今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「新規失業保険申請件数を受けドル円138円台に」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • 昨日の朝方には140円に載せる場面もあったドル円はその後軟調な展開となり、NYでは大きく下落。新規失業保険申請件数が大幅に増加していたことでドル売りが強まり、138円82銭まで売られる。
  • ユーロドルは反発。1.07台を回復し、1.0787まで上昇。
  • 株式市場は新規失業保険申請件数を受け3指数が揃って上昇。S&P500は26ポイント上昇し、昨年10月の安値から20%戻し、強気相場入りしたとの声も。
  • 債券も反発。長期金利は3.71%台に低下。
  • 金は大きく反発。原油は売られる。
*******************
新規失業保険申請件数 → 26.1万件
*******************
ドル/円 138.82 〜 139.75
ユーロ/ドル 1.0734 〜 1.0787
ユーロ/円 149.60 〜 150.04
NYダウ +168.59 → 33,833.61ドル
GOLD +20.20 → 1,978.60ドル
WTI −1.24 → 71.29ドル
米10年国債 −0.077 → 3.718%

本日の注目イベント

  • 中 中国5月消費者物価指数
  • 中 中国5月生産者物価指数
  • 加 カナダ5月就業者数
  • 加 カナダ5月失業率

本日のコメント

やはり米国にとって「悪材料は、好材料」の流れは続いているようです。昨日発表された「新規失業保険申請件数」は、市場予想の「23.5万件」に対して「26.1万件」と、先週から2万8000件も増えていました。前の週からの増加幅としては、2021年7月以来の大きさでした。

ただ、これで好調な労働市場にも変化が出て来た「兆候」と判断するのは早計です。申請件数のデータは特に祝日前後には変動が大きくなり易いとされています。今回の対象となった先週は、29日(月)が「メモリアルデー」で祝日でした。そのため、より変動の少ない申請件数として知られる「4週移動平均」で判断する方が、実態を反映しているとされています。「4週移動平均」を見ると、今年2月からは明らかに増加傾向が続き、3月第4週には「24万2000件」とピークを付け、その後低下傾向を見せてはいましたが、今回の移動平均では「23万7250件」と再び上昇に転じています。今後同移動平均が上記3月のピークを抜くようだと、新たな「兆候」と判断出来るかもしれませんが、まだ時間が必要です。今回の統計は、増加している米企業のレイオフ発表が実際の雇用削減につながり始めた可能性を示唆しているとも受け取れますが、「メモリアルデーの祝日のため通常より営業日が短かったことを反映している。今回の急増は何らかのシグナルというより、ノイズであったとの疑念を抱かせるはずだ。来週発表されるデータを見てから結論を導き出したいと強く思っている」といったエコノミストの意見をブルームバーグは紹介しています。

それにしても同指標は、通常それほど注目されている指標ではなく、発表後にこれほど市場が反応したことにやや驚きがあります。裏を返せばFOMCを前に、市場はそれほどセンシティブになっているということなのでしょう。ドル円は昨日の朝方には140円台に載せる場面もありましたが、138円台後半までドル売りが進みました。ここ2週間はほぼ139円前後から140円台でのレンジが続いています。失業保険の申請件数増加は、離職者が増えていることにつながり、来週のFOMCでの利上げ見送りを正当化することになり、ドル売りを加速させました。その他にも株価と債券価格も上昇し、ドルが売られたことで金までも買われています。来週13日発表の「5月の消費者物価指数」では、これ以上の影響がマーケットにもたらされそうです。

ユーロ圏の1−3月期GDP改定値が前期比「マイナス0.1%」と、速報値から下方修正されました。ロシアのウクライナ侵攻を受けたエネルギー急騰が響いたようです。これで2四半期連続のマイナス成長となり、教科書的に言えば「リセッション入り」したことになります。米国に先行してリセッション入りしたことになり、新型コロナウイルスのパンデミック以降で初めてのリセッションが確認されたことになります。今四半期はプラス成長を回復したとみられるため、域内各国政府は財政支援の縮小を続ける見込みで、ECBも引き締め策を変更することはないと予想されています。

