今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「米債務上限問題は膠着」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は前日に続き小動き。今夜のCPIを見極める姿勢が強まる中、金利の上昇が支えとなり135円35銭まで上昇。
  • ユーロドルは小幅に下落。市場全体でドルがやや上昇したことで、1.0941まで売られる。
  • 株式市場は小幅ながら3指数が下落。債務上限問題や景気の先行きに対する懸念が重しに。
  • 債券は小幅に続落。長期金利は3.51%台に上昇。
  • 金と原油は揃って続伸。
ドル/円 134.94 〜 135.35
ユーロ/ドル 1.0941 〜 1.0972
ユーロ/円 147.90 〜 148.21
NYダウ −56.88 → 33,561.81ドル
GOLD +9.70 → 2,042.90ドル
WTI +0.55 → 73.71ドル
米10年国債 +0.011 → 3.519%

本日の注目イベント

  • 日 3月景気先行指数(CI)(速報値)
  • 独 独4月消費者物価指数(改定値)
  • 米 4月消費者物価指数
  • 米 4月財政収支
  • 米 バイデン大統領、債務上限について講演

本日のコメント

前日に続き為替市場は小動きで、ドル円は135円を挟み一進一退の動きとなっています。今夜発表される「米4月のCPI」の結果が重要で、結果いかんでは6月のFOMC会合でも追加利上げの可能性も残しており、FRBの金融引き締め政策も終盤に差しかかっていると見られる中、予断を許さない状況となっています。金融を取り巻く環境では、金融不安が完全には払拭されてはおらず、加えて「債務上限問題」が新たな懸念材料として先行きの見通しを不確実にしています。

債務上限問題についてバイデン大統領は日本時間今朝5時からホワイトハウスで、マッカーシー下院議長と会談を行っています。現時点での詳細は分かっていませんが、ロイター通信は、「マッカーシー下院議長は9月末までの債務上限引き上げに反対」と速報を流しています。議長は短期的な債務上限延長には反対していると事前に伝えられており、バイデン大統領との会談でも直ぐに「上限引き上げ」で合意する可能性は低いとみられています。ホワイトハウスの報道官も「短期的な債務上限延長はバイデン政権の計画ではない」と表明し、その上で、「連邦政府のデフォルトはあり得ない」ことを強調しています。

今朝の日経新聞1面では「米景気に3つの壁」との大見出しで、「政府債務で駆け引き」、「細る家計の余剰貯蓄」と、そして3つ目に「銀行は融資を厳格化」を挙げています。ブルームバーグも前日同じように3つの根拠を挙げていましたが、その1つに「エルニーニョ現象に気象面の不確実性」を挙げていました。他の2つは同じように今後の米景気の懸念材料として注視しています。その理由の1つである銀行の融資姿勢についてFRBのジェファーソン理事は9日のフォーラムで、「銀行が融資基準を引き上げ始め、それが与信枠を縮小させていることを示すデータを得ている」と発言しています。ジェファーソン氏はその上で、「インフレは鈍化し始め、経済は拡大継続の機会を得るというのが私の見解だ」と述べています。また、6月会合では「利上げ見送り」の可能性もあり、一部には信用不安払拭を理由に、「年内に利下げ」を見込む向きもありますが、NY連銀のウィリアムズ総裁は9日、否定的な見方を示しています。総裁は、「信用状況の推移とそれが成長や雇用、インフレの見通しに与える影響見極めに特に重点を置いていく」と述べ、FOMCは来月利上げを停止するのかとの繰り返しの質問に対して、「政策は会合ごとに定められ、入手するデータによって決まる」と明言を避けています。さらに、利下げに関する質問には、「私の基本的な予想では、年内に利下げする理由はどこにも見当たらない」と答え、「かなり長期間、景気抑制的な政策スタンスを維持する必要があるというのが私の予想だ」と述べています。(ブルームバーグ)また、当局が目標とする「2%に戻すには時間がかかり、2%の目標は2年かけて到達する」とも発言しています。先走る市場をけん制する意味もあるとは思いますが、利下げの実施まで2年もかかるようだと、この先ドルが大きくは下げないことにもつながります。一方で、「直近の過去4回のパターンを振り返ると、最後の利上げから最初の利下げまでの間隔は、平均8カ月半。今回も23年5月の利上げ終了を受けて24年1〜3月期の金利引き下げ開始もあり得る」(みずほ証券)といった見方もあります。先週決定した0.25ポイントの利上げが「最後」になるのかという点と、今回のインフレはこれまでとは異なるものであるという点で違和感は残りますが、いずれにしても今夜発表の「4月のCPI」の結果が、その答えを教えてくれる可能性があります。

