今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「明日の米CPI予想下振れ観測が台頭」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は132円台でもみ合う。欧州時間朝方には131円70銭近辺まで売られたが、NYでは長期金利の上昇に132円47銭までドルが買われる。
  • ユーロドルは小幅に続伸し、1.07台でもみ合い。
  • 株式市場は3指数が揃って上昇。12日発表のCPIが鈍化するとの観測が広がり、ダウは186ドル高。S&P500も27ポイント高で取引を終える。
  • 債券は反落し、長期金利は3.61%台に上昇。
  • 金は小幅に反落し、原油は4日続伸。
ドル/円 131.74 〜 132.47
ユーロ/ドル 1.0713 〜 1.0759
ユーロ/円 141.64 〜 142.05
NYダウ +186.45 → 33,704.10ドル
GOLD −1.30 → 1,876.50ドル
WTI +0.49 → 75.12ドル
米10年国債 +0.087 → 3.619%

本日の注目イベント

  • 豪 豪11月小売売上高
  • 豪 豪11月消費者物価指数
  • 日 11月景気先行指数(CI)(速報値)
  • 英 日英首脳会談

本日のコメント

明日12日に発表される米12月の消費者物価指数(CPI)が市場予想以上に鈍化するとの観測が広がり、NYでは株価が上昇し、債券が売られ、金利上昇に伴ってドル円は132円台半ばまで上昇しました。CPIの楽観的な観測でしたが、各市場はまちまちの展開のようでした。大幅利上げが回避できる可能性があることから、株価が上昇するのは納得できますが、同時にこれは債券にとっても好材料で、本来ならば債券が買われて金利が低下し、ドル円は下落するパターンかと思いきや、債券は売られ金利が上昇したことでドル円も底堅い動きでした。もっともこの日は、年初来続いている大きな値動きもなく、比較的おとなし目の動きだったと言えます。明日のCPI予想は前年同月比「6.5%」で、先月の「7.1%」からの減速が見込まれていますが、昨日の市場では事前予想よりも「0.1%」改善する確率が3分の2弱あるとの見方が出ていました。消費者物価指数には市場が極めて敏感に反応する環境になっており、仮にその通りだとしてもわずか「0.1%」ですが、市場予想を下振れする「事実」が重要なのかもしれません。NY株式市場の上昇は、これを先取りした格好になっています。

インフレ率の下振れは今後の利上げ継続の停止を早める可能性があり、好材料ですが、パウエル議長はストックホルムで開かれたフォーラムでは引き続き厳しい見方を維持しています。議長は「高インフレの状況で物価の安定を取り戻す上で、短期的に『支持されない措置』が必要となることもあり得る」と述べて、これまで通りのタカ派姿勢を維持していました。またボウマンFRB理事もマイアミで開かれたイベントで、「過去数カ月に一部インフレ指標で減速が見られたが、われわれにはやるべき仕事がまだ多く残っている。従って、FOMCは12月会合後に表明した通り、金融引き締めに向けて利上げを続ける見通しだ」と述べています。(ブルームバーグ)一方JPモルガンのダイモンCEOは微妙な発言を行っています。ダイモン氏は、「現在の想定を上回る水準までFRBは金利を引き上げる必要があるかもしれない」ただ、5%程度という現在の予想については、「私は、十分ではないのでないかと考える方だ。3カ月か6カ月待ってみることに害はないと思う」と述べ、引き締めを中断し、その効果を見極めることも重要だとの認識を示しています。

世銀は10日、半期に一度の「世界経済見通し」(GEP)を公表しました。それによると、23年の世界成長率を「1.7%」と予想し、昨年6月時点の見通しからほぼ半減させました。予想通りであれば、2009、10の両年の縮小に次ぎ過去30年ほどで3番目の低成長になる見込みです。国別で見ると、米国は「2.9%」から「1.7%」に大幅に下方修正され、欧州にいたっては「3.3%」から「0%」とゼロ成長になると予想しています。日本は「1.2%」から「1.0%」と幾分下方修正されましたが、軽微でした。目立ったのが中国で「2.7%」から「4.3%」に大幅な上方修正です。中国政府は今年、過去に例のないほど巨額な赤字国債を財源とし、景気刺激策に本腰を入れることを決めており、これが考慮されているものと思われます。因みにロシアは「−3.5%」から「−3.3%」と、若干成長が伸びると見込まれていますが、マイナス成長からは抜け出ることが出来ないのは当然のことです。

