今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ドル円再び145円台に乗せるも続かず」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は昨日の東京市場午後1時過ぎに145円台を回復し、145円28銭近辺まで一気に上昇したが、NYでは反落。米金利の低下を手掛かりに144円16銭まで売られる。
  • ユーロドルは小幅に続伸。0.9844まで買われたが、引き続き上値の重い展開が続く。
  • 株式市場は大幅に反発。製造業の鈍化を示す指標に、ダウは700ドルを超える上昇。S&P500も92ポイント買われ、3指数は揃って大幅高に。
  • 債券は大幅に反発。経済指標が予想を大きく下回ったことで、FBBが過度の利上げを回避するとの見方から価格が上昇し、長期金利は3.7%台を大きく下回る。
  • 金と原油は大幅に買われる。
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9月ISM製造業景況指数 → 50.9
9月自動車販売台数 → 1349万台
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ドル/円 144.16 〜 144.97
ユーロ/ドル 0.9758 〜 0.9844
ユーロ/円 141.36 〜 142.22
NYダウ +705.38 → 29,490.89ドル
GOLD +30.00 → 1,702.00ドル
WTI +4.14 → 83.63ドル
米10年国債 −0.190 → 3.639%

本日の注目イベント

  • 日 9月東京都区部消費者物価指数
  • 豪 豪8月住宅建設許可件数
  • 豪 RBA、キャッシュターゲット
  • 欧 ユーロ圏8月生産者物価指数
  • 米 8月製造業受注
  • 米 カプラン・ダラス連銀総裁、イベントで挨拶
  • 米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、イベントで挨拶
  • 米 メスター・クリーブランド連銀総裁、イベントで挨拶
  • 米 ブラード・セントルイス連銀総裁、会議で挨拶
  • 米 ジェファーソン・FRB理事講演
  • 米 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁講演

本日のコメント

「9月のISM製造業景況指数」、これが全ての市場に好影響を与えました。

同指数がコロナ禍初期以来の低水準となったことで、米金融当局が過度の引き締めに向うとの懸念が弱まり、10年債が買われ長期金利が急低下。ドル円はこの動きにドル売りが強まり、一時144円16銭まで売られています。株式市場ではこれを好感してダウが700ドルを超える上昇を見せ、S&P500、ナスダックも大幅高で取引を終えています。先週は特に株価の下落がきつく、その反動もあったようです。WTI原油価格は「OPECプラス」による減産の可能性を背景に大幅高となり、金もドルが売られたことで30ドル高でした。結局「悪材料は、好材料」となった典型的な動きだったと言えますが、「ISM製造業景況指数」はそこそこ重要経済指標ではありますが、最重要指標である今週末の雇用統計が予想を大きく下回った場合には、どのような影響があるのか、今から身構えておく必要があるかもしれません。3月の会合から全ての会合で利上げを行い、景気抑制を狙った政策の効果がようやく目に見えてきたのかもしれませんが、米景気は予想されているよりも腰が強く、「米国の経済指標が驚くほど堅調であり、これまでのところ、金融環境の引き締まりの影響はほとんど表れていない」(バークレーズ証券)とのコメントもあります。今回の指標だけでは、インフレの動向を判断する材料としてはまだ十分ではありません。

米国では、特に労働市場が人手不足を背景に好調な雇用環境が続いている可能性もあります。9月の雇用統計が予想の25万人か、それ以上であったらまたドルが買われる可能性もありそうです。ドル円は昨日の東京時間午後、144円80銭前後から一気に145円28銭辺りまで買われ、9月22日の政府日銀による市場介入時以来となる145円台を回復する場面もありました。ただ、その後も何度か145円台に乗せましたが勢いはなく、NYでは長期金利の低下を手掛かりに144円16銭まで押し戻される局面もありました。145円台ではまだ介入警戒感があるようです。いずれにせよ、今後のデータ次第でどちらにも振れる可能性があるということです。

