介入はない」と読んでドル買いを仕掛けているのが実情のようです。もっとも、日銀が介入したとしても、多くの市場関係者はこの円安の流れを変えることができるとは考えていません。介入には少なくとも米国、できればユーロ安が進んでいることもあり、日米欧が協調することが必要です。現時点では米財務省が協調介入に同意するとも思えません。インフレに苦しむ米国にとって「ドル高」はインフレを相殺してくれる一要因だからです。ブルームバーグは、「米財務省のダウィン報道官は7日、イエレン財務長官が7月の訪問時に円相場や為替介入について議論して以降、同省のスタンスが変わったか否か質問を受け、『現時点で付け加えることはない』と答えた」と報じています。

ブレイナードFRB副議長のNYでの会議で行った発言が、株高、債券高、さらには金利が低下したことでドル売りを誘いました。ブレイナード氏は、「インフレを押し下げるため、われわれは必要な限り対応を続ける」と述べ、「インフレ率が目標に向けて低下しているとの確信をもたらすため、金融政策を当面、景気抑制的な水準にとどめる必要がある」と語っています。ここまでは、これまでもパウエル議長が発言してきたことと同じで、特に目新しい内容ではなかったですが、続けて、「引き締めサイクルにおける迅速さとそのグローバルな性質、さらに金融環境引き締めの効果が総需要に行き渡る速さを巡る不透明感は、過度の引き締めに関連したリスクを生み出す」と述べ、「時期尚早に退くリスクを回避することも重要だ」と指摘しています。その他にも、ボストン連銀のコリンズ総裁は、「9月の金融政策行動として何がまさしく適切かあまり具体的に言及するのは時期尚早だが、さらなる行動が必要だとあらためて申し上げたい」と発言し、「物価はまだ大幅には下がっておらず、われわれはこれを目指すことになる」と話しています。また、クリーブランド連銀のメスター総裁も、「金融政策に関する自身の考えを構築するにあたっては、インフレというけだものとの闘いで尚早に勝利宣言しないよう注意したい」と述べ、あらためてフェデラルファンド(FF)金利を早い時期に4%超に引き上げ、その後しばらくその水準で据え置くことが必要との考えを示しました。

このように、総じてFOMCメンバーはタカ派的な発言を行っています。来週13日の8月のCPIを確認しなければなりませんが、個人的には0.75ポイントの利上げを予想しています。前日のオーストラリア準備銀行(RBA)に続いて、昨日はカナダ中銀も予想通り追加利上げを決めました。ただ利上げ幅は想定以上の0.75ポイントでした。カナダ中銀はこれで、4会合連続の利上げを行い、昨日のコメントではさらに今後の利上げも示唆しています。RBA、カナダ中銀が大幅利上げに踏み切ったことで、FOMCメンバーにも多少影響を及ぼす可能性があります。さらには今夜のECBの決定にも影響があるかもしれません。同時に、日銀との違いがいやが上にも目だってきます。

今夜もFOMCメンバーの講演が多くあります。特にパウエル議長の講演には注目です。来週にはFOMCを前に「ブラックアウト」期間に入ることから、おそらくこれが会合前の最後のパウエル氏の発言かと思われます。市場は連日値動きが大きく、昨日のブレイナード副議長の発言で動いたように、発言には過敏になっています。

