今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「米7月のNFP予想を下回る」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • 米雇用統計の結果を受けドル円は下落。7月の非農業部門雇用者数が市場予想を下回り、前月分も下方修正されたことで米金利が低下。ドル円は141円55銭まで売られる。
  • ドル安の流れからユーロドルも1.10台を回復。
  • 株式市場は上昇して始まったが、午後に失速。主要3指数は揃って下落。
  • 債券価格は大幅に上昇。長期金利は4.03%台に低下。
  • 金は4日ぶりに反発。原油は続伸し、一時は83ドル台に、サウジなど「OPEC」の減産継続が材料に。
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8月失業率 → 3.6%
8月非農業部門雇用者数 → 18.7万人
8月平均時給 (前月比) → 0.4%
8月平均時給 (前年比) → 4.4%
8月労働参加率 → 62.6%
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ドル/円 141.55 〜 142.90
ユーロ/ドル 1.0935 〜 1.1042
ユーロ/円 155.76 〜 156.63
NYダウ −150.27 → 35,065.62ドル
GOLD +7.30 → 1,976.10ドル
WTI +1.27 → 82.82ドル
米10年国債 −0.141 → 4.034%

本日の注目イベント

  • 日 6月景気先行一致指数(CI)(速報値)
  • 日 6月景気一致指数(速報値)
  • 中 中国7月外貨準備高
  • 独 独6月鉱工業生産
  • 米 6月消費者信用残高
  • 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁、FRBのイベントで講演
  • 米 ボウマン・FRB理事、パネル討論に参加

本日のコメント

7月の米雇用統計で、非農業部門雇用者数(NFP)が市場予想を下回ったことでドル円は142円台後半から141円台半ばまで下落しました。先週にも触れましたが、結果的には6月の雇用統計発表後と全く同じ動きでした。6月は民間の雇用統計である「ADP雇用者数」が市場予想を大きく上回り、「雇用統計」にも期待が膨らみましたが、結果は市場予想には届かなくドル円は大きく売られ、その後137円台までドル安が進むきっかけになりました。7月分も「ADP雇用者数」では市場予想の「19万人」に対して「32.4万人」と、大きく上回りましたが、本番の「雇用統計」では「20万人」の予想でしたが、結果は「18.7万人」でした。さらに6月分も「18.5万人」に下方修正されています。

FRBによる追加利上げ観測が後退したことで、米債券が買われ長期金利は大きく低下し、ドル円も素直にこの流れに反応したようです。ただ米株式市場は依然調整局面が続いており、雇用統計の結果は株式市場にプラスでしたが、その後のFRB高官による利上げ継続発言とアップル株の大幅下落が市場全体のセンチメントを悪化させたようです。ボウマンFRB理事はコロラド州のイベントで、「インフレ率をFOMCの目標である2%に押し下げるには、追加利上げが必要になる可能性が高い」と発言しています。ボウマン氏はさらに、「最近のインフレ鈍化は好ましいが、追加利上げとフェデラル・ファンド(FF)金利がいつまで景気抑制的な水準にとどまる必要があるのかを検討する際、私はインフレ率が2%の物価目標に向って有意な下降線をたどっているという一貫した証拠を探すつもりだ」と話し、「個人消費鈍化と労働市場環境緩和の兆しにも注意する」と説明しています。(ブルームバーグ)まさに労働市場の変調が見られた今回の結果を意識して述べた言葉だと受け止められます。5月までは驚異的な好調さを見せていた米労働市場は、6月、7月と2カ月連続でこれまでとは異なる結果を示しています。この傾向が続くようなら、さすがに驚くほど好調だった労働市場にも、ようやく景気抑制政策の効果が見え始めたのかもしれません。8月分の雇用統計が今から楽しみです。