NY連銀のウィリアムズ総裁は講演で、「金融引き締めによる需要は落ち着き始めており、インフレ圧力も後退し始めているが、われわれの仕事はまだ終わっていない」と述べ、今後もインフレ抑制に注力するとしながらも、「借入、住宅ローン金利や株価といった金融状況の幅広い目安は、支出を後押しする威力が大幅に減じている」とし、「その結果、住宅市場が落ち込み、個人消費や企業投資の鈍化の兆候が見られる。こうした状況が続けば今年の実質GDPの伸びはほぼ横ばいとなり、2023年も緩やかな伸びにとどまると予想する」と語っています。現時点ではこのようなややハト派的な見方は少数かと思われますが、さらにヤニデル・リサーチのエド・ヤニデル社長は「ドルの上昇継続が示唆するように金融市場には既に不安定の兆しが見られる。米金融当局は11月にあと1回利上げした後は、引き締めサイクルの終了を検討すべきだ」との見方を示し、「大幅利上げやドル急伸、量的引き締めに伴う金融市場のストレスは、政策当局が金融安定を最優先にすべき状況にまで高まっている」と指摘しています。(ブルームバーグ)

トラス英政権は3日、所得税最高税率を45%から40%に引き下げる案を撤回することを明らかにしました。トラス首相は、経済対策の一環として大幅減税を行うことを表明しましたが、その財源として国債の発行が見込まれることから、債券、株、英ポンドが大きく売られる「トリプル安」の様相を呈しました。その後はイングランド銀行の介入で値を戻しましたが、昨日のこの表明でポンド・ドルはさらに上昇しています。結局1.0360近辺まで売られたポンド・ドルは1週間で「約1000ポイント」値を戻したことになります。いやはや恐ろしい通貨です。日本にとっても、国の借金である国債の発行残高を考えると、「対岸の火事」とは言えません。