本日のドル円は138円〜139円80銭程度を予想します。

==========

「購読料改定のお願い」

今朝の日経新聞朝刊一面には、このような見出しで値上げの通知があります。朝刊・夕刊セットで、現在4900円が7月1日から5500円と一気に600円も上がります。率にして「12.2%」。あらゆる物の値段が上がっていることから、値上はそれなりに理解できますが、ちょっと上げ過ぎではないですか、日経さん!!筆者は仕事柄、これに加えて「電子版」も契約しているため、毎月6500円となり、年間では7万8000円にもなります。社会人になった際、大先輩に「日経新聞くらい読め」と言われ、それ以来購読し続けています。思わず、これまでに一体いくら支払ったのか計算したくなりました。

値上げの理由に、「昨年来の歴史的インフレによる新聞用紙などの原材料から製作委託費、お客様にお届けする配送の人件費や燃料費まで様々なコストが高騰している」ことを挙げています。生活品や、他の値上げには厳しく言及する一方、自社の値上げには「言論報道機関の使命を果たし続けるためには、読者の皆様の購読料の改定をお願いせざるを得ないと判断しました」と、綺麗な言葉を並べて「お願いする」だけ。日経新聞は経済関連の記事には、さすがに「一日の長」があることは認めますが、今のネット社会、情報はあらゆる手段で得ることは可能です。仕事を辞めたら即、購読を止めるつもりですが、そろそろ「東京新聞」に替えることを真剣に検討しています。

