「ドル円一時131円台に乗せるも続かず」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は乱高下。朝方には一時131円12銭まで買われたが、米長期金利の低下に129円台後半まで売られた。
- ユーロドルは小幅ながら続伸し、1.0889を付ける。1月のPMIが予想を上回ったことが背景。
- 株式市場はまちまち。ダウは104ドル高で取引を終え、3日続伸。一方ナスダックはこのところの急上昇もあり、利益確定の売りに押され30ポイント安。
- 債券は反発。長期金利は3.45%台に低下。
- 金は反発し原油は続落。
1月S&Pグローバル製造業PMI(速報値) → 46.8
1月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値) → 46.6
1月S&PグローバルコンポジットPMI(速報値) → 46.6
1月リッチモンド連銀製造業景況指数 → −11
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ドル/円 | 129.87 〜 131.12 |
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ユーロ/ドル | 1.0836 〜 1.0889 |
ユーロ/円 | 141.29 〜 142.20 |
NYダウ | +104.40 → 33,733.96ドル |
GOLD | +6.80 → 1,935.40ドル |
WTI | −1.49 → 80.13ドル |
米10年国債 | −0.059 → 3.451% |
本日の注目イベント
- 豪 豪第4四半期消費者物価指数
- 日 11月景気先行指数(CI)(改定値)
- 独 独1月ifo景況感指数
- 米 企業決算 → AT&T、ボーイング、IBM、テスラ
- 加 カナダ中銀政策金利発表
本日のコメント
東京時間でのドル円の上値は重く、午後には130円を割り込み、129円72銭前後まで売られました。ただ、NYでは朝方に131円台まで急伸する場面もありましたが、米長期金利の低下に伴って元の値位置まで押し戻される展開でした。
昨日この欄で、ドル円が「日足のレジスタンス・ライン」を上抜けしたことに触れましたが、その影響もあったのか、131円台から押し戻されたものの、底堅い動きです。「レジスタンス・ライン」の上抜けについては、当社のチャートでは明らかに抜けてはいますが、筆者が寄り処にしているブルームバーグのチャートでは、必ずしも上抜けが完成したとは言えず、微妙な値位置になっています。これは、後者は24時間の動き全てを網羅した中でチャートが出来上がっており、当社のそれは全ての動きを反映していないからだと思われます。月曜日の早朝がいい例です。当社は月曜日は朝7時からレートが配信されますが、それ以前のオセアニア市場のレートはチャートに反映されていません。
例えば、その前の金曜日に雇用統計が発表され、相場が大きく動いた時などは、翌月曜日のオセアニア市場でもその動きが継続され、大きな値動きになるケースがあります。また大きなニュースは土日に発表されるケースがあり、そのニュースを受け月曜日のオセアニア市場でレートが飛ぶケースもあります。ブルームバーグのデータでは、基本的にはその全てのレートが反映されます。それは、ブルームバーグの端末自体が電子ブローキングとして機能していることから「為替市場」となっており、そこで取り引きが行われているからです。オセアニア市場で相場が大きく動いたデータはブルームバーグのチャートには反映されており、一方当社のチャートでは7時からの動きしか反映されていません。移動平均線など、多くのデータは過去のレートの積み重ねです。そのため、平均値などで誤差が出るのは不可避と言えます。ただ、昨日も述べたように、テクニカル指標は数多くこれが全てではありません。あくまでも、その中の一つが変化を示唆したと捉えればいいと思います。
米1月のPMIは、製造業、サービス業、総合の全ての数字が活動の縮小を示す「50」を7カ月連続で割り込んでいましたが、一方で全てが市場予想を上回り、12月分から改善しています。指数の上振れは、米インフレの長期化にもつながる可能性があり、S&Pの担当者は、「企業は物価高と金利上昇の影響を心配しているほか、供給と労働者不足を巡る懸念を引き続き抱いている」と分析しています。(ブルームバーグ)この日発表されたユーロ圏の1月のPMIは予想に反して拡大しており、米国のそれとは対照的でした。総合PMIは3カ月連続の縮小でしたが、活動が拡大とみられる「50」を超えています。米国よりもリセッション入りの可能性が高いとみられていたユーロ圏でしたが、今回の結果を受けてリセッション入りが回避できるのではとの観測も出てきました。ECBの理事会は2月2日に開催され、ここでも0.5ポイントの利上げが予想されていますが、今後のデータ次第では0.75ポイントの可能性も噂されています。この大幅利上げの継続観測がユーロドルでのユーロ高につながっている面もあり、今後大幅利上げが避けられるようだと、ユーロ売りにつながる可能性もありそうです。