本日のドル円は143円50銭〜145円50銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
10/3 エド・ヤニデル、ヤニデル・リサーチ社社長 「ドルの上昇継続が示唆するように金融市場には既に不安定の兆しが見られる。米金融当局は11月にあと1回利上げした後は、引き締めサイクルの終了を検討すべきだ」、「大幅利上げやドル急伸、量的引き締めに伴う金融市場のストレスは、政策当局が金融安定を最優先にすべき状況にまで高まっている」 --------
10/3 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「金融引き締めによる需要は落ち着き始めており、インフレ圧力も後退し始めているが、われわれの仕事はまだ終わっていない」、「借入、住宅ローン金利や株価といった金融状況の幅広い目安は、支出を後押しする威力が大幅に減じている」、「その結果、住宅市場が落ち込み、個人消費や企業投資の鈍化の兆候が見られる。こうした状況が続けば今年の実質GDPの伸びはほぼ横ばいとなり、2023年も緩やかな伸びにとどまると予想する」 --------
9/30 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「われわれが本気だということは周知されている。優先するのはインフレを抑制することだ」、「インフレは依然として広範囲に広がり根強いが、政策金利の引き上げペースが高まる中で主要な物価押し上げ圧力は和らぎ始めている兆候が見られる」 --------
9/30 ブレイナード・FRB副議長 「金融環境引き締めの完全な効果が様々なセクターを通じて波及し、インフレを押し下げるまでには時間がかかる。しばらくの間は景気抑制的な金融政策を維持し、インフレが目標に戻りつつあるという確信を得る必要がある。従って、われわれは時期尚早な政策巻き戻しを避けることをコミットしている」 --------
9/30 デーリー・SFシスコ連銀総裁 「最優先事項はインフレを抑制することだ」、「追加利上げを実施すると確信しており、バランスの取れた経済に戻すためには適切なことだと考えている」 --------
9/29 シスカム・リトアニア中銀総裁 「100ベーシスポイントの利上げは現時点では確かに行き過ぎだろうが、50bpは最低ラインだ」、「75bpが私の選択になるだろう。ユーロ圏の9月のインフレ率がさらに高くなっても驚きではないだろう」 ユーロドルが0.96台半ばから0.98台前半まで買われる。
9/28 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「これまで進展が見られないことから、緩やかに抑制的な政策スタンスにする必要があると一層強く考えている」、「私としては、それは政策金利が4.25−4.5%のレンジにあることを意味する。年末までにその水準に達することが望ましい」 --------
9/28 エバンス・シカゴ連銀総裁 「世界の金融市場でボラティリティーが高まっているものの、FRBはインフレ抑制のため利上げを推し進める必要がある」と、(現在のFF金利の誘導目標レンジである3−3.25%について)、「これは景気抑制的な領域に入り始めたところだが、現在のインフレの高さやインフレ抑制が責務であることを考慮すれば到底十分ではない」 --------
9/27 イエレン・財務長官 「金融市場は良好に機能していると考える。秩序を欠いた状況にはない」、「米国は他の多くの国々よりも早いペースで進んでいるため、ドルには上昇圧力が見られる」、「私にとって、金融市場の引き締まりを反映するこの種の展開は、インフレ対策に関わるものの一環だ」 --------
9/27 エバンス・シカゴ連銀総裁 今から6カ月で、金融政策の遅行効果が労働市場に現れるはずだ」、(米当局はインフレが上昇し始めた際に、間違いを犯し)「判断を誤った」、「今になって考えると、私は恐らく引き締めをもっと早期に開始していただろう」 --------
9/27 ブラード・セントルイス連銀総裁 「政策金利は景気抑制的な領域に入ったと言える段階に達したばかりだ。インフレ問題を確実に抑え込むためにも、しばらくは金利を高水準に据え置く必要がある」 --------
9/27 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「われわれは非常に積極的に動いている。かなりの引き締めが進行中だ。物価の安定を回復させることにコミットしているが、時間差があることを踏まえれば、やりすぎのリスクがあることも認識している」、「現在のペースが適切だ」 --------
9/26 黒田・日銀総裁 「金融政策と為替政策は目的や効果が異なり、矛盾するとは思わない」、「(年明け以降に)2%を割ることは確実だと思っており、賃金の上昇を伴った2%の物価上昇が来年実現されるとはみていない」 --------
9/26 シーゲル・ペンシルベニア大学ウォートン校教授 「フォワードルッキングな実際のインフレ率を踏まえれば、FF金利先物はタイト過ぎる」、(インフレに関して)、「中身のない話を続けるより、リセッションのリスクの方がはるかに高い」 --------
9/26 コリンズ・ボストン連銀総裁 「インフレを目標に回帰させるには、金融政策のさらなる引き締めが必要だ。最近のFOMCの予測でもそれは示されている」、「インフレが鈍化しているという明確かつ説得力ある兆候を目にすることが重要だ」 ドル高が進み、株価と債券が下落し金利上昇につながる。
9/26 ポスティック・アトランタ連銀総裁 「米経済が最も良く機能するのは、経済の先行きや短期および中期の軌道に対する信頼がある時で、高インフレはそれを損なう。従って金融当局がすべきことは、インフレをもっと抑制することだ」 ドル高が進み、株価と債券が下落し金利上昇につながる。