本日のドル円は小動きでしょうか。明日12日に発表される「12月の米CPI」を巡る思惑で動く可能性はありますが、131円〜133円のレンジは抜け切れないと見ています。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
1/10 ダイモン・JPモルガンCEO 「現在の想定を上回る水準までFRBは金利を引き上げる必要があるかもしれない」ただ、5%程度という現在の予想については、「私は、十分ではないのでないかと考える方だ。3カ月か6カ月待ってみることに害はないと思う」 --------
1/10 ボウマン・FRB理事 「過去数カ月に一部インフレ指標で減速が見られたが、われわれにはやるべき仕事がまだ多く残っている。従って、FOMCは12月会合後に表明した通り、金融引き締めに向けて利上げを続ける見通しだ」 --------
1/10 パウエル・FRB議長 「高インフレの状況で物価の安定を取り戻す上で、短期的に『支持されない措置』が必要となることもあり得る」 --------
1/9 デーリー・サンフランシスコ連銀 「政策金利は最終的に5%を幾分上回る水準まで引き上げられる」と述べ、「ただ、利上げ終着点の具体的な水準は不明で、今後発表されるインフレ統計次第だ」 株と債券が買われ、ドル円は下落。
1/9 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「われわれは決意を固く持ち続ける必要がある」、「経済から過剰な需要を取り去るため政策金利を5−5.25%に引き上げることが正当化される」、(5%超の政策金利を維持する期間につては)「長期だ。政策転換は考えていない。利上げを停止してその水準を維持し、政策が結果を表すのを見守るべきだ」 株と債券が買われ、ドル円は下落。
1/5 ブラード・セントルイス連銀総裁 「政策金利は十分に景気抑制的と見なされ得る領域にはまだ入っていないが、それに近づきつつある」 株安、債券安、ドル高がやや修正される。
1/5 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 (FF金利予測に言及し)、「私は自分の予想を5%超に引き上げた」、「インフレが当局の2%に向って説得力ある形で鈍化し始めているという兆候が得られるまで、その水準に当面とどまると私はみている」、(24年になっても金利を5超で維持することが適切になるのが予測かどうか問われると)、「私にとってはそうだ」 雇用関係の経済指標の改善もあり、ドル円を134円台まで押し上げる。
1/5 ボスティック・アトランタ連銀総裁 発言内容:「物価圧力が緩和しつつある兆しなど、最近の報告を歓迎するが、やるべき仕事はまだ山積している。世界中の中央銀行当局者がこれに関して私と同意見であることは間違いないだろう」、「インフレを2%に戻すため、政策手段の活用を引き続き決意している」 雇用関係の経済指標の改善もあり、ドル円を134円台まで押し上げる。
1/4 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「インフレがピークを付けたとわれわれが確信するまで、少なくとも今後数会合は利上げを続けるのが適切になる」、「私としては5.4%での利上げ停止を想定しているが、最終地点がどの水準になるにせよ、政策金利がインフレ率を妥当な期間で2%へと戻すのには十分な高さにあるのかどうか直ちには分からない」、「インフレをより長期間高止まりさせるような、進展の遅さを示唆する何らかの兆候が見られれば、政策金利をよりずっと高い水準に引き上げる可能性が正当化されると私は考えている」 FOMC議事録とともに、ドル円を132円台後半まで押し上げる。
1/4 FOMC議事 「正当な根拠のない金融状況の緩和は、特に委員会の対応に関する世間一般の誤解に基づくものである場合、物価安定を回復する委員会の取り組みを複雑化させる」 ドル円131円台から132円台後半まで上昇。
1/3 ゲオルギエワ・IMF専務理事 (世界経済にとって)「厳しい年になり、昨年を上回る厳しさになる」、(その理由として)「米国、欧州連合(EU)、中国の三大経済がそろって同時に減速するからだ」 --------