ドイツ製戦車「レオパルト2」のウクライナへの供与を巡り、ポーランドはドイツに対して同戦車の供与を正式に申請したと報じられていましたが、ブルームバーグは、ドイツが同戦車のウクライナへの再輸出を25日にも認める見通しだと報じています。また米国もまだ決定はされていないものの、戦車「M1エイブラムス」をウクライナへ提供することを、25日にもホワイトハウスが発表する可能性があると伝えています。昨日のNHKの番組で駐日ウクライナ大使は、今年9、10月にはウクライナがロシアに総攻撃を行い、戦争を終結させる計画があることを明らかにしていました。そのためウクライナは、今後の地上戦を有利に進めるためにも最新鋭の戦車が必要だということです。
本日のドル円は129円〜131円50銭程度を予想します。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
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1/23 | イエレン・財務長官 | 「現在目にしているのは、サプライチェーン問題の著しい緩和と在庫の増加、輸送費用の低下だ」、「従って、そうした部分のインフレはもはやあまり有意な形で寄与していない」、「昨年下期の物価上昇圧力に大きく寄与した住宅市場の過熱も今年半ばまでに冷めるだろう」、「向こう6カ月で、米国のインフレに対する住宅価格の押し上げはほぼなくなるはずだ。極めて有益な兆しだ」 | -------- |
1/20 | ウォラー・FRB理事 | 「現時点においては、今月末の次回FOMC会合では25ベーシス・ポイントの利上げを支持する」と発言し、「それ以降については、当局の2%インフレ目標に向け、まだかなりの道のりがある。金融引き締の継続を支持する見通しだ」 | -------- |
1/19 | コリンズ・シカゴ連銀総裁 | 「政策金利が景気を抑制する領域に入り、最新の指標に基づくとピークに近づいている可能性が示唆された現在、当初の急速な引き締めペースをより緩やかな速度にシフトしたのは適切だと考える」 | 株価の下落につながる |
1/19 | ブレイナード・FRB副議長 | インフレは最近緩やかになったものの、依然として高い水準にあり、これが持続的なペースで2%に下がることを確実にするためには、十分に抑制的な金融政策をしばらく続ける必要があるだろう」 | 株価の下落につながる |
1/18 | ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 | 「今年は数回の利上げがあると私はみているが、75ベーシス・ポイント利上げの時期が過ぎたことは確かだろうと思う。私の見解では、今後は25bpの利上げ幅が適切になるだろう」 | -------- |
1/18 | ローガン・ダラス連銀総裁 | 「ペース減速はまさに最善の決定を確実に行うための方法だ」とし、「われわれは利上げペースが減速したとしても金融状況を景気抑制的に保つため全体的な政策戦略を調整することができ、必要なら調整すべきだ」 | -------- |
1/18 | ブラード総裁・セントルイス連銀総裁 | 「あと少しで景気抑制的と呼び得る領域に入る状況だが、まだそこには達してはいない」、(インフレ率が2%目標へと確実に低下することを考えており)、「その点では、ためらいたくはない」 | -------- |
1/18 | 黒田・日銀総裁 | 「長期金利の変動幅をさらに拡大する必要があるとは考えていない」 | 決定会合で「現状維持」を決めたことと相まって、ドル円は127円台半ばから131円58銭まで急騰。 |
1/12 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「インフレ鈍化に向けて取り組む中で、より慎重にかじを切るのが理にかなう」、「鈍化しつつあるものの、依然として高すぎる」 | -------- |
