「ドル円再び131円台に下落」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は続落。前日の雇用統計後のドル売りの流れが継続し、アジア時間には131円31銭近辺までドル安が進む、その後の欧州では132円台を回復したものの、NYでは再びドル売りが強まり131円台半ばまで下落。
- ドル安の流れからユーロドルは続伸し、1.0760まで上昇。
- 株式市場は先週末に大幅高となり、この日も朝方は上昇して始まったが、地区連銀総裁のタカ派発言にダウは121ドル安。ナスダックは小幅ながら続伸。
- 債券は続伸し、長期金利は3.53%台に低下。
- 金は続伸し、一時は昨年8月以来となる1886ドル台まで上昇。中国と見られる買いが続いているとの観測も。原油も買われ、小幅高。
11月消費者信用残高 → 27.962b
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| ドル/円 | 131.54 〜 132.27 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.0686 〜 1.0760 |
| ユーロ/円 | 141.23 〜 141.91 |
| NYダウ | −112.96 → 33,517.65ドル |
| GOLD | +8.10 → 1,877.80ドル |
| WTI | +0.86 → 74.63ドル |
| 米10年国債 | −0.026 → 3.532% |
本日の注目イベント
- 日 11月東京都区部消費者物価指数
- 欧 日伊首脳会談
- 欧 米英中銀総裁、スウェーデン中銀主催シンポジウムに参加
- 英 英12月消費者物価指数
- 米 11月生産者物価指数
本日のコメント
ドル円は先週末のNYで134円80銭手前まで買われましたが、予想通り雇用統計発表後は下落し、日本が祝日であった昨日のアジア時間には131円台前半まで押し戻される展開でした。予想通りとはいえ、雇用統計の内容を考えるとやや違和感も残る動きでした。
12月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が市場予想の「20.3万人」を超え、「22.3万人」でした。ただ11月分は「26.3万人」から「25.6万人」に下方修正されています。また、失業率も予想の「3.7%」から「3.5%」に低下し、11月分も「3.7%」から「3.6%」に改善しています。12月の失業率「3.5%」は、昨年7月、9月に記録した50年ぶりの低水準に並ぶものでした。しかし、投資家が注目したのは同時に発表された「平均時給」にあったようです。平均時給は「前月比」、「前年同月比」ともに伸びが鈍化しており、今後消費に与える影響を考えると「良い材料」と見られたようです。人出不足を背景に高賃金を提示しなければ適正な労働力を得られないといった構図に変化が出て来たのかもしれません。ここはもうしばらく注視する必要がありそうです。雇用統計を受け、株式は大幅に買われ、ダウは700ドルを超える上昇を見せ、債券も買われ、金利低下からドル円は132円台まで売られました。昨日はさらにドル安が進み、131円台前半まで売られたことで、結局先週1週間は「往って来い」の相場展開でした。引き続き値幅の大きい荒っぽい動きです。
雇用統計の後に発表された12月の「ISM非製造業景況指数」もドル売りを誘ったようです。同指数は2022年度では初めて好不況の分かれ目である「50」を割り込み、「49.6」と、2020年5月以来の低水準でした。賃金とサービスの軟調な指標を受けて「市場ではサービス価格のインフレも和らぐとの期待につながった」(日経新聞)と受け止められています。「悪いニュースは良いニュース」の典型だったようです。ただ、この指標も厳しい寒波の影響で、年末年始の移動が混乱したことや、広範な地域で停電が起きたことが影響した可能性もあり、このままインフレ抑制に寄与していくかどうかは未知数です。
アトランタ連銀のボスティック総裁は9日に行われたイベントで、「われわれは決意を固く持ち続ける必要がある」として、「経済から過剰な需要を取り去るため政策金利を5−5.25%に引き上げることが正当化される」と述べています。また5%超の政策金利を維持する期間につては「長期だ。政策転換は考えていない。利上げを停止してその水準を維持し、政策が結果を表すのを見守るべきだ」と、政策金利を長期にわたり維持する考えを示しています。またサンフランシスコ連銀のデーリー総裁もウォールストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで、「政策金利は最終的に5%を幾分上回る水準まで引き上げられる」と述べ、「ただ、利上げ終着点の具体的な水準は不明で、今後発表されるインフレ統計次第だ」と語っています。(ブルームバーグ)年明け早々からFOMCメンバーによる発言が相次いでいますが、ほぼ全員がタカ派的な発言を繰り返し、市場の楽観的な観測をけん制する姿勢を見せています。
