今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「市場は明日の米CPI待ち」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は小動き。2大重要イベントが終わり、市場は10日発表のCPIを待つ構えとなり、値幅は60銭程に収まる。
  • ユーロドルは1.10台で推移したものの小動き。
  • 株式市場はまちまち。ダウは55ドル下げたが、他の2指数は小幅に続伸。
  • 債券は続落。長期金利は3.5%台に乗せる。
  • 金は反発し、原油は続伸。
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4月失業率 → 3.4%
4月非農業部門雇用者数 → 25.3万人
4月平均時給 (前月比) → 0.5%
4月平均時給 (前年比) → 4.4%
4月労働参加率 → 62.6%
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ドル/円 134.66 〜 135.22
ユーロ/ドル 1.1000 〜 1.1044
ユーロ/円 148.45 〜 149.21
NYダウ −55.69 → 33,618.69ドル
GOLD +8.40 → 2,033.20ドル
WTI +1.82 → 73.16ドル
米10年国債 +0.07 → 3.507%

本日の注目イベント

  • 豪 豪5月ウエストパック消費者信頼感指数
  • 中 中国 4月貿易収支
  • 米 ウィリアムズ・NY連銀総裁講演

本日のコメント

FOMC会合と4月の雇用統計を終えたこともあり、昨日の相場は東京時間からNYにかけて概ね小動きの展開でした。明日発表される「4月のCPI」の結果次第では、6月会合での追加利上げの可能性があるものの、どちらかと言えば、足元の市場環境からして、「見送り」の可能性の方が高いと予想していますが、どうでしょう。ドル円は134円台半ばまで下押しされたものの、米金利上昇が支えとなり135円台に乗せる場面もありましたが、方向感のない一日でした。ユーロドルもNYでは終始1.10台で推移し底堅い動きになっています。ユーロに関しては、次回理事会でも利上げが見込まれていることがユーロ買いにつながっているとみられます。

6月の会合で利上げを「見送る」とする根拠に、金融不安が挙げられますが、加えて「米債務上限問題」が市場の不安心理を掻き立てています。これは例年のことで、最後の最後には議会が上限引き上げを承認してきた経緯もあり、「年中行事化」しているようにも思えますが、タイミングが最悪のようにも思えます。イエレン財務長官は7日のABCの番組で、「膠着状態に陥っている債務上限問題を解決する上では、議会が上限を引き上げる以外に良い選択肢はない」と述べ、「この件で米憲法修正第14条を発動すれば憲法上の危機を招く」と警告していました。

米連邦政府が発行できる国債などの総額は法律で決められており、上限を引き上げるには議会の承認が必要となっています。政府の債務はコロナ対策の財政支出もあり、現行の債務上限額である31兆3814億ドル(約4230兆円)に迫っており、最速では6月1日にも「Xデー」が来るとの見方もあります。シカゴ連銀のグールズビー総裁は8日、「債務上限に関するこの論争は最悪のタイミングで起こっている。これにより、経済成長や雇用市場の状況を見通すのが極めて難しくなっている」と話しています。バイデン大統領は今日にも共和党のマッカーシー下院議長と会談する予定になっていますが、政治的なかけ引きに使われているとの意見もあります。8日にインタビューに応じた共和党トップのマコネル院内総務は、「解決策を探すのはバイデン氏とマッカーシー議長の責務だ」とし、「バイデン氏を助けるつもりはない」と述べています。これまで通り、最終的にはデフォルトは避けられると思われますが、米大統領経済諮問委員会(CEA)試算では、仮にデフォルトに陥った場合、7−9月期に830万人の雇用が失われ、失業率は5ポイント上昇し、実質経済成長率は年率で6.1ポイント下押しされる(日経新聞)とされており、かなり大きな影響が及びます。これまで米国がデフォルトに陥ったことはありませんが、2011年には政府資金が底をつき、行政サービス等に大混乱が起きた経緯もあります。

