「ドル円145円台半ばに反落」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- 東京市場朝方には146円56銭まで買われたドル円はNYでは反落。急ピッチの上昇であったことや、利益確定の売りに押され145円62銭までドルが反落。
- ユーロドルは小幅に続落。1.0857まで売られ、ユーロ円も小幅に水準を下げる。
- 株式市場は3指数が揃って大幅続落。金利が上昇したことを受け、ダウは290ドル、ナスダックは157ポイント下げる。
- 債券は続落。長期金利は一時4.32%まで上昇し、4.27%台で取引を終える。
- 金は13ドル下落し、これで9日続落。原油は反発。
新規失業保険申請件数 → 23.9万件
8月フィラデルフィア連銀景況指数 → 12.0
7月景気先行指標総合指数 → −0.4%
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| ドル/円 | 145.62 〜 146.30 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.0857 〜 1.0918 |
| ユーロ/円 | 158.26 〜 159.14 |
| NYダウ | −290.91 → 34,474.83ドル |
| GOLD | −13.10 → 1,915.20ドル |
| WTI | +1.01 → 80.39ドル |
| 米10年国債 | +0.024 → 4.274% |
本日の注目イベント
- 日 7月消費者物価指数
- 欧 ユーロ圏7月消費者物価指数(速報値)
- 英 英4−6月期GDP(速報値)
- 英 英7月小売売上高
- 米 日米韓首脳会議(米キャンプデービッド)
本日のコメント
ドル円は久しぶりに上昇が一服です。昨日の朝方、前日のNYでのドル高の勢いを受け一時146円56銭までドルが買われましたが、昨日のNYでは145円台半ばまで反落しています。このところ急ピッチでドル高が進んだことと、利益確定のドル売りが1円程水準を引き下げています。日足チャートでは、寄り付きよりも引け値の方が高い「陽線」が8日連続で示現しましたが、9日連続とはなりませんでした。因みに昨年10月、ドル円が151円94銭まで上昇した際には「12日連続の陽線」が見られました。
ドル円の上昇が一服した最大の理由は「急激に高まった介入警戒感」だと、筆者は分析しています。今朝は日経新聞が「為替介入強まる警戒感」の見出しで、一面のスペースを大きく割いています。またブルームバーグでも、「円安進行で口先介入を警戒」といった記事や、「円買い介入、東京時間よりNY時間がリスク高い」といった記事もありました。これだけ介入に関する記事が多かったことは、昨年の秋以降のことになります。後者の記事を紹介すると、「財務省は昨年9月以降、3回の円買いを実施しているが、公式データには実際の介入時刻は記載されていない。ただ、日中の動きからすると、昨年9月22日午後5時には当時の黒田総裁が『日銀はフォワードガイダンスを2―3年は変更しない』と発言したことで円売りが加速。日銀総裁や審議委員など、当局者の発言が円売りのトリガーになったが、現在の植田総裁他当局者はその可能性が低い。さらに東京のトレーダーは介入リスクをよく認識している。またNY時間の米金利の上昇も円売りにつながりやすいことから、NY時間の方が介入の可能性が高い」といった内容でした。ただ、各国中銀が市場介入を行う場合、基本的には自国市場で行います。NY市場で介入を行う場合、米財務省やNY連銀などにも事前に通知や了解などが必要かと思われ、その分手続など煩雑なのは事実です。いずれにしても、水準的にはいつ介入があってもおかしくありません。ポイントは「水準とその円安のスピード」ということかと思います。
本リポートでも何度か触れた、来週24−26日に開催されるジャクソンホールでの「経済シンポジウム」ですが、パウエル議長の講演時間が公表されました。議長は25日(金)の午前10時5分(日本時間午後11時5分)に経済見通しについての基調講演を行う予定です。前日も7月のFOMC議事録が公開され、その内容が想定以上に「タカ派寄り」であったことから、ドル円は146円台半ばまで上昇しました。発表された7月のCPI、PPIが揃って市場予想を上回ったこともあり、追加利上げ観測が高まっています。一方7月会合では2名の委員が「据え置き」を支持していたことも判明しており、FOMCメンバーの中で見方が分かれているのも事実です。パウエル議長がどのような認識を示すのか、今回の「ジャクソンホール」は極めて注目度が高いと言えます。講演ではやはりインフレに対して慎重な見方、つまり「ややタカ派寄り」の発言をするのではないかと予想していますが、そうなるとドル高が加速する可能性もあります。政府・日銀が「ジャクソンホール」の前までに介入するのかどうかもポイントの一つになります。
本日のドル円は144円80銭〜146円50銭程度を予想します。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 8/16 | FOMC議事録 | 「インフレに著しい上振れリスクがあり金融政策の追加引き締めが必要になり得るとの認識を大半の参加者は引き続き示した」、「経済活動は強靭で労働市場も強さを維持しているものの、引き続き経済活動に下振れリスク、失業率には上振れリスクがあるとの見解が一部の参加者から示された」、「2人が政策金利の据え置きを望んだ、ないし、そうした提案を支持した」、「政策を不用意に引き締め過ぎるリスクと、引き締めが不十分な場合のコストとの間でバランスを取ることが重要だとの見解を示した」 | 株安・債券安が進み、ドル円は145円台から146円40銭まで上昇。 |
