「ユーロドル昨年4月以来の高値を示現」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は132円台で推移。132円台後半までドル高が進むも、今夜のCPI発表を控え上値は限定的だった。
- ユーロドルは続伸し、1.0776まで上昇。昨年4月25日以来となる高値に。
- 株式市場は3指数が揃って続伸。今夜のCPIが市場予想よりも下振れするとの観測が根強く、ダウは268ドル高。
- 債券は反発。長期金利は3.53%台に低下。
- 金は続伸。一時は1890ドルまで買われ、昨年5月以来の高値に。原油も買われ、これで5日続伸。中国の景気回復観測が支えに。
| ドル/円 | 132.27 〜 132.80 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.0734 〜 1.0776 |
| ユーロ/円 | 142.24 〜 142.85 |
| NYダウ | +268.91 → 33,973.01ドル |
| GOLD | +2.40 → 1,878.90ドル |
| WTI | +2.29 → 77.41ドル |
| 米10年国債 | −0.080 → 3.539% |
本日の注目イベント
- 豪 豪11月貿易収支
- 日 11月貿易収支
- 日 11月国際収支
- 日 12月景気ウオッチャー調査
- 日 日銀地域経済報告(さくらリポート、1月)
- 中 中国12月消費者物価指数
- 中 中国12月生産者物価指数
- 台 企業決算 → TSMC(台湾)
- 欧 ECB経済報告
- 米 12月消費者物価指数
- 米 新規失業保険申請件数
- 米 12月財政収支
- 米 ブラード・セントルイス連銀総裁、オンラインイベントに参加
- 米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
- 米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演
- 加 日加首脳会談
本日のコメント
市場では今夜発表される米12月の消費者物価指数(CPI)が予想を下回るとの観測が依然根強く、NY株式市場では主要3指数が揃って大幅続伸しました。前日と異なったのは、債券も買われ金利は低下しています。金利低下にドルは売られ、ユーロドルでは「ドル安ユーロ高」が進みましたが、ドル円は逆行高となり、132円80銭(NY時間10時前には132円88銭)までドルが買われています。ユーロドルでドル安が進んだことで金は小幅ですが続伸し、1900ドルを目指す動きになっています。
12月のCPIは前月の「7.1%」から「6.5%」に減速すると見られていますが、市場ではさらに「0.1%程度」低下するとの見方が広がっており、株式市場からは「CPIが予想通りか、予想を下回る内容となれば、相場は上昇する可能性が高い。一方で、強い数字となれば、想定がたやすく崩れてしまう恐れがある。景気にとって良いニュースは市場にとって良いニュースとなり得る」といった声も聞こえてきました。(ブルームバーグ)仮に予想を下回る結果になるようだと、FRBによる利上げ継続の根拠も弱まり、ドルが徐々に売られる展開が予想されます。
今月31日−2月1日に開催される今年最初のFOMCでは0.5ポイントの利上げがコンセンサスですが、ボストン連銀のコリンズ総裁は11日、NYタイムズとのインタビューで、「25(ベーシスポイント)ないし、50が妥当だろう。私自身は現時点で25に傾いているが、あくまでもデータ次第だ」とし、「われわれは利上げを停止する水準に近づいており、ゆっくりと調整することで、毎回の判断を下す前に入手する情報を精査する時間が増える。より小幅な変更を行うことで、われわれの柔軟性は高まる」と語っています。(ブルームバーグ)コリンズ総裁は今年のFOMCでの投票権を持っていませんが、タカ派寄りの発言が相次ぐ中、かなりハト派寄りとして特筆できます。タカ派の代表的な存在だったセントルイス連銀のブラード総裁も最近の発言では変化も見られてきたことから、労働市場が依然として好調とはいえ、FRBの金融引き締めにもやや終点が見えてきたと考えられるかもしれません。予想では今回の会合で0.5ポイントの利上げを行い、3月に最後の0.25ポイントの利上げを実施した後、その効果を見極めるため様子を見るといったシナリオがメインですが、今夜のCPIが予想を下回るようなら、その可能性がさらに高まります。