米地銀3行が破綻し、その後ファースト・リパブリック・バンク(FRC)も破綻しましたが、JPモルガンがすかさず「買収」の手を指しのべたことで大事には至っていません。多くの専門家は、これで信用不安が終わったとは思えないと話しています。今回の混乱を受け銀行の融資担当者の目は厳しくなり、融資基準を引き上げているとの報道もあります。上記4行はいずれも連邦政府の監督下にはなく、地区連銀が管理監督を行っています。カリフォルニア州は9日、資産500億ドル超の銀行の精査を強化すると発表しています。債務上限問題への懸念、銀行の融資基準の引き上げ、いずれもインフレ抑制には追い風になります。これらが、筆者が6月会合で追加利上げが「見送られる」のではないかとの根拠にもなっていますが、それでも明日発表されるCPIの結果次第では利上げも否定できません。上記混乱は、「いずれ解決する」と考えられますが、「インフレ」が鎮静化するメドはまだ立っていません。明日のCPIの結果がますます重要となり、注目度も増しています。

本日のドル円は134円50銭〜135円80銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
5/5 パウエル・FRB議長 (金融不安が収まらないことに触れ)「状況はおおむね改善し、米国の銀行システムは健全で強靭だ」、「深刻なストレスがかかる時間に区切りをつけるための重要な一歩だ」、(銀行破綻については)、「われわれが間違いを犯したことは十分に認識している」、(足元のインフレについて)、「幾分緩やかになっているが、依然として強い」、(金融政策が十分引き締め的な水準かと問われて)、「見極めているところだ」 --------
5/5 ブラード・セントルイス連銀総裁 「この15カ月における積極的な政策がインフレ率の上昇を抑制してきたが、2%目標への軌道に乗っているかどうかはあまりはっきりしていない」、「これから出て来る経済データを精査したいと考えているが、利上げがもう必要ではないと確信するには『インフレ率の有意な低下』を確認しなければならないだろう」 --------
5/5 グールズビー・シカゴ連銀総裁 (金融セクターの混乱について)、「それによって少し立ち止まらなければならないだろう。そうした展開は景気を減速させる可能性が高く、そのことを考慮する必要があるのは確かだ」と語り、「われわれはデータを注視する必要がある」 --------
5/1 イエレン・財務長官 ( 債務上限問題について)、「われわれの最善の予測では、6月初旬までには政府の支払い義務全てを履行し続けてことができなくなる。早ければ6月1日の可能性もある」 --------
4/20 メスター・ダラス連銀総裁 「フェデラルファンド(FF)金利を現行水準から厳密にどの程度引き上げる必要があり、金融政策をどの程度長期にわたって景気抑制的に維持する必要があるかは、経済と金融の動向次第になる」、「われわれは引き締め過程の始めより、終わりに近い。一段の引き締めがどの程度必要かどうかは、経済と金融の動向、および米金融当局の金融政策目標に対する進展度合いによるだろう」 --------
4/18 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「政策金利をあと1回引き上げて5%超とし、高すぎるインフレを抑えるためその水準でしばらく据え置くことを支持する」 --------
4/18 ブラード・セントルイス連銀総 「ウォール街では今後6カ月程度で景気がリセッションに陥るとの見方が非常に強いが、そうした見方はこのような景気拡大を読む上であまり適切ではない」、「市場は近い将来利下げを予想しているかもしれないが、労働市場は力強い」 --------
4/17 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「インフレがわれわれの目標まで戻ることを示すさらなる証拠を私は見たい」、(現行の政策金利水準が米経済の一部を害する恐れがあるのではないかとの質問に)「米経済は現行の金利水準で問題なく機能する」、(落ち着きを取り戻した金融不安についても)、「現在の状況を見てかなり安心しているが、勝利宣言には時期尚早だ」 --------
4/14 ラガルド・ECB総裁 「米国には絶大な信頼を置いている。彼らがそのような大惨事(リセッション)を引き起こすことは想像もできない」、「もしそれが起きれば米国の信頼性が疑われ、極めてネガティブな影響がこの国だけではなく、世界中に広がるだろう」、「私自身も政治の世界に身を置いたことがあり、政治のことは理解できる。しかし、より高い国家の利益を優先しなければならない時がある」 --------