米インフレ率が順調に低下していることを受け、株式市場ではダウが「13連騰」するなど、ようやく米株式市場が復活の兆しをみせ、資金も流入する好循環が見られましたが、そこに冷水を一気に浴びせかけたのが格付け会社「フィッチ・レーティングス」による米国債の「格下げ」でした。当初はその影響は限定的と見られましたが、米財務省が国債の発行を増やすとの発表も加わり、株式と債券が大きく売られました。米長期金利は先週一時4.195%まで上昇する局面もありました。フィッチによる格下げに対しては多くの米識者や経営トップ、専門家などが格下げを非難し、米国債の安全性を強調する発言を行っていましたが、世界有数の資産運用会社「ブラックストーン」のシュワルツマンCEOはそれらとは異なる意見を述べています。シュワルツマン氏は、「残念ながら数字が正当化する」と述べ、「世界的な金融危機以降、われわれは債務を爆発的に増やして来た。財政規律が緩んでいるようだ。」と述べ、その上で、「世界で危機が起きれば米国債にマネーが流入するが、財政規律を伴わなければ、永遠には続かない」と警鐘を鳴らしていました。米国債の信頼性が失われれば、金利が上昇し、米政府はその発行額が大きいだけにそれらの利払い負担も大きくなり、利払いのためにさらに国債を増発しなくてはならない、「悪循環」に陥る可能性もあります。

大きな値動きを見せるドル円ですが、これでドルの上値もやや重くなる一方、下値もまだどんどん攻める状況でもありません。ようやく140−145円のレンジ内に落ち着くのではないかと見ていますが、どうでしょう。