| 8/15 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 「インフレ率は現在、鈍化しつつある。順調な進展を一定程度遂げてきた」、「インフレ率は依然として高すぎる」、「利上げは終了か。私自身、終わったという準備はない。しかし、明るい兆候は見られる。例えば、その過程にあるのかもしれない。もう少し時間をかけて、もっとデータを確認してから、追加措置が必要かどうかを決めることになる」、「私の頭の中にある疑問は、インフレ率を当局の2%目標に実際に戻すのに十分な措置を講じてきたのか、あるいはさらなる措置が必要なのかだ」 | 株と債券が売られ、金利上昇にドル円は145円83銭まで買われる。 |
| 8/7(8月2日NYTとのインタビューで) | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「金融政策は好ましい位置にある。政策はあるべきところにある。ピーク金利の観点でこれを調整する必要があるかどうか、また景気抑制的なスタンスをどれくらい長く続ける必要があるかはデータ次第になる」、「景気抑制的なスタンスを当面は維持する必要があると想定している」、「追加利上げの必要性については、議論の余地がある」、「インフレ率が下がり続ける場合、実質金利がさらに上がらないよう、2024年か25年に金利を引き下げる必要があるかもしれない」 | -------- |
| 8/7 | ボウマン・FRB理事 | 「私は7月のFOMC会合でフェデラルファンド(FF)金利の引き上げを支持した。インフレ率をFOMCの目標に低下させるには、追加利上げが必要になる可能性が高いと想定している」、「今後発表されるデータ次第になる」 | -------- |
| 8/4 | ボウマン・FRB理事 | 「インフレ率をFOMCの目標である2%に押し下げるには、追加利上げが必要になる可能性が高い」、「最近のインフレ鈍化は好ましいが、追加利上げとフェデラルファンド(FF)金利がいつまで景気抑制的な水準にとどまる必要があるのかを検討する際、私はインフレ率が2%の物価目標に向って有意な下降線をたどっているという一貫した証拠を探すつもりだ」、「個人消費鈍化と労働市場環境緩和の兆しにも注意する」 | -------- |
| 8/1 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | (9月会合で)「仮に投票権を持っていたなら、不本意ながら支持しただろう」「基本的な見解は変っていないが、当局は9月までに多くの追加データを入手することになるため、自身の予想に反するデータがあれば、9月会合の見通しを調整することもいとわない」、「現在、当局は過度の引き締めのリスクが多少ある段階にあると思う。そのことを念頭に置いておかなければならない」 | -------- |
| 7/31 | グールズビー・シカゴ連銀総裁 | 「インフレの鈍化を示すデータは素晴らしいニュースだ」、「9月にどう動くべきか私はまだ判断していない」、「政策金利が十分に景気抑制的であるかどうか金融当局は臨機応変でなければならない。次回の会合までに、さらにいくつかの重要なデータが得られる」、「しかし、われわれはかなり良い線を進んでいるように見える」 | -------- |
| 7/27 | ラガルド・ECB総裁 | 9月とその後の決定についてはオープンな考えだ。利上げをするかもしれないし、据え置くかもしれない」、(据え置く場合は)「必ずしも長期間続けるとは限らない」 | -------- |
| 7/27 | ECB声明文 | 将来の決定はインフレ率が中銀目標の2%に速やかに戻るよう、必要な限り政策金利が十分に景気抑制的な水準に設定されていることを確実にする」、「政策委員会は景気抑制の適切な水準と期間を決定するに当たり、データ依存のアプローチを続ける」 | -------- |
| 7/26 | FOMC声明文 | 「最近の複数の指標は、経済活動が緩やかに拡大してきていることを示唆する。雇用の伸びはここ数カ月堅調で、失業率は低いままだ。インフレは依然として高水準にある」、「委員会は引き続き、インフレリスクに細心の注意を払っている。委員会はより長期にわたって最大限の雇用と2%のインフレを達成することを目指す。これらの目標実現を支えるため、委員会はFF金利誘導目標のレンジを5.25−5.5%に引き上げることを決めた」 | -------- |
| 7/26 | パウエル・FRB議長 | 「この先、適切と考えられる追加政策引き締めの程度を決定する上では、引き続きデータ重視のアプローチで臨む」と述べ、また「データが正当化すれば、9月会合で再び利上げする可能性は当然あると言えよう。そして、同会合で金利据え置きを選択する可能性もあると言っておく」、「スタッフは現在、成長の顕著な減速が年内に始まると予想しているが、最近の経済に見られる強靭性から、もはやリセッションは見込んでいない」 | 発言内容が「ハト派」と受け止められ、ドル円は140円を割り込む場面も。 |