ロシアのプーチン氏が突如行った「36時間の停戦」は全く意味を持たなかったようです。結果的にはウクライナとの将来の「停戦交渉」のハードルをさらに上げてしまったかもしれません。停戦は「ロシアによる時間稼ぎだ」としてウクライナはロシアを攻撃し、多数の兵士が犠牲になりました。ロシアはその報復攻撃を行い、ウクライナ兵600人以上を殺害したと発表しましたが、ウクライナ側はこれを否定しています。フランスが軽戦車「AMX−10RC」のウクライナへの供与を決め、バイデン政権も歩兵戦闘車「ブラッドリー」を提供する可能性もあり、侵攻開始1年を前に戦況はさらに激しくなりそうな気配です。
本日のドル円は131円〜133円程度を予想します。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 1/9 | デーリー・サンフランシスコ連銀 | 「政策金利は最終的に5%を幾分上回る水準まで引き上げられる」と述べ、「ただ、利上げ終着点の具体的な水準は不明で、今後発表されるインフレ統計次第だ」 | 株と債券が買われ、ドル円は下落。 |
| 1/9 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「われわれは決意を固く持ち続ける必要がある」、「経済から過剰な需要を取り去るため政策金利を5−5.25%に引き上げることが正当化される」、(5%超の政策金利を維持する期間につては)「長期だ。政策転換は考えていない。利上げを停止してその水準を維持し、政策が結果を表すのを見守るべきだ」 | 株と債券が買われ、ドル円は下落。 |
| 1/5 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | 「政策金利は十分に景気抑制的と見なされ得る領域にはまだ入っていないが、それに近づきつつある」 | 株安、債券安、ドル高がやや修正される。 |
| 1/5 | ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 | (FF金利予測に言及し)、「私は自分の予想を5%超に引き上げた」、「インフレが当局の2%に向って説得力ある形で鈍化し始めているという兆候が得られるまで、その水準に当面とどまると私はみている」、(24年になっても金利を5超で維持することが適切になるのが予測かどうか問われると)、「私にとってはそうだ」 | 雇用関係の経済指標の改善もあり、ドル円を134円台まで押し上げる。 |
| 1/5 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 発言内容:「物価圧力が緩和しつつある兆しなど、最近の報告を歓迎するが、やるべき仕事はまだ山積している。世界中の中央銀行当局者がこれに関して私と同意見であることは間違いないだろう」、「インフレを2%に戻すため、政策手段の活用を引き続き決意している」 | 雇用関係の経済指標の改善もあり、ドル円を134円台まで押し上げる。 |
| 1/4 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 「インフレがピークを付けたとわれわれが確信するまで、少なくとも今後数会合は利上げを続けるのが適切になる」、「私としては5.4%での利上げ停止を想定しているが、最終地点がどの水準になるにせよ、政策金利がインフレ率を妥当な期間で2%へと戻すのには十分な高さにあるのかどうか直ちには分からない」、「インフレをより長期間高止まりさせるような、進展の遅さを示唆する何らかの兆候が見られれば、政策金利をよりずっと高い水準に引き上げる可能性が正当化されると私は考えている」 | FOMC議事録とともに、ドル円を132円台後半まで押し上げる。 |
| 1/4 | FOMC議事 | 「正当な根拠のない金融状況の緩和は、特に委員会の対応に関する世間一般の誤解に基づくものである場合、物価安定を回復する委員会の取り組みを複雑化させる」 | ドル円131円台から132円台後半まで上昇。 |