ユーロドルが堅調な動きを見せています。昨年9月には0.95台半ばまで売られましたが、昨日は1.0776近辺までユーロ高が進み、この間の上昇率は13%程になります。ユーロ圏では、成長が鈍化しているところにロシアによるウクライナ侵攻が勃発し、ロシア産の天然ガスに大きく依存していたドイツを中心に「エネルギー危機」が深刻な問題となり、そこに米国を上回るインフレが直撃しました。米国よりもリセッション入りの可能性が高いと見られたユーロ圏では、米国のように思い切った大幅利上げには踏み切れず、おりからの「ドル高の波」に押される格好でユーロ安が進みました。その後はドル高の修正局面が訪れ、ECBが大幅利上げに踏み切ったこともあり、昨年11月辺りからユーロの買い戻しが進みました。加えて、今年に入り「異例な暖冬」が欧州に広がり、「エネルギー危機」が後退したこともユーロ高につながっています。ECB高官からは引き続き大幅利上げを示唆する発言が続いていることもユーロを支えています。テクニカルでもユーロドルの上昇は鮮明です。すでに「日足」でのレジスタンスは全て抜き去り、「週足」の「一目の雲の上限」である1.0935−40近辺が重要な上値のメドと予想しています。ユーロドルでの「ドル安ユーロ高」は、ドル円でも「ドル安円高」として影響を受けやすい動きになります。
本日のドル円は130円〜133円程度とワイドに予想します。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 1/11 | コリンズ・ボストン連銀総裁 | 「25(ベーシスポイント)ないし、50が妥当だろう。私自身は現時点で25に傾いているが、あくまでもデータ次第だ」とし、「われわれは利上げを停止する水準に近づいており、ゆっくりと調整することで、毎回の判断を下す前に入手する情報を精査する時間が増える。より小幅な変更を行うことで、われわれの柔軟性は高まる」 | 株価上昇に一役。 |
| 1/10 | ダイモン・JPモルガンCEO | 「現在の想定を上回る水準までFRBは金利を引き上げる必要があるかもしれない」ただ、5%程度という現在の予想については、「私は、十分ではないのでないかと考える方だ。3カ月か6カ月待ってみることに害はないと思う」 | -------- |
| 1/10 | ボウマン・FRB理事 | 「過去数カ月に一部インフレ指標で減速が見られたが、われわれにはやるべき仕事がまだ多く残っている。従って、FOMCは12月会合後に表明した通り、金融引き締めに向けて利上げを続ける見通しだ」 | -------- |
| 1/10 | パウエル・FRB議長 | 「高インフレの状況で物価の安定を取り戻す上で、短期的に『支持されない措置』が必要となることもあり得る」 | -------- |
| 1/9 | デーリー・サンフランシスコ連銀 | 「政策金利は最終的に5%を幾分上回る水準まで引き上げられる」と述べ、「ただ、利上げ終着点の具体的な水準は不明で、今後発表されるインフレ統計次第だ」 | 株と債券が買われ、ドル円は下落。 |
| 1/9 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「われわれは決意を固く持ち続ける必要がある」、「経済から過剰な需要を取り去るため政策金利を5−5.25%に引き上げることが正当化される」、(5%超の政策金利を維持する期間につては)「長期だ。政策転換は考えていない。利上げを停止してその水準を維持し、政策が結果を表すのを見守るべきだ」 | 株と債券が買われ、ドル円は下落。 |
| 1/5 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | 「政策金利は十分に景気抑制的と見なされ得る領域にはまだ入っていないが、それに近づきつつある」 | 株安、債券安、ドル高がやや修正される。 |
| 1/5 | ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 | (FF金利予測に言及し)、「私は自分の予想を5%超に引き上げた」、「インフレが当局の2%に向って説得力ある形で鈍化し始めているという兆候が得られるまで、その水準に当面とどまると私はみている」、(24年になっても金利を5超で維持することが適切になるのが予測かどうか問われると)、「私にとってはそうだ」 | 雇用関係の経済指標の改善もあり、ドル円を134円台まで押し上げる。 |
| 1/5 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 発言内容:「物価圧力が緩和しつつある兆しなど、最近の報告を歓迎するが、やるべき仕事はまだ山積している。世界中の中央銀行当局者がこれに関して私と同意見であることは間違いないだろう」、「インフレを2%に戻すため、政策手段の活用を引き続き決意している」 | 雇用関係の経済指標の改善もあり、ドル円を134円台まで押し上げる。 |
| 1/4 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 「インフレがピークを付けたとわれわれが確信するまで、少なくとも今後数会合は利上げを続けるのが適切になる」、「私としては5.4%での利上げ停止を想定しているが、最終地点がどの水準になるにせよ、政策金利がインフレ率を妥当な期間で2%へと戻すのには十分な高さにあるのかどうか直ちには分からない」、「インフレをより長期間高止まりさせるような、進展の遅さを示唆する何らかの兆候が見られれば、政策金利をよりずっと高い水準に引き上げる可能性が正当化されると私は考えている」 | FOMC議事録とともに、ドル円を132円台後半まで押し上げる。 |