9/26 メスター・クリーブランド連銀総裁 「根強い高インフレを退治するために追加の利上げが必要だ」、「インフレ期待の抑制が効かなくなるのを防ぐには、引き締めより長期間維持すべきだ ドル高が進み、株価と債券が下落し金利上昇につながる。
9/25 ポスティック・アトランタ連銀総裁 (ソフトランディングの見通しについて)「厳しい状況が予想される。容易ではない」、「経済は比較的、秩序ある形で減速することが可能だ」、「米金融当局はあらゆる可能な措置を講じるだろう。シナリオは複数ある」 --------
9/21 パウエル・FRB議長 「われわれはインフレを過去のものにする必要がある。痛みを伴わずにそうする方法があれば良いが、それはない」と述べ、「金利上昇と成長減速、労働市場の軟化は全てわれわれが仕える国民に痛みをもたらすが、物価の安定を取り戻せず、将来的に再びやり直さざるを得なくなるほどの痛みではない」、「インフレを目標の2%に押し下げることを当局者らが強く決意しているというのが、主要なメッセージだ」、「この任務が完了するまで根気強く続けていく」 ダウが522ドル下げるなど、株式は全面安。ドル円は144円70銭まで買われた後143円台前半まで売られる。
9/21 FOMC声明文 「最近の指標は支出と生産の緩慢な伸びを示している。雇用はこの数カ月、堅調に伸びており、失業率は低いままだ。インフレは高止まりし、それはパンデミックに関連した需給の不均衡、エネルギー価格の上昇、より広範な価格圧力を反映している」、「委員会はより長期にわたって最大限の雇用と2%のインフレを達成することを目指す。これらの目標実現を支えるため、委員会はフェデラルファンド金利誘導目標のレンジを3.00−3.25%に引き上げることを決めた」 --------
9/17 スティーブン・シュワルツマン、ブラックストーンCEO 「不況なしでインフレ率2%を達成することは難しい」、「米経済はまだ強い」、「2%達成にこだわれば、大幅な利上げの継続を迫れ、景気後退に陥るとみられ」一方、「3〜4%程度のインフレ水準を容認する方針に転換すれば、不況は避けられるかもしれない」 --------
9/12 シュナーベル・ECB理事 (インフレ率を目標の2%に戻すために)、「今後数回の政策委員会会合で追加利上げをすることになるだろう」 ユーロドル1.01台前半から1.02台目前まで上昇。
9/12 シクルーナ・マルタ中銀総裁 「今回が唯一の利上げではない。あと数回あるだろう」、「0.75ポイントの利上げ幅はECBにとって標準となるわけではない」 ユーロドル1.01台前半から1.02台目前まで上昇。
9/9 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 「米インフレ率は依然として高すぎ、米金融当局には金融緩和の解除を継続する単純明快な理由がある」、「重要な問いは、それをどの程度、どれだけ早く実施していくかだ」 --------
9/9 ブラード・セントルイス連銀総裁 「75bpの方向に傾いたところ、先週2日に発表された雇用統計の数字はまずまず良好だった」、(来週発表される消費者物価指数(CPI)でインフレ抑止の進展が示される可能性はあるが)、「単一のデータに次回会合で決定を左右させるわけにはいかない。従って、現時点では75bpへの傾斜をより強めているところだ」、「私の考えでは、実施は早ければ早いほど良い傾向にある」 --------
9/9 ウォラー・FRB理事 「インフレはあまりに高すぎる水準にあり、インフレが下方向に意味ある形で持続的に推移しつつあるかどうか判断するのは時期尚早だ」、「政策金利が明確に需要を抑制する水準になるよう、9月20−21日の次回会合で大幅な利上げを支持する」 --------
9/8 ECB声明文 「この大きな一歩は現在の極めて緩和的な政策金利水準からインフレ率を適切な時期に目標の2%に戻す金利水準への移行を前倒ししたものだ」、「今後数回の会合でさらなる利上げを想定している」 --------
9/8 ラガルド・ECB総裁 「断固とした行動を取る必要があった」、「会合ごとに見直す指標が大幅な利上げが必要だと示唆するなら、そうするだろう」(利上げが想定される今後「数回」とは何回を指すのかとの質問には)、「恐らく今回を含めて2回を上回るが、5回は下回るだろう」 --------
9/7 メスター・クリーブランド連銀総裁 「金融政策に関する自身の考えを構築するにあたっては、インフレというけだものとの闘いで尚早に勝利宣言しないよう注意したい」、「フェデラルファンド(FF)金利を早い時期に4%超に引き上げ、その後しばらくその水準で据え置くことが必要」 --------
9/7 コリンズ・ボストン連銀総裁 「9月の金融政策行動として何がまさしく適切かあまり具体的に言及するのは時期尚早だが、さらなる行動が必要だとあらためて申し上げたい」、「物価はまだ大幅には下がっておらず、われわれはこれを目指すことになる」 --------
9/7 ブレイナード・FRB副議長 「インフレを押し下げるため、われわれは必要な限り対応を続ける」、「インフレ率が目標に向けて低下しているとの確信をもたらすため、金融政策を当面、景気抑制的な水準にとどめる必要がある」、「引き締めサイクルにおける迅速さとそのグローバルな性質、さらに金融環境引き締めの効果が総需要に行き渡る速さを巡る不透明感は、過度の引き締めに関連したリスクを生み出す」、「時期尚早に退くリスクを回避することも重要だ」 株高、債券高が進み、ドル円は145円前後から143円台半ばへ下落。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和