良い週末を・・・・・。

佐藤正和の書籍紹介

これだけ! FXチャート分析 三種の神器

これだけ! FXチャート分析 三種の神器
著者:佐藤正和
出版社:クロスメディア・パブリッシング

チャートがしっかり読めるようになるFX入門

チャートがしっかり読めるようになるFX入門
著者:佐藤正和
出版社:翔泳社

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
6/7 カナダ中銀声明 「経済における需要過剰は総じて、想定より根強いように見受けられる」、「需給のバランスを取り戻し、インフレ率を持続的に2%の目標へと回帰させられるほど、金融政策は十分ではなかった」 予想外の利上げでカナダドルが買われ、ドル円も139円前後から140円台前半まで上昇。
6/6 ロウ・RBA総裁 「インフレ率はピークを過ぎたが、なお高すぎる」と述べた上で、「適切な時間枠でインフレ率を確実に目標に戻すには、金融政策の一定の追加引き締めが必要かもしれない」、「特に経済の生産力が限られ、失業率がなお非常に低い状況を考えれば、高インフレ持続の期待が物価と賃金の両方にとって、より大幅な押し上げ要因になるリスクを政策委員会は引き続き警戒する」 政策金利引き上げに伴い豪ドル円は92円台前半から93円台まで急伸。
6/5 ラガルド・ECB総裁 「物価圧力は依然強い。中期で2%のインフレ目標に速やかに戻すため、政策金利を十分に景気抑制的な水準へと確実に導き、必要な限りその水準据え置く」 --------
6/5 ナーゲル・ドイツ連銀総裁 「金融政策担当者はインフレとの闘いで手綱を緩めることは出来ず、そうするつもりもない」、「現在の状況を踏まえれば、複数回の利上げがまだ必要だ」 --------
6/1 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 「政策金利を据え置き、インフレ率を適時に目標に戻すための仕事を金融政策に任せることが可能な地点に近づいていると考える」 株と債券が買われ、ドル安を演出。
5/31 コリンズ・ボストン連銀総裁 「米金融当局は実に高すぎるインフレの抑制に努めている」 --------
5/31 ボウマン・FRB理事 (家賃の下落や不動産価格が横ばいで推移していることを例に挙げ)、「これはインフレ率の低下を目指す当局の闘いに影響を及ぼし得る」 --------
5/31 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 「一度様子を見ていいだろうと思う」と述べ、「6月会合では、私は利上げ見合わせを検討する陣営に確実に入っている」 市場はドル売りで反応。
5/31 ジェファーソン・FRB理事 「次回会合で政策金利の据え置きを決定しても、今サイクルのピーク金利に達したと解釈すべきではない」、「実際には、次回会合で利上げを見送ることは、追加引き締めの程度について決定する前に委員会がより多くのデータを見ることを可能にするだろう」 市場はドル売りで反応。
5/30 神田・財務省財務官 「為替相場はファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要だ。過度の変動は好ましくない」、「為替市場の動向をしっかり注視し、必要があれば適切に対応していく考えに変わりはない」 ドル円141円手前から140円12銭まで下落。
5/30 植田・日銀総裁 「賃金が継続的に上昇していく中での持続的・安定的な2%の物価上昇の達成にはまだ時間があると考えているので、粘り強く金融緩和をというスタンスだ」 ドル円140円台前半から140円93銭まで上昇。日経平均株価はマイナス圏か120円を超える上昇。
5/25 植田・日銀総裁 「国民全員にかなり大きな負担になっている」、「サービス部門での価格上昇も進んでいる。原料価格が低下しても、需要面の高まりから物価高が継続する可能性が高い」、「基調適な物価上昇率はすこしずつ上がってきているのは事実だが、持続的・安定的(な達成)には届いていない」、「政策の継続、修正については効果と副作用をみて判断する。(効果と副作用の)バランスに変化があれば修正はあり得る」(日経新聞とのインタビューで) --------
5/25 コリンズ・ボストン連銀総裁 「インフレ率はまだ高過ぎるが、緩和を示す有望な兆候もいくつかある」、「われわれは利上げを一時停止できる地点、あるいはその近くにいるのではないかと考える」 --------
5/24 ウォラー・FRB理事 「インフレが2%目標に向って低下しつつある明確な兆候が得られるまで、利上げを停止することは支持しない」、「6月会合で利上げを実施するべきか見送るべきか向こう3週間に発表されるデータ次第になる」 株安、債券安が進み、金利上昇に伴いドル円は138円台半ばから139円台半ばまで上昇。半年ぶりのドル高を示現。
5/23 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「インフレが高水準にとどまり、われわれの認識より定着するようになった場合、政策金利をより長期にわたって高い水準に維持する必要が出て来る。そうなれば、銀行セクターへの圧力は強まる」 --------
5/22 ブラード・セントルイス連銀総裁 「インフレに十分な下押し圧力を与え、物価上昇率をタイムリーに目標水準に押し戻すためには、政策金利を引き上げざるを得なくなるだろうと」、「今年はあと2回の行動を考えている。具体的にいつになるかは分からないが、遅いより早い方がよいとこれまでにたびたび提唱してきた」、「労働市場が非常に好ましい状況にあるのは、インフレと闘い、目標物価に戻すには非常に都合が良い」 債券が売られ金利が上昇。ドル円は138円台半ばまで上昇。
5/22 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「今の段階では、6月会合での利上げもしくは利上げ見送りのどちらも判断が際どく、五分五分だ。重要なのは、われわれの作業は終了したと示唆しないことだと考える」 --------
5/22 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「政策の選択肢については予断を持っていない」 --------