| 7/20 | バーナンキ・元FRB議長 | 「7月の利上げが最後となることはあり得る」、「インフレ率は向こう6カ月で3−3.5%へと、より持続的に低下すると見ている。家賃の上昇幅が縮小し、自動車価格が下落する」、「FOMCはそこから時間をかけて2%目標に押し下げようとするだろう」、「FRBがインフレとの闘いで勝利を宣言するには、その前に労働市場で需給バランスの改善を確認したいだろう」、「依然としてかなりホットだ」(米景気のリセッションについて)、「向こう1年で深刻なリセッションになるとすれば、非常に驚く」 | -------- |
| 7/18 | 植田・日銀総裁 | 「金融仲介機能や市場機能に配慮しつつ、イールドカーブ・コントロール(YCC)政策の下で粘り強く金融緩和を続けてきた」、「目標との距離や見通しを毎回の金融政策決定会合できちんとチェックし、その前提が変わらない限り、全体のストーリーは不変だ」 | ドル円137円台後半から139円台前半に急騰。 |
| 7/17 | イエレン・財務長官 | 「多くの国が自国経済の促進に向け、力強い中国の成長に依存している。特にアジアの諸国がそうだ。中国の成長減速は米国にある程度の悪影響を及ぼす可能性もある」、「米国の成長は減速したが、労働市場はかなりの力強さを維持している。リセッションは予想していない。米国は労働市場の大幅な軟化を伴わずにインフレ率を低下させる、『好ましい軌道』を進んでいると考える」 | -------- |
| 7/13 | デーリー・SF連銀総裁 | 「インフレとの闘いで勝利宣言するのは実に早すぎる」、「インフレを2%に押し下げる決意は変わらないため、これについては様子見モードだ」 | -------- |
| 7/12 | ブレイナード・米国家経済会議委員長 | 「リセッションがすぐそこまで来ているとの予想が繰り返されているが、米国の景気回復は堅調で、インフレ率は低下している」、「著しい雇用破壊が伴わなければインフレ率は下がらないとの予測が覆されている」、「これらの経済的利益は偶然に生じたものではなく、熟慮された戦略がなければ維持することはできない」 | -------- |
| 7/12 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「インフレ率は高過ぎる。われわれの目標は2%だ」、「手を引くのが早すぎればインフレが再び強まり、そうなれば米金融当局はさらなる行動が必要になる」 | -------- |
| 7/10 | ベイリー・BOE総裁 | 「英国のインフレ率は年内に著しく低下する公算が大きく、利上げの影響はまだ完全には経済に表れていない」 | -------- |
| 7/10 | デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 | 「インフレ率を持続可能な2%水準に沿った軌道へと確実に戻すため、年内あと2回の利上げが必要になる公算が大きい」 | -------- |
| 7/10 | バー・FRB副議長 | 「インフレはまだかなり高すぎる。この1年余りにわたって、金融政策で多くの進展を遂げてきた。それは必要な仕事だ」と述べた上で、「あと少しだが、まだやるべき仕事がある」 | -------- |
| 7/10 | メスター・クリーブランド連銀総裁 | インフレが持続的かつ時宜を得た形で2%へと戻ることを確実にするためには、政策金利が現行の水準からさらに幾分か上昇する必要があるというのが私の見解だ。その後は、経済の進展状況についてさらなる情報を収集する中で、政策金利をしばらく据え置く必要がある」 | -------- |
| 7/7 | グールズビー・シカゴ連銀総裁 | (雇用統計について)「より持続可能なペースになりつつある。インフレにとってはこうした動きが必要だ」、「現時点における米金融当局の最優先目標はインフレを押し下げることで、われわれはそれに成功する。リセッションを起さずにそうすることが勝利となる。それは『黄金の道』で、その道を進んでいる感触を私は持っている」 | -------- |
| 7/6 | ローガン・ダラス連銀総裁 | 「インフレ率が持続可能かつ適時な形で目標に戻るかどうかについて、依然として非常に懸念している」、「物価安定と最大雇用というFOMCのゴールに達成するためには、より景気抑制的な金融政策が必要になると考える」 | ドル高に作用。 |
| 7/6 | 内田・日銀副総裁 | 「金融仲介や市場機能に配慮しつつ、いかにうまく金融緩和を継続するかという観点からバランスを取って判断していきたい」、(その上で当面は)「YCCを続けていく」 | ドル円小幅に下落。 |
| 7/5 | FOMC議事録 | 「ほぼ全ての参加者がフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを5−5.25%に据え置くことが適切、あるいは容認できると判断した」、「一部の参加者は今会合で目標レンジを25ベーシスポイント(bp)引き上げる方が好ましい、ないし、そうした提案を支持できたかもしれないと表明した」 | 株と債券が売られ、ドルが上昇。 |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