| 1/4 | FOMC議事 | 「正当な根拠のない金融状況の緩和は、特に委員会の対応に関する世間一般の誤解に基づくものである場合、物価安定を回復する委員会の取り組みを複雑化させる」 | ドル円131円台から132円台後半まで上昇。 |
| 1/3 | ゲオルギエワ・IMF専務理事 | (世界経済にとって)「厳しい年になり、昨年を上回る厳しさになる」、(その理由として)「米国、欧州連合(EU)、中国の三大経済がそろって同時に減速するからだ」 | -------- |
| 12/27 | デギンドス・ECB副総裁 | 「ユーロ圏は非常に厳しい経済状況に直面している」、「個人も企業も賢明な姿勢になり長期的視点に焦点を絞ることが非常に重要だ」、「短く浅いリセッションに見舞われた後、4−6月期(第2四半期)には再びプラス成長になる」 | -------- |
| 12/20 | 黒田・日銀総裁 | 「利上げではない」、(このタイミングで長期金利の変動幅を拡大した理由質問され)、「YCCがよりよく機能するように市場機能の改善を図った」、「さらなる拡大は必要ないし、考えていない。YCCや量的・質的緩和を見直すことは当面考えられない」 | 長期金利の変動幅を0.5%に拡大したことで、ドル円は東京時間で137円台前半から133円台前半に急落。NYでは130円58銭までドル安が進む。欧米など債券の大きく売られ金利が上昇。 |
| 12/16 | メスター・クリーブランド連銀総裁 | 「インフレに対してはまだすべきことがあるので、利上げを続けなければならない」と発言し、「インフレを鎮静化させるには時間がかかる」 | -------- |
| 12/16 | デーリー・SF連銀総裁 | 「道のりはまだ長い。当局の物価安定目標への到達はかなり先だ」 | -------- |
| 12/16 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「労働市場で需要が供給を上回っているという明確な兆候がある」と指摘し、「2%にどうやって持っていくかが真の問題だ」、「必要なことをやるしかない。政策金利は必要ならば、FOMCメンバーが最新の経済予測で示した水準より高くなる可能性もある」 | 株価が大きく売られる。 |
| 12/15 | ラガルド・ECB総裁 | (今回の利上げ幅が前回より小幅だったことを)「ECBが政策転換だと考えるのは誤りだ」、「0.5ポイントのベースが一定期間続くことを見込むべきだ」、「まだ先へ進まなければならない。これは長期戦だ」 | ユーロドル1.06台半ばから100ポイント程上昇。 |
| 12/14 | パウエル・FRB議長 | 「なお幾分か道のりは残っている」と発言し、「インフレ率が持続的な形で2%へと低下していると委員会が確信するまで、利下げが検討されることはないとみている」、「物価安定を回復させるには、景気抑制的な政策スタンスをしばらく維持する必要がありそうだ」、「まだ十分に景気抑制的なスタンスではないというのが、われわれが今日下した判断だ」、「任務を完了するまで現在の軌道を維持する」 | タカ派的な内容と受け止められ、株と債券が大きく売られ、金利が上昇したことでドル円は135円近辺から136円手前まで急上昇。 |
| 12/14 | FOMC声明文 | 「委員会はインフレ率を時間とともに2%に戻すべく十分に抑制的な金融政策スタンスを実現するためには、継続的な誘導目標レンジ引き上げが適切になると見込む。誘導目標レンジの今後の引き上げペースを決定する上で、委員会は金融政策の累積的な引き締めや、金融政策が経済活動とインフレに与える影響の遅行性、経済や金融の情勢を考慮する」 | -------- |
| 12/2 | サマーズ・元財務長官 | 「インフレ抑制の道のりは長い。金融当局は市場が現在判断し、当局者が今発言しているよりも一段の利上げが必要になると思う」、「6%がわれわれが書くことができるシナリオだ。5%は最善の予測ではない」 | -------- |
| 12/2 | エバンス・シカゴ連銀総裁 | 「FF金利の引き上げペースは減速する可能性が高いが、ピークの金利水準は恐らく若干高めになりそうだと」、「インフレ率は極めて高い。当局目標の2%に下げるため、われわれは金融環境を適度に景気抑制的水準にする途上にある」 | -------- |
| 12/1 | ボウマン・FRB理事 | 「フェデラルファンド(FF)金利は十分に景気抑制的な水準に近づいており、目標レンジをどこまで引き上げる必要があるかを見極める上で、利上げペースを減速させることが適切となろう」 | ドル円がさらに下落する一要因に。ドル円136円台半ば→135円台前半に。 |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