今夜9時半に発表されるCPIは、前月比で「0.4%」と、前月の「0.1%」から加速していると予想されています。またコアCPIについては「0.4%」と、こちらは前月と変わらずと見込まれています。

本日のドル円は134円〜136円50銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
5/9 ウィリアムズ・NY連銀総裁 信用状況の推移とそれが成長や雇用、インフレの見通しに与える影響見極めに特に重点を置いていく」、(FOMCは来月利上げを停止するのかとの繰り返しの質問に対して)、「政策は会合ごとに定められ、入手するデータによって決まる」、(利下げに関する質問には)、「私の基本的な予想では、年内に利下げする理由はどこにも見当たらない」、「かなり長期間、景気抑制的な政策スタンスを維持する必要があるというのが私の予想だ」(当局が目標とする)「2%に戻すには時間がかかり、2%の目標は2年かけて到達する」 --------
5/5 パウエル・FRB議長 (金融不安が収まらないことに触れ)「状況はおおむね改善し、米国の銀行システムは健全で強靭だ」、「深刻なストレスがかかる時間に区切りをつけるための重要な一歩だ」、(銀行破綻については)、「われわれが間違いを犯したことは十分に認識している」、(足元のインフレについて)、「幾分緩やかになっているが、依然として強い」、(金融政策が十分引き締め的な水準かと問われて)、「見極めているところだ」 --------
5/5 ブラード・セントルイス連銀総裁 「この15カ月における積極的な政策がインフレ率の上昇を抑制してきたが、2%目標への軌道に乗っているかどうかはあまりはっきりしていない」、「これから出て来る経済データを精査したいと考えているが、利上げがもう必要ではないと確信するには『インフレ率の有意な低下』を確認しなければならないだろう」 --------
5/5 グールズビー・シカゴ連銀総裁 (金融セクターの混乱について)、「それによって少し立ち止まらなければならないだろう。そうした展開は景気を減速させる可能性が高く、そのことを考慮する必要があるのは確かだ」と語り、「われわれはデータを注視する必要がある」 --------
5/1 イエレン・財務長官 ( 債務上限問題について)、「われわれの最善の予測では、6月初旬までには政府の支払い義務全てを履行し続けてことができなくなる。早ければ6月1日の可能性もある」 --------
4/20 メスター・ダラス連銀総裁 「フェデラルファンド(FF)金利を現行水準から厳密にどの程度引き上げる必要があり、金融政策をどの程度長期にわたって景気抑制的に維持する必要があるかは、経済と金融の動向次第になる」、「われわれは引き締め過程の始めより、終わりに近い。一段の引き締めがどの程度必要かどうかは、経済と金融の動向、および米金融当局の金融政策目標に対する進展度合いによるだろう」 --------
4/18 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「政策金利をあと1回引き上げて5%超とし、高すぎるインフレを抑えるためその水準でしばらく据え置くことを支持する」 --------
4/18 ブラード・セントルイス連銀総 「ウォール街では今後6カ月程度で景気がリセッションに陥るとの見方が非常に強いが、そうした見方はこのような景気拡大を読む上であまり適切ではない」、「市場は近い将来利下げを予想しているかもしれないが、労働市場は力強い」 --------
4/17 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「インフレがわれわれの目標まで戻ることを示すさらなる証拠を私は見たい」、(現行の政策金利水準が米経済の一部を害する恐れがあるのではないかとの質問に)「米経済は現行の金利水準で問題なく機能する」、(落ち着きを取り戻した金融不安についても)、「現在の状況を見てかなり安心しているが、勝利宣言には時期尚早だ」 --------
4/14 ラガルド・ECB総裁 「米国には絶大な信頼を置いている。彼らがそのような大惨事(リセッション)を引き起こすことは想像もできない」、「もしそれが起きれば米国の信頼性が疑われ、極めてネガティブな影響がこの国だけではなく、世界中に広がるだろう」、「私自身も政治の世界に身を置いたことがあり、政治のことは理解できる。しかし、より高い国家の利益を優先しなければならない時がある」 --------