本日のドル円は143円〜145円程度の動きでしょうか。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
9/7 メスター・クリーブランド連銀総裁 「金融政策に関する自身の考えを構築するにあたっては、インフレというけだものとの闘いで尚早に勝利宣言しないよう注意したい」、「フェデラルファンド(FF)金利を早い時期に4%超に引き上げ、その後しばらくその水準で据え置くことが必要」 --------
9/7 コリンズ・ボストン連銀総裁 「9月の金融政策行動として何がまさしく適切かあまり具体的に言及するのは時期尚早だが、さらなる行動が必要だとあらためて申し上げたい」、「物価はまだ大幅には下がっておらず、われわれはこれを目指すことになる」 --------
9/7 ブレイナード・FRB副議長 「インフレを押し下げるため、われわれは必要な限り対応を続ける」、「インフレ率が目標に向けて低下しているとの確信をもたらすため、金融政策を当面、景気抑制的な水準にとどめる必要がある」、「引き締めサイクルにおける迅速さとそのグローバルな性質、さらに金融環境引き締めの効果が総需要に行き渡る速さを巡る不透明感は、過度の引き締めに関連したリスクを生み出す」、「時期尚早に退くリスクを回避することも重要だ」 株高、債券高が進み、ドル円は145円前後から143円台半ばへ下落。
8/31 メスター・クリーブランド連銀総裁 「来年の早い時期までフェデラルファンド(FF)金利を4%をいくらか上回る水準に引き上げて、そこで維持する必要があるというのが私の現在の認識だ」とし、「当局が来年FF金利の誘導目標を引き下げるとは、私は見込んでいない」 株式、債券、金、原油が売られ、ドル円は上昇。
8/30 バレス・スロべニア中銀総裁 「7月に実施した0.5ポイントの利上げより大幅となり得る利上げを、来週の政策委員会で支持する」 --------
8/30 ミュラー・エストニア中銀総裁 「インフレ見通しが改善していないことを踏まえると、0.75ポイントは9月の選択肢の一つに入るだろう」 --------
8/30 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「今後の指標がインフレの鈍化が始まったことを明確に示すようなら、利上げ幅をここ最近の75bpから巻き戻す理由になるかもしれない」、「どんなデータが出て来るか見極める必要がある」 --------
8/30 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「われわれはインフレ率を目標の2%に戻すことをコミットしており、そのため必要な措置を講じる。金融当局が物価抑制に向けた取り組みでひるむことはない」 --------
8/30 ウイリアムズ・NY連銀総裁 「いくらか景気抑制的な政策を講じて需要を減速させる必要があり、まだそこには到達していない」、(9月のFOMCでの利上げ幅はデータの全体像次第だとしながらも)、「抑制的な水準の維持は2023年末まで続く可能性がる」 株安、ドル高につながる。
8/29 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「パウエル議長のジャクソンホールで講演の受け止め方を見て、嬉しく思う」、「インフレ率を2%まで押し下げるというわれわれの決意の真剣さが理解された」、「前回のFOMC後の株価上昇については素直に喜べなかった。インフレを引き下げるわれわれの決意の固さを認識し、市場はそれについて思い違いをしていると思っていたからだ」、「1970年代に当局が犯した最大の過ちの一つはインフレが鎮静化に向うと思ったことだ。経済は悪化していたため手を緩めたところインフレは再燃し、その後、ようやく制圧した。この過ちを繰り返してはならない」 --------
8/26 パウエル・FRB議長 「物価の安定を回復するためには、景気抑制的な政策スタンスを一定期間維持することが必要となる可能性が高い。過去の記録は早急過ぎる政策緩和を強く戒めている」、「金利上昇と成長減速、労働市場環境の軟化はインフレを鈍化させるが、企業と家計に痛みをもたらすことにもなる」、「9月会合の決定は、入手するデータと変化する見通しの全体像に左右される」 株式市場は全面安となり、NYダウは1000ドルを超える下げに。長期金利が上昇し、ドル円は137円75銭までドル高に。
8/26 シュナーベル・ECB理事 「現行の物価上昇でインフレ予想が定着する可能性とコストは不快なほど高い。こうした環境では中銀は力強く行動をしなければならない。人々が法定通貨の長期的な安定性に疑問を持ち始めるリスクに対し、断固として対応する必要がある」 ユーロドル、1,00台後半から0.99台半ばへ。
8/26 ビルロワドガロー・仏中銀総裁 「政策当局者は後になって『不必要に厳しい』金利の動きを強いられるのを回避するため、記録的なインフレに対応する決心が必要だ」 ユーロドル、1,00台後半から0.99台半ばへ。
8/19 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「われわれはインフレ率を目標の2%に回帰させることをコミットしており、その達成に向けて必要な措置を講じる」、「インフレを抑制する道はあるが、その過程でリセッションが起きる可能性もある」 --------
8/18 デーリー・SFシスコ連銀総裁 「われわらは政策金利を少なくとも中立水準の3%をやや上回る水準に政策金利を引き上げる必要があるが、恐らく年内に景気抑制的な領域である3%をやや上回る水準に、来年には3%をさらにやや上回る水準とする必要性がありそうだ」、「利上げ後は水準を維持するという戦略は、歴史的に見ても奏功してきたと考えている」 --------
8/10 デーリー・SFシスコ連銀総裁 「インフレは依然として高水準にあり、われわれの物価安定目標にはほど遠い」、「高水準にあるインフレとの闘いで米金融当局が勝利宣言するのは時期尚早だ」と語っています。また9月のFOMCについては、「9月に0.5ポイントの利上げが自身の基本シナリオだ」 --------
8/9 ブラード・セントルイス連銀総裁 「インフレ上振れのサプライズが続くのであれば、米金融当局として高めの金利を長期にわたり維持する用意がある」、「インフレ率が鈍化しつつあるのなら、その間に金利を高めに維持することができると考えられる」(それもって)、「インフレ率がピークに達したと主張するには時期尚早だ」 --------
8/5 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 「インフレを抑制するという点で金融当局が役割を果たしたと言える状況からはまだ遠い」、(9月会合で50ベーシスポイントの利上げが実施される可能性について問われ)、「もちろんだ。だがデータに基づく姿勢を取る必要がある」、「考え方をオープンにしておく必要がある。インフレ指標がさらに2つ、雇用統計もあと1回発表される」 --------
8/5 ボウマン・FRB理事 「インフレ率が明白に低下するまでは先月決めた0.75ポイント利上げと同様の大幅な利上げを検討し続けるべきだ」、「現在進めているような利上げが適切だと予想しているが、データや状況がどのように展開するかについては不確実性を踏まえ、そうした情報を指針としてどの程度の利上げが必要かを判断する」 --------
8/4 メスター・クリーブランド連銀総裁 「米金融当局はインフレ抑制にコミットしており、需要を緩和するために政策金利を、4%を少し上回る水準まで引き上げる必要がある」、(9月の利上げ幅について)「0.75ポイントは不合理ではないものの、0.5ポイントもあり得る」 --------
8/4 ベイリー・BOE総裁 「ポンドの下落は今のところ危機ではない」、「景気見通しを見極めるため政策当局は為替を含むあらゆる指標を注視している」 --------
8/2 エバンス・シカゴ連銀総裁 (9月のFOMC会合で決定する利上げ幅について)「50ベーシスポイントが妥当な判断となり得るまでに十分な時間があると思われるが、75bpでも問題ないかもしれない」 債券が急落し、長期金利は2.54%台から2.77%まで急騰。ドル円は130円台半ばから133円台前半まで上昇。
8/2 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 「インフレははるかに高すぎる。われわれは物価安定の達成をなお強く決意しており、完全に団結している。物価安定は9.1%のインフレではなく、2%に近いインフレを意味する。従って、道のりはまだ長い」 債券が急落し、長期金利は2.54%台から2.77%まで急騰。ドル円は130円台半ばから133円台前半まで上昇。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和