4/14 イエレン・財務長官 「銀行はこの環境下で幾分かより慎重になる公算が大きい。そうしたことは、与信の制限が幾分強くなる状況をもたらす傾向が高く、金融当局が実施しなければならない追加利上げの代わりになり得る」、「私の見解では。見通しを大きく変えるほど劇的あるいは大きな要因は現時点では見当たらない」 --------
4/14 ウォラー・FRB理事 「金融環境が著しく引き締まっていないため、労働市場は引き続き力強くかなりタイトになっている。インフレ率は目標を大きく上回っており、金融政策をさらに引き締める必要がある」、「どこまで先に進むのかの判断は、インフレ、実体経済、信用状況の引き締まりの程度に関する今後のデータに左右される」、「需要が減速する兆候は歓迎するが、それが表れ、インフレ率が目標の2%に向けて有意かつ持続的に低下するのを見るまで、やるべきことはまだあると考えている」、(3月のCPIでは、食品とエネルギーを除いたコア指数が前月比ベースではほとんど鈍化しなかったことに触れ)、「安堵感はなかった」 株安債券安が進み、ドル円は上昇。
4/12 ブレイナード・NEC委員長 「より厳格な銀行ストレステスト要件があれば「SVBなどの)銀行破綻を防ぐことが出来た可能性があった」、「私は監督業務を担当していないため、個々の銀行の監督について話すことはできないが、一般論として、預金の流出が安定し、あらゆる指標がこの数週間に明らかに改善していると言うことはできる」 --------
4/12 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「確かにインフレのピークは過ぎたと考えるが、まだ道のりは長い」と語り、「われわれが望む水準にコアインフレを戻すには、さらにやるべきことがある」 --------
4/12 デーリー・SF連銀総裁 「この先、インフレ率を低下させるために政策が一段と引き締められなければならないと考える十分な理由がある」、「しかし、追加的な政策調整がなくても、景気の減速が続く可能性があると考える十分な理由もある」 --------
4/11 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「インフレを確実に押し下げるために必要なことを行わなければならない」、「インフレは低下しつつあるものの、依然として米金融当局が目指す2%を大きく上回っている。あと1回の利上げは妥当な出発点だ」 --------
4/11 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「金融面での向い風について不透明感が強いことを踏まえると、われわれは慎重姿勢でいる必要がある」と発言し、「「インフレを押し下げる上でこの逆風がどの程度作用するのかが分かるまで、さらなるデータを集め、過度な利上げは慎重であるべきだ」 --------
4/11 イエレン・米財務長官 「その基本的な状況は概ね変わっていない。インフレは高止まりしているが、インフレが鈍化したことを示す歓迎すべき兆候が過去半年に見られた」 --------
4/10 植田・日銀総裁 「イールドカーブ・コントロール(YCC)政策と、マイナス金利政策は、いずれも継続が適当」、「副作用に配慮しつつ、より持続的な金融緩和の枠組みは何かということを探っていく」、(2%の物価目標の達成は)「簡単ではない」、(達成期限の)「強い見通しは言えない」 ドル円は132円台半ばから133円台後半まで上昇。
4/5 メスター・クリーブランド連銀総裁 「政策金利は今の水準からもう少し高いとところに引き上げる必要があるだろう」、「とはいえ、インフレ目標を達成するまで利上げを継続するということではない」とし、「今年は物価圧力の抑制で、ある程度目に見える進展を予想している」、(その水準を問われたメスター総裁は)、「年末までに重要物価指数が3.75%に下がるとみている。しかし、目標水準に低下するのは2025年以降になるだろう」 --------
4/3 イエレン・財務長官 「OPECプラスによる2日の減産決定は非建設的だ」、「原油価格の影響がどうなるのかまだ分からない。はっきりしているのは、世界の成長にとってプラスではないということだ。インフレが既に高水準にある状況で、不確実性と重荷を与える」 --------
4/3 ブラード・セントルイス連銀総裁 「意外だった。この影響が長期的に維持するのか不明だ。原油価格は変動するため、価格動向を正確に追うのは困難だ。一部はインフレに影響し、われわれの仕事がもう少し難しくなる可能性はある」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和