1/12 | ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 | 「今年はあと数回の利上げを実施する見通しだが、私の考えでは一度に75ベーシスポイント引き上げる局面は確実に過ぎ去った」と発言し、「私の見解では、この先は25bpの利上げが適切になる」 | -------- |
1/11 | コリンズ・ボストン連銀総裁 | 「25(ベーシスポイント)ないし、50が妥当だろう。私自身は現時点で25に傾いているが、あくまでもデータ次第だ」とし、「われわれは利上げを停止する水準に近づいており、ゆっくりと調整することで、毎回の判断を下す前に入手する情報を精査する時間が増える。より小幅な変更を行うことで、われわれの柔軟性は高まる」 | 株価上昇に一役。 |
1/10 | ダイモン・JPモルガンCEO | 「現在の想定を上回る水準までFRBは金利を引き上げる必要があるかもしれない」ただ、5%程度という現在の予想については、「私は、十分ではないのでないかと考える方だ。3カ月か6カ月待ってみることに害はないと思う」 | -------- |
1/10 | ボウマン・FRB理事 | 「過去数カ月に一部インフレ指標で減速が見られたが、われわれにはやるべき仕事がまだ多く残っている。従って、FOMCは12月会合後に表明した通り、金融引き締めに向けて利上げを続ける見通しだ」 | -------- |
1/10 | パウエル・FRB議長 | 「高インフレの状況で物価の安定を取り戻す上で、短期的に『支持されない措置』が必要となることもあり得る」 | -------- |
1/9 | デーリー・サンフランシスコ連銀 | 「政策金利は最終的に5%を幾分上回る水準まで引き上げられる」と述べ、「ただ、利上げ終着点の具体的な水準は不明で、今後発表されるインフレ統計次第だ」 | 株と債券が買われ、ドル円は下落。 |
1/9 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「われわれは決意を固く持ち続ける必要がある」、「経済から過剰な需要を取り去るため政策金利を5−5.25%に引き上げることが正当化される」、(5%超の政策金利を維持する期間につては)「長期だ。政策転換は考えていない。利上げを停止してその水準を維持し、政策が結果を表すのを見守るべきだ」 | 株と債券が買われ、ドル円は下落。 |
1/5 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | 「政策金利は十分に景気抑制的と見なされ得る領域にはまだ入っていないが、それに近づきつつある」 | 株安、債券安、ドル高がやや修正される。 |
1/5 | ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 | (FF金利予測に言及し)、「私は自分の予想を5%超に引き上げた」、「インフレが当局の2%に向って説得力ある形で鈍化し始めているという兆候が得られるまで、その水準に当面とどまると私はみている」、(24年になっても金利を5超で維持することが適切になるのが予測かどうか問われると)、「私にとってはそうだ」 | 雇用関係の経済指標の改善もあり、ドル円を134円台まで押し上げる。 |
1/5 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 発言内容:「物価圧力が緩和しつつある兆しなど、最近の報告を歓迎するが、やるべき仕事はまだ山積している。世界中の中央銀行当局者がこれに関して私と同意見であることは間違いないだろう」、「インフレを2%に戻すため、政策手段の活用を引き続き決意している」 | 雇用関係の経済指標の改善もあり、ドル円を134円台まで押し上げる。 |
1/4 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 「インフレがピークを付けたとわれわれが確信するまで、少なくとも今後数会合は利上げを続けるのが適切になる」、「私としては5.4%での利上げ停止を想定しているが、最終地点がどの水準になるにせよ、政策金利がインフレ率を妥当な期間で2%へと戻すのには十分な高さにあるのかどうか直ちには分からない」、「インフレをより長期間高止まりさせるような、進展の遅さを示唆する何らかの兆候が見られれば、政策金利をよりずっと高い水準に引き上げる可能性が正当化されると私は考えている」 | FOMC議事録とともに、ドル円を132円台後半まで押し上げる。 |
1/4 | FOMC議事 | 「正当な根拠のない金融状況の緩和は、特に委員会の対応に関する世間一般の誤解に基づくものである場合、物価安定を回復する委員会の取り組みを複雑化させる」 | ドル円131円台から132円台後半まで上昇。 |