4/14 イエレン・財務長官 「銀行はこの環境下で幾分かより慎重になる公算が大きい。そうしたことは、与信の制限が幾分強くなる状況をもたらす傾向が高く、金融当局が実施しなければならない追加利上げの代わりになり得る」、「私の見解では。見通しを大きく変えるほど劇的あるいは大きな要因は現時点では見当たらない」 --------
4/14 ウォラー・FRB理事 「金融環境が著しく引き締まっていないため、労働市場は引き続き力強くかなりタイトになっている。インフレ率は目標を大きく上回っており、金融政策をさらに引き締める必要がある」、「どこまで先に進むのかの判断は、インフレ、実体経済、信用状況の引き締まりの程度に関する今後のデータに左右される」、「需要が減速する兆候は歓迎するが、それが表れ、インフレ率が目標の2%に向けて有意かつ持続的に低下するのを見るまで、やるべきことはまだあると考えている」、(3月のCPIでは、食品とエネルギーを除いたコア指数が前月比ベースではほとんど鈍化しなかったことに触れ)、「安堵感はなかった」 株安債券安が進み、ドル円は上昇。
4/12 ブレイナード・NEC委員長 「より厳格な銀行ストレステスト要件があれば「SVBなどの)銀行破綻を防ぐことが出来た可能性があった」、「私は監督業務を担当していないため、個々の銀行の監督について話すことはできないが、一般論として、預金の流出が安定し、あらゆる指標がこの数週間に明らかに改善していると言うことはできる」 --------
4/12 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「確かにインフレのピークは過ぎたと考えるが、まだ道のりは長い」と語り、「われわれが望む水準にコアインフレを戻すには、さらにやるべきことがある」 --------
4/12 デーリー・SF連銀総裁 「この先、インフレ率を低下させるために政策が一段と引き締められなければならないと考える十分な理由がある」、「しかし、追加的な政策調整がなくても、景気の減速が続く可能性があると考える十分な理由もある」 --------
4/11 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「インフレを確実に押し下げるために必要なことを行わなければならない」、「インフレは低下しつつあるものの、依然として米金融当局が目指す2%を大きく上回っている。あと1回の利上げは妥当な出発点だ」 --------
4/11 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「金融面での向い風について不透明感が強いことを踏まえると、われわれは慎重姿勢でいる必要がある」と発言し、「「インフレを押し下げる上でこの逆風がどの程度作用するのかが分かるまで、さらなるデータを集め、過度な利上げは慎重であるべきだ」 --------
4/11 イエレン・米財務長官 「その基本的な状況は概ね変わっていない。インフレは高止まりしているが、インフレが鈍化したことを示す歓迎すべき兆候が過去半年に見られた」 --------
4/10 植田・日銀総裁 「イールドカーブ・コントロール(YCC)政策と、マイナス金利政策は、いずれも継続が適当」、「副作用に配慮しつつ、より持続的な金融緩和の枠組みは何かということを探っていく」、(2%の物価目標の達成は)「簡単ではない」、(達成期限の)「強い見通しは言えない」 ドル円は132円台半ばから133円台後半まで上昇。
4/5 メスター・クリーブランド連銀総裁 「政策金利は今の水準からもう少し高いとところに引き上げる必要があるだろう」、「とはいえ、インフレ目標を達成するまで利上げを継続するということではない」とし、「今年は物価圧力の抑制で、ある程度目に見える進展を予想している」、(その水準を問われたメスター総裁は)、「年末までに重要物価指数が3.75%に下がるとみている。しかし、目標水準に低下するのは2025年以降になるだろう」 --------
4/3 イエレン・財務長官 「OPECプラスによる2日の減産決定は非建設的だ」、「原油価格の影響がどうなるのかまだ分からない。はっきりしているのは、世界の成長にとってプラスではないということだ。インフレが既に高水準にある状況で、不確実性と重荷を与える」 --------
4/3 ブラード・セントルイス連銀総裁 「意外だった。この影響が長期的に維持するのか不明だ。原油価格は変動するため、価格動向を正確に追うのは困難だ。一部はインフレに影響し、われわれの仕事がもう少し難しくなる可能性はある」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和