12/27 デギンドス・ECB副総裁 「ユーロ圏は非常に厳しい経済状況に直面している」、「個人も企業も賢明な姿勢になり長期的視点に焦点を絞ることが非常に重要だ」、「短く浅いリセッションに見舞われた後、4−6月期(第2四半期)には再びプラス成長になる」 --------
12/20 黒田・日銀総裁 「利上げではない」、(このタイミングで長期金利の変動幅を拡大した理由質問され)、「YCCがよりよく機能するように市場機能の改善を図った」、「さらなる拡大は必要ないし、考えていない。YCCや量的・質的緩和を見直すことは当面考えられない」 長期金利の変動幅を0.5%に拡大したことで、ドル円は東京時間で137円台前半から133円台前半に急落。NYでは130円58銭までドル安が進む。欧米など債券の大きく売られ金利が上昇。
12/16 メスター・クリーブランド連銀総裁 「インフレに対してはまだすべきことがあるので、利上げを続けなければならない」と発言し、「インフレを鎮静化させるには時間がかかる」 --------
12/16 デーリー・SF連銀総裁 「道のりはまだ長い。当局の物価安定目標への到達はかなり先だ」 --------
12/16 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「労働市場で需要が供給を上回っているという明確な兆候がある」と指摘し、「2%にどうやって持っていくかが真の問題だ」、「必要なことをやるしかない。政策金利は必要ならば、FOMCメンバーが最新の経済予測で示した水準より高くなる可能性もある」 株価が大きく売られる。
12/15 ラガルド・ECB総裁 (今回の利上げ幅が前回より小幅だったことを)「ECBが政策転換だと考えるのは誤りだ」、「0.5ポイントのベースが一定期間続くことを見込むべきだ」、「まだ先へ進まなければならない。これは長期戦だ」 ユーロドル1.06台半ばから100ポイント程上昇。
12/14 パウエル・FRB議長 「なお幾分か道のりは残っている」と発言し、「インフレ率が持続的な形で2%へと低下していると委員会が確信するまで、利下げが検討されることはないとみている」、「物価安定を回復させるには、景気抑制的な政策スタンスをしばらく維持する必要がありそうだ」、「まだ十分に景気抑制的なスタンスではないというのが、われわれが今日下した判断だ」、「任務を完了するまで現在の軌道を維持する」 タカ派的な内容と受け止められ、株と債券が大きく売られ、金利が上昇したことでドル円は135円近辺から136円手前まで急上昇。
12/14 FOMC声明文 「委員会はインフレ率を時間とともに2%に戻すべく十分に抑制的な金融政策スタンスを実現するためには、継続的な誘導目標レンジ引き上げが適切になると見込む。誘導目標レンジの今後の引き上げペースを決定する上で、委員会は金融政策の累積的な引き締めや、金融政策が経済活動とインフレに与える影響の遅行性、経済や金融の情勢を考慮する」 --------
12/2 サマーズ・元財務長官 「インフレ抑制の道のりは長い。金融当局は市場が現在判断し、当局者が今発言しているよりも一段の利上げが必要になると思う」、「6%がわれわれが書くことができるシナリオだ。5%は最善の予測ではない」 --------
12/2 エバンス・シカゴ連銀総裁 「FF金利の引き上げペースは減速する可能性が高いが、ピークの金利水準は恐らく若干高めになりそうだと」、「インフレ率は極めて高い。当局目標の2%に下げるため、われわれは金融環境を適度に景気抑制的水準にする途上にある」 --------
12/1 ボウマン・FRB理事 「フェデラルファンド(FF)金利は十分に景気抑制的な水準に近づいており、目標レンジをどこまで引き上げる必要があるかを見極める上で、利上げペースを減速させることが適切となろう」 ドル円がさらに下落する一要因に。ドル円136円台半ば→135円台前半に。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和