| 1/3 | ゲオルギエワ・IMF専務理事 | (世界経済にとって)「厳しい年になり、昨年を上回る厳しさになる」、(その理由として)「米国、欧州連合(EU)、中国の三大経済がそろって同時に減速するからだ」 | -------- |
| 12/27 | デギンドス・ECB副総裁 | 「ユーロ圏は非常に厳しい経済状況に直面している」、「個人も企業も賢明な姿勢になり長期的視点に焦点を絞ることが非常に重要だ」、「短く浅いリセッションに見舞われた後、4−6月期(第2四半期)には再びプラス成長になる」 | -------- |
| 12/20 | 黒田・日銀総裁 | 「利上げではない」、(このタイミングで長期金利の変動幅を拡大した理由質問され)、「YCCがよりよく機能するように市場機能の改善を図った」、「さらなる拡大は必要ないし、考えていない。YCCや量的・質的緩和を見直すことは当面考えられない」 | 長期金利の変動幅を0.5%に拡大したことで、ドル円は東京時間で137円台前半から133円台前半に急落。NYでは130円58銭までドル安が進む。欧米など債券の大きく売られ金利が上昇。 |
| 12/16 | メスター・クリーブランド連銀総裁 | 「インフレに対してはまだすべきことがあるので、利上げを続けなければならない」と発言し、「インフレを鎮静化させるには時間がかかる」 | -------- |
| 12/16 | デーリー・SF連銀総裁 | 「道のりはまだ長い。当局の物価安定目標への到達はかなり先だ」 | -------- |
| 12/16 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「労働市場で需要が供給を上回っているという明確な兆候がある」と指摘し、「2%にどうやって持っていくかが真の問題だ」、「必要なことをやるしかない。政策金利は必要ならば、FOMCメンバーが最新の経済予測で示した水準より高くなる可能性もある」 | 株価が大きく売られる。 |
| 12/15 | ラガルド・ECB総裁 | (今回の利上げ幅が前回より小幅だったことを)「ECBが政策転換だと考えるのは誤りだ」、「0.5ポイントのベースが一定期間続くことを見込むべきだ」、「まだ先へ進まなければならない。これは長期戦だ」 | ユーロドル1.06台半ばから100ポイント程上昇。 |
| 12/14 | パウエル・FRB議長 | 「なお幾分か道のりは残っている」と発言し、「インフレ率が持続的な形で2%へと低下していると委員会が確信するまで、利下げが検討されることはないとみている」、「物価安定を回復させるには、景気抑制的な政策スタンスをしばらく維持する必要がありそうだ」、「まだ十分に景気抑制的なスタンスではないというのが、われわれが今日下した判断だ」、「任務を完了するまで現在の軌道を維持する」 | タカ派的な内容と受け止められ、株と債券が大きく売られ、金利が上昇したことでドル円は135円近辺から136円手前まで急上昇。 |
| 12/14 | FOMC声明文 | 「委員会はインフレ率を時間とともに2%に戻すべく十分に抑制的な金融政策スタンスを実現するためには、継続的な誘導目標レンジ引き上げが適切になると見込む。誘導目標レンジの今後の引き上げペースを決定する上で、委員会は金融政策の累積的な引き締めや、金融政策が経済活動とインフレに与える影響の遅行性、経済や金融の情勢を考慮する」 | -------- |
| 12/2 | サマーズ・元財務長官 | 「インフレ抑制の道のりは長い。金融当局は市場が現在判断し、当局者が今発言しているよりも一段の利上げが必要になると思う」、「6%がわれわれが書くことができるシナリオだ。5%は最善の予測ではない」 | -------- |
| 12/2 | エバンス・シカゴ連銀総裁 | 「FF金利の引き上げペースは減速する可能性が高いが、ピークの金利水準は恐らく若干高めになりそうだと」、「インフレ率は極めて高い。当局目標の2%に下げるため、われわれは金融環境を適度に景気抑制的水準にする途上にある」 | -------- |
| 12/1 | ボウマン・FRB理事 | 「フェデラルファンド(FF)金利は十分に景気抑制的な水準に近づいており、目標レンジをどこまで引き上げる必要があるかを見極める上で、利上げペースを減速させることが適切となろう」 | ドル円がさらに下落する一要因に。ドル円136円台半ば→135円台前半に。 |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