本日のドル円は141円〜142円50銭程度と予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
8/4 ボウマン・FRB理事 「インフレ率をFOMCの目標である2%に押し下げるには、追加利上げが必要になる可能性が高い」、「最近のインフレ鈍化は好ましいが、追加利上げとフェデラルファンド(FF)金利がいつまで景気抑制的な水準にとどまる必要があるのかを検討する際、私はインフレ率が2%の物価目標に向って有意な下降線をたどっているという一貫した証拠を探すつもりだ」、「個人消費鈍化と労働市場環境緩和の兆しにも注意する」 --------
8/1 ボスティック・アトランタ連銀総裁 (9月会合で)「仮に投票権を持っていたなら、不本意ながら支持しただろう」「基本的な見解は変っていないが、当局は9月までに多くの追加データを入手することになるため、自身の予想に反するデータがあれば、9月会合の見通しを調整することもいとわない」、「現在、当局は過度の引き締めのリスクが多少ある段階にあると思う。そのことを念頭に置いておかなければならない」 --------
7/31 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「インフレの鈍化を示すデータは素晴らしいニュースだ」、「9月にどう動くべきか私はまだ判断していない」、「政策金利が十分に景気抑制的であるかどうか金融当局は臨機応変でなければならない。次回の会合までに、さらにいくつかの重要なデータが得られる」、「しかし、われわれはかなり良い線を進んでいるように見える」 --------
7/27 ラガルド・ECB総裁 9月とその後の決定についてはオープンな考えだ。利上げをするかもしれないし、据え置くかもしれない」、(据え置く場合は)「必ずしも長期間続けるとは限らない」 --------
7/27 ECB声明文 将来の決定はインフレ率が中銀目標の2%に速やかに戻るよう、必要な限り政策金利が十分に景気抑制的な水準に設定されていることを確実にする」、「政策委員会は景気抑制の適切な水準と期間を決定するに当たり、データ依存のアプローチを続ける」 --------
7/26 FOMC声明文 「最近の複数の指標は、経済活動が緩やかに拡大してきていることを示唆する。雇用の伸びはここ数カ月堅調で、失業率は低いままだ。インフレは依然として高水準にある」、「委員会は引き続き、インフレリスクに細心の注意を払っている。委員会はより長期にわたって最大限の雇用と2%のインフレを達成することを目指す。これらの目標実現を支えるため、委員会はFF金利誘導目標のレンジを5.25−5.5%に引き上げることを決めた」 --------
7/26 パウエル・FRB議長 「この先、適切と考えられる追加政策引き締めの程度を決定する上では、引き続きデータ重視のアプローチで臨む」と述べ、また「データが正当化すれば、9月会合で再び利上げする可能性は当然あると言えよう。そして、同会合で金利据え置きを選択する可能性もあると言っておく」、「スタッフは現在、成長の顕著な減速が年内に始まると予想しているが、最近の経済に見られる強靭性から、もはやリセッションは見込んでいない」 発言内容が「ハト派」と受け止められ、ドル円は140円を割り込む場面も。
7/20 バーナンキ・元FRB議長 「7月の利上げが最後となることはあり得る」、「インフレ率は向こう6カ月で3−3.5%へと、より持続的に低下すると見ている。家賃の上昇幅が縮小し、自動車価格が下落する」、「FOMCはそこから時間をかけて2%目標に押し下げようとするだろう」、「FRBがインフレとの闘いで勝利を宣言するには、その前に労働市場で需給バランスの改善を確認したいだろう」、「依然としてかなりホットだ」(米景気のリセッションについて)、「向こう1年で深刻なリセッションになるとすれば、非常に驚く」 --------
7/18 植田・日銀総裁 「金融仲介機能や市場機能に配慮しつつ、イールドカーブ・コントロール(YCC)政策の下で粘り強く金融緩和を続けてきた」、「目標との距離や見通しを毎回の金融政策決定会合できちんとチェックし、その前提が変わらない限り、全体のストーリーは不変だ」 ドル円137円台後半から139円台前半に急騰。
7/17 イエレン・財務長官 「多くの国が自国経済の促進に向け、力強い中国の成長に依存している。特にアジアの諸国がそうだ。中国の成長減速は米国にある程度の悪影響を及ぼす可能性もある」、「米国の成長は減速したが、労働市場はかなりの力強さを維持している。リセッションは予想していない。米国は労働市場の大幅な軟化を伴わずにインフレ率を低下させる、『好ましい軌道』を進んでいると考える」 --------
7/13 デーリー・SF連銀総裁 「インフレとの闘いで勝利宣言するのは実に早すぎる」、「インフレを2%に押し下げる決意は変わらないため、これについては様子見モードだ」 --------
7/12 ブレイナード・米国家経済会議委員長 「リセッションがすぐそこまで来ているとの予想が繰り返されているが、米国の景気回復は堅調で、インフレ率は低下している」、「著しい雇用破壊が伴わなければインフレ率は下がらないとの予測が覆されている」、「これらの経済的利益は偶然に生じたものではなく、熟慮された戦略がなければ維持することはできない」 --------
7/12 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「インフレ率は高過ぎる。われわれの目標は2%だ」、「手を引くのが早すぎればインフレが再び強まり、そうなれば米金融当局はさらなる行動が必要になる」 --------
7/10 ベイリー・BOE総裁 「英国のインフレ率は年内に著しく低下する公算が大きく、利上げの影響はまだ完全には経済に表れていない」 --------
7/10 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 「インフレ率を持続可能な2%水準に沿った軌道へと確実に戻すため、年内あと2回の利上げが必要になる公算が大きい」 --------
7/10 バー・FRB副議長 「インフレはまだかなり高すぎる。この1年余りにわたって、金融政策で多くの進展を遂げてきた。それは必要な仕事だ」と述べた上で、「あと少しだが、まだやるべき仕事がある」 --------
7/10 メスター・クリーブランド連銀総裁 インフレが持続的かつ時宜を得た形で2%へと戻ることを確実にするためには、政策金利が現行の水準からさらに幾分か上昇する必要があるというのが私の見解だ。その後は、経済の進展状況についてさらなる情報を収集する中で、政策金利をしばらく据え置く必要がある」 --------
7/7 グールズビー・シカゴ連銀総裁 (雇用統計について)「より持続可能なペースになりつつある。インフレにとってはこうした動きが必要だ」、「現時点における米金融当局の最優先目標はインフレを押し下げることで、われわれはそれに成功する。リセッションを起さずにそうすることが勝利となる。それは『黄金の道』で、その道を進んでいる感触を私は持っている」 --------
7/6 ローガン・ダラス連銀総裁 「インフレ率が持続可能かつ適時な形で目標に戻るかどうかについて、依然として非常に懸念している」、「物価安定と最大雇用というFOMCのゴールに達成するためには、より景気抑制的な金融政策が必要になると考える」 ドル高に作用。
7/6 内田・日銀副総裁 「金融仲介や市場機能に配慮しつつ、いかにうまく金融緩和を継続するかという観点からバランスを取って判断していきたい」、(その上で当面は)「YCCを続けていく」 ドル円小幅に下落。
7/5 FOMC議事録 「ほぼ全ての参加者がフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを5−5.25%に据え置くことが適切、あるいは容認できると判断した」、「一部の参加者は今会合で目標レンジを25ベーシスポイント(bp)引き上げる方が好ましい、ないし、そうした提案を支持できたかもしれないと表明した」 株と債券が売られ、ドルが上昇。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和