1/3 | ゲオルギエワ・IMF専務理事 | (世界経済にとって)「厳しい年になり、昨年を上回る厳しさになる」、(その理由として)「米国、欧州連合(EU)、中国の三大経済がそろって同時に減速するからだ」 | -------- |
12/27 | デギンドス・ECB副総裁 | 「ユーロ圏は非常に厳しい経済状況に直面している」、「個人も企業も賢明な姿勢になり長期的視点に焦点を絞ることが非常に重要だ」、「短く浅いリセッションに見舞われた後、4−6月期(第2四半期)には再びプラス成長になる」 | -------- |
12/20 | 黒田・日銀総裁 | 「利上げではない」、(このタイミングで長期金利の変動幅を拡大した理由質問され)、「YCCがよりよく機能するように市場機能の改善を図った」、「さらなる拡大は必要ないし、考えていない。YCCや量的・質的緩和を見直すことは当面考えられない」 | 長期金利の変動幅を0.5%に拡大したことで、ドル円は東京時間で137円台前半から133円台前半に急落。NYでは130円58銭までドル安が進む。欧米など債券の大きく売られ金利が上昇。 |
12/16 | メスター・クリーブランド連銀総裁 | 「インフレに対してはまだすべきことがあるので、利上げを続けなければならない」と発言し、「インフレを鎮静化させるには時間がかかる」 | -------- |
12/16 | デーリー・SF連銀総裁 | 「道のりはまだ長い。当局の物価安定目標への到達はかなり先だ」 | -------- |
12/16 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「労働市場で需要が供給を上回っているという明確な兆候がある」と指摘し、「2%にどうやって持っていくかが真の問題だ」、「必要なことをやるしかない。政策金利は必要ならば、FOMCメンバーが最新の経済予測で示した水準より高くなる可能性もある」 | 株価が大きく売られる。 |
12/15 | ラガルド・ECB総裁 | (今回の利上げ幅が前回より小幅だったことを)「ECBが政策転換だと考えるのは誤りだ」、「0.5ポイントのベースが一定期間続くことを見込むべきだ」、「まだ先へ進まなければならない。これは長期戦だ」 | ユーロドル1.06台半ばから100ポイント程上昇。 |
12/14 | パウエル・FRB議長 | 「なお幾分か道のりは残っている」と発言し、「インフレ率が持続的な形で2%へと低下していると委員会が確信するまで、利下げが検討されることはないとみている」、「物価安定を回復させるには、景気抑制的な政策スタンスをしばらく維持する必要がありそうだ」、「まだ十分に景気抑制的なスタンスではないというのが、われわれが今日下した判断だ」、「任務を完了するまで現在の軌道を維持する」 | タカ派的な内容と受け止められ、株と債券が大きく売られ、金利が上昇したことでドル円は135円近辺から136円手前まで急上昇。 |
12/14 | FOMC声明文 | 「委員会はインフレ率を時間とともに2%に戻すべく十分に抑制的な金融政策スタンスを実現するためには、継続的な誘導目標レンジ引き上げが適切になると見込む。誘導目標レンジの今後の引き上げペースを決定する上で、委員会は金融政策の累積的な引き締めや、金融政策が経済活動とインフレに与える影響の遅行性、経済や金融の情勢を考慮する」 | -------- |
12/2 | サマーズ・元財務長官 | 「インフレ抑制の道のりは長い。金融当局は市場が現在判断し、当局者が今発言しているよりも一段の利上げが必要になると思う」、「6%がわれわれが書くことができるシナリオだ。5%は最善の予測ではない」 | -------- |
12/2 | エバンス・シカゴ連銀総裁 | 「FF金利の引き上げペースは減速する可能性が高いが、ピークの金利水準は恐らく若干高めになりそうだと」、「インフレ率は極めて高い。当局目標の2%に下げるため、われわれは金融環境を適度に景気抑制的水準にする途上にある」 | -------- |
12/1 | ボウマン・FRB理事 | 「フェデラルファンド(FF)金利は十分に景気抑制的な水準に近づいており、目標レンジをどこまで引き上げる必要があるかを見極める上で、利上げペースを減速させることが適切となろう」 | ドル円がさらに下落する一要因に。ドル円136円台半ば→135円台前半に。 |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書