5/22 デーリー・SF連銀総裁 「与信環境の引き締まりが、2回の利上げに相当し得る」 --------
5/22 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「大きな変化がない限り、現時点では事態がどう進展するか様子を見ることに違和感はない」 --------
5/19 パウエル・FRB議長 「追加引き締めが適切か、何の決定も下していない」、「結果的に政策金利をそれほど上げる必要はないかもしれない」、「インフレ抑制に失敗すれば(人々の感じる)痛みが長引くだけでなく、最終的に物価の安定を取り戻すための社会コストがより増えることになる」、「これまでのところ、インフレ抑制に時間がかかるというFOMCの見方を支持していると」 株価の下落をやや抑制。ドル円の下げにつながる。
5/19 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「ここからはもう少し速度を落としてもいいだろうという考えを排除しない」 --------
5/18 ジェファーソン・FRB理事 「金融政策の作用には長期的かつ変動的な遅れがあり、金利上昇の影響を需要が最大限に受けるのに1年は十分な期間でないことは歴史が示している」、「この先の金融政策における適切なスタンスを考える上で、今後数週間はあらゆる要素を考慮するつもりだ」 --------
5/18 ローガン・ダラス連銀総裁 「過去10回のFOMC会合全てでFF金利誘導目標レンジを引き上げてきたことで、われわれは一定の進展を遂げた。今後数週間に入手するデータで利上げ停止が適切になることが示される可能性もある。だがきょう現在においては、まだその状況に達していない」 --------
5/16 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「インフレ鎮静化に成功したとの証はまだ得ていない」、「さらなる利上げが必要であれば、そうすることに異論はない」 --------
5/16 メスター・クリーブランド連銀総裁 「金融政策は経済の長期的な成長率に影響を与えることはできないが、経済を物価安定の状態に戻すことで役割を果たすことは可能であり、それは労働市場や金融システム、経済全体のより長期的な健全性のために必要だ」 --------
5/15 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「これまでの急速利上げによる影響の多くがいまだ経済に浸透しつつあるところだ」、「FOMCは次の一手を判断する上で注意が必要になる」「6月13−14日に開かれるFOMCで当局者がどうすべきか述べるのは時期尚早だ」、(5月会合で利上げを支持した自身の判断は)、「銀行セクターで起きている混乱を考え、五分五分だった」 --------
5/15 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「労働市場は依然として過熱状態にあり、あまり軟化していない。つまり、インフレ鈍化にはまだ長い道のりが残されているということだ。インフレ鈍化のため、われわれ金融当局としてなすべき仕事が恐らくさらにあるだろう」 --------
5/15 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「2024年に入ってしばらくするまでわれわれが実際に利下げを検討することはない、というのが私の基本シナリオだ」、「インフレ指標の大半は、依然とし当局目標の2倍だ。つまり、残された道のりはまだ長いということだ」 --------
5/14 ジェファーソン・FRB理事 「3月に予想に反して下落した中古車価格を除いては、コア物価のディスインフレは想定よりも緩やかなペースで起きている。金融政策は経済とインフレに長期かつ様々な時間差を伴って影響を与えるもので、われわれの急速な引き締めの十分な効果は依然としてこれから表れる公算が大きい」 --------
5/9 ウィリアムズ・NY連銀総裁 信用状況の推移とそれが成長や雇用、インフレの見通しに与える影響見極めに特に重点を置いていく」、(FOMCは来月利上げを停止するのかとの繰り返しの質問に対して)、「政策は会合ごとに定められ、入手するデータによって決まる」、(利下げに関する質問には)、「私の基本的な予想では、年内に利下げする理由はどこにも見当たらない」、「かなり長期間、景気抑制的な政策スタンスを維持する必要があるというのが私の予想だ」(当局が目標とする)「2%に戻すには時間がかかり、2%の目標は2年かけて到達する」 --------
5/5 パウエル・FRB議長 (金融不安が収まらないことに触れ)「状況はおおむね改善し、米国の銀行システムは健全で強靭だ」、「深刻なストレスがかかる時間に区切りをつけるための重要な一歩だ」、(銀行破綻については)、「われわれが間違いを犯したことは十分に認識している」、(足元のインフレについて)、「幾分緩やかになっているが、依然として強い」、(金融政策が十分引き締め的な水準かと問われて)、「見極めているところだ」 --------
5/5 ブラード・セントルイス連銀総裁 「この15カ月における積極的な政策がインフレ率の上昇を抑制してきたが、2%目標への軌道に乗っているかどうかはあまりはっきりしていない」、「これから出て来る経済データを精査したいと考えているが、利上げがもう必要ではないと確信するには『インフレ率の有意な低下』を確認しなければならないだろう」 --------
5/5 グールズビー・シカゴ連銀総裁 (金融セクターの混乱について)、「それによって少し立ち止まらなければならないだろう。そうした展開は景気を減速させる可能性が高く、そのことを考慮する必要があるのは確かだ」と語り、「われわれはデータを注視する必要がある」 --------
5/1 イエレン・財務長官 ( 債務上限問題について)、「われわれの最善の予測では、6月初旬までには政府の支払い義務全てを履行し続けてことができなくなる。早ければ6月1日の可能性もある」 --------
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和